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原価率や利益率とは?計算方法・業界別の目安・販売価格の決め方を解説

原価率や利益率とは?計算方法・業界別の目安・販売価格の決め方を解説

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この記事でわかること

    ノートと計算機

    原価率と利益率は、どちらも「どれだけ効率的に利益を生み出せているか」を判断するうえで欠かせない指標です。原価率を下げ、利益率を上げることで、同じ売上でも手元に残る利益を増やせます。本記事では、原価率・利益率の基本から計算方法、業界別の目安、改善のための具体的な施策までをわかりやすく解説します。

    原価率とは?計算方法・業種別の目安

    グラフの上に置かれた原価と書かれた紙
    原価率とは、売上高に対してどの程度の原価が占めているかを示す指標です。企業や店舗が収益性や経営の効率を判断するうえで欠かせない数値といえます。
    たとえば、飲食店であれば食材費、小売業では商品の仕入れ価格、製造業では原材料費・製造人件費・工場の光熱費などが原価に該当します。原価率を分析することで、無駄なコストの削減や価格設定の最適化が可能になります。
    原価率が高ければ、売上に対してコストの負担が大きいことを意味し、利益が減少します。逆に低すぎる場合は、品質低下や顧客満足度の低下を招くリスクも。そのため、業種ごとの適正な原価率を把握し、バランスを取ることが安定経営の鍵となります。

    原価率の計算方法

    原価率は次の計算式で求められます。

    原価率(%)=(原価 ÷ 売上高)×100

    たとえば、1杯400円のコーヒーを販売する際、原価が120円であれば「原価率(%)=(120 ÷ 400)×100=30%」となり、売上の30%が原価にあたることがわかります。
    また、複数の商品を扱う場合は、各商品の原価率をもとに全体の平均を算出します。

    【業種別】原価率の目安

    原価率の目安は業種によって大きく異なります。以下は、中小企業庁「令和6年確報(令和5年度決算実績)」をもとに算出された主要業種の原価率の目安です。

    業種 原価率
    卸売業 85.04%
    製造業 78.92%
    運輸業、郵便業 76.61%
    建設業 75.79%
    小売業 70.21%
    生活関連サービス、娯楽業 59.98%
    サービス業(他に分類されないもの) 58.61%
    不動産、物品賃貸業 53.51%
    情報通信業 52.7%
    学術研究、専門・技術サービス業 39.4%
    宿泊業、飲食サービス業 32.76%

    ※引用元:ジョブカン会計「原価率とは?計算方法や業種別の目安、利益率の求め方をわかりやすく解説」
    たとえば、飲食業の原価率は一般的に30%前後が目安とされるため、食材コストを3倍前後の価格で販売すれば、家賃・人件費を含む経費をカバーできます。利益確保のためには、自社の業種に合った基準をもとに、継続的な見直しを行うことが重要です。

    原価率を把握するメリット

    原価率を定期的に把握・分析することで、企業経営には次のようなメリットがあります。
    利益管理がしやすくなる
    原価率を求めることで、商品やサービスごとの利益構造を明確にできます。どの製品が高利益か、どの製品が改善対象かを判断でき、戦略的な価格設定が可能になります。
    コスト削減につながる
    原価率が高い場合、その原因を分析することで、仕入先の見直しや間接費の削減など具体的な改善策を導き出せます。
    原価の妥当性を判断できる
    業種平均と比較することで、自社の原価が適正かどうかを評価できます。原価率を意識することは、利益を守るだけでなく、健全な経営体質をつくる第一歩です。

    利益率とは?計算方法・業種別の目安

    グラフの上に置かれた利益と書かれた紙
    利益率とは、売上高に対してどの程度の利益を得ているかを示す指標です。企業の収益性や経営効率を測るうえで欠かせない数値であり、売上から原価や費用を差し引いた利益の割合を示します。
    たとえば、売上高が100万円で利益が20万円なら利益率は20%です。なお、売上高は原価と利益の合計で構成されるため、「原価率+利益率=100%」の関係が成り立ちます。利益率が高いほど、同じ売上でも効率的に利益を上げているといえます。

