この記事でわかること
ECサイトを構築する際、どのような考えに基づき設計を考え、どれくらいのコストや時間が必要なのか分からないという方も多いと思います。
本稿では最初に「ECサイトの構築事例」を読み解く上で重要な4つのポイントを共有した後、成長を続けている4ブランドのECサイト構築事例を解説し、制作にかかった費用や期間についても具体的に共有しています。
これからECサイトを構築する担当者の方々に、お役に立ちできそうな情報を盛り込んでみました。なお構築の際の方法・手順・費用感や具体的なサービス名を挙げたおすすめ・比較は以下の記事を参考にしてください。
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「ECサイトの構築事例」を読み解く上で重要な4つのポイント
いきなり事例をお伝えする前に、「ECサイトの構築事例」を読み解く上で重要な4つのポイントをお伝えします。
- 「ECサイト」の3つの要素
- ビジネスモデルによって異なるECサイトの設計
- ECサイトをオープンするまでの作業手順(5つのステップ)
- カートシステム選定におけるコストの考え方(ROIの観点)
このポイントを抑えることで、事例をより詳しく読み解くことができるはずです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
「ECサイト」の3つの要素
最初に「ECサイト」の定義を確認しましょう。明確な定義は一つではありませんが、本稿では「ECサイト」を以下の3つの要素に分けました。
フロントエンド
- ブランドサイト
- LP
バックエンド
- カートシステム
ブランドサイトとLPはお客様が目にする部分であり、フロントエンドと呼ばれています。そして、カートシステムはお客様が目にすることはない裏側のシステムであり、バックエンドと呼ばれています。
さらに補足すると、ここでは主に広告流入などでランディングするページを「LP」として、ブランドの公式Webサイトを「ブランドサイト」と表現しました。
ECサイトは通常のWebサイトと異なり、ユーザーが何らかの商品、あるいはサービスを“購入する”という行為が発生します。ユーザーは基本的に、購入前に商品をカート(通称:カゴ)に入れて決済をするので、この一連のアクションのためにカートシステムが必須です。
しかしカートシステムは、あくまでシステム。ユーザーが目にするフロントエンドが必要であり、ブランドサイトやLPといった要素が必要となるのです。
ビジネスモデルによって異なるECサイトの設計
ECサイトはビジネスモデルによって、主な設計が異なるので、自らのビジネスモデルを理解した上でECサイトを構築することが重要です。
以下に4つの主なビジネスモデルを挙げました。
・多品種モール型
LPは作らずにブランドサイト+カートシステムで設計することができます。ただし、特定の商品や特別なキャンペーンのプロモーションなどを除きます。
・少品種モール型
商品点数が少ないため、ブランドサイト+カートシステムにLPを加えて各商品の訴求力を高めるケースが多くあります。
・単品リピート通販型
特定の商品に特化したプロモーションをするので、ブランドサイトよりもページ一枚に訴求を詰め込むLPの方が適しています。基本的にはLP+カートシステムでシンプルに設計することができます。
・パーソナライズD2C
このモデルの特徴は商品は複数あるものの、ユーザーの導線は1つである点です。LP+カートシステムでも成立しますが、昨今の多くのD2Cブランドでは、ブランドサイトを作って世界観やストーリーをしっかり伝えるケースが多くあります。
このようにビジネスモデルによってECサイトの設計は異なります。ただ、あくまで“メジャーな”設計なので、たとえ単品リピート通販型でも、ブランディングやPRに力を入れるならブランドサイトが必要であるように、狙いによっても最適な方法は異なります。
こちらについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。
「おすすめのECサイト構築方法・手順(5ステップ)。EC・D2C事業者必見の3つの注意点とは?」
ECサイトをオープンするまでの作業手順(5つのステップ)
ここからはECサイトをオープンするまでの大まかな作業手順を解説します。手順は以下の5つのステップに分けることで、簡単に把握することができます。
