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売上原価とは?損益計算書での計算方法・仕訳・製造原価との違いを解説

売上原価とは?損益計算書での計算方法・仕訳・製造原価との違いを解説

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この記事でわかること

    損益計算書の書類と電卓

    売上原価とは、商品やサービスを売るために直接かかった費用のことです。
    損益計算書では売上高のすぐ下に記載され、会社の「儲け」を判断するうえで欠かせない項目です。

    ただ、「仕入高と何が違うのか」「在庫がある場合はどう計算するのか」「人件費は含めるのか」など、売上原価は分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
    仕組みを理解しないまま数字を見ると、利益の増減理由を正しく把握できないこともあります。

    この記事では、売上原価の基本的な考え方から、損益計算書での見方、計算方法や具体例までを、できるだけ分かりやすく解説します。
    会計の知識がない方でも理解できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

    関連するテーマについては、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

    損益計算書(PL)の作り方|見方・手順・注意点・EC/D2C事業のPLシミュレーション

    売上原価とは?損益計算書での基本的な意味と役割

    キャッシュフローと人形

    売上原価とは、商品やサービスを販売するために直接かかった費用のことです。
    損益計算書(P/L)では、売上高のすぐ下に表示され、企業の利益構造を理解するうえで重要な役割を持っています。

    ここでは、売上原価の基本的な考え方と、損益計算書の中でどのような意味を持つのかを整理します。

    売上原価は「売れた分」に対応するコスト

    売上原価の最大のポイントは、「当期に売れた分に対応する費用だけを指す」という点です。
    単に仕入れた金額や製造にかかった総額すべてが、売上原価になるわけではありません。

    例えば、100個の商品を仕入れて80個を販売した場合、売上原価として計上されるのは、80個分の仕入れ費用です。
    残りの20個分は、まだ販売されていないため、費用ではなく「在庫(棚卸資産)」として扱われます。

    このように、売上原価は売上と対応して計上される費用であり、売れていない分のコストを含めないことが正しい利益計算につながります。

    売上原価は損益計算書のどこに記載してある?粗利との関係

    損益計算書では、売上原価は「売上高」の直下に記載されます。
    これは、売上高から売上原価を差し引くことで、売上総利益(粗利)を計算するためです。

    売上総利益は、企業が商品やサービスそのものからどれだけ利益を生み出せているかを示す指標です。
    そのため、損益計算書を読む際は、売上高だけでなく、「売上原価がどれくらいかかっているか」に注目することが欠かせません。

    売上原価が高ければ粗利は小さくなり、逆に売上原価を抑えられていれば、利益を確保しやすい構造になります。

    売上原価の正しい把握が重要な理由

    売上原価を正しく把握できていないと、損益計算書を見ても利益が増減している本当の理由が分かりません。
    例えば、

    • 売上が伸びているのに利益が増えない
    • 原価率が悪化している原因が分からない

    といった状況は、売上原価の計算や範囲にズレがあることで起きやすくなります。

    売上原価を正しく理解することで、「価格設定は適切か」「仕入や製造コストに無駄はないか」といった判断がしやすくなり、経営改善や利益向上につなげることができます。

    出典:

    国税庁|確定申告書等の様式・手引き等

    日本税理士会連合会|中小企業の会計に関する指針

    売上原価の計算方法|在庫(棚卸資産)を使った基本式

    キャッシュフロー計算書の作り方を学ぶ

    売上原価は、「その年(その期間)に売れた商品やサービスに、いくら費用がかかったのか」を正しく計算するための数字です。
    そのため、仕入れた金額をそのまま使うのではなく、「在庫(売れ残り)」を調整して求める必要があります。
    売れた商品だけを費用として計上し、まだ売れていない分は将来に繰り越す仕組みになっています。

    会計上はこの考え方を使うことで、売上と原価を対応させ、損益計算書(P/L)に正確な利益を反映させることができます。

    売上原価の計算式:期首在庫+当期仕入-期末在庫

    売上原価は、次の計算式で求めます。

    売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 - 期末在庫

    それぞれの意味を、できるだけ簡単に整理すると以下の通りです。

    用語 意味
    期首在庫 期のはじめに残っていた売れ残りの商品
    当期仕入 その期間中に新しく仕入れた商品
    期末在庫 期の終わりにまだ売れずに残っている商品

