この記事でわかること
D2Cブランドを立ち上げることも一苦労ですが、売上を伸ばして事業を軌道に乗せることも一筋縄ではいきません。
D2Cは時に総合格闘技に喩えられるように、様々な要素が複雑に絡み合って売上を作ります。
それは単にマーケティングだけに止まらず、ブランディングやPRも加わりますし、サプライチェーンやカスタマーサービス、何より商品開発も忘れてはなりません。
しかし、全ての要素の根底には「売上を伸ばすために必要な思考法」が存在します。本稿ではその思考法と、売上を伸ばす施策について考えていきましょう。
売上を伸ばすために必要な思考法
世の中にはスタンダードなものから最新のものまで、売上を伸ばすために様々な施策があります。
特にマーケティング領域では何かとPDCAが重要だと言われますが、様々な施策を矢継ぎ早に打って効果を試すよりも大事なことがあります。
それは「市場における競合との差別化を実現し、顧客に選ばれる存在になれるか?」といった問いに対して、常に真摯に考えられるかどうかです。
つまり差別化が念頭にないと、どんな戦略を練ったり施策を打ったりしても、独自性がないため顧客から選んでもらえないのです。
「え?そんな簡単なこと?」と思うかもしれませんが、意外と考えられていない施策が多く見受けられます。
売上を伸ばすためには、たった1つのこの思考法が欠かせないのです。
長期的な視点で考える「売上を伸ばす施策」とは
それでは「売上を伸ばす施策」とはどんなものでしょうか。
費用対効果さえ合えば、どんな施策でも売上が伸びると単純に考えることもできます。
しかし、より深く考えると、販促・マーケティング施策は以下の2つに分けることができます。
・どんな商材 / ブランドでも一定のパフォーマンスを発揮し、手堅く売上を伸ばせる施策
・自社商材 / ブランドだからこそ高いパフォーマンスを生み出す施策
前者の場合、「必ず行った方が良い」と言える、一定の効果が見込めるものです。このような施策は一定の効果が見込めるため、当然行うべきだと判断できます。
後者は他社の商材 / ブランドでは実現不可能、もしくは実行しても高いパフォーマンスは見込めないものです。ただ中には適切に施策をかけ合わせれば、高いROIが見込めるものもあります。
難易度で言えば後者の方が高いのですが、前章で言った通り、ブランドを「いかに差別化するか?」という視点で考えると、後者が重要だと言うことをご理解いただけるかと思います。
他ブランドでは実現不可能、もしくは実行しても意味がないということは、追随することができない施策です。
どのブランドでも行える施策は一定のROIは見込めるものの、競争が激しくなるにつれて将来的に新規参入が増える可能性が高く、長期的な視点で見た時に売上が思ったより伸ばせないケースも往々にしてあるのです。
また、他のブランドができない施策を継続的に行うことで、自社ブランドのブレないアイデンティティを磨くことにもつながります。難易度が高いからと敬遠せず、施策のポートフォリオの中でバランスをとりながら、後者の施策にチャレンジすることが望ましいでしょう。
Everlaneだからこそのユニークな事例
最後に具体的な事例を一つご紹介したいと思います。
出典:The Everlane x The New York Times
Everlane(エバーレーン)はアースデイを契機に人々の関心を気候変動に向かわせようと、ニューヨークタイムズと組んで、胸と背中にプリントが施されたTシャツやスウェットを販売し、このようなメッセージを発信しました。
出典:The Everlane x The New York Times
真実は行動を促す。
私たちEverlaneは、良い選択をするためには事実から始めることが必要だと信じています。そしてニューヨークタイムズのジャーナリスト以上に、真実を明らかにできる人はいません。
だから私たちはこのアースデイに、学生たちが現代において最も重要な「気候変動」におけるリポートにアクセスできるように、ニューヨークタイムズと一緒になって働きかけることにしました。
出典:The Everlane x The New York Times
実は気候変動に関しては万人の共通認識は存在せず、スタンスや認識の違いから様々な意見があります。そういったセンシティブな話題に対して、Everlaneの今回の取り組みには強いメッセージ性があるので、不快感を示す人が一定数いることは予想されます。
しかし、それでもEverlaneは施策を実行に移しました。
それはEverlaneが強い姿勢でメッセージを訴えかけることが、長期的な視点で考えると様々な恩恵があると考えたからに他なりません。
なぜならEverlaneは「Radical Transparency(徹底的な透明性)」を掲げるブランドだからです。Radicalには「徹底的な」以外に「過激な」「革命的な」といった意味があり、ただの「Transparency(透明性)」ではありません。
Everlaneのこの事例は、Everlaneが行うからこそ高いパフォーマンスを生み出し、アイデンティティを強固なものにしつつ、結果的に売上を伸ばした非常にユニークなものなのです。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月