    利益率の種類と計算方法

    利益率には、企業活動のどの段階で利益を測るかによっていくつかの種類があります。主に「売上総利益率」「営業利益率」「経常利益率」「当期純利益率」の4つがあり、それぞれ異なる観点から収益性を把握できます。ここでは、それぞれの利益率の意味と計算方法をわかりやすく解説します。

    売上総利益率

    売上総利益率とは、売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益(粗利)」が、売上全体に対してどの程度の割合を占めるかを示す指標で、計算式は以下の通りです。

    売上総利益率=(売上総利益 ÷ 売上高)×100

    たとえば、原価が260円の弁当を500円で販売した場合、売上総利益は240円、売上総利益率は48%となります。
    この指標は、商品の価格設定や仕入れコストの妥当性を判断するために用いられます。売上総利益率が高い企業は、コスト管理や付加価値創出に優れているといえます。ただし、業種や市場環境によって標準的な水準は異なるため、同業他社との比較が重要です。

    営業利益率

    営業利益率とは、企業が本業の営業活動によってどれだけ利益を生み出しているかを示す割合です。売上総利益から販売費および一般管理費(販管費)を差し引いた「営業利益」を基に算出され、以下の計算式で求められます。

    営業利益率=(営業利益 ÷ 売上高)×100

    たとえば、売上高200億円、売上原価60億円、販管費(販売費及び一般管理費)50億円の企業であれば、営業利益は90億円、営業利益率は45%となります。
    営業利益率は、企業の収益構造や事業運営の効率性を評価するうえで最も重要な指標の一つです。粗利率では見えない広告費や人件費、家賃などのコスト構造も反映するため、実際の経営力をより正確に表します。
    営業利益率が高い企業は、コストを抑えながら安定した収益を確保しているといえるでしょう。逆に低い場合は、固定費や販売コストの見直しが必要です。

    経常利益率

    経常利益率は、企業全体の安定的な収益力を示す指標で、営業利益に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引いた経常利益を基に算出します。計算式は以下の通りです。

    経常利益率=(経常利益 ÷ 売上高)×100

    営業外収益には受取利息や配当金、不動産賃貸料などが含まれ、営業外費用には支払利息や有価証券売却損などが該当します。たとえば、売上高が1,000万円、経常利益が200万円なら経常利益率は20%です。
    この指標を見ることで、企業が本業だけでなく資金運用や財務活動を含めてどれだけ安定して利益を出しているかを把握できます。経常利益率の高さは、財務面も含めた収益体質が健全である証拠です。特に金融機関や投資家は、企業の安定的な経営力を評価する際にこの数値を重視します。

    売上高当期純利益率

    当期純利益率とは、売上高に対して最終的にどれだけの利益が残ったかを示す指標で、以下の計算式で求められます。

    当期純利益率=(当期純利益 ÷ 売上高)×100

    当期純利益は、経常利益に特別損益を加減し、さらに法人税などを差し引いた最終的な利益です。たとえば、売上高が9,000万円で、当期純利益が2,000万円であれば、当期純利益率は約22.2%となります。
    この数値は企業の「最終的なもうけの力」を表し、株主への配当や将来の投資にどれだけ資金を回せるかの判断材料になります。当期純利益率が高ければ、経営効率が良く安定した収益構造を持つ企業といえます。逆に低い場合は、税金や特別損失などの影響を受けている可能性があるため、原因分析が必要です。

    【業種別】利益率の目安

    利益率の水準は業種によって大きく異なります。経済産業省の「2024年企業活動基本調査確報ー2023年度実績ー」をもとに算出された、主要産業の平均的な営業利益率・経常利益率は以下の通りです。