    この式は、「売る可能性があった商品」から「売れ残った商品」を引くことで、実際に売れた分だけを取り出すという考え方に基づいています。

    出典:青色申告決算書(一般用)の書き方(令和6年分)|国税庁

    在庫を考慮する理由

    在庫を考慮しないと、まだ売れていない商品の費用まで、無理やりその年の費用にしてしまうことになります。
    例えば、次のようなケースを考えてみてください。

    ・期首在庫:50万円

    ・当期仕入:100万円

    ・期末在庫:30万円

    この場合の売上原価を計算式で表すと次のような式になります。

    50万円 + 100万円 - 30万円 = 120万円

    もし在庫を考慮せずに「仕入れた100万円」をそのまま費用にしてしまうと、売れていない30万円分の商品、将来売れる可能性のある商品まで費用に含めてしまいます。

    その結果、利益が実際よりも少なく表示されてしまい、会社の成績を正しく判断できなくなるのです。
    在庫を調整するのは、その年に本当にかかった費用だけを正しく出すために必要となります。

    出典:期首商品(製品)棚卸高とは|国税庁 確定申告書等作成コーナー

    費用収益対応の原則と売上原価の考え方

    利益は、一定の期間ごとに会社の成績を把握するための指標です。
    そのため、ある期間の利益を計算する際には、その期間に発生した売上と費用だけを使って計算する必要があります。
    この考え方を、会計では「費用収益対応の原則」と呼びます。
    簡単に言うと、「その期間の売上に対応する費用だけを、その期間の費用として計上する」というルールです。

    売上原価の計算も、この考え方に基づいています。

    • その期間に売れた商品にかかった費用は、「売上原価」として計上する
    • まだ売れていない商品にかかった費用は、「在庫(棚卸資産)」として残す

    こうして売れた分と売れていない分を分けて考えることで、損益計算書にはその期間の実態に近い利益が表されます。
    売上原価の計算式は、この原則を具体的な数字に落とし込んだものです。

    出典:売上原価|国税庁 確定申告書等作成コーナー

    在庫評価方法の違いで利益はどう変わる?

    パソコンの前で指差しをするスーツ姿の男性

    売上原価を計算する際、もう一つ重要になるのが「在庫をいくらで評価するか」という考え方です。
    同じ数量の商品を持っていても、どの評価方法を使うかによって、売上原価や利益の金額が変わることがあります。
    ここでは代表的な在庫評価方法である「先入先出法」と「平均法」について、仕組みと特徴、利益への影響を整理します。

    先入先出法とは|特徴とメリット・デメリット

    先入先出法とは、「先に仕入れた商品から先に売れたものとして扱う」評価方法です。
    古い在庫から順番に売れていくと考えるため、在庫の流れを直感的にイメージしやすいのが特徴です。

    この方法では、物価が上昇している状況では、比較的安い時期に仕入れた商品の原価が売上原価になります。
    その結果、売上原価は低くなりやすく、利益は大きく見える傾向があります。

    一方で、期末在庫には新しく仕入れた商品が残るため、在庫金額が高くなりやすい点には注意が必要です。
    利益が出やすい反面、税負担が増える可能性がある点がデメリットとして挙げられます。

    出典:先入先出法での棚卸資産の評価・商品有高帳の記入例|マネーフォワード クラウド会計

    平均法とは|特徴とメリット・デメリット

    平均法とは、仕入れた商品の単価を平均して、在庫や売上原価を計算する方法です。
    仕入れのたび、または期末に平均単価を算出し、その単価で売上原価と在庫を評価します。

    この方法の特徴は、価格変動の影響を平準化できる点です。
    仕入価格が上がったり下がったりしても、平均値で処理されるため、利益が大きくブレにくくなります。

    一方で、「いつの・どの仕入分が売れたか」ということが把握しづらくなる場合があります。
    在庫の動きを細かく把握したい場合には、管理が分かりづらく感じるデメリットがあります。

    在庫評価方法の違いが損益計算書に与える影響

    先入先出法と平均法の違いは、売上原価の金額に直接影響します。
    そして売上原価が変わると、損益計算書に表示される利益も変わります。
    特に、仕入価格が上昇している局面では、次のような傾向が出やすいとされています。

    • 先入先出法:売上原価が低くなりやすく、利益が大きく見える
    • 平均法:売上原価が平均化され、利益が安定しやすい

    重要なのは、「どの方法が正しいか」ではなく、一度選んだ評価方法を継続して使うことです。
    評価方法を途中で変えると、利益の増減が実態によるものなのか、計算方法の違いによるものなのかが分かりにくくなります。

