この記事でわかること
ECサイト運営において、SEO対策は売上や集客を左右する重要な施策です。
しかし、実際には「何から始めるべきか分からない」「SEOをしているつもりでも成果が出ない」という悩みを抱える担当者が多いのも事実です。
本記事では、ECサイトにおけるSEO対策の基礎から、最新のトレンド、よくある失敗事例、成功パターンまでをわかりやすく解説。
広告に頼らず、自然検索からの売上を伸ばすための具体的な実践ポイントを網羅します。
これからSEO対策を始めたい方はもちろん、すでに取り組んでいるけれど成果に悩んでいる方にも役立つ内容を、事例付きでお届けします。
ECサイトのSEO対策基礎理解
SEOとは?
SEO(検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索エンジンで自社サイトを上位表示させ、自然検索経由の流入を増やすための施策です。広告とは異なり、ユーザーの検索意図に応えたコンテンツやページを通じて、信頼性の高い流入を長期的に獲得できるのがSEOの特徴です。
ECサイトにおけるSEOの役割と期待できる効果
ECサイトにとってSEO対策を行う最大の目的は、「検索流入の増加」と「売上拡大」にあります。
検索エンジンを通じて商品やカテゴリページへの流入を増やすことで、新規顧客獲得、売上向上、ブランディングなど様々な成果が期待できます。
また、SEOによる集客は広告と違い、施策を適切に行えば中長期的に持続する点も特徴です。
特に、競合がひしめくEC領域では、広告費が高騰しやすいため、SEOによる自然流入は利益率改善にも寄与します。
検索エンジンの仕組みとECサイトSEOへの影響
検索エンジンは、Web上の情報を「クローリング」「インデックス」「ランキング」の3ステップで整理し、検索結果に表示しています。
ECサイトにおいては、以下の要素が検索結果に影響を与えます。
- クロールのしやすさ(URL設計、内部リンク)
- コンテンツの質(商品説明文、カテゴリページ、レビュー)
- 検索意図との合致(ユーザーが探している情報を的確に提示)
- ページの表示速度やモバイル対応(UXの最適化)
特に、商品数やページ数が多いECサイトは、クロール漏れや重複コンテンツなどのリスクが高いため、これらを意識したSEO施策が不可欠です。
広告施策とSEO施策の違い、両者の役割分担
広告とSEOは、どちらもECサイトの集客手段ですが、性質は大きく異なります。
- 広告施策
・即効性が高く、短期的な流入を確保しやすい
・予算を投入し続ける必要があり、停止すれば効果も止まる - SEO施策
・効果が出るまでに時間を要する
・一度成果が出ると、中長期的に継続的な流入を維持可能
・資産型の集客施策
ECサイトにおいては、広告とSEOを組み合わせたバランスの良い集客戦略が重要です。
特にSEOは、「今すぐ買いたい層」だけでなく、認知・検討層への接触にも効果的であり、マーケティングファネル全体への波及効果も期待できます。
ECサイトSEOでよくある失敗と課題
ECサイトのSEOでは、対策をしているつもりでも、実は検索順位や流入数の改善に結びついていないケースが非常に多く見受けられます。
この章では、ECサイト特有のSEO課題や、よくある失敗例を紹介し、それらを未然に防ぐためのチェックポイントを整理します。
ECサイト特有のSEO課題
ECサイトは一般的なコーポレートサイトやメディアサイトと異なり、次のようなSEO特有の課題を抱えています。
- 商品数やカテゴリ数が多く、重複コンテンツが発生しやすい
- シーズンやキャンペーンごとのページ追加・削除で、URL構造が複雑になりやすい
- 商品説明文が簡素で、コンテンツの質が低くなりやすい
これらを放置すると、検索エンジンからの評価が下がり、流入減少だけでなく、サイト全体のSEOスコアにも悪影響を与えます。
具体的な失敗例とそのリスク
- 商品ページがすべてnoindex設定になっている
ECサイトでは、サイト構築やリニューアルの際に、開発環境のままnoindexタグが残ったまま公開してしまうケースがあります。
