この記事でわかること
D2Cブランドを立ち上げるだけでも、労力がかかります。
しかしブランドを立ち上げるのはゴールではなくスタート。
ここから本当の戦いが始まります。
ただがむしゃらにやっても結果は出ません。D2CにはD2Cの戦い方があり、そのために必要な適切なKPI設定があります。
そこで本稿では、D2Cブランドで継続的にLTVを上げるために注視すべきKPIと、理想となる目標値、目標を達成するために顧客に送るべきメッセージをお伝えします。
これからD2Cに挑戦する皆さんに、何らかの形で参考になれば幸いです。
この記事を最後までご覧いただいた方のために、事業にすぐ使える実践フォーマットを配布させていただいております。ぜひご活用下さい。
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D2CのKPIを考える上での前提
KPIの話に移る前に、本稿の前提をお伝えします。
なぜなら「D2C」と一口に言っても様々な形態が存在しますし、特にそのビジネスモデルは複数ありながら、それぞれ全く異なる様相だからです。
本稿では健康食品や化粧品などに代表される、課題解決型の定期通販でD2Cを展開するブランドにとって参考になる話をします。
KPIをはじめとする具体的な数値やノウハウは、まつげ美容液を販売するショップ様がブランドを成長させる過程で得た知見を元にしています。
顧客が気に入った商品を都度単品で買うアパレルブランドなど、本稿の話が参考にならない場合もあるので、その点はご注意くださいませ。それではKPIの話に移りましょう。
D2Cブランドが注視すべきKPIと、理想の目標値
D2Cに限らず、ECの最終目的は顧客のLTVを上げることに帰結します。
しかしいくらLTVが高くても、利益が出なくてはビジネスとして立ち行かないので、「LTVの利益率」も同様に重要な指標です。
LTVは商品単価などに左右されますが、LTVの利益率はその限りではありません。
そこで最初に重要なKPIとして、「LTV利益率」の目標値をお伝えします。
まつげ美容液を販売するショップ様の事例を元にすると、LTV利益率が最終的に17~20%だとビジネス視点で良い事業だと言えます(原価には、原材料以外に資材費用・決済利用料・送料などの諸々のコストに加え、マーケティングコストも加算して計算)。
次に重要になるKPIとして「回転数」※が挙げられますが、平均4回転を常に目標にするのが良いでしょう。
平均4回転を目標にすると、逆算して各回数での目標継続率が以下のように算出できます。
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目標継続率 |
備考 |
1→2回 |
80% |
ちなみに初回購入は98%(「決済不備」などの理由で100%にはならない) |
2→3回 |
68% |
2回目から3回目で継続率が落ちるので、ここを越えられるかどうか重要になる。 |
3→4回目 |
70% |
|
4→5回目 |
70% |
|
5回目以降 |
75~90% |
|
各回数の%を見ていただくとわかりますが、顧客が4回目まで続けるかどうかは主に「2→3回の継続率」にかかっています。よって、これから後述する継続率の上げ方も、「1→2回の継続率」に加えて、「2→3回の継続率」について解説しています。
目標である平均4回転を達成すると、マーケティングコストを加味してもLTV利益率が17%を超えてくる可能性が高いので、ビジネスとして安定的に利益を出すことができる良い事業です。
※ここでの「回転数」は、顧客のリピート回数のことです。つまり4回転とは、顧客が4回にわたり商品を購入したことを意味しており、毎月商品が届く定期通販の場合、4ヶ月のあいだ毎月商品が顧客の元に届いたことを意味しています。
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平均4回転を達成してLTV利益率を上げるメッセージ
それでは、どのようなメッセージを送れば平均4回転を達成することができるのでしょうか。
ここでは「1→2回の継続」と「2→3回の継続」の2つに分けてお伝えしたいと思います。
1→2回の継続を実現させるメッセージ
「1→2回」も「2→3回」も同じですが、共通して実現したいことは顧客に「このブランドはあなたのためのブランド」と思ってもらえるようにすることです。
そのためにも顧客と以下の3つのタッチポイントで、キーとなるメッセージを発信していきます。
- 同梱物
- LINE公式アカウント
- ステップメール
「1→2回」の場合、まだ顧客の期待は高く、最初に買った時のイメージは残っていると予想されますが、逆にそのイメージが薄れていく継続の危機もあります。
そこで最初の期待を忘れずに思い出してもらうため、「1→2回」では例えば「3ヶ月つづけたらこんな風になります」といったように、継続した先の良い未来を再度リマインドすることが重要です(当然、薬機法に抵触しないように注意することは言うまでもありません。特に同梱物など、形として残るものは細心の注意が必要です)。
例えばLINE公式アカウントやステップメールで、2回目以降に使えるクーポンの発行や続ける意義を伝える文章を送ったり、公式のSNSで発信を続けるなど、お客様にブランドのことを考えてもらう時間をなるべく作るアクションが重要になってきます。
様々なアプローチを駆使して、お客様のマインドシェアを獲得するということも、KPIの一つとして考える必要があるでしょう。
2→3回の継続を実現させるメッセージ
続いて「2→3回」の継続ですが、2ヶ月は続けている人が対象となるので、「1→2回」とはメッセージが異なります。
ここで実現したいことは「顧客に実感を認識」してもらうことです。
例えば同梱物で「こんな変化が起きていませんか?これは良い兆候です」と伝えることで、何らかのメリットを実感しているか、顧客自身に認識してもらうことができます。
当然、良い兆候を作為的に印象付けることはできませんから、あくまで顧客がしているであろう実感を、自然と気づいてもらえるようにメッセージを送ることが大事です。
まつげ美容液のショップ様の場合、もし顧客の実感が伴わなかった場合も、まつげ美容液に限った提案ではなく、「寝る前に目の周辺のマッサージをしたらどうでしょう?」といった、顧客視点に立った幅広い提案をしています。
顧客が本当に求めていることを想像すれば、商品を売ることだけが解決策ではないのです。
また、商品が余ってしまって解約に至る顧客に対して、同梱物でお届けサイクル変更が可能ということを伝えることもできます。
色々な方の使い方を公開することによって、「自分だけのブランド」により近づける可能性が高まりまるでしょう。
さらにチャットボットを通じて同梱物と絡めたメッセージを送ったり、コールセンターと連携して配送スキップ・ダウンセルなどの提案をしたり、3ヶ月継続したらより綺麗になれる講座をライブ配信で開催したりするなど、続けることで生まれるメリットを企画し、伝えることも重要です。
LTVを上げるために顧客の悩みを理解する
「1→2回」の目標80%、そして「2→3回」の目標68%を達成してLTVを上げるためには、どれだけ顧客の悩みを理解して、そこに対して自分の商品をどのように訴求し、どのような効果をもたらすことができるのかを熟考することが大事です。
そうすれば自ずと使用してくれているお客様の現在の状況がわかり、どういった情報がその時点で欲しいのかも見えてきます。
以前のように、記事広告を出せば顧客が増える時代は終焉を迎えようとしています。
これからはどれだけ顧客のことを考え、顧客の普段の生活に合わせられるかということを念頭に、集客もCRMも打ち手を考えていく必要があります。
顧客の悩みを理解し、効果的なメッセージを顧客視点で適切なタイミングで発信すること。
これが今後のキーワードの一つとなってくるでしょう。
さて、ここまで読んでいただいた方に、お伝えしたいことがあります。
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※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月