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Everlaneを理解するための5つのポイント。サスティナブルかグリーンウォッシングか?

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Everlaneを理解するための5つのポイント。サスティナブルかグリーンウォッシングか?

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    「透明性」をキーワードにアパレル業界に新風を巻き起こすブランド、『Everlane(エバーレーン)』をご存じでしょうか?

    原価をオープンにするといった、今までのアパレルブランドにはないアプローチで話題になり、「D2C」という言葉が世に浸透するよりも早く、その名を広く知られるようになりました。

    本稿では、そんなEverlaneを理解する上で重要になる5つのポイントをお伝えしたいと思います。

    より広くD2Cブランドについて知りたい方は、以前、国内外のD2Cブランドをまとめてお伝えしましたので、そちらもぜひ参考にしてみてください。

    参考:6つのD2C国内事例。ブランド成長のキーワードは「モノづくり×パーソナライズ」? /  5つのD2C海外事例。若い世代が求める究極にユニークな顧客体験とは?

    これからECカートを決める方・いまのECカートに満足してない方へ。以下の記事にも、あなたのお悩みが解決する情報が満載です。
    【ECサイト構築サービス22個の比較表】おすすめ国産SaaS型ECシステムもご紹介
    4つのECサイト構築事例。新鋭D2Cブランドの動向から読み解く「狙い」とは?

    Radical Transparency(徹底的な透明性)


    https://www.everlane.com/about

    At Everlane, we want the right choice to be as easy as putting on a great T-shirt. That’s why we partner with the best, ethical factories around the world. Source only the finest materials. And share those stories with you—down to the true cost of every product we make. It’s a new way of doing things. We call it Radical Transparency.

    以上はEverlaneのオフィシャルサイトにある文章ですが、この文章でEverlaneは世界中のエシカルな工場や素晴らしい原料を選び、全てのプロダクトの「本当のコスト」や、製造にまつわるストーリーをオープンにすることを「Radical Transparency」としています。


    https://www.everlane.com/about

    プロダクトの「本当のコスト」とは、多くのアパレルブランドがブラックボックスにしている原価のことで、Everlaneは輸送費なども含めたTrue Cost(本当のコスト)を上図のように明示しています。

    また「Traditional Price」との比較も載せていて、大手アパレルブランドがどれだけ原価に乗せて売価設定をしているかを、視覚的にわかりやすくユーザーに訴えかけています。

    このように、従来はブランドイメージやデザインなど、表層的な部分がフィーチャーされがちだったアパレルの世界で、Everlaneは「透明性」という新たな価値基準を持ち込むことで、人々の注目をその舞台裏に向けることに成功しました。

    親近感がわくEverlaneのプロダクト

    創業者のMichael Preysman(マイケル・プレイズマン)氏いわく、Everlaneの名前の由来は、以下の通りだそうです。

    永続的な時間を表すときに使う「Ever」と、デジタル企業であることからあえて物理的で親近感のわく「Lane(小道)」という言葉を組み合わせることにしたという。

    出典:日本含む38カ国展開!エバーレーンの「常識を破るビジネスモデル」の秘密(Forbs)

    名前の由来に「親近感のわく」というキーワードが出ていますが、Everlaneのプロダクト自体、奇をてらったものはなく、長きにわたって着れるプレーンなものがほとんどです。

    流行に左右されず、長く同じ時間を過ごすことで「親近感がわく」というニュアンスで捉えると、「Lane(小道)」という名前を体現しているともとれます。

    しかし、プレーンなモノづくりがメインのEverlaneですが、時にロゴやグラフィックを使うこともあります。


    https://www.everlane.com/100-percent-human

    1アイテム購入のたびに5ドルが人権保護団体に寄付される『100% Human Collection』では、「100% Human」のロゴが多用されました。


    出典:100% Human Stories(Everlane)

    ※Donation(寄付)は2020年3月時点のもの

    また最近では、アースデイを契機に人々の関心を気候変動に向かわせようと、ニューヨークタイムズと組んで、胸と背中にプリントが施されたTシャツやスウェットも販売しています。


    https://www.everlane.com/nytimes

    この通り、プロダクトの基本的な方針は変わらないものの、まるで時代に呼応するかのように、Everlaneのプロダクトに対する考えや動きは柔軟に変化しています。

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    創業者Michael Preysman(マイケル・プレイズマン)

    Everlaneを創業したMichael Preysman氏は、もともと投資会社の出身でした。投資ではなく事業で社会にインパクトを与えたいと、2010年(25歳の時)に共同創業者と共にEverlaneを自ら立ち上げたのです。