この状態では、どれだけ良い商品ページを作っても、検索エンジンに登録されず、検索結果に一切表示されません。
特に新商品ページや期間限定商品でよく見られ、気づかずに放置すれば販売期間を無駄にする重大リスクとなります。
定期的にGoogle Search Consoleでインデックス状況を確認し、意図しないnoindexが存在しないかを必ずチェックしましょう。 - サイトリニューアル時に旧URLからのリダイレクトを忘れる
サイトリニューアルやECサイトのシステム変更時には、URL構造の変更がよく発生します。
この時に旧URLから新URLへの301リダイレクトを正しく設定しないと、これまで積み上げたSEO評価がゼロになり、検索順位が急落するリスクがあります。
特に長年運営していたECサイトでは、1ページ単位で数万件規模のロスが起こる場合もあり、短期間でアクセスや売上が激減する深刻な問題です。
リニューアル時は必ずURLリストを作成し、リダイレクト設定と動作確認を入念に行いましょう。 - 商品ページが商品名のみの薄いコンテンツになっている
商品ページの多くは、商品名や価格、簡易的な説明だけで構成されているケースがあります。
しかしこれでは、ユーザーが購入を検討する際に抱く疑問や比較ニーズに応えられず、直帰率が高まり、Googleからも低品質と判断されます。
商品ページは、商品の特徴だけでなく、利用シーン、レビュー、Q&A、注意点などを盛り込み、購入前の不安解消に役立つ情報をしっかり充実させることが重要です。 - モバイル対応が不十分で、ページ表示速度が遅い
スマートフォンからのアクセスが7割以上を占める現代において、モバイル対応の甘いECサイトは、ユーザー体験(UX)が著しく低下し、SEOにも悪影響を及ぼします。
特に、Googleが指標とするCore Web Vitals(最大コンテンツの表示速度、インタラクティブまでの速度、レイアウトの安定性)を満たさないサイトは、検索順位が下がる要因になります。
ページ速度診断ツールを定期的に利用し、モバイル環境の最適化を行いましょう。
失敗を防ぐためのチェックポイント
- URL構造とリダイレクト設定を常に管理する
- 商品ページやカテゴリページのコンテンツの質を定期的に見直す
- インデックス状況をGoogle Search Consoleで定期チェック
- モバイル表示や表示速度を定期的に測定・改善
ECサイトでは、システム変更や商品の入れ替わりが頻繁に起こるため、「一度設定したら終わり」ではなく、常にチェックと改善を繰り返す運用体制が必須です。
ECサイト内部SEO対策
ECサイトのSEOで最も基本となるのが、内部対策です。
内部対策とは、サイト内部の構造やコンテンツを最適化し、検索エンジンとユーザー双方にとって使いやすく、情報が伝わりやすい状態に整えることを指します。
この章では、ECサイト特有の内部対策のポイントを解説します。
サイト構造最適化(階層・内部リンク・パンくずリスト)
ECサイトは商品数やカテゴリ数が多いため、サイト構造が複雑になりやすい特徴があります。
最適なサイト構造を維持するためには、「トップページ→カテゴリページ→商品ページ」の階層をシンプルに設計し、3クリック以内で目的の商品にたどり着けることが理想です。
内部リンクは、関連商品やカテゴリを自然に結びつけ、ユーザーが迷わず移動できるよう配慮しましょう。
また、パンくずリストを導入することで、ユーザーも検索エンジンもサイト構造を理解しやすくなります。
商品ページの最適化(タイトル・メタディスクリプション・説明文)
商品ページはECサイトの売上の核となるページです。
SEO対策としては、以下を意識しましょう。
- タイトルタグにはユーザーが検索するキーワードを自然に組み込む
- メタディスクリプションでは商品の特徴を簡潔に伝え、クリックを促す
- 商品説明文は、スペック情報だけでなく、利用シーンやお客様の声、Q&Aなども加え、ユーザーの不安を解消する情報を充実させる
ECサイトでは、商品ページが単なるカタログにならないよう、情報の深さとオリジナリティを意識することが重要です。
カテゴリページ最適化
