この記事でわかること
ECに携わる方は、「薬機法」や「景品表示法」という法律名を一度でも聞いたことがあるでしょう。
・聞いたことがあってもそれが何か?
・商品を販売するために、なぜ必要なのか?
詳しく知らない方もいるかもしれませんし、知っていても自分の会社や商品には関係ないと考えている人も少なからずいるはずです。
特にD2Cのビジネスモデルにおいて、なぜ重要なのか。
そして、どのような法律なのか。
正しく商品を販売するために事例をあげて詳しく説明します。
この記事を最後までご覧いただいた方のために、事業にすぐ使える実践フォーマットを配布させていただいております。ぜひご活用下さい。
これからECカートを決める方・いまのECカートに満足してない方へ。以下の記事にも、あなたのお悩みが解決する情報が満載です。
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売上優先主義で法律違反した事例
商品をより多く売るには、消費者へ魅力をアピールし、他社商品との違いを伝える必要があります。
差別化を図ろうとして、それらを強く訴求しすぎた事例も少なくありません。
売上を重視しすぎたために発生した事例をいくつかご紹介します。
景品表示法違反の事例
① 事例1
ある健康食品の販売会社は、根拠がないにも関わらず自社商品を摂取するだけで、簡単に痩せられるような根拠がない表現をしていました。
また実際は販売人数の制限をせずに「先着◯◯名限定 初回割引価格販売」と煽るような表記をしていました。
結果として、「景表法違反」で行政処分を受け、その結果《新聞へ謝罪広告掲載と1億円以上にも上る課徴金の支払い命令》が下りました。
② 事例2
ある美容化粧品を販売する会社は、全く根拠がないものの「肌の細菌を◯%殺菌し美容効果が◯時間持続する」と、いかにも効果が高いような表現をしていました。
また、実際にはセール期間は設けていないにも関わらず「セール終了まであと○時間」と表示して商品の販売を続けた結果、景品表示法違反で業務停止命令の行政処分が下りました。
事例1・2の2社は、景品表示法違反で行政処分が下った例です。
これらの表現は比較的よく見かけますが、安易に使うと行政処分の対象になることがあります。
薬機法違反の事例
別のケースをご紹介します。
ある健康食品の会社が「がん細胞を自滅させる」という表現でサプリメントを販売していましたが、こちらは刑事事件として報道されました。
未承認医薬品の広告・販売ということで刑事事件とされましたが、そもそも健康食品で病気を治すことはできません。
従って「薬機法違反」になります。
3つの処分事例ともごく最近の事例になりますが、上記のような行政処分が頻繁に下されるようになりました。
法律を知りながら上記のような表現をすることは明らかに違法な上に悪質ですが、知らずにやった場合でも同じように行政処分が下る可能性があります。
行政処分が下り、社名が公表されれば会社の信頼問題になりますし、業務停止になった場合は売り上げが立たない状況になり、最悪のケースとしては、倒産もあり得ます。さらに、刑事訴訟に発展する場合もあるのです。
法律をすり抜けようとするのではなく、考え抜いて”魅せる技”を駆使して売上を伸ばしていくことがD2Cにおけるリスクマネジメントの醍醐味であり、薬機法や景表法は売上を作るためにも必要な要素なのです。
薬機法や景品表示法の違い
行政処分の事例をご紹介しましたが、そもそも【薬機法】【景表法】とは何か?についてご説明します。
薬機法 |
景品表示法 |
|
概要 |
「化粧品」「医薬品」「医薬部外品」等について安全性と、体への有効性を確保する |
誤解を与えるような表示をしている商品・サービスから一般消費者を守るための法律 |
管轄 |
厚生労働省 |
消費者庁 / 国民生活センター |
内容 |
表現できる効能効果の範囲が定められており、その範囲外の効能効果を打ち出すことはNG |
商品・サービスの価格や販売条件についての虚偽や誇大広告はNG |
違反事例 |
「アンチエイジング成分配合」 |
「飲むだけで痩せる」 |
罰則 |
行政指導や刑事処罰 |
措置命令や課徴金支払い命令 |
薬機法については、安全性と有効性を確保することが前提で、上記表の「内容」部分にもあるように、化粧品の場合は56の効能効果の範囲(表現)が決められており、それの範囲を逸脱すると薬機法違反になります。
56の効能効果について詳細は以下のURLを参照ください。
【一般化粧品の効能効果 範囲】
https://www.yakujihou.com/content/5-C.html
景表法は、誤解を与える表現から一般消費者を守る法律のため、例えば「飲むだけで痩せる」と広告表現するならば “合理的な根拠” が必要で、根拠がないのに表現すれば、実際より優れていると偽っているので『優良誤認』で違反行為になります。
また、本当は“限定ではない”にも関わらず「限定○個販売」「限定○時間販売」と表
示すると、実際より有利な条件であると偽ったとして『有利誤認』になり、これも違
反になります。
では、次の画像はどこが【景表法】【薬機法】に抵触する可能性があるでしょうか。
該当箇所は、
・本日限定SALE キャンペーン終了まであと◯時間◯分の箇所
→「優良誤認」に該当します。
・今月先着300名様限定!!