まずは前述した「最適な設計の選択」です。ビジネス上の要件を洗い出し整理することで、ECサイトの要素「ブランドサイト・LP・カートシステム」の最適な設計を選択します。
つづいて「カートシステムの要件定義」。ここではどんな機能が必要かを定義します。ビジネスモデルや年商規模、「カスタマイズ軸」・「コスト軸」といった要素から自社にとって理想のカートシステムを考えましょう。
要件定義が済んだら、どのカートシステムを採用するかを決定します。
この際、バックエンドであるカートシステムを先に決める理由は、ビジネス要件を満たすために必要な機能を保持できるかはフロントエンドではなく、カートシステムに左右されるからです。カートシステムが決まったら、ブランドサイトや必要に応じてLPを作りましょう。ECサイトへの商品登録など、サイトオープンに必要な設定作業は当然必要となります。
以上の3つのポイントについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。
「おすすめのECサイト構築方法・手順(5ステップ)。EC・D2C事業者必見の3つの注意点とは?」
カートシステム選定におけるコストの考え方(ROIの観点)
カートシステムを選定する上で重要なのは、コストに対して「ROI(Return on investment:投資に対する利益)」という視点を持つことです。
「導入当初は安いシステムが良い」という単純な理由だけで選定してしまい、セキュリティ面や運用の手間、そして拡大するタイミングで持ち上がってくる様々な問題に対応することが難しくなるという事例が多く発生しています。
規模が大きくなった時に他のシステムに乗り換えるという考え方もありますが、その費用は数百万円~数千万円の費用となることもあります。そうなることを防ぐために、導入当初から将来を見据えたカートシステムの構築が必須になるのです。
この点を軽視すると、本来は事業のために導入したカートシステムがネックになり、事業成長を阻害する要因の一つになり得ます。それだけカートシステムの選定には慎重をきさなくてはなりません。
ROIの観点について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
6つのECサイト構築方法別の費用感早見表。コストシミュレーション&D2Cブランドの具体的な事例付き。
ところで、成長中のEC・D2Cブランドがこぞって使うECカートの存在をご存じですか?
- 平均年商2億円以上
- CVR380%アップ
- 導入後の成長率265%アップ
これらの数字が気になったら、ぜひ以下をチェックしてください。
ecforce(イーシーフォース)
4つのD2Cブランドから読み解くECサイト構築事例
ここからは実際に私たちSUPER STUDIOがご提供するD2C顧客体験型ECプラットフォーム「ecforce」を導入してECサイトを展開する4つのD2Cブランドを紹介していきます。
それぞれどんな狙いがあった上で、どのようなECサイトを設計したのかを読み解いていきましょう。
猫砂のD2Cブランド「しぐにゃる」
毎日のおしっこで健康管理できる猫砂、「しぐにゃる」。プロダクト企画・開発にクラウドファンディングを活用し、大きな話題となりました。このブランドはクラウドファンディングを経て、ブランドサイトとLPの2つを同時期に構築しました。そこには2つの要素が持つ、それぞれの強みを活かすという狙いがあったのです。
「しぐにゃる」はサイト訪問者の購入経路のバリエーションが多岐にわたっています。そのバリエーションを大きく2つに分類分けしてみました。
- PR(SNSのインフルエンサー施策・UGCや、ブロガーによる紹介などを含む)
- 広告
この2つそれぞれに対して、意識するべきポイントがこちらです。
- 適切にブランドアイデンティティが反映された見栄え・信頼度の高さ
- 広告パフォーマンスの最大化
「しぐにゃる」は商品に独自性やストーリー性があり、メディアやお客様の注目や共感を集めて情報拡散しやすいブランドです。いわば広告施策に力を入れずとも、PRによる自然発生的な広がりでも十分成長が見込めるブランドだと言えます。
そして、その広がりの過程で認知した人が訪れる場所として、見栄えが良くて信頼度の高いブランドサイトが必要なのです。
