この記事でわかること
※この記事は 時点の情報をもとに執筆しています。
Webサイトを運営する上で、自社の現状を正確に把握し、改善につなげることは成功の第一歩です。
特に競争が激化するオンライン市場においては、勘や経験だけに頼るのではなく、データに基づいた意思決定が求められます。
そこで重要になるのが、ユーザーの行動や流入経路を可視化し、課題を発見できるサイト分析です。
この記事では、サイト分析の基本的な考え方から、実践的な指標、無料で使えるツールの紹介、さらにECサイト運営に役立つ具体的な指標までを網羅的に解説します。
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webサイト分析とは?ビジネス成長に不可欠な理由
Webサイトを成長させる上で、最も重要な活動のひとつがサイト分析です。デザインやコンテンツを改善するにも、施策の効果を測定するにも、まずは現状を正確に把握することが前提となります。
闇雲に変更を加えるのではなく、データに基づいた判断を行うことで、費用対効果の高い改善につながります。
サイト分析とは、アクセス解析ツールなどを用いて、サイトに訪れたユーザーの行動や属性、流入元などをデータとして取得・分析し、ユーザーのニーズや行動傾向を可視化する一連のプロセスです。
たとえば以下のような問いに対して、明確な答えを導くのがサイト分析の目的です。
「どのページがよく読まれているか?」
「どこでユーザーが離脱しているのか?」
「どの媒体からのアクセスが多いのか?」
「購入に至った経路は検索か広告か?」
こうした問いに答えられるようになることで、サイトの課題を見つけ出し、改善策の仮説を立て、検証するというサイクルを確立できます。
また、サイト分析はマーケティング活動の全体最適にもつながります。広告の費用対効果を判断したり、SEO施策の成果を測定したりする上でも、分析データは不可欠です。
つまり、サイト分析は単なるテクニカルな作業ではなく、ビジネス全体の成長戦略と直結した重要な活動と言えます。
特に近年は、ECサイトやBtoBサービスの導入検討において、ユーザーの多くが事前にWebで情報収集を行うため、オンライン上での顧客体験を定量的に把握し、改善し続けることの重要性はますます高まっています。
サイト分析を始める前に押さえておきたい3つの準備
サイト分析を効果的に行うためには、ツールを導入してデータを集めるだけでは不十分です。
最初に「何を、なぜ、どうやって分析するのか」という軸をしっかりと持つことで、膨大なデータの中から本当に見るべき指標を見極めることができます。
分析のスタート地点が曖昧だと、得られたデータを正しく活かすことができず、むしろ時間や労力の無駄になってしまうリスクもあります。
ここでは、サイト分析を始める前に必ず確認しておきたい3つの準備項目を紹介します。
1. 目的を明確にする
分析の出発点は、Webサイトにおいて「何を達成したいのか」という目的を明確にすることです。
目的が不明確なままでは、どのデータを重視すべきかが定まらず、施策の優先順位も曖昧になります。
たとえば、以下のように目的ごとに見るべき指標が異なるケースが多いでしょう。
- ブランド認知を高めたい場合:「特定ページの閲覧数」や「滞在時間」
- 問い合わせを増やしたい場合:「フォーム到達率」や「CTAボタンのクリック数」
- ECの売上を伸ばしたい場合:「購入率(CVR)」や「カゴ落ち率」
このように、目的の内容に応じて着目すべきデータは変化します。
最初の段階でWebサイトが果たすべき役割と、そこから得たい成果を具体的に言語化しておくことで、分析の軸がブレずにすみ、データの解釈もスムーズになります。
2. 目標達成度を測る指標(KPI)を決める
目的が明確になったら、それを実現するためにどの数値を追いかけるべきか(KPI)を設定します。
KPIとは重要業績評価指標とも呼ばれ、進捗や効果を定量的に把握するための指針です。
たとえば、以下のようなKPIを設定することが考えられます。
- ECサイト:コンバージョン率、顧客単価、新規顧客率
