カゴ落ちを減らすには?ECのよくある離脱原因と具体策10選
- 基本原則:リマインドより先に、不安解消やフォーム改善から着手
- 離脱原因:費用情報の後出し、複雑なフォーム・会員登録、決済手段の不足、配送日や返品条件の不透明さ
- 具体施策:支払総額の事前提示、ゲスト購入、入力項目削減、決済手段の拡充
- 改善手順:購入ファネルで最大の離脱地点を特定、デバイス・顧客層別にABテスト
世界のECサイトにおける平均カゴ落ち率は70.19%とされており、カート投入後の離脱は多くのEC事業者に共通する課題です。カゴ落ち対策で重要なのは、施策を闇雲に増やすことではなく、ユーザーが購入をやめた場所と理由を特定し、影響の大きい順に改善することです。
※ 出典:50 Cart Abandonment Rate Statistics 2026|Baymard Institute
まずは「購入前の不安を減らす」「入力・決済の負担を減らす」「離脱後に適切に再接触する」の3方向から見直しましょう。本記事では、カゴ落ち率の計算方法、主な原因、10の対策、改善の進め方を解説します。
カゴ落ち対策は「予防・完了支援・復帰」の3段階で考える
カゴ落ち対策は、次の3段階に分けると優先順位を整理しやすくなります。
| 段階 | 目的 | 主な施策 |
|---|---|---|
| 予防 | 購入前の不安や想定外をなくす | 送料・手数料・配送日の早期表示、返品条件の明示、信頼情報の提示 |
| 完了支援 | 購入手続きの負担を減らす | フォーム短縮、ゲスト購入、決済手段の拡充、エラー改善、表示速度向上 |
| 復帰 | 離脱したユーザーに再検討を促す | カゴ落ちメール、プッシュ通知、広告、カート情報の保持 |
最初に取り組むべきなのは「離脱を防ぐ改善」です。リマインド施策は有効ですが、送料の後出しや複雑なフォームが残ったままでは、ユーザーを戻しても再び離脱します。
カゴ落ちとは?

カゴ落ちとは、ユーザーが商品をカートに入れた後、購入を完了せずにECサイトを離れることです。単なる閲覧離脱と異なり、商品への関心や購入意向が比較的高いユーザーが離脱しているため、売上改善に直結しやすい領域です。
カゴ落ち率の計算方法
カゴ落ち率は、次の式で算出できます。
カゴ落ち率(%)=(1-購入完了数÷カート投入数)×100
例えば、100件のカート投入に対して購入完了が30件なら、カゴ落ち率は70%です。
ただし、全体平均だけでは原因を特定できません。デバイス、流入経路、新規・既存顧客、商品、決済手段などに分けて確認することが重要です。
カゴ落ちが起きる主な原因
1. 送料・手数料が購入直前に判明する
対策:ユーザーが購入判断をする前に、支払総額の目安を提示する
商品価格だけを見て購入手続きを進めた後、送料や決済手数料が加算されると、「想定より高い」というギャップが生まれます。商品ページやカート画面で送料条件、送料無料ライン、手数料、税込価格を確認できるようにしましょう。
2. 会員登録や入力項目が多い
対策:購入に不要な入力を削り、ゲスト購入や入力補助を用意する
スマートフォンでは、長いフォームや小さい入力ミスが離脱につながります。氏名・住所の自動入力、郵便番号検索、適切なキーボード表示、入力中のリアルタイムエラー表示などを整えると、入力の負担を減らせます。
3. 希望する決済手段がない
対策:顧客層と商材に合わせ、利用頻度の高い決済方法を優先して導入する
決済手段は多ければよいとは限りません。利用率、決済失敗率、手数料、未回収リスク、継続課金への対応可否を見ながら選定します。特に定期通販では、初回購入だけでなく継続決済の安定性も確認が必要です。
4. 配送日や返品条件が分からない
対策:購入前に「いつ届くか」「返品できるか」を判断できる状態にする
到着日の不明確さや返品への不安は、比較検討中のユーザーを離脱させます。配送予定日、配送方法、受取方法、返品・交換条件をカートや購入画面から確認できるようにします。
5. サイトが遅い・エラーが起きる
