この記事でわかること
ECサイトのビジネスに活用できる補助金について知りたい」「補助金を利用する際の注意点について知りたい」と考えている方は多いでしょう。
ECサイト運営に使える主な補助金には、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金があり、他にもIT導入補助金や各自治体の補助金があります。
この記事を読めば、ECサイト運営に使える補助金の具体的な内容や補助金を利用する際の注意点を理解して、補助金を活用したECサイト運営を実現できます。
※この記事の内容は2024.2.19時点での情報です
これからECカートを決める方・いまのECカートに満足してない方へ。以下の記事にも、あなたのお悩みが解決する情報が満載です。
4つのECサイト構築事例。新鋭D2Cブランドの動向から読み解く「狙い」とは?
ECサイト事業に利用できる3つの補助金
ECサイト事業を立ち上げ、運用していくためにはまとまった初期費用や経費がかかるのが一般的です。そんな事業費の補填に利用できるのが各種のIT補助金です。
本記事では、ECサイト事業に活用できる以下の補助金について解説していきます。
|
事業再構築補助金 |
小規模事業者持続化 補助金 |
ものづくり補助金 |
公式サイト |
|||
補助金額 |
最大7,000万円 ※リニューアル枠 |
最大200万円 ※創業枠 |
最大1,250万円 ※通常類型 |
補助金の対象 |
中小企業 中堅企業 |
小規模事業者 |
中小企業 小規模事業者 |
手続きの流れ |
①電子申請の準備 ②事業計画の策定 ③認定経営革新等支援機関との相談 |
①電子申請の手続き ②申請内容の審査 ③事業案の採択・交付 ④補助事業の実施 |
①電子申請の手続き ②申請内容の審査 ③事業案の採択・交付 ④補助事業の実施 |
また、IT導入補助金や各自治体が提供している補助金についてもご紹介します。
ECサイトのビジネスに利用できる補助金についてチェックしてみましょう。
1.事業再構築補助金の概要
ECサイトのリニューアルで事業再構築補助金を利用する場合は、リニューアル枠を利用することになるケースが多いです。
ここでは、受給要件や受給金額、対象経費、手続きの流れについてご紹介します。
補助金の対象事業
事業再構築補助金を受給するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 認定経営核心支援機関の確認を受ける・・・支援金額が3,000万円を超える場合は金融機関の確認も受ける
- 付加価値額を向上させる・・・補助金の受給後3〜5年で事業の付加価値額、または従業員一人当たりの付加価値額を年率平均で3〜5%以上増加させる
また、リニューアル枠を利用する場合は、以下の要件を満たさなければなりません。
- 受給後3〜5年で付加価値金額が年平均で4%を超える
- 過去・将来のいずれか10年間で市場規模が10%を超える業種・業態に属す
- 受給後3〜5年で給与支給総額を年率平均で2%増加させる
2に該当する事業に関しては、以下のサイトページでチェックできます。
補助金額・補助率
リニューアル枠の事業再構築補助金の補助金額と補助率に関しては、以下のような要件が設定されています。従業員規模によって補助上限金額や補助率が異なる点に注意です。
従業員規模 |
補助上限金額 |
補助率 |
20人以下 |
2,000万円 |
中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
21~50人 |
4,000万円 |
中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
51~100人 |
5,000万円 |
中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
101人以上 |
7,000万円 |
中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
また、事業期間内に以下のような大幅な賃上げをおこなう場合は、中小企業なら2/3、中堅企業なら1/2に補助率がアップします。
- 給与支給総額が年平均6%アップ
- 最低賃金が年額45円以上の水準でアップ