    在庫評価方法は、売上原価を通じて損益計算書の見え方に影響するため、自社の事業内容や在庫の性質に合った方法を選び、継続的に運用することが重要です。

    売上原価と混同しやすい勘定科目との違い

    勘定科目

    売上原価は、会計の中でも特に他の勘定科目と混同されやすい項目です。
    理由は、どれも「商品に関係するお金」に見えるため、違いが感覚的につかみにくいからです。
    ここでは、実務でよく混同される「仕入高」「製造原価」「販売費及び一般管理費(販管費)」との違いを整理します。

    仕入高と売上原価の違い

    仕入高とは、その期間中に仕入れた商品の合計金額を指します。
    一方、売上原価は、その期間に実際に売れた商品に対応する原価です。
    両者の違いは、「在庫を考慮しているかどうか」にあります。

    勘定科目 何を表すか
    仕入高 期間中に仕入れた金額の合計
    売上原価 売れた分に対応する仕入・製造コスト

    例えば、商品を100万円分仕入れても、そのうち70万円分しか売れていなければ、売上原価になるのは70万円分だけです。

    りの30万円分は、在庫(棚卸資産)として翌期以降に持ち越されます。
    つまり、仕入高は途中経過の数字、売上原価は最終的に利益計算に使われる数字と考えると理解しやすいでしょう。

    製造原価と売上原価の違い

    製造原価とは、製品を作るためにかかったコストの合計を指します。
    材料費・労務費・製造経費などが含まれ、製造業で使われる考え方です。

    一方、売上原価は、完成した製品のうち、その期間に売れた分の製造原価です。

    勘定科目 対象
    製造原価 作った製品すべてのコスト
    売上原価 売れた製品分のコスト

    つまり、製造原価は「作る段階」の数字で、売上原価は「売れた結果として利益計算に使う数字」です。

    完成していても、まだ売れていない製品の原価は売上原価には含まれず、在庫として扱われます。

    販売費及び一般管理費(販管費)と売上原価の違い

    販売費及び一般管理費(販管費)とは、商品やサービスを販売・管理するためにかかった費用です。
    売上原価と違い、商品そのものを作ったり仕入れたりする費用ではありません。
    代表的な販管費には、次のようなものがあります。

    • 営業担当者や事務スタッフの人件費
    • 広告宣伝費
    • 事務所の家賃や通信費

    売上原価との区分の仕方は次の通りです。

    区分 内容
    売上原価 商品・サービスそのものに直接かかった費用
    販管費 販売や会社運営のためにかかった費用

    売上原価は売上高から直接差し引かれ、売上総利益(粗利)を計算するために使われます。
    一方、販管費は粗利から差し引かれ、営業利益を計算するために使われます。

    【業種別】売上原価に含まれる費用の具体例

    PCを前に考える人

    売上原価に含まれる費用の範囲は、業種によって大きく異なります。
    同じ「売上原価」という言葉でも、商品を仕入れて売る業種と、製品を製造する業種、サービスを提供する業種では、考え方がまったく違います。
    ここでは代表的な業種ごとに、どこまでが売上原価に含まれるのかを具体的に整理します。

    小売業・卸売業|商品を仕入れるまでにかかった費用

    小売業・卸売業の売上原価は、商品を仕入れて販売できる状態にするまでに直接かかった費用です。
    商品の仕入代金はもちろん、仕入れの過程で必ず発生する送料や関税なども売上原価に含めます。

    一方で、商品を売るための人件費や店舗の家賃などは、売上原価ではなく販管費になります。
    判断の基準は、「その商品を仕入れるために必要だったかどうか」です。

    【小売業・卸売業の売上原価に含まれるもの・含まれないもの】

    費用の内容 売上原価
    商品の仕入代金 含める
    仕入時の送料・運賃 含める
    関税・通関手数料 含める
    店舗の家賃 含めない(販管費)
    販売スタッフの人件費 含めない(販管費)

    製造業|製品を作るためにかかった費用

    製造業の売上原価は、製品を作るために直接かかった費用です。
    原材料費や製造現場の人件費、工場で使う光熱費などが該当します。

    一方で、本社の管理部門や営業部門の費用は売上原価には含めません。
    判断の基準は、「製品を作る工程に直接関係しているかどうか」です。

    【製造業の売上原価に含まれるもの・含まれないもの】

    費用の内容 売上原価
    原材料・部品の仕入 含める
    製造現場の人件費 含める
    工場の光熱費・減価償却費 含める
    営業部門の人件費 含めない(販管費)
    本社管理部門の費用 含めない(販管費)

