この記事でわかること
ここ数年の間でLTVを上げる様々な方法が広く世に出てきました。
かつて主流だったCPA偏重のマーケティングも陰りが見え、「いかに顧客を増やすか」と同時に「いかに顧客に継続してもらうか」といった視点で考える事業者が増えてきた結果ではないでしょうか。
ただD2Cにおいては少し事情が異なります。しかしD2C自体、まだ概念が誕生して日が浅いので情報が少なく、具体的な事例はあまり世に出ていないのが現状です。
そこで今回はD2CブランドがLTVを上げるために必要なアプローチをお伝えするとともに、実際に私たちが試行錯誤を経て築いた方法・ノウハウをお伝えしたいと思います。
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D2Cでバターコーヒーを展開する「ケトスリム」のLTV
今回、事例としてご紹介するのは、D2Cのアプローチでバターコーヒー※を展開する「ケトスリム」です。
LTVを上げる方法をご紹介する前に、ケトスリムの成果をお伝えしたいと思います。
ケトスリムは後述する2つの改善によって、LTV利益率が5.56%改善見込みとなりました。
5.56%と聞いてもピンとこないかもしれませんが、顧客が一生涯使う金額(LTV)あたりの利益率が5%以上も改善することは、事業に非常に大きな好影響をもたらします。
それではここから、ケトスリムでLTVを上げた2つのアプローチから見ていきましょう。
※バターコーヒーとは、コーヒーにグラスフェッドバター・MCTオイルなどを混ぜたコーヒーのこと。「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」で紹介されて広く人々が知るようになった。
D2CブランドのLTVを上げるために必要なアプローチ
まず前提の確認ですが、LTVは以下の計算式で算出されます。
LTV=年間購入回数(継続率)× 購入あたり単価 × 解約抑止率
3つの要素がありますが、LTVを上げるには以下の2つのアクションが必要です。
- 解約抑止率を上げる
- 購入あたり単価を上げる
なぜこの2つを選ぶかと言うと2つの理由があります。
- 実現した時のインパクトが大きい。
- PDCAが明確に回るため検証しやすい。
1については、私たち(SUPER STUDIO)の過去実績や経験により「解約抑止率」と「購入あたり単価」を上げた結果、LTVにどれだけインパクトがあったのかを実証しているため自信をもって言えます。
2については、例えば「同梱物を変えた結果どうだったか?」など、検証の正確性が低い施策もある一方で、データドリブンなアプローチが可能なので、定量化された結果から検証がしやすいのです。
それでは「解約抑止率」と「購入あたり単価」を上げるアプローチを、それぞれ見ていきましょう。
解約抑止率を上げるアプローチ
「解約抑止率を上げる」と言うと、単純に「解約率を下げればいい」と思いがちですが、顧客の気持ちになって考えると違った見方ができます。
まず解約する顧客がどのような状態かを考えると、当初期待していた気持ちが小さくなってしまった状態だと言えます。
つまりは何らかの理由で期待できない状態になっているのですが、逆に言えば、もう一度期待してもらうことで、再度継続の選択肢が浮かび上がってくるのです。
そのために大事なのは、初めて買った時の気持ちを思い出してもらうことです。解約抑止率を上げるためには、このアプローチをする必要があります。(具体的な方法は後述します)
購入あたり単価を上げるアプローチ
次に購入あたり単価を上げるアプローチですが、「購入あたり単価を上げる」は、「顧客が一度に買う量を増やす」ことで達成できます。(「アップセル 」や「まとめ売り」ですね)
顧客が買う瞬間に期待を最大化することで、結果的に「購入あたり単価を上げる」のです。(ちなみにアップセル 以外にはクロスセルといった方法もあります)
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D2CブランドのLTVを上げる方法
それではここから、「解約抑止率」と「購入あたり単価」を上げてLTVを上げるための具体的な方法をご紹介したいと思います。
解約抑止率を上げてLTVを上げる方法
解約抑止率を上げるためには、初めて買った時の気持ちを思い出してもらうことが大事だとお伝えしました。
これを実現するのは、対話型のチャットボットです。
チャットボットで実現することを端的に言うと、2つ挙げられます。
- 顧客の解約理由をヒアリングする
- 再度、訴求する(買った時の気持ちを思い出してもらう)
最近のチャットボットは機能が優秀で、様々な条件分岐でシナリオを作ることが可能です。この機能を活用して、ヒアリングした解約理由に応じた適切なコンテンツを配置します。
例えば化粧品を使った結果、「効果がない」と言って解約しようとしている人に、「では今月はスキップして、来月から継続しましょう」と提案しても継続してくれません。なぜならスキップしても、「効果がない」に対して本質的な解決にはなっていないからです。
究極的には顧客に対してパーソナライズされた会話をすることが理想ですが、大事なことは解約理由がちゃんとわかるように条件分岐させて、分岐した結果に合わせて適切な会話をすることです。
それ以外の細かな工夫としては、グラフィックをわかりやすく配置したり、迷っている人の継続を促すためにプレゼントを渡したりするといったこともあります。(プレゼントの例:今、継続してくれたら1,000円割引をします。など)
ケトスリムでは、このようにチャットボットのシナリオを改善し続けた結果、解約抑止率を24.8%純増させることができ、結果的にLTVを上げることができました。
<関連記事>
解約阻止率1.5倍。チャットボットのシナリオ設計にまつわる4つのTIPS
購入あたり単価を上げてLTVを上げる方法
次に購入あたり単価を上げる方法ですが、顧客が買う瞬間に期待を最大化することが大事だと先述しました。
これは初回購入の際、サンクスページでアップセルを行うことで実現する可能性が高まります。
サンクスページでのアップセルを成功させるには、どのような構成でページを作るかが肝心ですが、ここには3つのポイントがあります。
- 顧客を引き止めるキャッチーな画像を配置する
- 継続購入者の生の声を口コミの形で用意する
- 価格メリット(値下げ価格や割引率)を確実に伝える
実際にケトスリムでは、このようなページで顧客の期待を最大化した結果、約10%もの割合でアップセルに成功しました。
見ていただくとわかる通り、先ほどの3つの条件を全て満たしたページになっています。
ただ一つの注意点は、一度購入を完了している顧客のため、LPのようにスクロールが何度も必要な長いページだと離脱の可能性が高まります。内容をなるべくコンパクトにまとめましょう。
ちなみに私たちが提供するecforceは「サンクスオファー」という機能があり、ここで書いたようなアップセルが実現できるので、気になった方はぜひこちらからお問い合わせくださいませ。
<関連記事>
サンクスページのアップセルでLTV最大化!10%引き上げた施策事例
顧客の感情を動かすために大事な4つのポイント
最後にこれらの施策で顧客の感情を動かすために大事な、以下4つのポイントをお伝えします。
- 顧客の感情を捉えて、その感情に訴えかける。
- アピールポイントをプレゼンする場を作る。
- 顧客が嬉しいプレゼントを用意する。
- 押し売りはせず、自然な印象を与える。
具体的な方法は先述した通りですが、この4つのポイントを抑えることで、ただ安売りするのではなく、「あなただから、こういうプレゼントを用意しました」といった特別感を伝えることができます。
初めてのトライには失敗がつきものですが、このポイントを抑えてコンテンツを作ってPDCAを回してみてください。継続してトライすることで、必ずやLTVは上がります。
さて、ここまで読んでいただいた方に、お伝えしたいことがあります。
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※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月