パーソナライズ×D2Cを軸とした事業──「色気のある時代を創ろう」から生まれたMEDULLA
──まず、御社の事業について教えてください。
株式会社Spartyは、「色気のある時代を創ろう」というミッションを掲げ、パーソナライズ×D2Cを基軸に据えて事業を展開しています。その中心となるのが、一人ひとりの髪質や悩みに合わせて提案する、パーソナライズヘアケアブランド「MEDULLA(メデュラ)」です。オンライン上での髪質診断や、専門カウンセラーによる独自のヒアリングとフィードバックを通じて、その人に合ったシャンプーやトリートメントなどのビューティープロダクトを提供しています。
──代表的な商品である、パーソナルシャンプーについて教えてください。
弊社が大切にしているのは「“いいもの”よりも“合うもの”を。」というコンセプトです。ブランドの価値の大きさよりも、その人にどれだけ合うかを重視しており、これがMEDULLAの差別化のポイントになっています。シャンプーは、「人に勧められたから」「SNSで話題だから」といった理由で選ばれがちです。そのため、髪質や頭皮に合わないと次々に別の商品を試す、いわゆる“シャンプー難民”に陥ってしまう方も少なくありません。スキンケアに比べて、価格を基準に選ぶ人が多いのも実情です。こうした「自分に合うものの選び方が分からない」というお悩みに、弊社のサービスで応えています。
変化の激しい市場環境で顕在化した、独自システムの限界
──現場ではどのような課題がありましたか。
2024年に商品とサービスのリニューアルを行ったのですが、これを機に基幹システム全体も見直すべきではないかという話が持ち上がりました。もともと弊社は、ECサイトをゼロから独自に開発するスクラッチで運営してきました。質問に答えると自分に合うものが届くというサービスにいち早く取り組んでおり、世の中の既存システムではうまく対応できなかったからです。ただ、スクラッチ開発にはちょっとした改良にもエンジニアの手が必要で、開発に時間とコストがかかり、スピード感が出にくい点に大きな課題を感じていました。
たとえば、他社で多く行われているお客様向けのポイントプレゼントを作成しようとしても、スクラッチでやろうとすると設計からローンチまで3か月以上はかかると思います。しかし、変化の激しいこの業界では、3ヶ月待つ間に施策が不要になったり、方針が変わったりすることも珍しくありません。加えて、依頼するエンジニアによって仕様や実装方法が変わってしまうこともあり、施策をスムーズに進められないことに課題意識がありました。つまり、パーソナライズという強みがありながら、購入から商品をお届けするまでの仕組みや顧客体験の向上に向けた取り組みが弱点になっていたわけです。
ecforceへの移行の決め手はサブスクリプションモデルとの相性の良さ
──ecforceを基幹システムとして採用した理由を教えてください。
最大の理由は、私たちのビジネスモデルとの相性の良さです。特にecforceは、後払いやサブスクリプションモデルとの相性が非常に良く、今振り返っても正しい判断だったと感じています。こうしたSaaS系のビジネスは、最初にどれだけ先行投資をしてプロダクトを磨き続けられるか、いわゆるJカーブを描いて成長できるかどうかが勝負だと思っています。また、変化の激しい環境だからこそ、プロダクト自体が市場の変化に応じてスピーディーにアップデートされるかどうかも、私たちにとっては極めて重要な観点でした。その点ecforceは、標準機能が豊富なうえ、私たちが求める機能をスピード感をもって開発してくれる点も魅力的でした。また、ecforceはこれまで継続的に開発を重ね、コマース市場の進化に本気で向き合ってプロダクトを磨き続けています。だからこそ、変化の激しい市場でも長く付き合えるパートナーになり得ると感じました。
移行の苦労を支えた、ecforceの手厚いサポート体制
──移行時の苦労や、移行期間で最も大変だったフェーズについて、可能な範囲で教えてください。
ecforceへの移行を決断する前は、正直、不安もありました。スクラッチであれば、やろうと思えば何でもできる状態でしたが、ecforceに移行すると、できないことが出てくるのではないかという懸念があったのは事実です。しかし、ポイントプログラムの実装などの設定が1日でできるようになるなど、スピード感のメリットとのトレードオフを考えました。スクラッチ開発は何でも自由にできる状態なので、システムが複雑になりすぎてしまうこともあります。そのため、むしろ一定の制限があったほうがいいのではという結論にいたりました。
実際、移行の過程で大変だったのは、データ周りでした。移行前は独自の仕組みを作り込んできていたので、自分たちで作るパーソナライズの部分と、ecforceをどう連携させるか、そしてこれまで蓄積してきたデータをどう移行するかに苦労しました。具体的には、膨大なデータのうち、どこまでをサーバー上で管理するのか、といった細かい判断に時間がかかりました。
