ペット用品ECで売上を伸ばす仕組みとは?市場課題を突破する成功戦略と事例
ペットEC市場では大手モールが高い集客力を持つ一方、自社ECには独自商品の価値を伝え、顧客との継続的な関係を築く役割があります。フードやペットシーツは繰り返し購入される商材ですが、広告費や配送費が利益を圧迫することもあるため、初回購入だけでなく継続購入を含めた採算設計が重要です。
本記事では、市場規模とモール・自社ECの役割分担を整理し、定期購入やWeb診断、CRM、物流費への対策と、表示・広告に関わる法規制を解説します。ecforceを活用するペット関連ブランドの事例も踏まえ、自社の収益性と顧客体験を両立する施策や、必要なECシステムを選ぶための判断軸を紹介します。
- 拡大するペット用品・フードECの市場規模と最新トレンド
- ペット用品ECが直面する4つの課題(LTV・CPA・法規制・物流コスト)
- 売上・LTVを最大化する5つの核心戦略
- 成長企業に学ぶペット用品ECの成功事例
- ペット用品ECサイト構築・システム選定のポイント
拡大するペット用品・フードECの市場規模と最新トレンド

ペット関連商品のEC市場は拡大が見込まれています。また、ペット関連総市場では、ペットを家族の一員と捉える「ペットの家族化」や健康志向を背景に、栄養バランスや原材料に配慮した高付加価値フードの販売が堅調に推移しています。
株式会社富士経済の調査によると、ペット関連商品の国内EC市場は2025年に3,612億円が見込まれ、2030年には4,388億円(2024年比28.4%増)に拡大すると推計されています。そのうち、アマゾンや楽天市場などの大手ECモールが全体の8割弱を占める一方、メーカー直販ECも高い成長率で市場拡大を後押ししています。(出典:株式会社富士経済「ペット関連商品のEC市場を調査。2030年の国内市場を4,388億円(2024年比28.4%増)と推計」)
また、株式会社矢野経済研究所の調査では、ペットフード・ペット用品・生体+サービスを含むペット関連総市場は2025年度に1兆9,504億円(前年度比2.1%増、見込)、2026年度には1兆9,835億円に達すると予測されています。(出典:株式会社矢野経済研究所「ペットビジネスに関する調査を実施(2026年)」)
富士経済の調査によると、メーカー直販ECでは、ペットの種類や年齢に合わせた個別提案や、顧客との関係強化を目的とした取り組みが進んでいます。こうした動きと、高付加価値フードの販売動向を踏まえると、自社ECでは商品の独自性と購入後の体験を組み合わせた価値提供が重要です。
モールと自社ECの役割を分ける
大手モールは集客力やポイント還元に強みがある一方、同じメーカー品を扱う場合、価格や送料を比較されやすくなります。モールを新規顧客との接点や既存商品の販売に活用しながら、自社ECではオリジナル商品や定期購入を通じてブランドの価値を伝える、という役割分担が考えられます。
自社ECでは、必要な同意を得たうえでペットの年齢や購入履歴などを活用し、適切な商品提案や継続フォローにつなげられます。価格だけに頼らず、顧客と長く関係を築く場として設計することが大切です。
ペット用品ECが直面する4つの構造的課題

ペット用品EC市場は成長が見込まれる一方、事業者は継続購入、顧客獲得、法規制、物流コストという4つの課題に向き合う必要があります。
消耗品のリピート購入が続かなければLTVは伸びにくく、新規顧客の獲得にかかるCPAも収益を左右します。さらに、商品表示や広告表現の法令対応に加え、商品の重量や配送方法によっては送料が利益を圧迫します。
これらの課題を理解し、対策を講じることが、ECサイトの持続的な成長には不可欠です。本章では、これらの課題を深掘りします。
1. 単発購入で終わりやすい「継続率(LTV)向上の壁」
ペット用品、特にフードやトイレタリーは定期的な消費が見込まれる商材ですが、多くのECサイトでは単発購入に留まり、継続率の低さが課題となっています。その背景には、ペットの体質に合わなかった、より安い商品を見つけた、あるいは単純に買い忘れといった理由が存在します。
犬や猫のライフステージの変化は、継続的な提案の機会でもあります。子犬・子猫から成犬・成猫、シニアへの成長や多頭飼いの開始に合わせ、必要に応じて別の商品や購入量を案内できます。自社ECなら、必要な同意を得てペットの年齢や体重、購入履歴を把握し、状況に応じた提案に生かせます。
顧客との関係を維持し、変化するニーズに対応する仕組みがなければ、LTVの向上は望めず、常に新規顧客獲得に追われる自転車操業に陥りがちです。
2. 顧客獲得単価(CPA)の高騰と集客の難しさ
ペット用品EC市場への参入事業者が増加するにつれて、Web広告の競争は激化し、顧客獲得単価(CPA)は高騰し続けています。特に、幅広い品揃えと集客力を持つ大手ECモールとの競争は避けられません。自社ECサイトが広告に頼り切った集客モデルを続けると、利益を圧迫し事業の継続が困難になるリスクがあります。
そのため、広告だけに依存しない集客チャネルの開拓や、一度獲得した顧客を確実にリピーターへと育成し、LTVを最大化する戦略が、後発の犬用品サイトなどが生き残る上で極めて重要になります。
