この記事でわかること
チャットボットを導入する際、どのような考えに基づいて導入を検討し、どれくらいのコストが必要なのか分からないという方も多いと思います。
本稿ではチャットボット導入後に大きな成果を上げた事例を紹介しつつ、導入時に注意すべき点を取り上げ、その課題をどのように乗り越えるのかも具体的に共有しています。
チャットボットの導入を検討してる担当者の方々に、お役立ちできそうな情報を盛り込んでみました。
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シナリオ設計については、こちらの記事が参考になります。
「解約阻止率1.5倍。チャットボットのシナリオ設計にまつわる4つのTIPS」
EC・D2C領域でなぜチャットボットが注目を集めるのか?
チャットボットが注目を集めている背景の一つに、業務効率改善の文脈があります。労働人口の減少も手伝い、最小限の人数で成果を最大化したい事業者のニーズに、チャットボットが応えていることは間違いありません。
またEC・D2C業界でお話しすると、業務効率化だけではなく、チャットボットを通じたコミュニケーションの気軽さがお客様の本音を引き出す助けとなり、より心地よいユーザー体験を創る側面も見逃せません。
ブランドとの最初の接点となることもあれば、アフターフォローも行うことができるチャットボット。大袈裟ではなく、新たなブランド価値を体現するツールと言えるでしょう。
チャットボット導入による成功事例
今回は健康食品を定期通販で販売している企業が、チャットボットツールの「ecforce chat」を導入した事例を紹介します。
D2C顧客体験型ECプラットフォーム「ecforce」の拡張機能であるecforce chatは、顧客からのお問い合わせにチャットボットを活用して対応するサービスです。適切な対応から提案までをリアルタイムかつ自動で行うことで、顧客LTVの向上やECのオペレーションコストの最適化を実現します。
ここからはecforce chatを導入するに至った経緯や、導入後の成果をまとめていきます。
チャットボット導入の背景(2つの課題)
先述した企業がecforce chatを導入する前は、お客様からの問い合わせにコールセンターのみで対応していました。しかしこの体制において、2つの課題を抱えていたのです。
1つめの課題は、カスタマー対応の品質のばらつきを抑えることです。コールセンターでは、お客様からの問い合わせにどのオペーレーターが対応するのかによって、対応品質や解約抑止率に差が出てしまいます。
例えば、オペレーターによっては複数企業の商品を同時に担当していることがあります。その影響で別の商品の対応に時間がかかり、お客様からのお電話に出られない状況が発生すると、お客様から消費者庁へ連絡が入る可能性もあるのです。コールセンターのオペレーター次第、つまり属人的になっていることによる課題です。
2つめの課題は、顧客対応の工数を削減することです。大きな工数となっていたのは、お客様からの問い合わせを分類別に仕分けする作業でした。
定期通販では顧客管理や振り返り分析のために、その問い合わせが解約についてなのか、製品に対する質問なのかなど、内容ごとに分類する必要があります。当時の体制では、この1つ1つの仕分けがオペレーターの手作業で行われていました。
今回の企業はこれらの課題を解決しようと考え、ecforce chatの導入を決意。ecforce chat内にお客様からの問い合わせに対応する汎用化されたコンテンツを組み込むことで、オペレーターに依存しないカスタマー対応品質や解約抑止率の改善が期待できるようになりました。
また、オペレーターによる問い合わせの分類作業の工数削減も同時に実現。ecforce chatで用意した設問への回答によって、問い合わせの振り分けを自動化することができました。これまでかかっていたオペレーターの工数が、今ではゼロになっています。
結果的に、LTVを上げることと、オペレーションコストを下げることの両立に成功したのです。ecforce chatの導入費用はかかりますが、これまでコールセンターで1コールあたり約500円〜600円かかっていた費用を削減することで、トータルでランニングコストは安くなります。課題解決に加え、コスト削減も実現できるメリットは非常に大きなものでした。
チャットボット導入の障壁・課題・注意点
実はこちらの企業はecforce chat導入前、別のWeb接客用チャットボットを利用していました。
当時この企業が期待していたのは、チャットボットの導入により、日に日に膨れ上がるコールセンターのコストを削減すること。しかし、このチャットボットがすでに導入していたEC基幹システム(ecforce)とAPI連携できない状態だったため、手動連携が必須で、多大な追加工数が発生してしまいました。
つまり、課題解決のために導入したチャットボットによって、新たな工数が発生していたのです。
定期通販では、お客様の注文ステータスが常に変化します。継続・購入キャンセル・解約など、複数の注文ステータスがある中で、それぞれのお客様が現状どの注文ステータスにあるのかを管理することは非常に大きな課題です。
以前のチャットボットでは、この注文ステータスの変更作業がコールセンター側の手作業で行われていました。例えば、お客様の注文ステータスが変化した時、システム側からメールが届き、担当者が注文ステータスを変更するという作業が必須だったのです。これでは表面上のDX化に留まってしまいます。
チャットボットを導入すれば必ず改善が行われるのでなく、システムとの連携をスムーズに行わないとかえって追加工数という障壁が発生してしまう。このことは、頭に入れておくべき大事な注意点です。
今回の事例では、EC基幹システム(ecforce)とecforce chatをAPI連携し、顧客情報の更新や問い合わせ管理を自動化することができたため、システムの連携時に問題は発生しませんでした。さらに顧客情報を活用して、お客様1人1人に合わせたコンテンツを届けることもできるようになったのです。
結果、チャットボットの導入でどんな成果を上げたか?
ここからはecforce chat導入後にどのような成果を上げたのかをまとめていきます。
まず利益について。ecforce chat導入後、年間で計算すると約66万7963円の粗利アップ※を実現しました。
※数値は問い合わせ件数500件/月をベースとして年間の計算をしています。
以前は施策のPDCAを回す際に、現場となるコールセンターへ直接出向き、オペレーターと細かいコミュニケーションをとるといった労力が必要でしたが、ecforce chat導入後は全て自社で完結。改善がスムーズに行われるようになっただけでなく、オペレーターに依存していた解約抑止も、ecforce chatでコンテンツの最適化を行ったことで改善しました。
これらの影響が功を奏した結果、約66万7963円の粗利アップにつながったのです。
コスト面を見ると、お客様対応の自動化により受電の数を減らし、同時に工数削減も実現したことで、コールセンターにかけていた費用と比較して約15%も削減することができました。
またecforce chat導入をお客様目線で見てみると、これまでは問い合わせのために電話をかける必要があったところを、お客様の好きなタイミングにWeb完結で問い合わせられるようになりました。このようなお客様が感じるメリットも、最後に書き添えたいと思います。
ここまでecforce chat導入の経緯や成果をお伝えしましたが、この成果を実現したのも緻密に練られたシナリオの設計があったためです。シナリオによるお客様の誘導とAPI連携で、各状況に適した提案をすることができるようになりました。
ecforce chatに関するお問い合わせは、以下からお願いいたします。
「ecforce chat」は、顧客の問い合わせをチャットボットで受け付け、適切な応対を自動で行うことができるウェブ接客システム。
弊社実績で自動解約抑止率19.6%、カスタマーサービスのコスト80%削減を実現しています。
顧客のニーズにあわせてアップセルや解約スキップといった提案を行うことができ、カスタマーサポートのコスト改善を行った上で、顧客LTVの改善を自動で行うことができるので、ご興味がある方はぜひ、以下からお問い合わせをいただければ幸いです。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月