目的・課題
- ECシステムとしての利用しやすさの改善と定期販売の実現
- ECサイトのUI/UXの改善による購入のハードル引き下げ
- 解約率の改善
効果
- LPのCVRを130%向上
- Amazon Payの実装により購入ハードルを低減
- チャット機能の活用により解約率を20%以上改善
未利用魚の活用で、生産者、消費者、社会にとって「三方良し」のビジネスを実現
まず御社の事業について教えてください。
長谷川様(以下、敬称略):株式会社ベンナーズは代表の井口が2018年4月に立ち上げた会社です。
もともと井口はアメリカの大学で起業を学んでいたのですが、彼の実家が水産物の卸売業を営んでおり、流通を始めとした水産業界の課題を深く考える機会もあったため、帰国と同時に当社を立ち上げて水産系のマッチングプラットフォームを開始しました。
市場と外食産業をダイレクトに繋ぐことを目的としていたのですが、コロナ禍で、外食産業が大きな影響を受けたタイミングと重なってしまいました。
ただ、そういった事業を行う中で、漁業の現実を目の当たりにする機会も増えました。そのひとつが「未利用魚」です。
漁師さんが水揚げした魚のうち、市場で食用として販売できるのはわずかです。多くの魚が未利用魚になってしまいます。この未利用魚をなんとかできないかと考えたところ生まれたのが「フィシュル」です。
フィシュルは、未利用魚も含めて新鮮なうちにさばいて下味をつけ、パッキングして瞬間冷凍しており、そのパックを複数の組み合わせで定期販売するビジネスモデルです。
私たちが魚を直接買い付けて加工して販売するので、仕入れで買い叩くようなこともなく、消費者にも適正価格で販売できています。また、下味をつける際の調味料にもこだわっており、生産者さんから仕入れています。このような形で水産業者と消費者、そして社会にとっても意義がある、いわゆる“三方良し”を実現しています。
素敵なビジネスですね。どんな層をターゲットとされていますか?
長谷川:ご夫婦お二人で暮らしている方や、お子さんがいる家族世帯が商品の特長にあっていると思いますし、コアユーザー層です。ただ、Instagram広告やサイトのクリエイティブもこだわっているため、想定よりも若い方にも利用いただいています。
宮本様(以下、敬称略):私はマーケティング全般を担当しているのですが、お客様とコミュニケーションを取る中で、思った以上に新鮮な魚を求めている方が多いと実感しています。海のない県にお住まいの方から「近所のスーパーでは新鮮な魚が手に入りにくい」といったお声をいただくこともあり、ニーズを感じています。
魚がスーパーに並ぶまでに数日経っていることもありますが、フィシュルは水揚げされた当日に冷凍しているので、新鮮さには自信をもっています。
お客様は、どのようなきっかけでフィシュルを知るのでしょうか。
長谷川:FacebookやInstagramといったSNS広告を出稿しているのでそこで知っていただくケースもありますが、弊社の場合、未利用魚の利用やフードロスといった社会課題の文脈でテレビや雑誌などのマスメディアで取り上げていただく機会も多くあります。
そのため認知のきっかけは、一般のD2Cブランドと比べるとメディアの影響がとても大きいと感じています 。
宮本:メディアを通してフィシュルを知った方の中には、社会貢献的な意義をきっかけに利用してくださる方も多いと思うのですが、それだけでは継続的に購入していただくのは難しいと思っています。
実際に食べてみて満足いただける品質や味をご提供できていることが、9割という高い継続率を実現できている理由だと考えています。
ecforceはシステムを超えたEC事業のパートナー
ecforceを導入いただいたきっかけや理由を教えていただけますでしょうか。
長谷川:ビジネスをスタートした当初は単品販売で、別のカートシステムを利用していました。クラウドファンディングや市場調査を行った結果、定期購入を始めることになり、定期購入に対応するカートシステムを探していました。
当時のカートシステムが外資のシステムだったこともあり、サポートなど使い勝手に大きな課題を感じていました。その際、代表の井口が知り合いから定期通販に最適なカートとしてecforceを紹介されたことがきっかけで導入に至ったと聞いています。
実際にecforceの使い勝手はいかがですか。
宮本:私が日々ecforceを利用する中でメリットを感じているポイントは三つあります。
一つ目が、管理画面のUIが直感的でわかりやすい点です。
サイトでなにか実施したいなと思った際、管理画面の導線上でメニューが提供されていたり機能連携があったり、おそらくこうすればいいんだなと直感的に操作できます。
他のシステムの場合、なにか施策をしたくてもどこでそれが出来るのかわからない、探さないといけないことが多々あるので、このような細かい配慮が日々の工数削減に繋がっています。QAの情報も整っているので、検索すると解決できることが多く助かっています。
二つ目は、EC運営に必要な機能が揃っている点です。
支払方法の連携や離脱防止機能、CRMなど、EC事業を行っていく上で必要不可欠な機能が必要な時に追加できるところが気に入っています。都度、別システムとAPI連携をして追加していく必要がないのでありがたいです。
三つ目はサポート体制が良い点です。
担当の方にご連絡すると相談の意図を汲んで動いてくださりますし、設定のお願いも快く引き受けていただけます。 また、システム内では対応しきれない分析だったり、ロジスティクスに関することなどを相談すると関連企業を紹介してくださいます。ECシステムを超えて、EC事業のパートナーだと感じています。
ecforceの利用者同士で交流できるオンラインのコミュニティや、オフラインのイベントがあります。他社の取り組み事例などを知ることができることもありがたいです。
関谷様(以下、敬称略):私はECサイトの運営やCRMを担当しているのですが、ecforceのアップデートの速さにいつも驚かされています。実は、前職の時を含めるとecforceを5年ほど利用しているのですが、こんな機能があったらいいなと思っているといつの間にかリリースされているといったことも多く、本当にかゆいところに手が届くという印象です。
宮本からもある通り、外資系のカートシステムはどうしても文化の壁を感じることもありますが、ecforceはサポートも手厚く、感覚的に使うことができます。
安価に利用できるECカートシステムもあると思いますが、長期的に本気でECに取り組む事業者であれば、ecforceはおすすめしたいと思えるカートシステムです。
LP分析とefoの活用でCVR130%以上改善、広告経由のCPAは5分の1に
先ほどSNS広告のお話が少しありましたが、新規獲得施策はどんなことをされていますか?
