ユーザーとの距離が近い美容動画メディアを運営し、ファンの声を生かしたプライベートコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」(フィービー ビューティー アップ)を立ち上げたDINETTE株式会社。ローンチからわずか2年で年商15億のブランドに成長し、コスメD2C業界を牽引しています。
従来の常識に捉われず、ユーザーファーストを軸にあらゆるデジタルマーケティングに取り組む同社は、ダイレクトマーケティング特化型UGC活用ソリューション「Letro」とECプラットフォーム「ecforce」を導入しています。
今回はマーケティング領域の責任者を務める斉藤圭氏にお話を伺いました。
"寄り添う感覚"のユーザーファーストが施策設計の軸
ーDINETTE社の成長過程を見ると、通販企業の従来の商品開発の考え方や広告投資モデルと異なったアプローチをしているように見えます。広告投下に偏重し過ぎることなく、商品開発への投資やSNSを通じたファンとのコミュニケーションを重視するなど、投資比率の考え方が従来のモデルとは違いますよね。ブランド成長のための投資や施策設計で大切にしている軸や考え方を教えてください。
"ユーザーファースト"です。メディアの立ち上げ当初から、コメントやDMへの丁寧な返信を徹底しています。ユーザーのネガティブな声も、プラスの声も、全てを軸に施策を設計しています。
最近だと、Z世代のお客様はメールを見なかったりするので、LINEやInstagramのDMでの質問や問い合わせに対応するようにしています。
InstagramのDMで対応していたお客様が2年以上買い続けてくれているなど、ユーザーファースト軸の施策がLTVに高い影響を与えるという傾向も見えてきました。
ーその方々のLTVが高いのはどのような背景からでしょうか。
寄り添った感覚があるからだと思います。"お客様"というよりも、どちらかというと"友だち"感覚です。
美容に特化した総勢200名のインフルエンサーを意味する"DINETTE GIRLS"という言葉に代表されるように、頼れる友達や相談できるお姉さんのような存在を目指して、フランクに接しています。
「一緒に仲間として商品をつくり上げる」過程で繋がったお客様が継続してくださっていますね。
「やれることはまず全部やる」ユーザーファーストを体現するマーケティング
ーECの成長戦略を考えると、新規顧客獲得のために多額の広告投資だったり"一般的にやるべきである"という施策がまわりを固めていくと思います。急成長する中で、どのようにユーザーファーストのDNAが引き継いでいるのでしょうか。
ここに関してはマーケティングの考え方になるのですが、「やれることはまず全部やる」ことを大切にしています。お客様が何を考えているかはわからないので、言い訳をつくらずにとりあえずやってみて、回らなかったら回らなかったでその時に考えます(笑)
たくさんの施策をクイックに回してきた結果、成功体験を生みだせていると思っています。
お客様はどう感じるか?何を求めているか?を起点に施策を考え、従来の通販のマーケティングのセオリーに敢えて囚われないことを意識しています。
ー全部が成功しなくても、経験に囚われず新しいマーケティング施策を試すことに意味があるんですね。
そうですね。失敗もそこそこあるんですが、撤退するのも早いです。
全ての施策結果をデータとして残しているので、施策の良し悪しを見極めるのも早いですね。
例えばデータとして良くなかったら、その施策は2年はやらないといったことを徹底しています。
ー"ユーザーファースト"であるために、あらゆる施策を試し、高速でPDCAを回しながら伸ばせるところに予算を投じるって、当たり前のようですがこれをやり切れている企業は意外と少ないと思います。これを体現するために、どのようなKPI設計をされていますか。
指標だと「F2転換率」までマーケティングチームでチェックすると決めています。
そうすることで、"ユーザーファースト"をより体現できています。新規獲得を行うチームがF2まで意識することでクリエイティブも変わりますし、お客様の声からの施策改善が増えています。
例えば、メールが届かないからチャット対応にしようとか、荷物が届かないというお客様にはなぜ届いていないのか深堀りしてLPに一言付け加えたりとか、アップセル施策にしても「私はこれがいらなかった。」というコメントがあれば、フロント面での提案に変えたりとか。