カテゴリページは商品ページよりも集客力のある場合があります。
カテゴリ名や説明文にもキーワードを適切に配置し、一覧ページにも簡潔なテキストを付与することで、SEO強化につながります。
カテゴリページは放置されがちですが、ECサイト全体のSEO力を左右する重要ページです。
モバイルファーストと高速表示対策(Core Web Vitals)
スマートフォン経由のEC利用が増加する中、モバイル表示対応と表示速度の改善は不可欠です。
GoogleのCore Web Vitalsに対応するためには、以下のポイントが重要です。
- 画像圧縮・次世代フォーマット(WebPなど)への変換
- 不要なJavaScript・CSSの削除
- サーバーの高速化、CDNの導入
特に商品ページやLPなど、売上直結ページの表示速度は常に最優先で改善対象にすべきポイントです。
レビュー・Q&A・UGC強化
レビューやQ&Aコンテンツは、SEOだけでなくCVR向上にも直結する要素です。
ユーザーが投稿した内容は独自性の高いコンテンツとなり、検索エンジンからも評価されやすくなります。
レビュー投稿数を増やす仕組み作りや、Q&A欄を用意し、ユーザー同士が情報交換できる環境を整えることが、ECサイトのSEO資産につながります。
構造化データマークアップの導入
構造化データを適切に実装することで、検索結果に商品情報やレビュー、価格などのリッチスニペットを表示させ、クリック率(CTR)向上が期待できます。
特にECサイトでは、Product、Review、FAQなどのスキーマを実装することで、SEO効果だけでなくUX改善にも寄与します。
ECサイト外部SEO対策
内部対策だけではECサイトSEOの成果は限定的です。
外部対策を組み合わせることで、検索エンジンからの評価を高め、自然な被リンクを獲得し、ブランドの信頼性向上にもつながります。
この章では、ECサイトならではの外部SEO対策のポイントを紹介します。
ナチュラルリンク獲得施策(プレスリリース・メディア露出)
ECサイトが自然な被リンクを獲得するためには、プレスリリースやメディア掲載の活用が有効です。
新商品発売、キャンペーン情報、社会貢献活動などを発信し、メディアやブログ、SNSユーザーからの紹介を促します。
特に、ブランドのストーリー性を重視したコンテンツを配信することで、拡散されやすく、SEOだけでなく認知向上にも寄与します。
また、業界メディアや関連サイトへの寄稿や、プレスリリース配信サイトの活用も、ナチュラルリンク獲得の施策として有効です。
SNS活用によるSEOシナジー(Instagram・X・TikTok)
SNSで話題になった商品ページやコンテンツは、自然なリンクを獲得しやすく、SEO効果も期待できます。
Instagram、X、TikTokなど、商品属性に合ったSNSを選定し、ハッシュタグ活用やユーザー参加型キャンペーンを実施しましょう。
SNSは直接的なSEO効果は限定的ですが、SNSからの流入が増えることで、間接的に検索需要が増し、SEO評価の向上につながるケースが多くあります。
特にUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用することで、リアルな口コミや体験談を広げ、ナチュラルリンクの獲得にも貢献します。
インフルエンサー活用とUGC拡散戦略
インフルエンサーと連携したPRは、ECサイトの商品認知拡大とSEOシグナル強化の両面で効果的です。
著名インフルエンサーだけでなく、マイクロインフルエンサーとのコラボも、より自然な形で口コミを広げることができます。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)キャンペーンを企画し、投稿時に自社サイトへのリンクを促す施策を仕込むことで、SEOにも波及効果を生み出すことができます。
また、UGCは商品ページ内にも掲載することで、SEO面でも評価されやすくなります。
ECサイトSEO最新トレンド
2025年現在、ECサイトのSEO環境はこれまで以上に進化を遂げています。