    サービス業・IT受託|案件に直接かかった費用

    サービス業やIT受託では、特定の案件やプロジェクトに直接かかった費用が売上原価になります。
    外注費や、案件専任で動いている人の人件費が代表例です。

    一方で、営業活動や会社全体の管理にかかる費用は売上原価に含めません。
    判断の基準は、「その案件がなければ発生しなかった費用かどうか」です。

    【サービス業・IT受託の売上原価に含まれるもの・含まれないもの】

    費用の内容 売上原価
    外注先への支払費用 含める
    案件専任スタッフの人件費 含める場合が多い
    営業担当の人件費 含めない(販管費)
    管理部門の人件費 含めない(販管費)

    飲食業|提供した料理・飲み物の材料費

    飲食業の売上原価は、提供した料理や飲み物に使った材料費です。
    食材費や飲料の仕入代金が中心になります。
    スタッフの人件費や店舗の家賃は、売上原価ではなく販管費として扱うのが一般的です。

    判断の基準は、「料理そのものに直接使われたかどうか」です。

    【飲食業の売上原価に含まれるもの・含まれないもの】

    費用の内容 売上原価
    食材の仕入費 含める
    飲料の仕入費 含める
    調理スタッフの人件費 含めない(販管費が一般的)
    店舗家賃・水道光熱費 含めない(販管費)

    出典:売上原価とは?計算方法や業種ごとの違い、よくある間違いを解説|クラウド会計ソフト マネーフォワード クラウド会計

    売上原価を計上する際の仕訳方法

    書類をチェックする男性の手元

    売上原価は、売上と同じタイミングで費用として計上する必要があります。
    そのため、日々の取引(期中)と、決算時(期末)で行う仕訳の考え方が少し異なります。

    ここでは、実務で最も一般的な「三分法」を中心に、売上原価の仕訳方法を整理します。

    三分法による売上原価の処理方法

    三分法とは、商品に関する取引を「仕入」「売上」「売上原価」の3つに分けて記録する方法です。
    日々の取引では仕入と売上だけを記録し、売上原価は期末の決算整理でまとめて計算・計上します。
    そのため、期中は売上原価が帳簿に直接は出てきません。

    この方法は、日々の処理がシンプルなため、多くの企業で採用されています。

    出典:売上原価対立法とは?三分法や分記法との違いから仕訳例までわかりやすく解説!|株式会社マネーフォワード

    期中処理と期末の決算整理仕訳

    三分法では、期中の帳簿には「仕入」と「売上」だけが記録されます。
    この時点の「仕入」は、その期間に購入した金額の合計であり、売上原価ではありません。
    売上原価として計上すべきなのは、その期間に実際に売れた商品の分だけです。

    そのため、決算時には棚卸を行い、期首在庫・当期仕入・期末在庫を使って売上原価を確定させます。
    決算整理で行っていることは、次の2点に集約されます。

    • 前期から繰り越した在庫を、当期に売れた可能性のある原価として加える
    • 当期に仕入れたが売れていない在庫を、当期の費用から除外する

    この調整によって、仕入勘定の残高が「売上原価」となり、損益計算書にはその期間に対応した正しい原価が表示されます。
    表にすると、次のような整理になります。

    【決算整理で行う調整】

    調整内容 目的
    期首在庫を加える 前期の在庫が当期に売れた分を原価に含めるため
    期末在庫を差し引く 当期に売れていない分を原価に含めないため

    三分法と売上原価対立法の違い

    売上原価の計上方法には、「三分法」以外に「売上原価対立法」という方法もあります。
    ただし、実務で使われることは多くありません。
    売上原価対立法では、三分法とは違い、商品を販売したタイミングで、売上と同時に売上原価も仕訳で計上します。

    【三分法と売上原価対立法の違い】

    項目 三分法 売上原価対立法
    売上原価の計上タイミング 期末にまとめて行う 販売時に都度
    日々の処理 シンプル 複雑になりやすい
    実務での使用 一般的 あまり使われない

    出典:

    売上原価対立法とは?三分法や分記法との違いから仕訳例までわかりやすく解説!|クラウド会計ソフト マネーフォワード クラウド会計

    基本通達・法人税法 第1款 売上原価等|国税庁

    売上原価率とは?損益計算書から読み解く収益性の指標

    PCの前で考える女性

    売上原価率は、売上高に対してどれだけのコスト(売上原価)がかかっているかを示す割合です。
    売上原価が大きいほど、利益を残す余力は小さくなります。
    そのため、企業の収益性を分析するうえで重要な指標の一つであり、売上原価率が低いほど収益性が高いと判断されます。

    売上原価率の計算方法と損益計算書での見方

    売上原価率は、次の計算式で求めます。

    売上原価率(%)= 売上原価 ÷ 売上高 × 100

    この数値を見ることで、売上高のうち、どれくらいが原価として使われているかが分かります。
    損益計算書では、売上高のすぐ下に「売上原価」が表示されています。

    この売上原価を売上高で割ることで、企業の収益性を割合として把握できます。

    【売上原価率の計算例】

    実際に数字を使って、売上原価率を計算してみましょう。
    売上高が1,000万円、売上原価が700万円の場合、計算は次のようになります。

    • 売上高:1,000万円
    • 売上原価:700万円

    計算式:売上原価率 = 700万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 70%

    この場合、売上高のうち70%が原価に使われており、残りの30%が売上総利益(粗利)となります。
    この割合を見ることで、今のビジネスがどれくらい利益を出しやすい状態かが分かります。

    出典:原価率とは?計算方法や業種別の目安などを解説|弥生株式会社

    売上原価率が高い・低い場合に考えられる原因

    売上原価率の高さ・低さからは、収益性やコスト構造についてさまざまな示唆が得られます。

    【売上原価率が高い場合】

    売上原価率が80%を超えるなどと高い場合、次のような原因が考えられます。

    • 仕入コストや原材料費が高い
    • 在庫ロスや廃棄が多い
    • 価格転嫁ができていない(値上げできていない)
    • 生産効率が低い など

    売上原価率が高いと、同じ売上高でも粗利が小さくなってしまいます。
    そのため、 収益性の低下や資金繰りの悪化のリスク につながる可能性があります。

    【売上原価率が低い場合】

    一方、売上原価率が50%に抑えられているなど、低い場合は次のような示唆があります。

    • 仕入
    • 原価が安く抑えられている
    • 販売価格が高く利益率が高い
    • 業務効率・生産性が高い など

    売上原価率が低いほど、粗利率(売上総利益率)は高くなり、 投資余力や経営の余裕 が出ると捉えられます。

    出典:売上原価率とは? 計算式や平均、高い場合の改善方法を解説|クラウド会計ソフト マネーフォワード クラウド会計

    業種別に見る売上原価率の目安と考え方

    売上原価率の「標準」や「目安」は業種によって大きく異なります。
    同じ原価率でも、業種によって評価は変わるため、同業他社や業界平均と比較することが重要です。

    業種別売上原価率の一例

    業種 売上原価率の目安
    製造業 約80%前後
    小売業 約70〜75%
    情報通信業 約65%前後
    飲食サービス 約50〜60%

    上記は一般的な傾向の例であり、企業規模や商品構成によって差が出ます。
    実際には同業他社データと比較して判断するのが良いでしょう。

    このように、業種ごとの特性を理解したうえで売上原価率を評価すると、収益性の強み・弱み がより正確に見えてきます。

    出典:売上原価率とは? 計算式や平均、高い場合の改善方法を解説|クラウド会計ソフト マネーフォワード クラウド会計

    売上原価が合わない原因とは?実務で多い3つの落とし穴

    会議をする人たち

    売上原価は計算式自体はシンプルですが、実務では「なぜか数字が合わない」「利益が想定とズレる」といった問題が起きやすい項目です。

    その多くは、原価の考え方ではなく、日々の管理や前提条件のズレが原因になっています。
    ここでは、実務で特に多い3つのケースを紹介します。

    IT受託・サービス業で多い工数管理ミスによる原価ズレ

    IT受託やサービス業では、売上原価の中心になるのは人件費や外注費です。
    そのため、工数管理が曖昧だと、売上原価が実態とズレやすくなります。

    よくあるのが、「どの案件に、どれくらい時間を使ったのか」が正確に把握できていないケースです。
    本来は特定の案件に直接かかった人件費だけを売上原価に含めるべきですが、工数が管理されていないと、原価が過小・過大に計上されてしまいます。