- コーポレートサイト:資料DL数、ページ滞在時間
- サービスサイト:問い合わせ件数、フォーム離脱率
KPIは1つに絞る必要はありませんが、多すぎると優先順位がブレてしまうため、主指標+補助指標(2〜3個)程度に絞るのがおすすめです。
KPIを定めることで、分析結果に一貫性が生まれ、社内でも施策の方向性を共有しやすくなります。
3. 分析の対象期間を設定する
サイト分析を行う際には、「いつのデータを基準に判断するか」という対象期間の設定も非常に重要な要素になります。
期間設定が曖昧なままでは、データの解釈に一貫性がなくなり、正確な比較や評価が難しくなってしまいます。
たとえばアクセス数が増えた場合、それが一時的なキャンペーンの影響なのか、継続的なSEO施策の効果なのかを判断するには、適切な期間での比較が欠かせません。
こうした判断を誤ると、短期的な変化に一喜一憂し、本質的な改善に結びつかない可能性があります。
具体的には、以下のような視点から期間を設定・比較することが有効です。
- 月単位や四半期単位での中長期的な傾向の把握
- 前年同月比による季節性の考慮(例:年末商戦、新年度需要)
- キャンペーンやリニューアル実施前後の効果測定
また、Googleアナリティクスなどの分析ツールでは、任意の期間を自由に設定して比較分析が可能です。
目的や施策に応じて、短期・中期・長期を使い分けながら、意味のあるデータの蓄積と評価を行うことが、精度の高い意思決定につながります。
サイト分析の代表的な2つのアプローチ
Webサイトの改善に取り組む上で、ただデータを集めるだけでは本質的な課題は見えてきません。重要なのは、「何を見るか」だけでなく「どう見るか」という視点を持つことです。
サイト分析には大きく分けて、定量分析と定性分析という2つのアプローチがあります。それぞれの手法は役割が異なり、片方だけでは不十分です。
両方を適切に組み合わせることで、ユーザーの行動とその背景を立体的に捉えることが可能になります。
ここでは、この2つのアプローチの違いや活用のポイントについて解説します。
数値データから客観的な事実を把握する|定量分析
定量分析とは、アクセス解析ツールなどを使って数値データをもとにユーザーの行動を可視化する手法です。
ユーザー数、ページビュー数、直帰率、コンバージョン率など、定められた指標を通じて、サイト全体の現状を客観的に捉えることができます。
たとえば以下のような問いに答えたいとき、定量分析は非常に有効です。
「どのページが最も閲覧されているか?」
「どのチャネルからの流入が多いか?」
「スマホとPCでコンバージョン率に差があるか?」
こうした情報は、GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールなどの無料ツールでも十分に取得できます。
サイトの強みやボトルネックを客観的に特定し、改善に向けた仮説を立てる土台として、まず行うべきアプローチです。
ただし、数字だけではユーザーの「なぜその行動をとったか」という背景までは見えません。そこで必要になるのが、次に紹介する定性分析です。
ユーザーの行動や心理を探る|定性分析
定性分析は、ユーザーの行動の理由や感情的な動機を深掘りするアプローチです。
ヒートマップ、アンケート、インタビュー、セッションリプレイなどの手法を活用し、「なぜそのボタンを押さなかったのか」「なぜこのページですぐ離脱したのか」といった背景を探ります。
たとえば以下のような気づきは、定性分析から得られることが多いです。
- ヒートマップで、ユーザーが重要なボタンに気づいていないことが判明
- セッション録画から、入力フォームが使いにくく途中で離脱されていることがわかった
- アンケート回答から、コンテンツ内容が期待とズレていることが明らかになった
このように、定性分析では、数字では見えてこない「なぜその行動が起きたのか」という理由を深掘りできます。
ユーザーの立場に立って課題の本質を理解し、より的確な改善策を考えるために欠かせないアプローチです。