検索エンジンのアルゴリズムはよりユーザー体験を重視し、生成AIの普及や音声検索、動画SEO、ローカルSEOなど、多様なチャネルとの連携が求められています。
この章では、最新トレンドをもとに、ECサイトが取り組むべきSEO施策を解説します。
生成AIを活用した商品ページ・記事コンテンツ強化
近年、ChatGPTをはじめとした生成AIを活用したコンテンツ生成が一般化しています。
ECサイトでも、商品説明文やコラム記事、FAQコンテンツをAIを活用して強化する動きが広がっています。
実際、ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)では、AI接客アプリ「UNIQLO IQ」を導入し、FAQや商品提案を自動化しながら、ユーザー満足度向上とページ回遊率アップを実現しています。
出典:ネットショップ担当者フォーラム『ユニクロに聞くAI接客アプリ「UNIQLO IQ」の狙いと効果、使われ方は?』
また、多くのECサイトがChatGPT APIを活用したチャットボットを導入し、ユーザーの疑問解消をサポートし、サイト滞在時間を伸ばす事例も増えています。
音声検索(VSO)・動画SEO(YouTube連携)
スマートスピーカーやモバイル端末による音声検索(VSO:Voice Search Optimization)が一般化し、ECサイトも対応が求められています。
音声検索では、「〇〇とは」「〇〇の選び方」などの疑問形ロングテールキーワードを意識したコンテンツ作成がポイントです。
こうした形で検索意図を満たすことで、音声検索経由の流入獲得が可能になります。
また、動画SEOも重要性を増しています。
Googleは公式に、動画コンテンツを検索結果に最適に表示させるために、動画サイトマップや構造化データの活用を推奨しています。
商品の使い方やレビュー動画をYouTubeと連携させ、ECサイト内にも埋め込むことで、検索結果での露出を増やすことが可能です。
出典:Kinsta『【VSOとは】サイトの音声検索対策4つの方法』
出典:Google Search Central『動画サイトマップ、mRSS の概要と仕様』
出典:Google Search Central『動画(VideoObject、Clip、BroadcastEvent)構造化データ』
ローカルSEO・MEOとECサイトの接点
MEO(Map Engine Optimization)は、実店舗向けの施策ですが、ECサイトでも地域限定商品やポップアップイベント情報をGoogleビジネスプロフィールで発信することで、地域キーワード流入が見込めます。
ECサイトがオフライン施策と連動し、ローカルSEOを活用することで、ECとリアルの相乗効果が生まれやすくなります。
出典:ナイル『ローカルSEO(MEO)とは?Googleマップ経由で集客する方法』
Google検索アルゴリズム最新動向(2025年版)
2025年4月、Googleは「Helpful Content System」をアップデートし、ユーザー視点で価値ある情報を提供するサイトを優先表示する傾向がさらに強化されています。
重視されるポイントは以下の通りです。
- E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の明示
- オリジナル画像や動画など独自性の高いコンテンツ
- 実際のユーザーによるレビューや体験談
ECサイトでは、カタログ的な情報だけではなく、ユーザー生成コンテンツ(UGC)や顧客レビュー、専門家コメントを積極的に取り入れることがSEO成功の鍵になります。
出典:LANY『【2024年最新】Google検索のアルゴリズムと最新アップデートの概要を紹介』
ECサイトのSEO成功事例
ECサイトのSEO対策では、事例を参考にすることで、自社に取り入れるべき施策や注意点が見えてきます。
ここでは、実際にSEO対策を実践し、効果を得た3つの企業事例を紹介します。
事例1:株式会社カインズ
カインズは、ECサイト運営におけるコンテンツ管理の効率化とSEO施策の強化を目的に、ヘッドレスCMS「microCMS」を導入。
