この記事でわかること
食品業界では新しい商品の企画や製造をおこなうとき、OEMという手法が多く利用されています。
自社で製造ラインを確保することなく新しい商品を製造できることから、短期間でたくさんのラインナップを確保したいときには、非常に効率的です。
しかし、最近ではOEMメーカーも増えてきており、どこに依頼すればいいのか迷ってしまう人も多いでしょう。
この記事では、食品OEMの基本知識や選び方、はじめる前に知っておきたいことについて紹介していきます。
食品OEMとは
そもそもOEMとは、Original Equipment Manufacturingの略語で、ブランド側の依頼した商品をメーカー側が製造することです。
食品業界では古くから利用されている手法で、特に大手コンビニでは盛んにおこなわれています。
ブランド側は味や見た目のイメージを伝えるだけで新しい商品を増やせるため、季節ごとに新しい商品を求められる食品業界とOEMは相性がいいと言えるでしょう。
また、製造に関する業務に社内のリソースを割かなくてもいいため、パッケージデザインやマーケティングなどの業務に専念することができます。
食品OEMの選び方
食品業界と相性のいいOEMですが、自社と相性のいいメーカーを選ばなければ失敗してしまうかもしれません。
OEM製造のノウハウがなくて迷ってしまう人は、以下5つのポイントから選んでみてください。
- 安全性で選ぶ
- 味で選ぶ
- コストで選ぶ
- 対応ロット数で選ぶ
- 実績で選ぶ
それぞれ詳しく紹介していきます。
安全性で選ぶ
1つ目は「安全性で選ぶ」です。
当たり前ですが、お客様が直接口に入れることになるため、安全性には細心の注意を払う必要があります。
OEMでは製造を丸投げすることになるため、衛生面で信頼できるパートナーを探しましょう。
原材料や使用されている水など、安全面を重視しているお客様も増えてきています。
OEMメーカーを選ぶときは加工技術だけでなく、製造環境や品質管理も厳しくチェックしておきましょう。
味で選ぶ
2つ目は「味で選ぶ」です。
当たり前ですが食品業界では味が気に入ってもらえなければ、リピートされることはありません。
また、最近はSNSなどの影響から個人の感想を簡単に発信できる時代です。
サプリメントやファングッズなど、よほどの付加価値がなければ味で勝負することになります。
自社のイメージしている商品を再現してくれる技術力があるかどうかもOEMメーカーを選ぶ重要なポイントです。
コストで選ぶ
3つ目は「コストで選ぶ」です。
食品紹介は、薄利多売の代表的な業界です。
いかに安く製造して、たくさんの人に購入してもらうかが収益を大きくする秘訣でしょう。
OEM製造は基本的にロット数が多くなるほど、商品単価が安くなります。
また、メーカーごとに最低ロット数が設けられているため、1度に大量の注文ができない場合は、注意が必要です。
どれだけいい商品でもコストがかかり過ぎてしまうと価格も高くなってしまい、結果的に売りづらくなります。
OEMメーカーを選ぶときは、商品の単価をあらかじめ細かく設定しておくといいでしょう。
対応ロット数で選ぶ
4つ目は「対応ロット数で選ぶ」です。
ロット数とは、発注する数量のことです。
実際にOEM製造をしている人なら理解していると思いますが、柔軟な対応ロット数の対応は非常に大きな助けとなります。
また、依頼してから実際に納品されるまでのスピードなども確認しておきましょう。
実績で選ぶ
5つ目は「実績で選ぶ」です。
やはり実績はOEMメーカーを選ぶときの大きな判断材料になります。
特に、大手食品メーカーの製造実績などがあれば、厳しい品質管理や加工技術を持っている証拠になります。
逆になんの実績もない場合は、注意しておきましょう。
依頼する前に大きなトラブルを起こしていないか必ず確認してください。
食品OEMを選ぶときの注意点
ここからは、食品OEMを選ぶときの注意点について紹介していきます。
自社にOEMのノウハウがない場合は、以下のことに注意しておきましょう。