    業種 営業利益率(平均値) 経常利益率(平均値)
    製造業 5.23% 9.33%
    卸売業 3.19% 5.57%
    小売業 3.81% 4.23%
    情報通信業 8.2% 10.65%
    飲食サービス業 3.93% 4.43%
    学術研究、専門・技術サービス業 4.56% 5.82%
    生活関連サービス業、娯楽業 9.56% 10.56%
    サービス業(その他のサービス業) 12.74% 14.98%

    ※引用元:ジョブカン会計「利益率とは?計算方法や目安、分析のポイントをわかりやすく解説」
    このように、利益率は業種によっても左右されます。製造業は設備投資が多いため利益率が低く、情報通信業は固定費が少なく高収益の傾向があります。自社の数値を業界平均と比較することで、改善の方向性を見極めることが可能です。

    原価率が高くなってしまう3つの原因

    注意マークが書かれたノート

    原価率が高くなる要因は、単に仕入れやコストの問題だけではありません。販売価格の設定、仕入れ条件、在庫や廃棄管理といった複数の要素が影響します。ここでは、原価率を押し上げる代表的な3つの原因をわかりやすく解説します。

    1.販売価格が低い

    販売価格が低すぎると売上高が減少し、結果的に原価率が高くなります。原価率は「原価 ÷ 売上高 × 100」で求められるため、同じ原価でも販売価格が低ければ分母である売上高が小さくなり、原価率の数値が大きくなる仕組みです。
    たとえば、原価が5,000円の商品を2万円で販売すれば原価率は25%ですが、1万円で販売すると50%に上昇します。つまり、値下げや割引販売を頻繁に行うと、売上高が減少し、利益率の低下や原価率の上昇を招くというわけです。
    また、一度値下げを行うと元の価格に戻しにくく、価格競争に巻き込まれるリスクもあります。顧客の購買意欲を高めるための値引き戦略は効果的な面もありますが、安易に行うと収益性を損ねる要因となります。市場価格や業種平均の原価率を参考にしながら、適正な販売価格を設定することが重要です。

    2.仕入れにかかるコストが高い

    仕入れコストが高いと、当然ながら原価も増加し、原価率の上昇につながります。特に、原材料費の高騰や為替変動、物流費や人件費の上昇といった外部要因は、企業努力だけでは抑えにくいコストです。仕入先を一社に依存している場合、価格交渉力が弱まり、仕入価格が高止まりすることもあります。
    対策としては、複数の仕入先を確保して価格交渉力を高める、仕入れ数量をまとめてスケールメリットを活かす、または長期契約で安定価格を確保するなどの方法が有効です。仕入れコストを最適化できれば、同じ売上でも利益率を高めることが可能になります。コスト上昇をそのまま吸収しようとせず、仕入れ戦略を見直すことが重要です。

    3.ロス率が高い

    ロス率とは、売上高に対してどの程度の損失や廃棄が発生しているかを示す指標で、以下の計算式で求められます。ロス率が高いほど、販売に結びつかないコストが多く発生しており、原価率の上昇を引き起こすため注意が必要です。

    ロス率=ロス金額 ÷ 売上高 × 100

    ロスの主な要因には、商品の破損・紛失・賞味期限切れなどによる「廃棄ロス」、在庫の過剰保有や管理ミスによる「在庫ロス」、販売機会を逃す「機会ロス」などがあります。
    たとえば、製造業では機械の老朽化や作業ミスによる材料の無駄、飲食業では従業員のスキル不足による調理ミス、小売業では不適切な在庫管理による不良品化などが典型例です。
    ロスを防ぐためには、設備のメンテナンスやスタッフ教育の強化、在庫回転率の見直しなど、業種に応じた改善策を講じる必要があります。ロス率を抑えれば無駄なコストを削減でき、結果的に原価率を下げられます。日々のオペレーション管理が、原価率改善の鍵を握るといえるでしょう。