対策:体感速度と決済成功率を、デバイス別に継続監視する
カート追加、画面遷移、クーポン適用、決済時のエラーは購入意欲を大きく損ないます。PageSpeed Insightsや実ユーザーデータを使い、画像、JavaScript、外部タグ、アプリの読み込みを見直しましょう。
6. 比較・検討のため一時的に保存している
対策:すべてのカゴ落ちを失敗と捉えず、検討を再開しやすくする
ユーザーは、価格比較や後日の購入を目的に商品をカートへ入れることがあります。カート情報の保持、お気に入り、再入荷通知、商品比較、閲覧履歴などを用意すると、再訪時の負担を減らせます。
カゴ落ちを減らす10の対策
| 優先度 | 対策 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 高 | 送料・手数料を早期表示する | 商品ページまたはカートで総額を予測できるか |
| 高 | 購入フォームを短縮する | 購入に不要な必須項目がないか |
| 高 | ゲスト購入を可能にする | 会員登録が購入の障壁になっていないか |
| 高 | 決済エラーを減らす | 決済方法別の失敗率を把握できているか |
| 高 | スマートフォン表示を改善する | ボタン、文字、入力欄が操作しやすいか |
| 中 | 決済手段を最適化する | 顧客が使う方法に対応しているか |
| 中 | 配送日・返品条件を明示する | 購入前の不安を解消できているか |
| 中 | カート情報を保持する | 再訪時に商品が残っているか |
| 中 | カゴ落ちメールを配信する | 対象、タイミング、回数を検証しているか |
| 中 | 離脱地点を分析しABテストする | 改善前後の購入完了率を比較しているか |
カゴ落ち対策の進め方
Step 1. 購入ファネルを可視化する
「商品詳細→カート投入→カート表示→購入情報入力→決済→購入完了」の各段階で、到達数と離脱率を確認します。まず、どこで最も大きく落ちているかを特定します。
Step 2. セグメント別に差を見る
次の切り口で離脱率を比較します。
- PC/スマートフォン
- 新規顧客/既存顧客
- 広告/自然検索/メール等の流入経路
- 商品・カテゴリ
- 決済手段
- クーポン利用有無
- 単品購入/定期購入
特に、デバイス別と新規・既存顧客別の差は、優先して確認したい切り口です。
公開されている一律の基準値に当てはめるのではなく、同じ期間・同じ購入ファネルの定義で自社内の差を比較します。
| 比較する切り口 | 差が大きい場合に確認すること |
|---|---|
| スマートフォンの離脱が高い | 入力欄の操作性、キーボード表示、ボタンの押しやすさ、表示速度、利用できる決済手段を確認する |
| 新規顧客の離脱が高い | 会員登録、サイトへの信頼、送料・返品条件、初回決済の負担を確認する |
| 既存顧客の離脱が高い | ログイン、保存済み決済情報のエラー、カート情報の引き継ぎ、クーポンや定期購入条件を確認する |
母数の確認を忘れない
全体値では見えない偏りが見つかれば、原因の仮説を立てやすくなります。比較時は母数も確認し、件数が少ないセグメントの一時的な変動を過大評価しないようにしましょう。
Step 3. 定性情報で理由を補う
アクセス解析だけでは、離脱した理由までは断定できません。ユーザーテスト、問い合わせ内容、フォームのエラーログ、ヒートマップ、購入者アンケートなどを組み合わせます。
Step 4. 影響度と実装コストで優先順位を付ける
「影響を受けるユーザー数」「購入完了率への影響」「実装工数」「リスク」の4点で施策を評価します。文言修正や送料表示などの小さな改善から始め、フォーム改修や決済追加などへ広げます。
Step 5. ABテストと継続計測を行う
カゴ落ち率だけでなく、購入完了率、売上、平均注文単価、粗利、決済失敗率、問い合わせ数まで確認します。割引で購入完了が増えても、利益やブランド体験を損なっていないかを検証しましょう。
ecforce導入企業のカゴ落ち改善事例