ただし、事業終了時点で給与支給金額+6%と事業内最低賃金+45円を達成できず、受給後3〜5年で給与支給金額を年平均で2%以上増やせない場合は、追加で支給された差額分の(補助金額の1/6)を返還する必要があります。
補助対象となる経費
事業再構築補助金の対象となる経費には、以下のようなものが挙げられます。
- 建物費:建物の建築・改修・撤去費
- 機械装置・システム構築費:機械設備やソフト購入・リース費
- 技術導入費:知的財産権等関連費
- 外注費:製品の設計・加工・専門家経費
- 広告宣伝費・販売促進費:広告出稿や展示会出展など
- 研修費:教育訓練・講座受講費
補助事業対象外の従業員に対する給与や旅費、汎用性の高いパソコンやスマホなどの購入費、水道光熱費は経費の対象外となるので注意しましょう。
手続きの流れ
事業再構築補助金の手続きの流れは以下のとおりです。
- 事業者自身で事業計画を策定する
- 認定経営革新等支援機関の確認を受ける
- 支援事業を受ける(受給期間は12〜14ヶ月、フォローアップ期間は5年間)
事業者自身で事業の強みや弱み、機会、事業環境、事業再構築の必要性など多角的に検討し、事業の具体的な内容や展望についてまとめます。
認定経営革新等支援機関の確認を受けて審査に通ったら、補助金の受給期間となります。受給期間後も5年間はフォローアップ期間です。この期間中に手続きを怠ってしまうと、受けとった補助金を返還しなければならないこともあるので注意が必要です。
2.小規模事業者持続化補助金の概要
小規模事業者持続化補助金を使う場合は、通常枠や創業枠を利用することが多いです。
ここでは、受給要件や受給金額、対象経費、手続きの流れについてご紹介します。
出典:全国商工会連合会|小規模事業者持続化補助金 ガイドブック
補助金の対象事業
小規模事業者持続化補助金は、以下の条件に該当する法人・個人事業主・特定非営利活動法人が対象です。
- 商業・サービス業(宿泊・娯楽業のぞく):常勤の従業員が5人以下
- 宿泊・娯楽業:常勤の従業員が20人以下
- 製造業・その他:常勤の従業員が20人以下
これらの条件を満たした上で、以下の条件を満たしている方が受給対象になります。
- 資本・出資金が5億円以上の法人に100%株式保有されていない
- 直近3年間の各年、各事業年度において課税所得の平均額が15億円を超えていない
- 同補助金の卒業枠を利用したことのある事業者ではない
- 持続化補助金の採択を受け、同補助金の申請までに受領されたものである
また、創業枠の小規模事業者持続化補助金は、認定連携創業支援等事業者が実施した特定創業支援等事業による支援を、小規模事業者持続化補助金の公募締め切りから換算して過去3年間に受け、かつ過去3年間で開業した事業者が対象です。
補助金額・補助率
通常枠や創業枠を利用する場合に受けられる補助金額と補助率は以下のとおりです。
項目 |
通常枠 |
創業枠 |
補助金額 |
50万円 |
200万円 |
補助率 |
2/3 |
2/3 |
これに加えて、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者は、上記の金額に50万円を上乗せした金額が支給されます。
補助対象となる経費
小規模事業者持続化補助金の対象となる経費には、以下のようなものが挙げられます。
- 機械装置等費:必要な製造装置の購入費
- 広報費:サービスを紹介するチラシの作成・配布・看板
- ウェブサイト関連費:ウェブサイトやECサイトの開発・構築・更新費
- 展示会等出展費:展示会・商談会の出展料
- 旅費:販路開拓の目的で使った旅費
- 開発費:商品・サービスの開発に伴う諸経費
- 資料購入費:補助事業に関わる資料・図書
- 雑役務費:補助事業のために雇用したアルバイト・派遣社員の給料
- 借料:機械設備のリース・レンタル料
- 設備処分費:サービスをおこなうためのスペース確保の目的の設備処分費
- 委託・外注費:自社では実施困難な業務を第三者に依頼
ウェブサイト関連費は補助金額の1/4(最大50万円)が上限で、ウェブサイト関連費のみでの申請はおこなえません。また、汎用性の高い車やバイク、スマホ、パソコン等の購入費は経費の対象外になる点には注意しましょう。
手続きの流れ
小規模事業者持続化補助金の手続きの流れは以下のとおりです。
