この記事でわかること
今までサクボではD2CのPRについて、大事なことを学んできました。
例えばPRにはレガシーなPRとモダンなPRの2つがあるということや、ストーリーテリングの重要性、一部の海外D2CブランドはPR会社とタッグを組んでいるということです。
ただ、ここまで考え方に関する抽象的な話が多かったので、今回は海外D2Cブランドの具体的なPR事例をまとめてみました。
- Warby Parker(ワービーパーカー)
- Everlane(エバーレーン)
- Away(アウェイ)
- Glossier(グロッシアー)
ピックアップしたのは以上の4ブランドです。順番に見ていきましょう。
Warby ParkerのPR事例:日食用メガネ
メガネのD2Cブランド『Warby Parker(ワービーパーカー)』は2017年、アメリカで99年ぶりに起きた“日食”という好機を逃しませんでした。
出典:Did You See ?!(Warby Parker THE BLOG)
この話題性の高いイベントを静観するのではなく、Warby Parker自ら日食用メガネを製造・無料配布して、積極的に日食の情報発信を行ったのです。
もしWarby Parkerに、自社のメガネを知ってもらおうとする単純な狙いしかなかったら、人々はおそらく興醒めしたはずです。
しかしWarby Parkerは、日食というまたとないチャンスを一緒に楽しむ姿勢を見せ、実際に人々の気持ちに寄り添った行動をしました。
この出来事でWarby Parkerの好感度や親近感が高まり、高いPR効果があったことは、言うまでもありません。
EverlaneのPR事例:「Choose What You Pay」
Everlane(エバーレーン)が企画した「Choose What You Pay」も、PR事例の一つとして考えられます。
新作を出し続けるアパレルブランドが避けて通れないのは、在庫を余らせないために行うセールです。しかし、Everlaneは単純に値下げして売ることはしませんでした。
「Choose What You Pay」と題して、3段階の中から顧客が自ら購入価格を決めるようにしたのです。
普通、安い価格で買うことが当然だと考えますが、熱心な顧客は、わざわざ高い価格で購入します。ある意味、Everlaneに投資をしているのです。
Everlaneが掲げた「Radical Transparency(徹底的な透明性)」への共感や、Everlaneを通じて世の中に貢献したいという気持ちがそうさせるのでしょう。
そのような気持ちを思い起こさせる時点で「Choose What You Pay」に込められた意味は伝わっていますし、見方を変えると顧客に対して重要なことをリマインドしているとも言えます。
在庫を高く売るための企画だと穿った見方をする人もいるかもしれません。しかしEverlaneにとって「Choose What You Pay」は、顧客とコミュニケーションを図るためのPR施策の一つなのです。
AwayのPR事例:旅雑誌『HERE』
「Awayはスーツケースを売るブランドではない」とは、以前お伝えした通りです。
Away(アウェイ)が本当にやろうとしているのは、「旅する人を増やすこと」であり、それを証拠にブランドサイトには以下のような文章が載っています。
Getting Away means getting more out of every trip to come.
That’s the idea, and the mission, behind everything we do.意訳:Awayを手に入れることは、Awayのアイディア・ミッション、その背後にある全てに触れ、全ての旅がより良くなることを意味する。
さらにAwayは「旅する人を増やす」ために、旅雑誌『HERE』を創刊しました。
出典:HERE「Issue 02 of Here Magazine Is... Here!」
雑誌の表紙を見る限り、Awayの存在感はほとんどありません。(右下に一応、ロゴがある程度です)顧客の視点から見ても、スーツケースを売るための雑誌ではないと一目瞭然です。
AwayのPRとしてこの雑誌を捉えると、『HERE』はAwayが人々に対して自らを「スーツケース売りではなく旅好きである」というスタンスを表明し広める、重要な役割を担っていると言えます。
人々はスーツケースを売る人よりも、自分と同じように旅が好きな人に惹かれるからです。
GlossierのPR事例:ピンクの可愛いフーディー
Glossier(グロッシアー)はコスメのD2Cブランドですが、ロゴ入りのピンクのフーディ(パーカー)も人々によく知られています。
企業がTシャツを作ることが一般的になった昨今では、アパレルとは関係ないブランドが服を作っても何も珍しいと思わないかもしれません。
しかし、GlossierのPR施策としてこの事例を読み解くと、とにかく見た目が可愛いこと(とても重要)と、フーディを着た写真を撮ることで自然と上半身の写真となり、Glossierでメイクをした顔が映ることが大事だと気づきます。
人々がメイクをしてフーディを着た写真をSNSに投稿することで、Glossierのことをより多くの人々に知ってもらえるからです。
このようなPR事例を思いつくのも、Glossierがピンクの可愛いフーディーを手に入れたいという顧客の気持ち、そしてフーディを着たらメイクをしてInstagramにアップしたいという気持ちをよく理解しているからです。
PRにおいて大事な「ユニークな文脈」と「社会性との掛け合わせ」
ここまで海外D2CブランドのPR事例を4つ見てきましたが、どのブランドにも共通している大事なことがあります。
それは全てのPRには、そのブランドが持つ「ユニークな文脈が存在する」ということです。例えばAwayは「旅する人を増やすこと」ですし、Everlaneは「透明性」です。
いくらAwayの旅雑誌『HERE』が良い施策だと言っても、Away以外のブランドがやっては効果は半減します。「旅する人を増やす」というユニークな文脈を持つAwayだからこそ、人々の心に響く施策となったのです。
さらに、ユニークな文脈が社会性やトレンドと掛け合わさることで、PRのストーリー全体に整合性が生まれ、人々がさらに広く伝播してくれるきっかけとなります。(Warby Parkerの日食用メガネなどは、その最たる例です)
「ユニークな文脈」と「社会性との掛け合わせ」。この2つを念頭にPR戦略を考えることで、今までにない施策を思いつくかもしれません。ぜひチャレンジしてみてください。

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