これにより、ECサイトのコンテンツページ運用が最適化され、コンテンツページのアクセス数が30%増加する成果を上げています。
導入後は、商品紹介記事や読み物コンテンツの更新速度が向上。
SEO施策の実施スピードも改善され、自然検索からの流入増加につながったとしています。
出典:microCMS『導入事例インタビュー【株式会社カインズ様】コンテンツページのアクセス数が30%増加。microCMSでECサイト運用を最適化』2025年4月4日
事例2:株式会社良品計画
良品計画では、公式アプリ「MUJI passport」を活用し、ECサイトとリアル店舗を連携したOMO(Online Merges with Offline)施策を強化。
アプリを通じて顧客のオンライン・オフラインの行動を統合的に把握し、パーソナライズされた情報提供やサービスを実現しています。
これにより、アプリのダウンロード数は4年間で1,000万件を突破。
リアル店舗とECサイトをまたいだ購買データの連携が強化され、顧客体験の向上と売上拡大につながったとしています。
出典:DXライブラリー『【OMO事例】オンラインとリアルを包括したOMO戦略で顧客体験を向上』2023年3月15日
事例3:株式会社ZOZO
ZOZOTOWNでは、SEO施策の一環として、カテゴリーページの見直しを実施。
リダイレクト設定やmeta要素の最適化、ページ内テキストの調整などを行い、社内で独自開発したツールを活用して施策の工数削減も実現しています。
施策によって、SEO順位改善や流入増加につながったことが、社内SEO担当者の公式ブログ内で紹介されています。
出典:ZOZO DEVELOPERS BLOG『【ZOZOTOWN】SEO担当者が注力する「テスト」と、自作のツールで工数削減を実現した話』2022年1月30日
ECサイトSEO実践ロードマップ
ECサイトのSEO対策は、一度施策を行っただけでは成果が最大化されません。
日々の運用の中で、PDCAを回しながら改善し続けることが必要です。
ここでは、EC担当者が現場で迷わず実践できるように、内部対策・外部対策のチェックリストを表形式で整理し、重要施策には丁寧な補足解説を付けています。
さらに、KPI管理の視点からも改善フローをまとめています。
内部対策チェックリスト
対策項目 | チェックポイント | 優先度 |
---|---|---|
サイト構造の最適化 | カテゴリ構成、パンくず、内部リンク | 高 |
商品ページ最適化 | 商品名+キーワード、説明文充実 | 高 |
画像最適化 | alt属性、軽量化、WebP活用 | 高 |
モバイル対応 | スマホUI確認、AMP検討 | 高 |
ページ速度改善 | Core Web Vitals対応、コード最適化 | 高 |
サイトマップXML送信 | Search Console登録、最新状態維持 | 高 |
クローラビリティチェック | robots.txt、noindex誤設定確認 | 高 |
内部対策の落とし穴と実務上の注意点
サイト構造はSEOの土台にも関わらず、多くのECサイトではリニューアル後に崩れるケースが目立ちます。
特にカテゴリ数やSKUが増えた際、初期設計のまま放置すると、カテゴリが乱立し、孤立したページが発生しやすくなります。
これがクロールエラーや内部リンクの不足につながり、SEO評価が分散する要因に。
外部対策チェックリスト
対策項目 | チェックポイント | 優先度 |
---|---|---|
プレスリリース配信 | SEOだけでなく認知拡大意識で配信 | 中 |
SNS活用 | Instagram・X・TikTok定期運用 | 高 |
UGC活用 | レビュー・Q&A導線強化 | 高 |
業界メディアへの寄稿 | 権威メディアへの記事掲載 | 高 |
インフルエンサー活用 | 影響力高いインフルエンサーとのコラボ | 中 |
Googleビジネス活用 | 実店舗情報整備、MEO対策 | 高 |
外部対策でよくある誤解と注意点
UGC(ユーザー投稿型コンテンツ)はSEOとCVRを同時に高める強力な施策ですが、ユーザーが自発的に投稿するのを待つだけでは不十分です。