    その結果、実際には十分な利益が出ていないにもかかわらず黒字だと判断してしまったり、反対に、きちんと利益が出ている案件を赤字だと誤って評価してしまったりすることがあります。

    工数管理が不十分な場合、次のようなズレが起きやすくなります。

    • 作業時間を記録していないため、案件ごとの原価を正確に把握できない
    • 複数の案件を兼務しているにもかかわらず、工数の配分が曖昧になっている
    • 管理部門や間接業務の人件費まで、売上原価に含めてしまっている

    工数管理のズレは、売上原価の数字そのものだけでなく、案件ごとの収益判断を誤らせる原因になります。

    飲食業で起きやすいロス・廃棄を考慮していない原価計算

    飲食業の売上原価は、仕入れた食材や飲料のコストが大部分を占めます。
    そのため、「いくらで仕入れたか」だけで原価を考えてしまうと、実態とのズレが生じやすくなります。

    飲食業では、売れ残りや調理ミス、賞味期限切れなどによって、一定量の食材が廃棄されます。

    このロスを前提にせず、仕入額ベースで原価を管理していると、帳簿上の原価は低く見えてしまいます。
    その結果、原価率が想定よりも高くなった原因が分からず、「なぜ利益が残らないのか」を説明できなくなるケースが少なくありません。

    ロスや廃棄を十分に把握できていない場合、次のような状態になりがちです。

    • メニューごとの原価率が実態よりも良く見えてしまう
    • 原価率の悪化に気づくタイミングが遅れる
    • 利益が出ていない原因を売上不足だと誤解してしまう

    ロスを含めた原価管理ができていないと、数字上は問題がなさそうに見えても、実際の経営状況を正しく把握できなくなってしまうため、要注意です。

    在庫評価の誤りによって利益が大きく変わるケース

    売上原価は、期末に残っている在庫の評価によって決まります。
    この在庫の金額が正確でなければ、売上原価も利益も、正しい数字にはなりません。

    実務で多いのは、棚卸が十分に行われておらず、在庫数や評価額を「おおよそ」で処理してしまっているケースです。

    期末在庫を実態より多く計上すると、売上原価は小さくなり、利益が過大に見えます。

    反対に、在庫を少なく見積もると、売上原価が膨らみ、利益が不自然に小さくなります。
    在庫評価に問題があると、次のような影響が出やすくなります。

    • 毎期の利益が安定せず、増減の理由を説明できない
    • 在庫の増減によって、業績が大きく変動しているように見える ・
    • 前年との業績比較が正しくできない

    在庫評価のズレは一時的なミスで終わらず、継続的に数字の信頼性を下げ、経営判断を難しくする要因になります。

    売上原価を下げて利益を改善するためのポイント

    グラフと手

    売上原価を改善するというと、「仕入を安くする」「コストを削る」といったイメージを持たれがちです。
    しかし実務では、単純なコストカットだけでは逆効果になるケースも少なくありません。

    重要なのは、「どこに原価がかかっているのかを正しく把握したうえで、無理のない改善を積み重ねること」です。

    このセクションでは、実務で取り組みやすく、かつ売上原価の改善と利益の向上につながりやすいポイントを整理します。

    仕入価格・外注費を見直すときのチェックポイント

    売上原価を下げる際、最初に目が向きやすいのが仕入価格や外注費です。

    ただし、単純に「安い業者に切り替える」だけでは、品質低下や業務効率の悪化を招くことがあります。
    見直す際は、価格そのものだけでなく、取引条件や業務負担も含めて確認することが重要です。

    仕入価格・外注費を見直す際は、次のような点をチェックします。

    • 仕入量や発注頻度が適切か(まとめ発注で単価を下げられないか)
    • 継続取引による条件見直しの余地がないか
    • 外注に出している業務が、本当に外注である必要があるか
    • 品質低下や納期遅延による間接的なコスト増が起きていないか

    仕入価格や外注費の見直しは、原価率に直接影響する一方で、事業の土台にも関わる要素です。
    短期的な削減だけで判断せず、継続的に利益を生む形になっているかを確認することが大切です。

    製造・提供プロセスのムダを減らす原価管理の考え方

    売上原価は、仕入価格だけで決まるものではありません。
    製造やサービス提供のプロセスに無駄が多いと、原価は自然と膨らみます。
    たとえば、

    • 作り直しが多い
    • 工程が複雑で時間がかかっている
    • 属人化しており、非効率な作業が発生している

    といった状態では、目に見えない原価が積み重なります。

    このような場合、原価を下げるために必要なのは、「人を減らすこと」ではなく、作業の流れを見直すことです。
    製造・提供プロセスを見直す際の視点としては、次のようなものが挙げられます。