ただ、移行期間中のecforceのサポートはとても手厚かったです。私たちが出した要望に対して、SUPER STUDIOの社内で何度もプロジェクト化し、課題解決に向けて動いていただきました。移行後のサポートも同様です。定例会議なども頻繁に実施していただいています。正直、これほど手厚くサポートしていただけるのは、ありがたいです。
施策の実行スピードが5倍に。ecforce移行による成果
──ecforceへ移行後、大きな変化はありましたか。
一番の変化は、トライできる施策の回数が大きく増えたことです。アップセルやオファーの改良といった施策の実行スピードが、体感で5倍ほどになりました。以前はフロントエンジニアの手が空かず、少しの調整でもドタバタしていたのですが、ecforce移行後は自分たちで完結できる範囲が広がりました。実際、マーケティング担当者自身が広告の設定やURLの発行までできるようになり、施策のたびにエンジニアへ相談する必要がなくなったり、決済手段の追加といった設定変更も、エンジニアの開発を待たずに完結できたりするようになりました。また、ecforceとあわせて導入した「ecforce chat*」で、シナリオの作成やデザイン設定、Webサイトへの設置、LINE連携といった設定・連携を、ワンクリックで行えるため助かっています。こうした改善で、手軽に試せる打ち手が増えるほど成果につながる施策も見えてきます。その積み重ねが、将来的には売上にも影響してくると思っています。
*ecforce chat:ウェブ接客自動化システム。問い合わせに対して適切な応対から提案まで自動化し、顧客LTVの向上やオペレーションコストの削減をサポートする。
また、社内でのコミュニケーションコストや業務効率にも変化がありました。たとえば、年末年始の特定日を休業扱いにして受注から出荷までの流れを設定したい場合、以前はエンジニアとスプレッドシートを見ながら細かく設定していく必要がありました。しかし、ecforce移行後は、休日管理のページを設定するだけで済むため、業務効率が格段に上がっています。
こうした変化を通じて、企業やサービスとしての基礎体力と様々な施策を行えるだけの強い運用体制が構築できたと感じています。実際、試行錯誤の回数も大きく増えましたし、「後払いの仕組みを試しに実装してみたい」とアイデアが出たときも、移行前と同じ人員のまま、5倍の回数のトライができるようになりました。1回しかトライできないサービスと、5回トライできるサービスでは、どちらが売上を伸ばせるか——そういう話だと思います。だからこそecforceは、業務改善だけでなく、施策を実行する競争力を引き上げるためにおすすめできると思います。
──今後、ecforceへの要望があれば教えてください。
期待しているのは、MCP(Model Context Protocol)連携の実装です。MCP連携ができるようになれば、「Claude」などのAIを起点に多くのことが簡単に精度高くできるようになるので、早急に検討いただけるとありがたいです。
「社内でも作れる」それでもecforceを選んだ理由
──今後の展開や中長期の事業ビジョンを教えてください。
引き続き「色気のある時代を創ろう」というミッションに取り組んでいきます。お客様にできる限りお求めやすい価格で良いものをお届けし、喜んでもらう。そして、キレイになって自信をつけてもらう。これを粛々と推し進めていきます。
──最後に、これからecforceの導入を検討している事業者へメッセージをお願いします。
これからAIが発達すれば、社内の担当者がAIを使ってWebサイトやカートシステムを自前で作れるようになるかもしれません。ただ、本当に自分たちで作るべきなのかは、一度冷静に考えた方がいいと思います。確かに自分たちで作ること自体は大きな学びになることもありますが、その後のシステム保守・運営にリソースを奪われてしまう可能性も大いにあると思います。
どんなにAIが発達したとしても、世の中のSaaSの全てがなくなるわけではありません。例えば、SaaS業界の中であっても、AIに代替されるサービスと生き残るサービスがあると思います。これは、弊社がecforce移行を検討したとき、社内で経験したことと同じです。
社内のエンジニアから、「そのシステムは社内で作れます」という回答に対して、経営陣は作れることはわかった上で、本当に自社で作るべきなのか、作った後に運用し続けられるのか。そういう判断が必要になるでしょう。これからはAIの進歩によって、似たような事象が起きると思います。これからecforceの導入を検討する方々、自社で作れるか?ではなく、運用し続けられるか?という議論をしてほしいと思います。
ー本日はありがとうございました。
※掲載内容は取材当時のものです。