- 必要書類を準備する
- 電子申請、または郵送で申請する
- 採択・交付が決定される
- 補助事業が実施される
- 実績報告書が提出される
- 補助金額が決定される
提出する資料に不備がないように準備を入念におこない、補助事業が終了してから30日以内に詳細な実績報告書を提出し、補助金を受給できるようにしましょう。
3.ものづくり補助金の概要
ものづくり補助金を使う場合は、通常枠や創業枠を利用することが多いです。
ここでは、受給要件や受給金額、対象経費、手続きの流れについてご紹介します。
出典:全国中小企業団体中央会|ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業
補助金の対象事業
通常類型の補助金を受給するには、以下の基準を満たした3〜5年間の事業計画書を策定しなければなりません。
- 3〜5年間の付加価値額の年平均成長率+3%増加を達成
- 3〜5年間の給与支給額の年平均成長率+1.5%増加を達成
- 3〜5年間の最低賃金が地域最低賃金+30円以上を達成
また、資本金と従業員数は以下の数字を下回る必要があります。
主な業種 |
資本金 |
常勤従業員 |
小売業 |
5,000万円 |
50人 |
ソフトウェア業 情報処理サービス業 |
3億円 |
300人 |
製造、建設、運輸、旅行業 |
3億円 |
300人 |
補助金額・補助率
通常類型の補助金額と補助率は以下のようになっています。
従業員規模 |
補助金額 |
補助率 |
5人以下 |
750万円 ※大幅な給与アップで850万円 |
中小企業:1/2 小規模企業:1/3 |
6~20人 |
1,000万円 ※大幅な給与アップで1,250万円 |
中小企業:1/2 小規模企業:1/3 |
21人以上 |
1,250万円 ※大幅な給与アップで2,250万円 |
中小企業:1/2 小規模企業:1/3 |
3〜5年間の間に給与の年間平均上昇率が6%を超える場合は、支給金額が増加します。
補助対象となる経費
ものづくり補助金の補助対象となる経費には以下のようなものが挙げられます。
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費・専門家費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
手続きの流れ
ものづくり補助金の手続きの流れは以下のとおりです。
- 必要書類を準備する
- 電子申請、または郵送で申請する
- 採択・交付が決定される
- 補助事業が実施される
- 実績報告書が提出される
- 補助金額が決定される
補助事業実績報告書や精算支払い請求を期限内におこなうことで、申請した分の補助金があとで支払われることになります。
4.その他の補助金
IT導入補助金やECサイト活用補助金など、その他の補助金の概要は以下の通りです。
|
IT導入補助金 |
ECサイト活用補助金 |
東京都中小企業 |
公式サイト |
https://www.city.chuo.lg.jp/a0016/shigoto/kigyoushien/hojokin/user_shoukan_time_20210301.html |
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/hitaimen.html |
|
補助金額 |
450万円 ※通常枠A・B |
6万円 |
200万円 (申請下限50万円) |
補助率 |
1/2以内 |
全額 |
2/3以内 |
補助金の対象 |
中小企業 小規模事業者 |
都内中小企業 ※区内に本社や本店、 主たる事業所 |
都内中小企業 ※区内に本社や本店、 主たる事業所 |
手続きの流れ |
①支援機関(商工会議所や商工会など)に経営課題や課題解決のためのITルールを相談 ②導入したいITツールやIT導入支援事業者の支援をもらって申請する ③採択されれば、ITツールを導入・活用する |
①必要書類を申請する ②審査を経て交付される ③実績・補助金の支給 |
①必要書類を申請する ②審査を経て交付される ③実績・補助金の支給 |
このように、各自治体が提供しているIT補助金もあるので、チェックしてみましょう。
補助金の対象が見直される場合がある