    原価率を抑える5つの方法

    コストダウンを表すブロック

    原価率を抑えるためには、単にコスト削減を目指すだけでなく、仕入れ・販売・在庫など経営全体を見直すことが重要です。ここでは、利益率を維持しながら原価率を抑えるための、具体的で実践的な5つの方法を紹介します。

    1.仕入れ先を見直す

    仕入れコストの見直しは、原価率を下げるうえで最も効果的な方法の一つです。複数の仕入先から見積もりを取り、価格・品質・納期を比較検討することで、より良い条件での取引が見込めます。また、メーカーから直接仕入れることで中間マージンを省き、コストを抑えられる場合もあります。
    一方で、安さだけを追求すると品質低下による顧客離れを招く恐れがあるため、価格と品質のバランスを意識した選定が大切です。さらに、取引先を分散して価格交渉力を高めたり、逆に取引を集約してロット割引を活用したりするなど、自社のビジネスモデルに合った仕入れ戦略を検討しましょう。

    2.販売価格を変更する

    原価を下げることが難しい場合は、販売価格の見直しも有効です。原材料費や仕入れコストが上昇しているにもかかわらず価格を据え置いていると、結果的に原価率が悪化してしまいます。市場価格や業界平均の原価率を参考にしつつ、適正な価格設定を行いましょう。
    ただし、単純な値上げは顧客離れにつながるリスクがあります。そのため、付加価値を高めて価格に納得感を持たせる工夫が重要です。たとえば、品質向上やセット販売、限定メニューの導入などによって「価格以上の価値」を感じてもらうことで、販売価格を調整しながらも収益性を維持できます。

    3.廃棄ロスを減らす

    廃棄ロスの削減は、原価率を抑えるための基本的かつ重要な対策です。ロスには、売れ残りや破損、不良品、万引きなどによる廃棄も含まれます。これらのロスは、販売できない在庫として原価に直結し、利益を圧迫します。
    ロスを減らすには、まず在庫管理を徹底し、古い商品から販売する「先入れ先出し」を実施することが重要です。また、仕入時の検品を厳格化し、不良品を早期に発見・返品できる体制を整えましょう。製造業では品質管理や設備メンテナンスの強化が、飲食業では歩留まりを改善して食材の無駄を減らすことが効果的です。

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    4.生産プロセスを見直す

    自社で製造を行っている場合は、生産工程を細かく分析し、無駄な作業やコストを削減できる部分がないか確認しましょう。最新の生産技術を導入して効率化を図ったり、従業員のスキルアップで作業精度を高めたりすることで、生産コストの低下が期待できます。
    また、自社で生産するよりも外部のOEM(委託生産)を活用した方がコストを削減できるケースもあります。品質を維持しながら効率的な生産体制を構築することが、原価率改善の近道です。

    5.在庫管理を最適化する

    在庫管理が適切にできていないと、売れ残りや商品の劣化、保管コストの増加などが発生し、結果的に原価率を押し上げてしまいます。定期的に棚卸を行って在庫状況を正確に把握し、過剰在庫や欠品を防ぎましょう。長期間売れ残っている商品は、値下げ販売や処分を検討し、在庫回転率を改善することが重要です。
    さらに、リアルタイムで在庫を把握できるシステムを導入すれば、需要予測や発注精度が高まり、無駄のない在庫管理が可能になります。店舗や倉庫の規模に合わせた管理体制を整えれば、在庫コストを最小限に抑えられ、結果的に原価率を改善できるでしょう。

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    利益率を上げる4つの方法

    成長を示すグラフ

    利益率を上げるためには、「売上を増やす」「固定費・変動費を見直す」「原価を減らす」といった複数のアプローチが必要です。ここでは、企業規模や業種を問わず実践できる4つの具体的な方法を紹介します。