カゴ落ち率が約50%低下|株式会社ハーバルアイ
株式会社ハーバルアイでは、ecforceへの移行後、決済API連携や運用面の改善に加え、Amazon Payによって決済の選択肢を拡充しました。取材では、導入後の変化としてカゴ落ち率が約50%低下し、CVRは2〜3倍近く、年商は約220%になったと紹介されています。
カゴ落ち率の改善は、ひとつの機能だけでなく、決済手段、購入フォーム、運用環境を含めてボトルネックを解消した結果として捉えることが重要です。
注文確認画面で約30%離脱、導入後にCVR約1%改善|株式会社ファストノット
着圧ウェアブランド「BELMISE」では、ecforce導入前、LPの注文確認画面で約30%の離脱が発生していました。注文確認画面のスキップ機能を導入し、購入完了までを2ステップに短縮した結果、CVRが約1%改善したと紹介されています。
月間アクセス数が多いサイトでは、CVRの1ポイント改善が売上へ与える影響も大きくなります。
※ 掲載数値は各社への取材当時の実績です。改善効果は商材、集客方法、サイト構成、実施施策などによって異なります。
カゴ落ちメールを設計する際のポイント
カゴ落ちメールは、ユーザーを急かすのではなく、購入を中断した理由を解消する内容にします。
含めたい要素
- カートに残っている商品名・画像
- カートへ戻る明確なボタン
- 配送日・送料・返品条件
- 在庫やキャンペーン期限の正確な情報
- レビューや利用メリット
- 問い合わせ導線
配信設計|業界別の開始パターン
一般的なECでは、初回メールをカゴ落ちから30〜60分後に送る設計が代表的です。ただし、適切な配信間隔は商品の検討期間や購入頻度で変わります。以下をABテストの開始パターンとして使い、自社で調整しましょう。
| 業界・商材 | 1通目 | 2通目 | 3通目 | 主な訴求 |
|---|---|---|---|---|
| 食品・日用品 | 30〜60分後 | 12〜24時間後 | 48〜72時間後 | 買い忘れ防止、配送日、送料・送料無料条件、在庫・期限 |
| 化粧品・美容 | 1〜4時間後 | 24〜48時間後 | 3〜5日後 | 使用方法、悩みとの適合、レビュー、成分・安全性、必要に応じた特典 |
| 定期通販・サブスク | 1〜3時間後 | 24時間後 | 3日後 | 初回価格、2回目以降の価格、配送周期、継続メリット |
| 高額商品の追加フォロー | ― | ― | 5〜7日後 | よくある不安への回答、比較情報、監修・実績、問い合わせ導線 |
※ 業界共通の確定値ではなく、検証を始めるための推奨初期値です。
食品・日用品
検討期間が比較的短いため、1通目は30〜60分後を起点にします。値引きを急いで提示するより、カート内容、配送予定日、送料・送料無料ラインを分かりやすく伝えます。賞味期限や在庫に触れる場合は、実際の情報に基づき、不必要に焦らせない表現にします。
化粧品・美容
肌との相性、使用方法、成分、レビューなど、購入前の不安解消が重要です。1通目は1〜4時間後、2通目は24〜48時間後を起点とし、3通目では必要に応じて限定特典や送料無料を検証します。最初から値引きを出すと、割引待ちを招く可能性があるため注意します。
定期通販・サブスク
定期購入は継続的な支払いへの不安があるため、単なるリマインドだけでなく、価格や契約条件を段階的に説明します。1通目は1〜3時間後、2通目は24時間後、3通目は3日後を起点とし、検討期間が長い商材では5〜7日後に追加フォローを行います。
配信停止条件
- メール送信前に購入が完了したユーザーを除外する
- 在庫切れ・販売終了の商品を除外する
- 同一ユーザーへの過剰配信を防ぐ
- 開封率だけでなく、購入完了率、粗利、配信停止率、苦情率を確認する
- ユーザーの同意、個人情報の取り扱いなど、関連法令と自社ポリシーに沿って運用する