前述記載の通り、対象となる補助金は複数ありますが、見直しが行われ対象期間が過ぎると、対象外となってしまうケースもあります。
例えば、「IT導入補助金」もその一例で、「ECサイト制作」機能を有するソフトウェアについて、対象外になり、17次締切分(2024年1月29日締切)を最終として終了しています。
このように継続的に実施されている補助金であっても、補助対象や要件が見直される場合もあるので、早めに申請することが重要となります。
ECサイト事業の補助金に関する3つの注意点
ECサイト事業の補助金の受給に関しては、申請と審査にかかる時間が長いことや補助金支給のタイミングが遅くなってしまう可能性があるのが注意点です。
それぞれの注意点について確認して、ECサイト事業の補助金の申請に活かしましょう。
補助金の申請には時間がかかる
各補助金の申請には必要な書類があり、内容に誤りや虚偽がないように精査するのに予想以上に時間がかかってしまうケースもあります。また、申請方法もインターネット方式や郵送方式などがあり、補助金の申請方法を理解するのに時間がかかってしまうことも想定されます。
補助金の申請作業には時間がかかることを頭に入れて申請スケジュールを組みましょう。
審査に通らない可能性がある
補助金の審査は厳正で、内容に不備が見つかった場合はもちろん、付加価値や給与の成長率の基準を満たせる見込みがなければ、審査に落とされてしまう可能性があります。
補助金の申請をサポートしてくれる業者と相談しながら申請するのも手でしょう。
補助金がすぐに支給されないこともある
補助金は基本的に後払い制です。事業支出の何割かを補填する形で、支出した後に補助金が振り込まれるので、キャッシュフロー計画は入念に立てておくことが求められます。
まとめ
この記事では、ECサイト事業の運営で使える主な補助金である「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」の概要を主にご紹介しました。
補助金が活用できるかどうかの有無や補助金に適用される経費の種類、補助金の上限額、補助金の補助率は、補助金制度の種類や利用枠によって異なります。
自分のEC事業の内容に沿った補助金を活用して、円滑な事業運営を実現させましょう。
【最後に】
ここまで読んでいただきありがとうございます。ここで最後にecforceのご紹介をさせていただきます。ecforce(イーシーフォース)は日本国内のEC・D2Cビジネスの現場を知り尽くした、わたしたちSUPER STUDIOが提供する国産SaaS型ECシステムです。EC・D2Cサイト構築の際の要件定義から成長拡大まであらゆるフェーズをサポートします。
累計1,000以上のショップ様に導入されている国産SaaS型ECシステム「ecforce」。さらなる実績や機能のご紹介は以下からご覧ください。
ecforceには、主に3つの特徴があります。
特徴1. EC/D2Cビジネストレンドを踏まえた最先端のシステム
豊富な搭載機能/カスタマイズ性/アップデートスピードでEC事業スタート・カート切り替えに対応。毎月平均で10-20個の新機能をリリース。
特徴2. 売上を最大化する多彩なマーケティング機能
クライアントニーズや自社経験を元にトレンドを抑えてた「効果がある」機能を搭載。「広告改善・CVR向上」や「LTV向上/CRM最適化」まで顧客獲得〜リピート化といった各フェーズに対応した機能群で、マーケティング施策を一貫して実施できます。
特徴3. CSオペレーションやシステム運用工数を削減
CSオペレーションや広告管理といったEC運営では工数がかかり煩雑化する業務も自動化と操作性の高いUIで効率化。運営コストを削減します。
「ecforce」は、ECサイトの構築はもちろん、サイトを開設したあとの機能も充実。売上を上げるための豊富な機能からコストを削減する仕組みまで、ECビジネスの成長をサポートします。
ご興味がある方はぜひ、以下からお問い合わせをいただければ幸いです。
その他、ecforce公式サイトでは、弊社が実事業経験から得たEC/D2Cノウハウを無料ebookで多数公開しております。弊社が独自に提供しているノウハウをたくさんご活用下さい。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月