特にCVR(購入率)やフォーム到達率などに課題がある場合、定性分析によって真因を突き止め、ピンポイントで改善することができます。
定量分析は「全体の傾向を数字で把握する手法」、定性分析は「ユーザー視点から問題の背景を探る手法」です。
この2つは対立するものではなく、むしろ相互補完的に活用すべきアプローチです。
たとえば、直帰率が高いという定量的な事実を把握した上で、「なぜ直帰しているのか」を定性的に分析することで、問題の本質が明らかになります。
数字で現状を捉え、ユーザーの声や行動から改善のヒントを得るというこの組み合わせこそが、成果につながるサイト分析の基本です。
サイト分析で必ず確認すべき5つの重要指標
Webサイトの現状を正確に把握するためには、闇雲にすべてのデータを見るのではなく、見るべき指標を明確に定めることが重要です。
特に初めて分析に取り組む場合は、どこから着手すればよいか迷いがちですが、最低限押さえておきたい基本指標があります。
ここでは、ほぼすべてのWebサイトに共通して重要となる5つの指標を取り上げ、それぞれが何を意味し、どのように活用すべきかを解説します。
まずはこの5つの指標を定点観測することから、実践的なサイト改善の第一歩が始まります。
1. 最終的な成果を示す|コンバージョン数(CV)
コンバージョン(CV)とは、サイト上で設定した最終的な成果(ゴール)を指します。
たとえば、ECサイトであれば「商品購入」、BtoBサイトであれば「資料請求」や「問い合わせ送信」がコンバージョンにあたります。
この数値が示すのは、「サイトがビジネスにどれだけ貢献できているか」という実質的な成果です。
コンバージョン数が伸び悩んでいる場合、ページ構成や導線設計、コンテンツ内容、あるいはフォームの使いやすさに問題がある可能性が考えられます。
分析の中心となる指標であり、最も優先的にチェックすべき項目です。
単に件数を見るだけでなく、「どのページ経由でのCVが多いか」「流入元との相関はあるか」など、CV発生の経路や前提条件を紐解く視点を持つと、改善のヒントがさらに得られます。
2. サイト全体の人気度を示す|アクセス数
アクセス数は、Webサイトに訪問したユーザーの量を把握するための基本指標です。
一般的には以下の3つの数値が含まれます。
- セッション数(訪問の回数)
- ユーザー数(ユニークユーザー)
- ページビュー(PV)数(閲覧されたページの総数)
これらの数値から、サイトの集客状況やトレンドをつかむことができます。
たとえばユーザー数は変わっていないがPVが減っている場合、ページ回遊が減っているといった仮説が立てられます。
急激な増減があった場合は、広告配信、SNSでの拡散、メディア掲載、あるいはサイトの表示不具合など、外部・内部両面から原因を探ることが大切です。
アクセス数が増えている場合でも、「どのコンテンツが伸びているのか?」「リピーターか新規か?」「流入元の傾向は?」など必ずチェックしましょう。
数値の裏側にあるユーザーの興味関心を見極めることで、次のコンテンツ企画や集客施策にも活かせます。
3. ユーザーがどこから来たかを示す|流入経路
「ユーザーがどのような経路でサイトにたどり着いたか」を示すのが流入経路のデータです。主に以下のようなチャネルに分類されます。
- オーガニック検索(自然検索):GoogleやYahoo!などの検索から
- ソーシャル(SNS):X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなど
- リファラル:他サイトからのリンク
- ダイレクト:ブックマークやURL直接入力
- 有料広告(CPC):リスティング広告やディスプレイ広告など
流入経路を分析することで、どのチャネルが有効に機能しているかを把握できます。
さらに、どの流入経路がコンバージョンにつながっているかを見ることで、集客施策ごとの費用対効果を最適化できます。
特定のチャネルからの流入が突出している場合、それが偶然の要因なのか、狙って起きているのかを見極める必要があります。