    1.売上アップの施策を取り入れる

    利益率を高める最も基本的な手段が、売上アップです。営業利益率や経常利益率などの指標では、人件費や家賃などの固定費を差し引いて算出するため、固定費が一定であれば売上が増えるほど利益率は向上します。
    売上を伸ばすには、販売数の増加と単価アップの両面から取り組むことが効果的です。販売数を増やすには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のリピート率向上や顧客単価の底上げが欠かせません。メールマーケティングやSNS運用、口コミ促進など、費用対効果の高い施策を重視しましょう。

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    2.固定費を見直す

    固定費とは、売上に関係なく毎月一定額発生する費用で、代表的なものに人件費、家賃、光熱費、広告費、保険料などがあります。これらを効率的に見直すことで、営業利益率や経常利益率を改善できます。
    まずは、固定費と変動費を明確に区別し、どの費用に削減余地があるかを把握しましょう。固定費の削減では、テレワーク導入によるオフィスコストの削減、不要なサブスクリプション契約の見直し、費用対効果の低い広告の削減などが効果的です。
    人件費の削減は特に慎重に進める必要があります。給与削減や人員削減は短期的なコストカットにはなりますが、士気の低下や離職リスクを招きかねません。代わりに、業務プロセスの効率化やDX化によって生産性を高め、残業削減で人件費を最適化することが望ましいでしょう。

    3.変動費を見直す

    変動費とは、売上の増減に応じて変化する費用のことで、主に原材料費、仕入れ代金、輸送費、販売手数料などが含まれます。変動費を適切に管理することは、粗利率や営業利益率の改善に直結します。
    見直しのポイントは、まず仕入れや外注コストの削減です。取引先の価格条件を比較・交渉し、より良い条件で契約を結ぶことが効果的です。また、大量仕入れや現金払いによる値引き交渉、物流コストの見直しも利益率改善につながります。

    4.原価を減らす

    原価とは、製品やサービスを提供するために必要な直接的な費用を指し、これを抑えることは全ての利益率改善に効果をもたらします。原価を削減するには、原材料や部品の見直し、生産工程の効率化、使用量の適正化などが有効です。
    たとえば、仕入れ先の変更やスケールメリットを活かした共同仕入れを行うことで、原材料コストを下げられます。また、工程の自動化や無駄な工程の排除によって製造コストを抑えることも可能です。
    ただし、過度なコスト削減は品質低下を招き、顧客満足度の低下やブランドイメージの損失につながるおそれがあります。品質を維持しながら無駄を減らす、バランスの取れたコスト管理が重要です。

    販売価格の決め方と計算方法

    電球マークが浮かんだ電卓

    販売価格の設定は、利益を確保しながら顧客に選ばれるための重要なプロセスです。原価や利益率、市場相場など複数の要素を考慮し、適正で競争力のある価格を導き出すことが成功の鍵となります。

    1.コスト(原価)を基準に決める

    販売価格の基本的な決め方は、原価を基準に設定する方法です。

    販売価格=原価(仕入価格)÷原価率

    たとえば、原価17,000円の商品を原価率85%で販売する場合、「17,000 ÷ 0.85 = 20,000円」となります。原価率は業種ごとに異なるため、自社の業種相場を把握しておきましょう。
    この方法のメリットは、シンプルで誰でも簡単に計算できる点にあります。一方で、市場価格や顧客の購買感覚を反映しないため、価格が市場と乖離するリスクもあります。

    2.利益率を計算してから決める

    「どれくらいの利益を確保したいか」を基準に販売価格を算出する方法もあります。

    販売価格=原価(仕入価格)÷(1−利益率)

    たとえば、原価7,000円の商品で利益率30%を目指す場合、「7,000 ÷(1−0.3)=10,000円」が販売価格となります。この方法は、目標とする利益を明確にしたうえで簡単に算出できるため、計画的な利益確保が可能です。
    しかし、あくまで売り手の都合による価格設定であることを忘れてはいけません。市場価格や競合の動向を無視すると、「高すぎて売れない」「安すぎてブランド価値を損なう」といった問題が起こることも。利益率ベースの価格設定は便利ですが、実際には市場相場や顧客の価格感覚と照らし合わせて調整する必要があります。