一方で、よりブランドの成長スピードを上げるために広告は重要な施策です。PRで広げた認知を購入まで後押しする役割もあります。そのため、広告を経由した購入経路の場合、広告パフォーマンスの最大化が意識すべきポイントです(もちろん見栄えや信頼度の高さもおざなりにしてはなりませんが)。
つまり、広告経由のCVRを高めて広告パフォーマンスを最大化する「機能」や「工夫」が入ったLPを用意する必要があり、この設計はブランドサイトとは異なるのです。
購入経路を整理すると以下の通りです。
- PR → 見栄えの良さ・信頼度が高いブランドサイト
- 広告 → 広告のパフォーマンスを最大化するLP
ちなみに「しぐにゃる」はクラウドファンディングなど、バイラル※で情報拡散が始まっていきましたが、そこには限界があると考えていました。そこでリリースした当時から、広告でも認知を獲得してお客様を増やしていこうという考え方を持って設計していたため、ブランドサイトとLPを同時期に構築することを選択することができました。
※バイラル:情報が口コミで拡散してくこと
オーガニックにこだわるブランド「groomin」
ハンドウォッシュからフローリング、キッチンまで、 暮らしにも自然にもやさしいオーガニックにこだわった商品を販売する「groomin(グルーミン)」。わたなべ麻衣さんをインフルエンサーとして起用することで、人を起点とした情報発信を行っています。
ECサイト構築後、集客を考える上でいくつかの方法が考えられますが、先に挙げたように大きくは2つのアプローチ(PR・広告)があります。groominの場合は、最初に人を起点としたPRに力を入れて自然発生的な情報の広がりを作り、その後に広告を始める流れを採用しました。
そのためgroominは最初にブランドサイトのみを用意しており、広告運用を開始する段階でよりCVRを高める狙いを持ったLPを制作する予定です。
しぐにゃるもgroominも、ブランド立ち上げ当初に何らかの方法で注目を集める仕掛けをしている点は一緒です。ただgroominの場合は、広告には頼らずインフルエンサーによる人起点の仕掛けをしている点が大きく異なる点です。
マヨネーズが話題を呼んだ「ふつうのマヨネーズ」
時に品切れ状態にもなるほど売れている「ふつうのマヨネーズ」。このブランドはECサイトの機能も併せ持つブランドサイトと、ブランドサイトにフォームを付けただけの簡易的なLPを用意しています。
このような簡易的なLPを設計した背景には、それまでに得た認知を活かすために既視感を大事にしているという狙いがあります。
顧客には動画やバナー、LPで同じクリエイティブを使った情報に繰り返し触れてもらい、「どこかで見たことある」という既視感を生み出すことができれば、クリックや購入といったアクションのハードルを下げることができるからです。
この狙いを実現するために、ブランドサイトのクリエイティブを活かしてフォームを付けただけの簡易的なLPを用意しています。
卸を起点に成長を続ける「CILY」
韓国のインフルエンサーtaeri(テリ)がプロデュースしたD2Cコスメブランド「CILY(シリー)」。以前、succese board内の別記事でもご紹介しましたが、「CILY」は卸に選ばれるブランドとして成長を遂げています。
このブランドはLPを持たず、ブランドサイトのみで運用をしています。なぜならCILYは広告経由でのコンバージョンを想定せず、卸を起点としたマーケティングに注力しているためです。
ブランドサイトでは見栄えを良く見せることができるだけではなく、商品を売る以前に商品の詳細を確実に伝える仕様にすることができます。さらに「CILY」は卸の方にブランドサイトを見ていただくことで、ブランドや商品を理解してもらいたいという狙いもあります。
このように購入経路として自社ECチャネルより他チャネルを優先している場合、LPの重要性は低く、よりブランドサイトの重要性が高まるケースがあるのです。
<参考記事>
「D2Cブランドが卸に選ばれるために必要な5つの要素とは?【コスメブランドCILYの成功事例付き】」
事例から学ぶECサイト構築にかかる一般的な費用・期間
今回事例としてpick upした「しぐにゃる」の場合、ECサイト構築に以下のような費用がかかりました。
・サイト構築費用:
- KVデザイン+撮影:約35万円
- サイトデザイン:内製につき外注費なし。
- サイトコーディング::内製につき外注費なし。
・その他のコスト
- サイトワイヤーフレーム:内製につき外注費なし。