たとえば、SNSからの流入が急増していれば、どの投稿が反響を呼んだのかを分析し、再現性のある拡散施策に活かすことが重要です。
4. ユーザーが最初に訪れるページの状況|ランディングページ
ランディングページとは、ユーザーが最初に訪れるページ(入口ページ)のことです。
検索結果や広告、SNSなど、どこからアクセスしても最初に表示されるページのパフォーマンスが悪ければ、ユーザーがすぐ離脱してしまいます。
以下のような指標を使って、ページ単位での評価を行います。
- 直帰率:そのページだけを見て離脱した割合
- 平均滞在時間:ユーザーがそのページに滞在した平均時間
- 離脱率:そのページがセッションの最後になった割合
とくに直帰率が高いページは、コンテンツの内容や導線、表示速度などに課題がある可能性があります。
改善対象を見つける起点として、ランディングページの分析は非常に有効です。
広告や検索などからサイトに訪れたユーザーは、「自分の探している情報があるかどうか」を数秒以内に判断します。
その際に、ランディングページの見出しやファーストビュー(画面最上部)に表示される情報が、ユーザーの期待とずれていると、すぐにページを離れてしまうことが多くなります。
どれだけ広告が魅力的でも、遷移先のページで期待に応えられなければ意味がないため、最初に表示される内容の設計は特に慎重に行うべきポイントです。
5. 検索ユーザーの意図を探る|流入キーワード
SEO施策を行っている場合、検索エンジンからどのようなキーワードで流入があるかを確認することは非常に重要です。
Googleサーチコンソールを活用すれば、次のようなデータを取得できます。
- 表示された検索キーワード
- そのキーワードでのクリック数・表示回数
- 平均掲載順位
これらの情報から、ユーザーの検索意図を把握でき、既存コンテンツの改善や新規記事の企画にも活かせます。
狙ったキーワードで流入がない場合は、タイトルや見出し、本文の構成を見直す必要があるかもしれません。
また、意外なキーワードで流入している場合は、それを起点に新たなSEO戦略を展開するチャンスにもなります。
さらに、キーワードの種類によって、ユーザーの目的や状態も異なります。たとえば「○○とは」や「○○ 使い方」といったキーワードは情報収集段階の検索意図が強く、「○○ 購入」「○○ 比較」などは購買意欲が高い傾向があります。
このように、流入キーワードからユーザーがどのフェーズにいるのか(認知・検討・購入など)を読み取ることができれば、コンテンツの見せ方や導線設計もより効果的になります。
単に流入数を見るだけでなく、「どんな目的の人が来ているか?」まで想像することが、CVにつながる分析の第一歩です。
ECサイトの売上向上に直結するサイト分析の指標
ECサイトにおけるサイト分析では、一般的なアクセス数や直帰率などの指標だけでなく、売上に直結する数値を定点的にチェックすることが欠かせません。
訪問者がどのような動きをし、どのタイミングで離脱しているのかを把握することで、売上機会の損失を防ぎ、改善に繋げることができます。
ここでは、特にEC運営において押さえておきたい3つの重要指標を紹介します。
いずれも、単に計測するだけでなく、「なぜその数値なのか?」という背景を読み解くことが成果向上の鍵となります。
1. 購入に至った割合を示す|購入率(CVR)
CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)は、「サイト訪問者のうち、どれだけが実際に商品を購入したか」を示す指標で、以下の式で算出されます。
購入率(CVR)= 購入件数 ÷ サイト訪問数 × 100
この数値が高ければ高いほど、サイト内の導線や商品ページ、購入フローが適切であることを意味します。
逆に、訪問者数は多いのに購入率が低い場合は、次のような購入を妨げる障壁が潜んでいる可能性があります。
- 商品情報が不十分
- 決済方法がニーズに合っていない
- 購入手続きが煩雑
CVRはECサイトの健全性を最も端的に表す指標のひとつとして、定期的なモニタリングと改善が求められます。
2. カート離脱を示す|カゴ落ち率
