この記事でわかること
ドラッグストアや化粧品店などで販売されているスキンケア製品などには大きく分けて「化粧品」と「医薬部外品」の2つがあります。
医薬部外品の製造には専門的な知識が必須で、自社で製造するのであれば新規参入のハードルは高めです。
この記事では、そんな医薬部外品をOEMする際の基本知識やメーカーの選び方、開発費用の目安について紹介していきます。
この記事を最後までご覧いただいた方のために、事業にすぐ使える実践フォーマットを配布させていただいております。ぜひご活用下さい。
医薬部外品OEMとは?
そもそもOEMとは、Original Equipment Manufacturingの略語で、ブランド側の依頼した商品をメーカー側が製造することです。
医薬部外品の製造には専門的な知識や経験が必要になるため、製造工程を委託できるOEMとは相性が良いと言えるでしょう。
製造工程を委託できるとはいえ、自社の担当者にもある程度の素養は求められます。
化粧品との違いや販売するために必要な許可について知らない人は、必ず確認しておきましょう。
そもそも「医薬部外品」とは?
医薬部外品には明確に定義があり、以下のように法律で定められています。
1・以下の目的で使用され、人体に対する作用がおだやかなもの。
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
2・人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみ等の防除。
3・医薬品と同様の目的のために使用されるもので厚生労働大臣が指定するもの。
病気の予防や治療などを目的とした「医薬品」とは違い、医師の処方箋や薬剤師への相談がなくてもドラックストアをはじめとした小売店で販売することができます。
人体への影響の強さは化粧品と医薬品の中間で、通常の化粧品と差別化するために「薬用シャンプー」「薬用化粧水」と読んでいる場合もあります。
化粧品との違い
先ほども紹介したように医薬部外品とは、殺虫剤や除毛剤なども含まれる非常に広い定義で、「薬用化粧品」はその中の1つに分類されます。
また、化粧品と薬用化粧品は、薬機法により定義されています。
化粧品の主な目的は肌の保湿と洗浄で、表記方法も制限されています。
薬用化粧品は化粧品の効果に加えて、肌荒れや美肌に効果のある「有効成分」が含まれています。
主な違いは有効成分が含まれているかどうかで、表現できる範囲にも違いがあります。
医薬部外品は厚生労働省の許可が必要!
同じスキンケア商品に分類される「化粧品」と「医薬部外品」ですが、医薬部外品として販売するためには、厚生労働省からの許可が必要になります。
OEMなどで製造業務を他社に委託していても「医薬部外品製造販売業」の許可が必要です。
また、海外から医薬部外品を輸入して販売する場合は「医薬部外品製造販売業」と「医薬部外品製造業」の2つの許可が必要になります。
医薬部外品の販売ではOEMを利用した場合でも、パッケージの表記方法や管理方法などに注意しなければいけません。
医薬部外品OEMの選び方
それでは次に、医薬部外品OEMメーカーの選び方について紹介していきます。
販売するだけでも専門的な知識が必要なる「医薬部外品」。
そのため、OEMを依頼するメーカー選びは、より慎重におこないましょう。
契約した後に後悔しないためにも、以下の選び方を参考にしてみてください。
- 医薬部外品の実績で選ぶ
- 汎用処方の種類で選ぶ
- コストやロット数で選ぶ
それぞれ詳しく紹介していきます。
医薬部外品の実績で選ぶ
これまでに紹介していたように、医薬部外品の製造・販売では化粧品以上に注意しなければいけないことがあります。
そのため、どれだけ好条件なメーカーでも、医薬部外品の製造実績がない場合はやめておきましょう。
もちろん、自社で医薬部外品に関するノウハウや知識を持っているのであれば問題ありませんが、基本的には医薬部外品の製造実績が豊富なメーカーに依頼した方が安心です。
汎用処方の種類で選ぶ
医薬部外品を製造するためには「医薬部外品製造業許可」が必要になります。
医薬部外品製造業許可を取得しているメーカーは、医薬部外品として承認されている汎用処方を持っています。
そのため、基本的に医薬部外品のOEMは、メーカーの持っている汎用処方を元に商品を製造することになります。