関谷:WEBの広告は実施していて、広告ごとにLPを分けて計測しています。
動画広告クリエイティブやLPでは、ユーザーさんが作ってくれた投稿、いわゆるUGCを活用させていただくことが増えています。それによってLPのCVRも上がりました。
宮本:広告を始めた当時と比較すると、CVR含めて、広告効果は大きく改善されています。
また、より購入に繋がりやすい導線設計も工夫しています。例えばAmazon Payの導入もその一つで、新規購入の4割以上が支払方法にAmazon Payを選択しています。
ecforceで早期に対応でき、購入ハードルを下げることができました。
ecforce efo*も導入していますが、特に広告経由のユーザーに効果が出ており、CVRが130%ほど改善できています。オーガニック経由のユーザーでは広告経由ほど数値の改善は見られなかったのですが、実数値での分析がスピーディにできるのもマーケティングを行う上で非常に助かっています。
*ecforce efo:チャット型対話式EFO。ECサイト上にチャット形式の注文フォームを簡単に設置できるサービス。CVRを向上させ、広告投資のROIを最大化させる。
様々な改善をecforceの機能を活用して行っていますが、驚くことにCPAは初期と比べて5分の1まで下げることができています。
チャット機能を活用したコミュニケーションで解約抑止効果が20%以上向上
既存のお客様の継続率の向上についてはどんな取り組みをされていますか?
宮本:ステップメールを活用して、商品の魅力や使い方をお伝えしています。
「商品が到着してから◯日後」というようにタイミングを設定しており、上手な解凍の仕方や商品がどのように加工されていていかに新鮮か、また使用している調味料へのこだわりといったことを訴求し、より商品の魅力を知っていただける工夫をしています。
また、「ecforce chat」*を活用した解約防止施策も行っています。
導入前は、マイページからボタン一つで解約できる導線でしたが、ecforce chatを導入し、チャットでコミュニケーションを挟むようにしたところ、すぐに20%以上の解約抑止に繋がりました。
また、以前は「解約理由がわからない」という課題もありましたが、チャットで解約理由を伺う質問項目も入れることで、今まで気づかなったお客様のニーズに気づくことができるなど、メリットも感じています。
*ecforce chat:ウェブ接客自動化システム。問い合わせに対して適切な応対から提案まで自動化し、顧客LTVの向上やオペレーションコストの削減をサポートする。
これからの目標や目指すものを教えてください。
宮本:まずは、一年以内にアクティブ会員数を2倍にしたいです。
また、現在のパック商品のサブスク販売に加えて、単品で追加購入いただける商品も増やし、購入頻度や購入単価を上げていく取り組みができるといいなと思っています。
今も実施していますが、今後はよりパーソナライズの精度を上げながら、好みに合った味を継続的に提供できる仕組みを作っていきたいと思っています。
また、フィシュルの商品が家庭の食卓に上がった時、「この魚も口にすることができるんだ」「こんな味付け、食べ方があるんだ」と家族で会話が弾んだり、魚料理に関する話題が提供できたりすると嬉しいなと思います。
長谷川:そうですね。「新鮮な魚ならフィシュルだよね」と思ってもらえるようにしたいです。最終的には、「美味しい魚をすぐに食べることができる」という体験を当たり前に届け、魚食普及の観点でも貢献していきたいと思っています。
水産業者の方の思いを伝え続けながら、フィシュルを通しておいしい魚料理を体験してもらうと同時に、魚食や漁業に少しでも興味や関心を持っていただけると嬉しいです。