「カゴ落ち率」とは、ユーザーが商品をカートに入れたにもかかわらず、購入手続きを完了せずにサイトを離れてしまう割合を指します。
カゴ落ちはECにおける大きな損失要因の一つであり、ユーザーの購入意欲がある段階まで来ているにもかかわらず、あと一歩のところで離脱されているという点で非常に重要な改善ポイントです。
よくある原因としては、下記のような心理的・操作的ハードルがあります。
- 送料や手数料が思ったより高かった
- 会員登録や入力フォームが面倒だった
- 対応している決済手段が少なかった
この指標をもとに、カートページや決済フローのUXを改善することで、売上機会の取りこぼしを大幅に防ぐことが可能です。
カゴ落ちの原因や対策については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
カゴ落ちとは?|ECサイトでよくある原因とカゴ落ち率を改善する7つの対策|ecforce blog
3. 顧客単価の平均値を示す|顧客単価(AOV)
顧客単価(AOV:Average Order Value)は、1回の購入あたりの平均金額を示す指標で、以下のように計算されます。
顧客単価 = 総売上 ÷ 購入件数
この数値を上げることができれば、訪問者数や購入率を変えずに、売上を効率的に伸ばすことが可能になります。
AOVを高める代表的な施策には、以下のようなものがあります。
- アップセル:より高価格な商品をレコメンド
- クロスセル:関連商品をセットで提案
- 送料無料の条件を提示:「あと◯円で送料無料」など
小さな工夫の積み重ねが、売上全体に大きな影響を与えることも少なくありません。
ただ売ることだけでなくどうすれば一人当たりの購入金額が上がるかを意識した設計が求められます。
無料で始められるサイト分析ツール3選
サイト分析を始めたいと思っても、何から手をつければ良いかわからない初心者の方も多いかもしれません。
しかし、現在では高性能でありながら無料で利用できる分析ツールが充実しており、専門家でなくても手軽にサイト分析をスタートできます。
まずはこれらの無料ツールを導入し、自社サイトの現状をデータで把握することから始めましょう。
ここでは、サイト分析に必須とも言える代表的な3つのツールを紹介します。
サイト全体の数値を把握できる|Googleアナリティクス
Googleアナリティクス(GA4)は、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールで、世界中のWebサイトで利用されています。
このツールでは以下のようなデータを取得・分析できます。
- サイト全体のアクセス数(ユーザー数・セッション・ページビュー)
- デバイス別・地域別・性別などのユーザー属性
- ユーザーの行動(ページ遷移、直帰率、滞在時間など)
- コンバージョンイベントの設定・トラッキング
特にGA4では、イベントベースの分析構造が導入されており、より柔軟で詳細なユーザー行動の把握が可能です。
導入も比較的簡単で、Googleタグマネージャーと組み合わせれば、ページごとのイベント計測もすぐに実装できます。
検索キーワードや表示順位を可視化|Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールは、検索エンジンでの表示状況や、検索クエリによる流入状況を把握できる無料の分析ツールです。
主な機能は以下の通りです。
- 検索キーワードごとの表示回数・クリック数・掲載順位
- 各ページごとの検索パフォーマンス
- クロールエラーやインデックス状況の確認
- モバイルユーザビリティや構造化データの確認
特にSEO対策に取り組む上では欠かせないツールで、ユーザーがどんな言葉で検索しているのか、どのページが検索で評価されているのかを把握できます。
Googleアナリティクスと併用することで、サイト流入前後の動きがより立体的に見えるようになります。
ユーザー行動を可視化できる|ヒートマップツール
