目的・課題
- 自社および自社製品の認知の向上
- お客さまがリアルで製品に触れられる機会の提供
効果
- ブランド認知の向上を実感
- SNSの活用によるリアル店舗への集客ノウハウの習得
- ECモールでの売上が通常時の5倍以上に拡大
世界初の「固体電池ポータブル電源」を発売する株式会社ヨシノパワージャパンは、2024年4月19日(金)~25日(木)の7日間、RAYARD MIYASHITA PARKの「THE [ ] STORE(ザ・ストア)」に期間限定で出店しました。アウトドアシーンや防災対策で注目されている同社製品が、どのようにTHE [ ] STOREを活用し製品の認知拡大へつなげたのか、そしてECモールでの売上やその後の販売にどう貢献したのか。同社マネージャー 齊木 陸氏、営業一課 課長 金澤 慶氏にお話をうかがいました。
世界初の「固体電池」を採用したポータブル電源を手がけるヨシノパワージャパン
御社の事業概要とミッションを教えてください。
金澤 慶氏(以下、敬称略):ヨシノパワージャパンは、2023年1月に設立されました。実質的に事業を開始したのは2023年11月で、日本唯一の固体電池ポータブル電源のブランド「YOSHINO」として、蓄電池やポータブル電源、及び関連製品を販売しています。また、弊社では「最先端の固体電池技術を普及させていくこと」をミッションに掲げており、固体電池技術を通じて効率的でスマートなデジタル体験を提供すること、ひいてはより多くのお客さまにとって人生を楽しんでいただく製品を提供することを目指しています。
齊木 陸氏(以下、敬称略):弊社はアメリカのYoshino Technologyの日本法人であり、世界で初めて*固体電池を採用したポータブル電源を開発した企業です。
*2024年7月8日時点でヨシノパワージャパン調べ。Amazonなどの通販サイトや、その他のインターネット上での検索で調査。
固体電池を採用したポータブル電源の特徴を教えてください。
金澤:従来のポータブル電源と比較して、安全性が高いところが最大の特徴です。一般的なポータブル電源に採用されている液体電池は、温度変化や衝撃によって爆発や火災といった危険性が考えられます。一方、固体電池は断熱性に優れていて長寿命です。可燃性である液体電池のリスクを低減するとともに、高いエネルギー密度を実現するスペックを備え、軽量化も可能です。
齊木:安全性は高いものの、従来のポータブル電源と比較して製造コストが高くなるのが唯一のデメリットだと言えるかもしれません。固体電池では、液体電池とは異なる貴金属を使用しており、一から製造工程を確立する必要があることから、どうしてもコストが高くなってしまいます。
金澤:とは言え、地震大国である日本で、より安全な固体電池を使用したポータブル電源は、なくてはならない存在だと思っています。我々の製品を大切な方とご使用いただきたいと思っています。
初のリアル店舗での販売に挑戦。ブランド認知向上の足がかりに
これまで御社の製品は、どのような販売チャネルで展開されていたのでしょうか。
金澤:主にAmazonや楽天といったECモールでの販売が中心となっています。ecforceとは別のカートシステムを使って自社ECサイトも運営していますが、現時点では弊社および自社製品の認知度がそれほど高くないため、検索から自社ECサイトに誘導することが難しい状態です。一方ECモールでは、ポータブル電源の市場がある程度確立されています。ECモールで検索順位を上げる施策を行えば、ポータブル電源を求めるユーザーへリーチする確率は高くなるので、現状はECモールを活用した販売に注力しています。
最近では、30社ほどの代理店さんを介した販売も多くなっているほか、一部の地方自治体や自衛隊などへの販売も増えています。現在はオンラインでの販売が9割ほどを占めている状況ですが、今後はオフラインでの販売も増やしていきたいと考えています。
そのような販売戦略のもと、今回「THE [ ] STORE」への出店を決めた背景、経緯を教えてください。
齊木:ECモールでの販売は、お客さまが実際に手に取って製品に触れる機会がほとんどありません。また、弊社の製品がどういったものなのかわからない、というお問い合わせをいただくことも少なくありません。そうしたお声を受け、現在は家電量販店へのアプローチも進めており、お客さまが実際に弊社の製品に触れていただける機会をどんどん増やしていきたいと考えています。
そういった家電量販店での販売を見据えた中で、まずは3カ月に1度の頻度で、定期的にポップアップストアを展開していく計画を立てました。その足がかりとして、THE [ ] STOREへの出店に至りました。
THE [ ] STOREを利用するにあたって、不安に思われたことはありましたか。
金澤:THE [ ] STOREを利用する以前に、展示会やアウトドアイベントなどに参加して製品を出展したことがあるのですが、そこはあくまで「展示」というイメージでした。そのような場と比較すると、ポップアップストアは「店舗」という意味合いがより強い場所です。我々にとってポップアップストアは未知の企画でしたし、ましてや渋谷のRAYARD MIYASHITA PARKという土地柄もあって、いろいろと不安を感じていました。
齊木:弊社の製品は比較的高額な価格帯であるため、若年層の方が気軽に購入するような製品ではありません。そのことからも、ある程度富裕層にリーチできるような場所でポップアップストアを展開したいと考えていました。SUPER STUDIOさんからTHE [ ] STOREへの出店の提案をいただいた際に、RAYARD MIYASHITA PARKは若い方だけではなく富裕層のお客さまも多いというお話をうかがったので出店を決意しました。
SNS施策を講じてTHE [ ] STOREへの集客に成功
THE [ ] STOREへの出店にむけて、具体的にどのような施策を行ったのでしょうか。