素敵な投稿をSNSにあげてくれているユーザーさんがいたら、ユーザーボイスとしてLPに掲載したり、広告に活かしたりとか。
お客様の声から施策が生まれたり、お客様の声を施策に活かしたりしたもので溢れていますね。
お客様の声を施策に活かすためにLetroを導入
ーお客様の声を施策に活かすというお話がありました。改めてLetroを導入された背景を教えてください。
PHOEBE BEAUTY UPはファンとの距離の近さを活かしたブランドで、SNS上に多くのUGCは存在していたのですが、ダイレクトマーケティングにUGCを上手に活かせていませんでした。
元々は、Instagramの投稿キャプチャを画像としてLPに貼り付けていました。
UGCは大量にあるのに限られたUGCしか表示できないと効果検証も十分にできないので、ずっと動的表示したいと思っていました。
ただ、コーダーもいなければデザイナーも十分にいない状況で着手できずにいたので、Letroの導入を意思決定しました。
Letroだと管理画面上でUGCを簡単に入れ替えられ、CTRやCVRも確認できるので、施策改善しやすい点が決め手になりました。
導入したタイミングとしては、成長ステージでいうイノベーター獲得後の次のステージでどう跳ねるかを考えていたタイミングでした。
施策の量とスピードを上げるためにecforceを導入
ーLetroを導入して1年後にecforceを導入されていますが、どういった背景で導入されたのでしょうか。
Letroを導入したのは良いものの、当時のカートシステムだと施策を一つ回すのにとても時間がかかっていたんです。
システムの都合上、CTRやCV数を計測するためのタグの実装をする際にサーバーから直書きする工数があり、当時そこを触れるのが経験が豊富にあるわけでもない私しかおらず、それこそ一度、変数を間違えて全ページ消してしまったこともあり、ハイリスクで且つ工数のかかる業務になっていました。
ファーストビューを変えるだけで1週間以上かかるような状態だったので、そこのリスクと時間を鑑みて、改めてカートシステムを見直す運びになりました。
そこから様々なカートシステムを吟味し、施策の量とスピードを上げられる点がecforce導入の決め手になりました。
Letro×ecforce で前年比売上6.5倍に
ーLetroなりecforceがあったからこそ実現できた施策はありますか。
「ユーザーファーストでなんでもやってみる。」「時間かけずにやってみる。」というマーケティングの考え方を、Letroとecforceの二つの仕組みを使って実現できるようになりました。
例えば、Instagramを見てこのユーザーさんの投稿がいいとなれば、許諾をとってLPに掲載するまでに5分もかからなくなりました。
このリードタイムの短さは、めちゃくちゃ助かっています。業務が効率化した分他の施策に投資できるようになったので、マーケティング戦略の設計から実行までの全部のスピードが上がり、結果的に売上アップにもつながっていますね。
ー定性面では時間やコストを抑え、施策全体の量とスピードを上げるというメリットがあると思いますが、定量面にはどういった影響がありましたか。
Letroの導入時点で、CVR1.8倍に改善しました。広告の初速は非常に上がりましたね。ただ当時のカートシステム上、LetroでLPに表示しているUGCの掲載位置を変えるだけでも時間がかかっていて検証スピードが担保できていなかったので、CVRが上がったまま次の打ち手がなくなったんですね。
そこでecforceを導入しました。ecforceを導入してから、CVRは2.4倍に改善しました。
Letroとecforceで色んなことが同時にできるようになったので、そこから売上も上がっていった形になりますね。
ー売上への影響はどれくらいありましたか。
Letro導入後、売上は3.7倍になりました。
1年後にecforceを導入してからもっと伸びていて、売上は6.5倍になっています。
お客様視点でやっていくならLetro×ecforceがバッチリ向いている
ー最後にLetroとecforceを検討している企業様向けにアドバイスをお願いします。
単品通販から抜けれない企業や自社の成功体験に固執してしまっている企業は絶対導入した方がいいと思います。
あとは、いわゆるD2Cでお客様視点でやっていこうという企業は、お客様に向き合う時間を増やすために、他の業務に時間はとりたくないと思うので、時間を短くするのであればLetroもecforceもバッチリ向いていると思います。
スピードを上げたいって企業でしたら絶対おすすめしますね。