3. ペットフードの表示と広告に関わる法規制
ペット向け商品の販売では、商品区分や表示場所に応じて、複数の法令を確認する必要があります。それぞれの役割を分けて把握しましょう。
- ペットフード安全法:犬・猫用の販売用ペットフードを対象に、成分規格や製造方法の基準のほか、名称、賞味期限、原材料名、原産国名、事業者の名称・住所の表示などを定めています。商品パッケージの表示を確認しましょう。(参考:環境省「ペットフード安全法に関するQ&A」)
- 薬機法:ペットフードなどで、病気の治療・予防をうたうなど医薬品的な効能効果を表示すると、規制対象となる可能性があります。(参考:ペットフード公正取引協議会「薬事表現に関するガイドライン」)
- 景品表示法:商品の品質や取引条件を、実際より著しく優良・有利に見せる表示を規制します。「安全性」や「無添加」などの訴求も、根拠と表示内容を照合することが重要です。
商品区分や具体的な表現によって判断が異なるため、パッケージ、商品ページ、広告、レビューなどを含めて、公開前に法務担当者へ確認しましょう。
4. 物流コストが利益を圧迫しやすい
フードは重量があり、ペットシーツはかさばるため、商品価格に対して配送・梱包コストが重くなる場合があります。冷凍フードでは温度管理に対応した配送も必要になり、通常配送より費用がかかることがあります。
配送1回あたりの売上と粗利、送料・梱包費を確認し、まとめ買いや定期購入によるセット販売、お届け間隔の調整を検討しましょう。配送1回あたりの購入金額を高め、継続購入によるLTVも含めて採算を評価することが重要です。
ペット用品ECを成功に導く5つの核心戦略(売上・LTV最大化)

ペット用品ECが直面する構造的課題を乗り越え、売上とLTVを最大化するためには、5つの核心戦略が鍵となります。これらの戦略は、顧客の不安を解消し、購入体験を最適化し、継続的な関係を築くための具体的な打ち手です。
具体的には、パーソナライズ提案、柔軟な定期購入、決済プロセスの最適化、CRM施策、そして信頼性を高めるコンテンツ活用が挙げられます。
これらの戦略を組み合わせることで、大手モールとの差別化を図り、競争の激しい市場で選ばれ続けるECサイトを構築することが可能になります。
1. 購入心理ハードルを下げるWeb診断(フード診断・パーソナライズ提案)
「うちの犬に本当に合うだろうか」という飼い主の不安は、購入における大きな心理的ハードルです。このハードルを下げるために、Web診断コンテンツが有効です。ペットの犬種、年齢、体重、アレルギーの有無、健康上の悩みなどを入力してもらうことで、最適なフードやケア用品をシステムが自動で提案します。
このパーソナライズされたアプローチは、顧客が自ら情報収集する手間を省き、納得感を持って商品を選べるように導きます。結果として、購入率(CVR)の向上につながり、顧客満足度を高める効果も期待できます。
2. 継続率を高める定期購入・サブスク施策(サイクル変更・お届けスキップ)
ペット用品、特にフードのような消耗品を扱うECサイトにおいて、LTV向上の生命線となるのが定期購入・サブスクリプションモデルです。単に商品を定期的に届けるだけでなく、ユーザーの利便性を最大限に高めることが継続率向上の鍵となります。例えば、マイページからいつでもお届けサイクルの変更や、次回の配送を一時的に停止するスキップ機能を提供することが重要です。
ペットの食事量の変化や在庫状況に合わせて顧客が柔軟に調整できる仕組みは、不要な在庫を抱えるストレスをなくし、結果として解約率の低下に大きく貢献します。
3. CVR(購入率)を極限まで高めるフォーム一体型LP・決済最適化
新規顧客の獲得効率を最大化するには、LPから購入完了までのプロセスをいかにスムーズにするかが重要です。特に効果的なのが、LP内に決済フォームが埋め込まれた「フォーム一体型LP」です。ユーザーはページを遷移することなく、商品の魅力を理解した直後に個人情報や決済情報を入力できるため、離脱する隙を与えません。
さらに、入力項目を最小限に抑えたり、AmazonPayなどのID決済を導入して住所入力の手間を省いたりするEFOを徹底することで、購入率を極限まで高めることが可能です。多くのECサイトで導入が進んでいます。
4. 離脱・解約を防ぐLINEステップ配信とカスタマーサクセス(CRM)
ペット用品、特にフードの購入後、顧客との関係を放置することは離脱や解約の大きな原因となります。これを防ぐためには、CRM(顧客関係管理)の視点に基づいたアプローチが不可欠です。例えば、LINE公式アカウントを活用し、購入からの日数に応じてステップ配信を行うことで、適切なタイミングで情報を提供できます。
「フードの正しい与え方」や「よくある質問」といったコンテンツを配信したり、次の配送が近づいたタイミングでリマインドを送ったりすることで、顧客のエンゲージメントを高めます。こうした地道なコミュニケーションが、犬や猫といったペットとの生活に寄り添う姿勢として伝わり、信頼関係を築き、LTV向上に繋がります。