金澤:SUPER STUDIOさんのPRチームにご協力いただき「PRTIMES」でプレスリリースを配信したほか、販売代理店へイベント情報を周知したり、各ECモールのブランドページにも出店情報を掲載しました。また、InstagramやXといったSNSも積極的に活用しました。具体的には、出店の1週間ほど前にイベント情報を告知したり、出店期間中にはInstagramのライブ配信で固体電池ポータブル電源の無料抽選イベントを開催しました。ライブ配信の総再生回数は2,000回(2024年7月末時点)を超え、当日は多くの方に視聴していただきました。現在は、出店時の写真やお客さまから頂いたお声をAmazonのブランドページでご紹介しています。
また店頭では、THE [ ] STOREの来店者限定で使える15%OFFクーポンをプレゼントしました。さらに、ご購入いただいたお客さまには特典として「スマホ充電アダプター60W」を、YOSHINO公式Instagramもしくは公式Xアカウントをフォロー・投稿してくださったお客さまには「スマホ充電アダプター20W」をプレゼントしました。お客さまがInstagramに投稿してくださったストーリーズを公式Instagramのハイライトにまとめてご紹介したことで、それを見た方が店舗へ来店されるなど、UGCが集客に繋がったと思います。
齊木:SNSを使ったプロモーションは、社内の海外チームと密に連携しながら検討しました。弊社はまだまだ一般のお客さまからの認知が低いので、まずは「ヨシノパワージャパンとは何か」を知ってもらうべく、メンションやハッシュタグなどの拡散力が高いSNSに注力しつつ、来場者向けのキャンペーンや抽選会などをフックに集客を行いました。
金澤:SNSでの事前告知が非常に効果があり、最も心配していた初日には300名ほどの方にご来店いただきました。また、最終的な7日間の総来店者数は2,000名を超えるなど、初めてのリアル店舗の出店ながら大成功を収めることができました。想定していた以上に来店してくださるお客さまが多く、用意していたアダプターが足りなくなってしまうハプニングもありました。そこで、急遽RAYARD MIYASHITA PARKにあるソフトクリーム屋さんと交渉し、アダプターの代わりにソフトクリームの無料引換券を配布しました。
齊木:出店期間中は、THE [ ] STORE内の製品の陳列にも工夫を凝らしました。ポータブル電源の用途として、キャンプのようなアウトドアと防災の2つがあります。店頭の入り口で防災をメインに推し出すのではなく、アウトドアシーンでの利用をメインにしたブースを設け、馴染みやすい雰囲気を作りました。これも上手く集客に繋げることができた一因だと思っています。
THE [ ] STOREに出店してみて、お客さまの反応はいかがでしたか?
金澤:渋谷でも有名なスポットであるRAYARD MIYASHITA PARKでポップアップストアを開催したり、SNSで抽選会の動画を公開したりすることで、認知度がかなり上がったと手応えを感じています。ポップアップストアに訪れたお客さまから、「実際に製品に触れながら販売員の説明を聞けたことで購入に至った」というお声もありました。
齊木:ポップアップストアでの引き合いもありましたが、開催後にECモールでの売上が大幅に伸びました。なんと、通常時の約5倍以上の売上を記録したんです。また、製品に関するお問い合わせも3~4倍に増えました。その多くが、THE [ ] STOREで実際に製品に触れて興味を持ち、製品についてもう少し詳しく知りたいというお客さまでした。
金澤:もう1点、大きなメリットがありました。THE [ ] STOREで出店したのちに表参道でもポップアップストアを開催したのですが、そちらにリピーターとして訪れてくださったお客さまがたくさんいらっしゃいました。THE [ ] STOREで製品に触れたことで弊社を知ってくださった方、そして製品に興味を持ってくださった方がいたということです。そうした二次的な効果があったことからも、THE [ ] STOREの出店は非常に効果が高いものだと実感しています。
ポップアップストアの定期的な開催がファン化を促進
THE [ ] STOREの出店を通じて気づきなどはありましたか。
金澤:7日間の出店のうち中盤での来店者数が少なくなってしまったので、その部分を補う施策を打つべきだったと思いました。その施策の1つがSNSになると思うのですが、今回の出店を通じてSNSとポップアップストアの相性は非常に良いと実感しました。「友だちのInstagramを見て来店しました」というお客さまも多くいらっしゃいましたし、SNSは一般の方々への拡散力が非常に高いと思います。表参道でのポップアップストアでは、中だるみのない集客を目指してSNS施策を行った結果、出店期間中の来店者数は安定していました。また、THE [ ] STOREで対応してくださったスタッフの皆さんは、接客や製品説明に慣れていて、非常に上質だと感じました。
齊木:弊社のようにまだ認知度が低い場合は、ポップアップストアなどリアルな場でお客さまとの接触機会をつくり、弊社を知らない方に興味を持っていただくことが重要であると気づきました。そういう意味でも、弊社の戦略の中でTHE [ ] STOREを利用してポップアップストアを展開できたのは非常に価値があったと思っています。
最後に、これからTHE [ ] STOREの出店を検討する方へメッセージをお願いします。
齊木:THE [ ] STOREで扱う製品・商品にもよると思いますが、費用対効果を考えた上で効果があるのであれば、ぜひ出店を検討するべきだと思います。特に、それほど認知度が高くない企業や製品・商品については、THE [ ] STOREでの露出によって確実に認知度を高めることができると思います。また、場合によってはecforceも活用することで、自社ECサイトへの誘導や効果測定、その後のマーケティング施策も視野に入るのではないでしょうか。
金澤:THE [ ] STOREなどのポップアップストアを定期的に開催することができれば、来店してくださったお客さまに「次回も開催するのでまた来てください」というようなご案内ができ、ファン化を促進できるのではないかと思います。家電量販店での販売とはまた異なり、特定の期間に絞って普段とは異なるチャネルで販売できるのは、ポップアップストアならではの大きな魅力だと思います。
本日はありがとうございました。