    ちなみにEverlaneはMichael Preysman氏の願いである、「完璧なTシャツを作りたい」を原型としてスタートしています。途中で「“完璧”は人それぞれ違う」と気づいたため方針を変えたのですが、当初のEverlaneの狙いが大きく異なる点は興味深いものがあります。

    また彼はWiredの取材で、自らを「ファッション人間ではない」と答えています。確かに他のインタビュー記事をいくつ読んでも、彼はアパレルそのものに熱狂しているというよりも、アパレル業界の矛盾を解消することに全力を尽くしているように見受けられます。

    服作りに人一倍の情熱があるわけではなく、アパレル出身者でもない人物が創業者であることは、Everlaneの特徴を紐解いていくと納得できるものがあります。

    例えば先ほどご紹介した『100% Human Collection』やニューヨークタイムズとのコラボも、服(プロダクト)そのものというより、服を通じて社会課題に対してどう貢献するかの「体験を作っている」と捉えることができるでしょう。

    トータルの体験が良いEverlane

    社会課題に対するEverlaneの貢献は評価されるものですが、一方で「縫製の精度はあまり良くない」といった声もあります。NewsPicksの取材に対し、丸井グループ社長の青井 浩 氏は以下のように言及しています。

    エバーレーンは、価格は安いけれどクオリティが高いということで、ミレニアル世代にすごく人気があるのですが、アパレル業界やファッション詳しい人に言わせると、「エバーレーンは素材も縫製もグレードがすごく低い」そうです。

    出典:【丸井・青井社長】僕が「売らない店舗」でD2Cに夢中になる理由(NewsPicks)

    ここだけ切り取ると単に「グレードが低い」で話は終わってしまいますが、以下のように話は続きます。

    でも、僕はね「それでも関係ないよね」って思った。別に縫製の良さやコスパでの良さで買っているわけではないんです。

    エバーレーンという企業の姿勢が好きだし、かっこいいと思ったから買っているんです。この人たちの仲間になりたいって思って買っている。

    出典:【丸井・青井社長】僕が「売らない店舗」でD2Cに夢中になる理由(NewsPicks)

    「良いプロダクト」を求める時代であれば、素材や縫製のグレードが低いのは致命的な問題です。しかしD2Cの顧客が求めているのは、モノそのものよりも「体験」です。

    Everlaneの素材や縫製が本当にグレードが低いのかは議論の余地がありますが、それでも人気があるのは、素材や縫製を補って余りあるほど、トータルの顧客体験が良いと考えることができます。

    サスティナブルかグリーンウォッシングか

    ではEverlaneが提供するプロダクト以外の「顧客体験」が何かと言うと、まず思いつくのは、「Radical Transparency(徹底的な透明性)」を掲げるブランドを自ら選べる体験です。

    あるいは『100% Human Collection』やニューヨークタイムズとのコラボに代表されるような、Everlaneの商品を買うことで一緒に社会貢献ができるという体験です。

    世の中には単純においしいコーヒーを選ぶ人もいれば、フェアトレードかどうかでコーヒーを選ぶ人もいます。

    仮に縫製が多少よくないとしても、Everlaneのアクションを素晴らしいと感じて商品を購入するなら、それは「良い顧客体験」だと言えます。

    しかし、現代において表面的な取り繕いには価値がありません。私たちは本当に「サスティナブルな取り組みができているか?」といった点を見ています。

    例えばエシカル・サスティナブルなファッションブランドを発見できるサイト『Good On You』で、Everlaneの評価は「Not good enough.」です。

    環境に配慮しているように見せかけて、実態が伴わないことをグリーンウォッシングと言います。

    『Good On You』の評価が全てではありませんが、Everlaneがこれからも顧客に支持され続けるためには、本当にサスティナブルなブランドとして人々に認められる必要があります。

    Everlaneが真価を問われるのは、これからなのかもしれません。

    追記:Everlaneは2020年3月16日にTwitterで、すべてのコットンをオーガニックに変えることを宣言しました。よりサスティナブルに向かおうとする姿勢は間違いないようです。

    【最後に】
    ここまで読んでいただきありがとうございます。ここで最後にecforceのご紹介をさせていただきます。

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    <参考記事>

    日本含む38カ国展開!エバーレーンの「常識を破るビジネスモデル」の秘密(Forbs)

    Everlane ratings(Good On You)

    EVERLANE 徹底した透明性、敵なし(日経新聞)

    We tested Everlane and they failed. Here’s what happened.(ECO STYLIST)

    そのスニーカーは、「環境に優しい」履き心地がする(WIRED)

    「いくらでつくるか」を明確にすれば、消費者との会話の本質を変えられる(WIRED)

    原価も工場もすべて見せる『透明なブランディング戦略 ー EVERLANE』(TO NIE BLOG)

    10 years after Everlane’s launch, radical transparency is going mainstream(GLOSSY)

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