    3.競合他社や市場の価格相場と比較して決める

    競合他社や市場の価格帯を参考に販売価格を決定する方法もあります。市場や顧客のニーズを踏まえ、「どの価格帯なら売れるか」を把握することで、現実的で売れやすい価格を設定できます。
    ただし、単に競合より安く設定すれば良いというわけではありません。安すぎると利益を圧迫したり、品質への不信感を招いたりする恐れがあります。
    一方で、競合より高く設定する場合は、差別化できる付加価値の提示が不可欠です。市場価格を分析し、顧客が納得する価格帯を見極めることで、「売れる価格」と「利益を確保できる価格」の両立が可能になります。

    販売価格を決める際の注意点

    手の上に浮かんだ注意マーク

    販売価格を決める際には、原価や利益だけでなく、市場相場や消費者の心理も考慮することが欠かせません。価格の付け方次第で、売上やブランドイメージが大きく変わるため、戦略的な判断が求められます。

    最初の価格を安く設定しすぎない

    「まずは売りたい」という気持ちから、最初に販売価格を必要以上に安く設定してしまうのは危険です。一度低価格で販売すると後から値上げが難しくなるだけでなく、値上げした場合も顧客から「高くなった」という悪印象を持たれるリスクがあります。
    また、為替変動や原材料の高騰など、外部要因でコストが上がる可能性もあります。利益ギリギリの価格設定では、状況変化に対応できません。
    そのため、最初から原価の変動にも耐えられる余裕を持たせた価格設定が理想です。環境が安定してコストが下がった場合に値下げを行えば、顧客満足度やブランドイメージの向上につながるでしょう。

    相場からかけ離れた価格にしない

    販売価格が高すぎても、低すぎても売れにくくなります。競合より極端に高い場合、付加価値や差別化要素がなければ顧客が離れてしまうでしょう。一方で、安すぎる価格は「品質が悪いのでは?」という不安を顧客に与え、ブランドイメージを損なうこともあります。
    まずは市場や競合の価格帯を調査し、自社の商品がどの位置にあるのかを把握することが大切です。市場平均に近い価格設定を基本に、自社の強みを活かして適正価格を見極めましょう。

    消費者目線でも考える

    販売価格は、企業の利益だけでなく「消費者が納得して支払える金額」であることが大切です。利益率を基準に計算したとしても、顧客がその価格に価値を感じなければ購入にはつながりません。
    価格は商品の魅力や信頼性を示すメッセージでもあります。安すぎれば品質を疑われ、高すぎれば手が届かなくなるでしょう。市場ニーズや顧客心理を理解し、「この価格なら買いたい」と思ってもらえるバランスを意識して設定することが重要です。

    自社商品の原価率と利益率を計算してみよう

    商品の原価率を計算している人

    自社の利益構造を正しく把握するために、まずは原価率と利益率を計算してみましょう。原価率が高く利益率が低い場合は、コスト構造や販売価格の見直しが必要です。数字を定期的に確認し、目標値との差を把握することで、経営判断の精度が高まります。数値管理を習慣化し、利益を最大化できる仕組みづくりを進めましょう。

    Ecforce

    D2Cを成功に
    導くために必要なものとは?

    御社のD2Cを成功に導くには、D2Cに必要な要素を全て備えたカートが欠かせません。「ecforce」は数々のD2C事業の立ち上げ経験から生まれたカートサービス。
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    平均年商

    2 億円

    以上 ※1

    売上

    230 %

    UP ※2

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    99.7 %

      ※3

    D2Cを成功に導くために必要なものとは?
    ※1:稼働済みショップの平均年商 / 集計期間 2021年7月~2022年6月
    ※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
    ※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月

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