メーカーが持っている汎用処方は、香料・粘度・PL以外はほとんど調整することができないため、汎用処方の種類は非常に重要なポイントです。
多くの医薬部外品OEMがメーカーの汎用処方を元に製造されているため、まったく同じ成分の商品が販売されているケースもあります。
そのため、他のOEMよりも差別化が難しく、ブランド側にはマーケティング力が求められます。
コストやロット数で選ぶ
医薬部外品の製造は化粧品よりも厳しい制約があるため、単価も高くなりがちです。
あくもでも目安ですが、化粧品の1.2〜1.5倍程度の費用がかかります。
そのため、最小ロット数の重要性も高くなります。
1度の大量に発注して単価を抑えることができれば理想ですが、在庫リスクも忘れてはいけません。
また、大量に製造して欲しい場合は、本当に納期までに対応してくれるのかどうかも確認しておかなければいけません。
医薬部外品OEMの開発費用
医薬部外品OEMは、メーカーが持っている汎用処方を利用するかどうかで、大きく費用が変わります。
汎用処方を利用せず、新しく開発する場合は医薬部外品の申請登録の費用だけでも20〜30万円必要になります。
また、商品の開発を依頼する場合は、開発期間や原料によって研究費用が発生します。
汎用処方を元に香料や粘度を調整するだけであれば費用もあまりかかりませんが、新規での開発を依頼する場合は1,000〜3,000万円は必要になります。
高く感じるかもしれませんが、国内の大手化粧品会社は研究費に年間で数百億円規模の予算を確保しています。
OEMを利用する場合でも医薬部外品を新規開発して販売するのであれば、最低でも数千万円の投資は必要でしょう。
医薬部外品OEMの選び方まとめ
この記事では、医薬部外品OEMの基本知識やメーカーの選び方、開発費用の目安について紹介しました。
医薬部外品OEMは他の業界と比べると初期投資も高く、知識も必要になるため、参入のハードルは高めです。
しかし、参入のハードルが高いということは、競合が生まれにくいというメリットにもあります。
製造工程を委託できる手軽さから、OEMは競合が生まれやすい業界ですが、医薬部外品であれば競合を気にすることなくビジネスを展開できます。
また、価格競争に発展しづらいため、マーケティング次第では強気な価格設定も可能です。
いずれにせよブランディングや他の商品との差別化は必須になるため、自社リソースを確保しやすいOEMは医薬部外品との相性は悪くありません。
汎用処方を利用して医薬部外品OEMをはじめるなら、メーカーの技術力に大きく依存するため、メーカー選びは慎重におこないましょう。
最後に、私たちのこともご紹介させていただきます。
D2C顧客体験型ECプラットフォーム「ecforce」を企画・開発する私たちSUPER STUDIOは、自社でもブランド立ち上げを行っており、日々ノウハウを貯めています。
常に様々なビジネスモデルにチャレンジしており、以下のようなブランドの事例に加え、2022年1月時点で50件近くの支援実績があります(詳しくは以下の画像をご覧ください)。
- ふつうのマヨネーズ
- GO WITH WHITE.
- しぐにゃる
- kipkip
- groomin
- CILY 他
また、これらの事例で培ったノウハウを基に、EC・D2Cビジネスを総合支援するecforce consultingを展開していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
100社を超える認定パートナー様とのリレーションを活用し、製造、マーケティング、物流、コールセンターなど、ECビジネスに必要な全領域におけるフルサポートをさせていただける体制が整っております。
100ロットから製造可能なOEM様など、弊社経由でのご紹介でご用意いただける特別なプランを用意いただいている事業者様も多数ございます。
「いまは、問い合わせをするほどではない」。そういった方は、おそらく自ら商品開発・OEMをご検討しているかと思います。
その際は、以下からECの商品開発・OEMをぜひご覧ください。商品開発・OEMの極意を事例ベースで解説しているので、御社事業に役立つ情報があるはずです!
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月