※ 出典・参考:Abandoned Cart Email Examples, Templates & Tips That Work|Omnisend、Abandoned Cart Emails: Best Practices & Examples|Shopify、Lowering Abandoned Cart Rates for Beauty Brands|Avex Designs
定期通販・D2Cで特に確認したいポイント

定期通販では、通常購入に加えて契約条件への不安がカゴ落ちにつながる場合があります。次の情報を購入前に分かりやすく示しましょう。
- 初回価格と2回目以降の価格
- 送料・手数料を含む支払総額
- 配送周期と変更方法
- 最低購入回数の有無
- 解約・休止・スキップの条件と手順
- 返品・返金条件
条件を目立たなくするのではなく、理解しやすく提示することが、購入時の安心と継続利用の両方につながります。
購入離脱を、ECシステム側から改善
フォーム一体型LP・確認画面スキップ・カゴ落ちメールなど、購入の取りこぼしを抑えるecforceの定期通販向け機能をまとめて確認できます。
まとめ|まずは最大の離脱地点を1つ改善する
カゴ落ち対策は、送料表示、フォーム、決済、表示速度、配送条件、リマインド配信など多岐にわたります。しかし、すべてを同時に実施する必要はありません。
まず購入ファネルを可視化し、最も離脱が大きい地点を特定します。そのうえで、「予防→完了支援→復帰」の順に施策を検討し、改善前後の購入完了率を比較しましょう。小さな改善を継続的に積み重ねることが、CVRと売上の安定した向上につながります。
FAQ(よくあるご質問)
Q1カゴ落ち率の平均はどのくらいですか?
Baymard Instituteが集計した世界の調査データでは、平均カゴ落ち率は70.19%です。ただし、商材、価格帯、デバイス、流入経路などで大きく異なるため、平均値は目安として使い、自社の推移とセグメント別の差を重視しましょう。
Q2カゴ落ち率を下げるために最初にすべきことは何ですか?
購入ファネルを可視化し、最も離脱率が高い地点を特定することです。その後、送料の後出し、フォーム入力、決済エラーなど、離脱地点に対応する原因を調べます。
Q3カゴ落ちメールは何回送るべきですか?
商材の検討期間や顧客層によって異なります。まずは少ない回数から始め、初回の配信タイミング、2通目以降の間隔、訴求内容を検証します。開封率だけでなく、クリック率、購入完了率、配信停止率も確認します。
Q4カゴ落ち対策とCVR改善の違いは何ですか?
カゴ落ち対策は、商品をカートに入れた後の離脱を減らす施策です。CVR改善は、訪問から購入完了までの全工程を対象とするため、商品ページ、集客の質、価格、カート、決済など、より広い範囲を含みます。
Q5カゴ落ち率はどのように計算しますか?
「(1-購入完了数÷カート投入数)×100」で計算します。例えば、カート投入100件に対して購入完了が30件の場合、カゴ落ち率は70%です。
Q6カゴ落ちの主な原因は何ですか?
送料・手数料の後出し、入力項目の多さ、希望する決済手段の不足、配送・返品条件への不安、表示速度やエラーなどが主な原因です。離脱地点によって原因が異なるため、購入ファネルを分解して確認します。
Q7カゴ落ち対策の効果はどの指標で測定しますか?
カゴ落ち率だけでなく、購入完了率、フォーム離脱率、決済失敗率、メール経由の購入率、売上、粗利を確認します。施策前後や未実施グループと比較すると、改善効果を判断しやすくなります。
Q8定期通販ではどのようなカゴ落ち対策が必要ですか?
初回価格だけでなく、2回目以降の価格、送料、配送周期、最低購入回数、休止・解約方法を購入前に分かりやすく提示します。継続的な支払いへの不安を解消することが重要です。
Q9カゴ落ちメールはいつ、何回送るべきですか?
一般的には30分〜数時間後に1通目を送り、24時間後、2〜3日後に追加配信する方法があります。ただし、食品、化粧品、定期通販では検討期間が異なるため、購入完了率や配信停止率を見ながら調整します。
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