この記事でわかること
Ollie(オリー)は、ペットの健康状態に合わせてカスタマイズされた、高品質で健康的なドッグフードを届けるD2Cサブスクリプションサービスです。
大手企業によって独占されていたペットフード市場では、60年ほど前からずっと同じ方法で製造と流通が行われてきました。
しかし、コスト重視の大量生産型で作られた長期保存可能で不健康なペットフードによって、犬の肥満や糖尿病、癌の発生率が高まり問題となっています。そのような背景から、健康的なペットフードの製造に挑戦するD2Cブランドが増えています。
今回は、その中でもエンゲージメントの高い顧客を増やしているOllieにスポットをあて、創業までのストーリーや、どうやって拡大したのかなど、成功の秘訣を読み解いていきます。
品質の高さが人気のペットフードD2CブランドOllie
2016年10月に設立されたOllieは、人間が食べても安全で高品質な食材と、独自のアルゴリズム技術を用いて、ペットの健康状態に合わせてカスタマイズされた健康的なドッグフードを届けるD2Cサブスクリプションサービスです。
新鮮であることを保証する冷凍されたドッグフードは、1~2週間に1回ペースで配達されます。
Ollieのドッグフードは厳選された健康的な素材選びと味を重視しており、鶏肉、牛肉、魚肉といった人間が食べる食材をなるべく加工せずに提供していることが特徴です。商品は全て人間がテイスティングを行っており、味も保証されています。
ペットに合わせたカスタマイズも特徴であり、顧客はペットのプロフィールと健康情報をウェブサイト上で登録することで、Ollieがおすすめのドッグフードを提案します。
ペットが食べた後にフィードバックを登録し、利用するごとに顧客のペットに合った理想のドッグフードに近づいていくようになっています。ペットの好き嫌いに加え、糖尿病などの持病にも合ったカスタマイズが可能な点が魅力です。
リアルフードと健康的なサプリメントの組み合わせを使用したOllieの嗜好性テストでは、犬は他の市販のブランドよりもOllieを好むことがわかり、また健康を第一に考えられたOllieのドッグフードを食べることで犬の寿命が3年延びることが証明されています。
Ollieは、訓練を受けた栄養士、技術専門家、製造業者からなるチームで、ペットの飼い主との信頼を築き、透明性のあるブランドの確立を目指しています。製造施設では、どのように作られているのか、どのような食材を使用しているのかを見ることが可能。材料を全て見せることで、飼い主に、正しいものを与えているという安心感を与えています。
ペットフード業界の悪しき慣習を打ち破るべく生まれたOllie
これまでペットフード市場は大手企業が独占し、ドッグフードの製造と流通のプロセスは60年ほど前からずっと同じ方法で行われてきました。
しかしこれまでに製造されてきたドッグフードは、長期保存が可能なように防腐剤が使われ、人工的な味付けがされた不健康なもので、生の食材には死んだ動物が使われることもありました。
これらの加工されたペットフードに含まれる危険で不健康な成分により、米国の犬の60%が肥満とされており、ペットの間で糖尿病や癌の発生率が継続的に上昇しています。
その原因の多くは、ゆるい法規制と利益を重視した大量生産であり、ペット向けの乾物や缶詰を製造している大手企業は、人間が消費するのには不適当な原材料を使用することで金儲けをしている、という悪い評判を作り上げてしまいました。
このような課題とペットフードに対する悪い評判を解決するため、OllieはD2Cサービスとしてすべての製造工程と流通プロセスを管理することで、低品質で不健康なペットフードの製造工程を排除し、それぞれのペットに合った健康的なペットフードの提供を開始したのです。
参考:Ollie: The Startup Delivering Healthy Dog Food Straight To Your Door
積極的な情報発信でメディアの注目を集めるOllieのマーケティング施策
Ollieは、オンライン上でドッグフードを販売するだけでなく、ウェブサイトで犬の健康や栄養について積極的に情報発信することでメディアの注目を集めています。
健康、栄養、犬種情報、飼い主のためのレシピまで、ブログで掘り下げて情報を提供しており、その結果LA Times、Martha Stewart、Business Insider、The Today Showなど多くのメディアで取り上げられています。
もう一つの特徴は、Ollieは犬が家族の大切な一員であることを認識しており、犬を人間のように描写している点です。コンテンツとしてはきれいな画像とシンプルな言葉を一貫して使っており、紹介特典とソーシャルメディア上での体験談を効果的に活用することで認知度を高めています。
オーダーメードのペットフードと情報を提供し、愛犬の世話をしていてよかったと思えるブランドを構築
OllieはD2Cブランドとして、中間業者を通さずに顧客との個人的な関係を築く機会を大切にしています。ブログを通してライフスタイルレベルで必要とされるツール、洞察力、情報を飼い主に提供し、それぞれの犬にあったカスタマイズされたペットフードを提供することを実践しています。
また、顧客のためにデータを利用してスマートなアルゴリズムを開発し、それぞれの犬にあった一つ一つの箱をオーダーメイドしています。ペットは欲しいものを言葉にすることができないので、アルゴリズムを通してペットの声を聞いているのです。
Ollieは、誰かに贈る最高の贈り物は「健康」だと考えており、自社の健康的なペットフードを通じて愛犬の世話をしていて本当に良かったと思ってもらうことをミッションとしています。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月