数値データだけでは見えないデータである「ユーザーがページ上で何をしているか」を可視化できるのが、ヒートマップツールです。
ヒートマップでは、以下のようなユーザー行動が色の濃淡で直感的に表示されます。
- ページ上のどこが最も読まれているか(熟読エリア)
- どのボタンやリンクがクリックされているか(クリックマップ)
- どこまでスクロールされたか(スクロールマップ)
無料で使える代表的なツールとしては、Microsoft Clarity、ミエルカなどがあります。
ヒートマップを活用することで、なぜ離脱されているのか、ボタンは見られているかなどの項目を視覚的に検証でき、改善施策の立案に直結します。
次のパートでは、これらの分析で得られたデータをどのように改善に活かすかについて詳しく解説します。
施策を意識しながら分析に取り組むことで、単なる数値の確認で終わらず、実際の改善アクションに結びつけることができます。
分析結果を改善につなげるための3つのポイント
サイト分析の本質的な目的は、データを活用して成果を上げることにあります。
どれだけ多くの数値を見ても、それを具体的な改善に落とし込まなければ意味がありません。
ここでは、分析結果を実際の施策に活かし、Webサイトの改善サイクルを回していくために押さえておきたい3つの重要な視点を紹介します。
課題から改善策の仮説を立てる
分析によって異常値や傾向の変化を見つけた際に重要なのは、その数値が「なぜそうなっているのか」という背景を読み解くことです。
ただ数字を見て終わるのではなく、データを起点にユーザー心理やサイト構造との関連を探り、仮説を立てることが改善の第一歩になります。
たとえば、以下のような観点で原因を考察することで、具体的な改善策の方向性が見えてきます。
- 直帰率が高いページ → ページ内容が検索意図とずれていないか?CTAが不明瞭ではないか?
- モバイルでのCVRが極端に低い → スマホUIの操作性やフォーム入力のしやすさに課題はないか?
- カゴ落ち率が高い → 送料表示や決済方法にストレス要因が存在していないか?
こうした仮説は、定量データだけでは見えないユーザー体験の質を補完するために不可欠です。
また、仮説を立てる際は、現実的に検証可能であることを意識することも重要です。
単なる推測にとどめず、改善施策につながる筋道として論理的に構築しましょう。
過去のデータと比較して変化を観測する
分析で得られた数値は、単体で見るだけでは本質的な意味を持ちません。
重要なのは、前の期間や別の条件と比較することで、変化の傾向や施策の影響を読み取ることです。
たとえば、以下のような比較視点を持つことで、数値の背景にある要因が見えてきます。
- 前月や前週との比較 → 施策による変化や短期的な改善効果を確認
- 前年同月との比較 → 季節性や恒常的なトレンドの有無を把握
- キャンペーン実施前後の比較 → 特定施策の直接的な効果を検証
こうした期間比較を継続的に行うことで、単なる変化ではなく意味のある変化として数値を評価できるようになります。
Googleアナリティクスなどの分析ツールでは、比較機能が標準で搭載されているため、活用しない手はありません。
分析を施策につなげるPDCAサイクルを回す
分析から得られた気づきをもとに仮説を立てたら、それを放置せず、具体的な施策として実行に移すことが不可欠です。
さらに、その施策が本当に効果を生んだのかを検証することで、初めて改善が完了します。
このプロセスでは、以下のような視点で評価を行いましょう。
- 改善前後でKPIに変化があったか
- コンバージョン率や離脱率にどのような影響が出たか
- ユーザーの動きに変化が見られたか
施策を打ったら終わりではなく、その結果をデータで検証し、必要に応じて仮説を再構築しましょう。
この一連の流れを「仮説 → 実行 → 検証 → 再改善」として繰り返していくことが、分析をビジネス成果に結びつけるための方法です。
事例で学ぶサイト分析の成功パターン
サイト分析を理論として理解しても、実際にどのように使われ、どんな成果につながったのかイメージできなければ、自社での活用にはなかなか結びつきません。