    • 同じ作業を何度も繰り返していないか
    • 本来不要な工程が残っていないか
    • 誰がやっても同じ品質になる仕組みになっているか

    プロセス改善による原価低減は、品質を維持したまま利益を改善できる方法として有効です。

    在庫管理と棚卸精度を高めることが利益改善につながる

    在庫管理や棚卸は、地味な作業に見えますが、売上原価の精度を高めるうえで欠かせません。
    在庫の数量や評価額が正確でなければ、売上原価も正しく算出できません。

    在庫管理が十分に行われていないと、売上原価の金額が毎期安定せず、原価率がなぜ変動しているのか分からなくなります。

    その結果、そもそも利益が出ているのかどうかを正しく判断できない状態に陥りやすくなってしまいます。

    棚卸精度を高めることで、「売れた分だけを原価として計上する」状態が保たれ、結果として、利益の改善ポイントが見えやすくなります。

    在庫管理は、原価を直接下げる施策ではありませんが、正しい判断をするための前提条件として重要な役割を持っています。

    売上原価と損益計算書に関するよくある質問

    Q&Aとスマートフォン

    売上原価について理解が進んでも、実務では「この場合はどう考えればいいのか」と迷う場面が少なくありません。
    特に、人件費の扱いや在庫の考え方などは、判断に悩みやすいポイントです。

    このセクションでは、売上原価に関して実務でよく寄せられる質問を取り上げ、考え方の整理につながるよう解説します。

    Q1.人件費はすべて売上原価に含めるべきですか?

    すべての人件費が売上原価になるわけではありません。

    売上原価に含めるのは、商品やサービスの提供に直接かかわった人件費に限られます。
    たとえば、製造現場の作業員や、案件専任のエンジニアの人件費は売上原価に含まれる場合があります。
    一方で、営業担当や管理部門の人件費は、通常は販売費及び一般管理費(販管費)として処理します。

    Q2.赤字決算でも売上原価は計上されますか?

    赤字か黒字かに関係なく、売上原価は計上されます。

    売上原価は「売れた分に対応する費用」であり、利益が出ているかどうかとは別の考え方です。
    たとえ最終的に赤字であっても、売上が発生していれば、その売上に対応する売上原価は必ず計上されます。

    Q3.在庫が多いと、売上原価はどうなりますか?

    期末に在庫が多い場合、売上原価は小さくなります。

    売上原価は「売れた分の原価」なので、まだ売れていない在庫は費用に含めないためです。
    逆に、在庫が少ない(多く売れた)場合は、売上原価が大きくなります。
    そのため、在庫の増減によって利益が変動するように見えることがあります。

    Q4.在庫評価の方法を変えると、売上原価や利益は変わりますか?

    変わる可能性があります。
    先入先出法や平均法など、在庫評価の方法によって、売上原価の金額が異なるためです。

    ただし、評価方法を頻繁に変更すると、利益の比較が難しくなります。
    原則として、一度決めた方法は継続して使うことが重要です。

    Q5.売上原価を下げれば、必ず利益は改善しますか?

    必ずしもそうとは限りません。

    無理な原価削減によって、品質低下や業務効率の悪化が起きると、かえって利益が減ることもあります。
    重要なのは、原価を下げることそのものではなく、原価の中身を把握したうえで改善することです。

    まとめ|売上原価を理解することが経営改善の第一歩

    電卓とPC

    売上原価は、単なる会計上の数字ではなく、事業の収益構造そのものを映す指標です。

    どこにどれだけのコストがかかっているのかを正しく把握できれば、利益が出ない原因や、改善すべきポイントも自然と見えてきます。

    まずは、売上原価に含める範囲や計算方法が自社の実態と合っているかを確認することが重要です。
    そのうえで、原価がズレやすいポイントや管理が甘くなりやすい部分を見直し、無理のない改善から取り組んでいくことで、利益の安定につながります。

    売上原価を正しく理解し、継続的に向き合うことは、経営判断の精度を高めることにつながります。
    数字を単なる結果として見るだけでなく、「次の一手を考えるための材料」として活用していくことが、経営改善への確かな一歩になります。

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