→「有利誤認」に該当します。
従って、上記2点は【景表法】に抵触する可能性があります。
・ひと塗りでシミ・シワが完全に消える!
→薬機法で定められている効能効果の範囲から逸脱しているので、薬機法違反に該当します。
薬機法違反を回避できる広告表現の例
化粧品では決められた表現しかできないため「他の商品と差別化できない」「これでは売れない」と思われるかもしれませんが、効能効果の範囲内でも工夫次第で差別化することは可能です。
例えば、まつげ美容液の場合、美容液なので「まつ毛が生える」と育毛を匂わせることはできませんが、「まつ毛が映える」と同じ音で言い換えて表現することはできます。
また、化粧品で「10歳若返る」という“若返り”表現は、加齢や老化を解消・改善する表現のため許されませんが、「10歳年下の妹と間違えられました」と見た目の若さの表現は問題ありません。
上記はごく一例ですが、決められた範囲の中で表現の工夫をすることはできますので、一概に「できない」と諦める必要はありません。
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景品表示法違反を回避する事例
景表法の場合は、表現の規制ではなく、裏付けや合理的根拠のある事実を伝えなければいけません。
以前、ダイエット系の衣料品会社に行政処分が下った事例もあります。処分を受けた内容の概要は以下になります。
・着るだけで引き締まったウエストになる。
・履くだけでほっそり足長になる。
・着るだけで腹筋◯回分の効果がある。筋肉体質へになる。
上記は、あたかもその商品を着用するだけで短期間で容易に著しい筋肉増強や痩身効果が得られるような表示をして商品の販売していました。
上記のような表現をする場合、裏付けや合理的根拠が必要ですが、根拠がなく実際より優れていると偽っていたため『優良誤認』の違反行為で行政処分が下りました。
裏付けや合理的根拠は何かと言うと、メーカー独自で行う試験や外部機関による試験結果ですが、メーカーの認識による判断ではなく、一般消費者に認識されるか否かという観点から判断されるので、試験をやったから大丈夫というだけでは、裏付けや合理的根拠とはなりません。
インパクトのある表現は必ず裏付けが必要です。
裏付けが担保できない場合は、表現を工夫することで差別化する必要があります。
また、他社の表現を安易に模倣することは行政処分の対象にもなり得ますし、お客様の信頼を裏切ることにもつながります。
お客様との信頼関係を築く意味でも法令遵守はすべきです。
薬機法や景品表示法とD2Cの関係
上記で述べたように、目先の売り上げを重視し、安易な表現で一般消費者に訴求すると、その後、何倍にもなってしっぺ返しがくることがあります。
薬機法や景表法は「守り」ではありません。商品をより良く魅せるために知恵を絞ることで、お客様に気持ちよく購入していただくためのエッセンスなのです。
継続購入につなげるための「攻め」といえるでしょう。
知恵を絞って考え抜いて、契約内容もわかりやすく、購入者が気持ちよく購入できた商品は、ユーザ心理としてとても心象が良いものです。それが継続率にの向上につながり、商品のファン作りに役立ちます。
法律を遵守することは、結果として会社を守ることになるだけでなく、最終的にお客様との良好な関係を築くうえで重要なことなのです。
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※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月