そこでここでは、実在する企業がサイト分析や改善施策を通じて成果を上げた事例を3つ紹介します。
ECサイト・会員サイト・広告施策など、異なる観点からの成功パターンを紹介します。
カゴ落ち対策でCVR約4倍を実現|アシックスのリマインド施策
スポーツ用品大手のASICSでは、ECサイトのカゴ落ち率に注目し、離脱ユーザーへのアプローチを強化するためにマーケティングツール「SaleCycle」を導入しました。
ユーザーの行動データをもとに、カート投入後に離脱したユーザーへリマインドメールを自動送信する施策を展開。
件名や配信タイミングを細かくチューニングし、パーソナライズ要素も加えました。
その結果、カート放棄キャンペーンは平均42%の開封率を記録し、売上3%アップに貢献しました。
カゴ落ちの行動分析と、それに基づく施策設計が成功の鍵となった事例です。
サイト改善とSEO設計でPV数が2倍に|デイトナのリニューアル事例
バイク用パーツメーカーの株式会社デイトナでは、従来のブランドサイトが「使いづらい」「検索に出ない」「運用しづらい」といった複数の課題を抱えていました。
株式会社シフトの支援により、まずは現状サイトのユーザビリティや情報構造を分析。
その上でCMS(SITEMANAGE)を導入し、サイト全体の再設計・SEO設計・運用効率の改善を図りました。
その結果、分析→設計→改善の一連のプロセスを経て、サイトの月間PV数は約2倍に増加しました。
さらに社内での更新フローが効率化され、海外市場からの問い合わせも増加するなど、多角的な成果が生まれています。
会員サイトのUI改善で10万件のCV増加|オリコのUX改革
オリエントコーポレーション(オリコ)は、自社の会員向けWebサイトにおいて、UI・UXの改善を通じて利便性とCV率の向上を目指しました。
カスタマージャーニーを可視化した上で、スマートフォンでの操作性、ログイン導線、アクションボタンの配置などを検証。
ABテストやユーザーインタビューなど定性・定量の両面からの分析を実施し、段階的にサイトを改善しました。
その結果、半年間で約10万件のCV(会員アクション)の増加を実現しました。
Web上のユーザー体験を継続的に改善することで、長期的な成果に結びついた成功事例です。
上記3つの事例からわかる、成果を出すための共通点は以下のとおりです。
- ユーザー行動や課題を具体的なデータで可視化している
- 定量・定性のアプローチを組み合わせて、仮説を立てている
- 改善策を実行した後、数値で効果を検証し、次に活かしている
このように、サイト分析は単なるデータ収集ではなく、課題を発見し、成果に結びつく改善サイクル(PDCA)を回すための基盤です。
事例を参考に、自社でも分析を起点とした改善プロセスを設計していきましょう。
まとめ
Webサイトの運営において、感覚や経験に頼った施策では限界があります。
だからこそ、ユーザーの行動や流入経路、成果につながる動線などをデータで把握し、根拠ある改善を繰り返す「サイト分析」が必要不可欠です。
この記事では、サイト分析の基本から、実践で見るべき指標、無料で使えるツール、さらには企業の成功事例まで幅広く紹介しました。
特に以下のポイントは、明日からでも取り入れられる実践知として重要です。
- 分析の前に、目的・KPI・対象期間を明確に設定する
- 定量と定性の両面から、数字の背景にあるユーザー心理を読み取る
- PDCAサイクル(仮説→実行→検証→改善)を意識して施策に活かす
- 無料ツールでも十分に実践可能。まずは見る習慣をつけることが大切
- 成果を出す企業は、分析を軸に改善を継続する文化を持っている
一見すると難しく感じるかもしれませんが、サイト分析は慣れが何より重要です。
ツールを触り、データを見て、仮説を立てるという繰り返しの中で、自社サイトにとって本当に必要な改善点が少しずつ見えてきます。
サイトを成長させる資産に変えるために、今日から分析を始めてみましょう。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月