レビュー投稿導線がわかりづらい、投稿キャンペーンがない、ネガティブレビューの放置などは、UGCの価値を損ないます。
ECサイトでは、レビュー投稿を促すインセンティブ施策や、Q&A機能を設けることで、SEOにも寄与するコンテンツを効率的に積み上げることが可能です。
SNS活用も、SEO直接効果は薄いものの、指名検索数増加やUGC拡散、自然リンク獲得につながるため、ECサイトでは必須領域です。
単なる商品の投稿だけでなく、ストーリーズやライブ配信、ユーザー参加型キャンペーンなど、エンゲージメント重視の施策と組み合わせることで、外部対策の効果を高められます。
ECサイトでは、商品追加時やシーズン入れ替えのタイミングで、必ずサイトマップとカテゴリ構成を棚卸しする運用フローを組み込むことが肝心です。
画像最適化もECでは盲点になりがちです。
重い画像やPC向け画像をそのままモバイルで使うことで、ページ速度が落ち、直帰率が高まる要因になります。
GoogleのCore Web Vitalsでも指摘されやすい部分なので、画像軽量化+alt属性の設定はSEOだけでなく、UX向上にも直結します。
KPIチェックリスト
KPI | 目安 | 改善施策 |
---|---|---|
SEO流入数 | 前年比120% | コンテンツ追加、CTR改善 |
指名検索比率 | 非指名70% | カテゴリ・比較記事強化 |
検索順位 | TOP3目標 | リライト、構造化データ追加 |
直帰率/滞在時間 | 直帰率50%未満 | FAQ追加、CTA改善 |
商品ページCVR | CVR2〜5% | 商品訴求強化、レビュー導線改善 |
リライト施策履歴 | 2〜4週ごと改善回転 | GA4分析、施策ログ管理 |
KPI管理でよくあるミスと改善視点
SEOで流入数だけを追っていると、指名検索ワード頼みになりがちです。その場合、非指名検索(カテゴリワード、商品ワード)経由の流入減少に気づかず、SEO成果が鈍化するリスクがあります。
必ず「指名/非指名」の内訳を分け、カテゴリページや比較コンテンツ強化にリソースを適切配分することが重要です。また、直帰率や滞在時間は「ページの質」を定量的に測れる指標ですが、改善にはFAQやQ&Aの追加、CTAの最適化、動画コンテンツの導入など、ユーザーが自然とページ内で動きたくなる改善が効果的です。
データを見るだけでなく、実際のユーザー行動をヒートマップ等で確認し、定性的な改善ポイントも洗い出すと効果が高まります。
まとめ
ECサイトのSEO対策は、短期間で即効性のある広告施策と異なり、中長期的に取り組むことでサイト自体の集客力を高める「資産構築型」の施策です。
一度しっかりと整備されたSEO施策は、広告費をかけずに継続的な検索流入を生み出し、安定的な売上や顧客接点をもたらします。
しかし、SEOは日々変化する検索アルゴリズムやユーザーニーズに対応し続ける必要があり、一度整えたら終わりではありません。
ECサイトでは特に、季節ごとの商品入れ替えやキャンペーン展開、商品数の増減に応じて、カテゴリ設計や商品ページの情報充実、内部リンク構造など、サイト内の環境を常に最適化し続ける運用体制が重要です。
また、SEO施策単体で成果を求めすぎるのではなく、広告施策、SNS施策、メールマーケティングなど他の集客チャネルとのバランスを取りながら、サイト全体の売上・LTV最大化を目指すことが、これからのECサイト運営では不可欠です。
さらに、音声検索や動画SEO、構造化データの活用など、日々進化するSEOトレンドにも柔軟に対応し、自社ECサイトの競争力を維持・強化していく姿勢が問われています。
SEOは時間も手間もかかる施策ではありますが、正しい知識と体制を整え、実行を継続していくことで、EC事業における強力な資産として育てることが可能です。
SEOは育てる施策です。日々の改善を積み重ね、検索に強いECサイトを目指して、一歩ずつ実践を進めていきましょう。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月