- ユーザーボイス素材:レビュー用商品提供で無償
- パッケージデザイン+パッケージ撮影:約20万円
- 全体アートディレクション
・カートシステム:ecforceなのでシミュレーションを参考にしてください。
・制作期間:約2ヶ月
ここでは主にブランドサイト・LPの制作に関する費用を出していますが、内製をメインにして外注費を抑えるとこの程度で作ることができます。ただこの金額は相場よりかなり安く仕上げています。一般的な費用感は以下を参考にした方が良いでしょう。
・サイト構築費用:
- KVデザイン+撮影(KV+複数カット):約200万円~500万円※
- サイトデザイン、サイトコーディング:約200万円~500万円※
・その他のコスト
- パッケージデザイン:約30万円~150万円※
- 全体アートディレクション/BI(ブランドアイデンティティ)/VI(ヴィジュアルアイデンティティ)作成:約300~500万円※
※制作会社・アートディレクターのレベル、ページ枚数、によってさらに高くなるケースもあります。
「約200万円~500万円」と言われると、幅が広いと感じる方が多いかもしれません。しかしデザインやアートディレクション、Web制作は無形のもの。材料費がはっきりしているわけではないので、費用はピンからキリまで大きく差があります。
またここに含まれていないのが、カートシステムです。今回ご紹介した4ブランドで導入しているecforceについて、以下で詳しくお伝えします。
4つのECサイト構築事例を支えるD2C顧客体験型ECプラットフォーム「ecforce」
ecforceはこれまでに様々なビジネスモデルのクライアント様を支え、このような実績を残しています。
ecforceに移行後、CVRが2.4%改善。売上は1,005%成長
ecforce移行後に、EFOやLPOの簡便さが決め手となり、新施策の企画~実行までが1~2分で完了するようになりました。さらに、サイト読み込みスピードが格段にアップ(Googleスピードテスト評価F→Aへ)。これらを要因に、CVRの改善と売上成長を実現しました。
移行後の売上が700%増
ecforceはデザインの自由度が高く、サブスクリプションにも適しています。また、機能開発のスピードが月1回と非常に早く、様々なCRM施策を打ち出すことができます。
【最後に】
ここまで読んでいただきありがとうございます。ここで最後にecforceのご紹介をさせていただきます。ecforce(イーシーフォース)は日本国内のEC・D2Cビジネスの現場を知り尽くした、わたしたちSUPER STUDIOが提供する国産SaaS型ECシステムです。EC・D2Cサイト構築の際の要件定義から成長拡大まであらゆるフェーズをサポートします。
累計1,000以上のショップ様に導入されている国産SaaS型ECシステム「ecforce」。さらなる実績や機能のご紹介は以下からご覧ください。
ecforceには、主に3つの特徴があります。
特徴1. EC/D2Cビジネストレンドを踏まえた最先端のシステム
豊富な搭載機能/カスタマイズ性/アップデートスピードでEC事業スタート・カート切り替えに対応。毎月平均で10-20個の新機能をリリース。
特徴2. 売上を最大化する多彩なマーケティング機能
クライアントニーズや自社経験を元にトレンドを抑えてた「効果がある」機能を搭載。「広告改善・CVR向上」や「LTV向上/CRM最適化」まで顧客獲得〜リピート化といった各フェーズに対応した機能群で、マーケティング施策を一貫して実施できます。
特徴3. CSオペレーションやシステム運用工数を削減
CSオペレーションや広告管理といったEC運営では工数がかかり煩雑化する業務も自動化と操作性の高いUIで効率化。運営コストを削減します。
「ecforce」は、ECサイトの構築はもちろん、サイトを開設したあとの機能も充実。売上を上げるための豊富な機能からコストを削減する仕組みまで、ECビジネスの成長をサポートします。
ご興味がある方はぜひ、以下からお問い合わせをいただければ幸いです。
その他、ecforce公式サイトでは、弊社が実事業経験から得たEC/D2Cノウハウを無料ebookで多数公開しております。弊社が独自に提供しているノウハウをたくさんご活用下さい。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月