- 製造工程の検査・殺菌
- 設備機器の充実度
- 必ずサンプルを確認する
それぞれ詳しく紹介していきます。
製造工程の検査・殺菌
製造工程を細かく開示してくれるOEMメーカーだと安心です。
検査や殺菌の工程がきちんと実施されているかどうかは、必ず確認しておかなければいけないポイントです。
衛生面でトラブルが発生した場合は、メーカー側だけでなくブランド側にも大きなダメージとなります。
お客様が安心して購入できるブランドになれるように細心の注意を払っておくべきでしょう。
設備機器の充実度
設備機器が充実していれば、効率的な商品の製造に期待できます。
設備機器と、それを扱う製造技術が伴っていれば、自社商品のクオリティも上がっていくでしょう。
また、イメージした商品を完璧に再現してくれるだけでなく、メーカー側から「こんな商品はどうですか」「最近は◯◯が人気です」などの提案をしてくれるとさらに期待できます。
必ずサンプルを確認する
商品業界ではサンプルの確認は必須です。
味は見た目ではまったく判断できないため、新しい商品は必ずすべてチェックしておきましょう。
どれだけ実績のあるメーカーでも、味は人それぞれに好みがあるため、実際に依頼してみるとイメージと違う可能性もあります。
食品OEMをはじめる前に知っておきたいこと
それでは次に、食品OEMをはじめる前に知っておきたいことを3つ紹介していきます。
食品の製造・販売には資格と営業許可が必須
食品の販売には「食品衛生責任者」という資格と「食品衛生法に基づく営業許可」がそれぞれ必要になります。
どちらも取得するのは簡単ですが、取得していなければ罰則が設けられています。
ブランドイメージにも大きく傷がつくため、必ず取得しておきましょう。
販売方法やジャンルによって異なる許認可が必要
食品衛生法に基づく営業許可は、販売方法やジャンルにとって異なる許認可が必要になります。
また、商品を保管しておく場所にも、種類に応じた許可を取らなければいけないため、企画段階で確認しておきましょう。
「食品表示法」と「特定商取引法」について
食品を販売する場合は、以下の食品表示法に沿った表示が必要になります。
- 名称
- 原料原産地名
- アレルギー
- 添加物
- 内容量
- 賞味期限(消費期限)
- 保存方法
- 製造者
また、ECで販売する場合は「特定商取引法」も忘れてはいけません。
販売業者や所在地、商品代金以外の料金の説明などを表示する必要があります。
食品OEMの流れ
それでは最後に、食品OEMメーカーに製造を依頼してから納品されるまでの流れを紹介していきます。
製造を委託するメーカーや商品によって若干流れは異なりますが、基本的には以下の通りです。
- 打ち合わせ
- 各種許認可の取得
- サンプル作成
- サンプル確認
- 製造
- 検品・出荷
まずはメーカーに、どんな商品を作ってもらいたのかを提案します。
この段階で商品のジャンルは決まっているはずなので、商品に適した許認可を取得しておきましょう。
その後、サンプルを確認して問題がなければ、ロット数や金額などの条件をすり合わせて発注します。
メーカー側で検品は実施してくれますが、万が一のことを想定してブランド側でも品質管理は徹底しておきましょう。
まとめ
この記事では、食品OEMの基本的な仕組みから、メーカー選定のポイント、注意点、導入までの流れや必要な許認可までを解説しました。
食品OEMは、自社で製造ラインを持たずにオリジナル商品を開発できる効率的な手法ですが、成功のカギは「信頼できるパートナー選び」にあります。
衛生管理や製造技術といった品質面だけでなく、提案力や対応力、そして担当者との相性までを総合的に見極めることが重要です。
初めてOEMを活用する場合でも、しっかりと準備と情報収集をおこなうことで、スムーズな商品開発と事業拡大につなげることができるでしょう。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月