5. 安全性・品質への信頼を高めるUGC(顧客の声)とコンテンツ活用
ペットの健康に直結する用品、特にフードにおいては、安全性や品質に対する飼い主の目は非常に厳しいです。公式サイトの情報だけでは伝えきれない信頼性を担保するために、UGC(User Generated Content)の活用が極めて有効です。実際に商品を使用した他の飼い主のレビューやSNS投稿は、第三者による客観的な評価として購入の後押しになります。
また、獣医師が監修したコラムや、原材料の生産者を追った取材記事といった専門性の高いコンテンツをサイト内に充実させることも、ブランドの信頼性を高め、顧客が安心して購入できる環境を整える上で重要な施策です。
ペット用品ECの成功事例【成長企業に学ぶD2C・定期戦略】
ここでは、ecforceを活用するペット関連ブランドの事例を紹介します。柔軟な定期購入、マイページを通じた顧客対応の効率化、購入後の商品提案に注目し、自社の施策やシステム投資を検討する際のヒントを整理します。
【フレッシュフード×定期購入】PETOKOTO FOODS(柔軟なプランと継続支援)
PETOKOTO FOODSは、愛犬向けのフレッシュフードを提供するブランドです。ecforceを活用した柔軟な定期便設計や、購入後のLINEを通じた情報提供など、飼い主のニーズに寄り添う継続支援に取り組んでいます。
商品プランの設計と購入後のコミュニケーションを組み合わせる考え方は、継続購入を支える仕組みを検討する際の参考になります。
この記事に関連するお役立ち資料
ペットEC「ペトコト」に聞く売れるECのマーケティング戦略
ペトコトが実践する定期購買モデルの戦略を公開。柔軟な商品プラン設計やLINEナーチャリングの実例がわかります。
資料ダウンロード【定期購入×マイページ】犬猫生活(顧客対応時間を約7割削減)
犬猫生活は、複数商品の管理やクロスセルへの対応を目的に、2020年にecforceを導入しました。顧客がマイページから定期購入商品の変更・追加や数量変更を行えるようにし、購入者の利便性と運営側の業務効率を高めています。
導入前は数量変更などの問い合わせ対応に1日平均1〜2時間かかっていましたが、マイページの活用により、問い合わせ対応時間が約7割削減されたといいます。数値は2021年の取材当時のものであり、システム投資を検討する際には、自社の問い合わせ件数や対応時間と照らして効果を試算するとよいでしょう。
【購入後の提案×業務効率化】MOREMOTTO(サンクスオファーの活用)
愛犬向けヘルスケアブランドのMOREMOTTOは、ecforceの再導入後、購入完了ページで関連商品を提案するサンクスオファーを活用しました。導入事例によると、サンクスアップセルからのCVRが200%増加、サンクスクロスセルからのCVRが180%増加し、LTVが125%向上したと報告されています。数値は2024年の取材時点の事例です。
また、ecforce chatを利用し、定期購入の届け日変更やスキップなどを顧客自身が操作できるようにすることで、受電数を600件近く減らしたといいます。購入後の提案と問い合わせ対応の効率化を併せて検討する際の参考になります。
成功するペット用品ECサイト構築・システム選定のポイント

ペット用品ECの成功戦略を実行するためには、それを支えるECサイトの基盤、すなわちシステムの選定が極めて重要です。デザインや初期費用だけで選んでしまうと、事業の成長段階で機能不足や拡張性の限界に直面し、結果的にビジネスの足かせとなりかねます。
ここでは、将来的な売上・LTVの最大化を見据え、中長期的な視点で成功し続けるECサイトを構築するために、システム選定時に必ず押さえるべき3つの重要なポイントを解説します。
1. 柔軟な定期購入機能と解約防止・お届け管理の仕組みがあるか
ペット用品ECの収益基盤となる定期購入モデルを成功させるには、システムの機能が鍵を握ります。顧客がマイページ上で配送サイクルやお届け日、商品内容を自由に編集できる柔軟性は必須です。さらに、LTVを最大化するためには、解約手続き画面で割引クーポンを提示したり、一時休止プランを提案したりする「解約防止(引き止め)機能」が実装できるかが重要になります。
- マイページで配送サイクル・お届け日・商品内容を編集できる機能
- 解約手続き画面で割引クーポンや一時休止プランを提案できる解約防止(引き止め)機能
2. Web診断(パーソナライズ機能)や外部マーケティングツールと連携できるか
フード診断のようなWeb診断コンテンツは、CVR向上に大きく貢献しますが、その診断結果を顧客データとして活用できなければ意味がありません。選定するECシステムが、診断結果に基づいて顧客をセグメント化し、メルマガやLINEで個別の情報配信ができるMA(マーケティングオートメーション)ツールとスムーズに連携できるかを確認する必要があります。
また、将来的に多様なマーケティング施策を実行できるよう、API連携の柔軟性や外部アプリの追加が容易な拡張性の高いプラットフォームを選ぶことが、事業の成長を支える上で不可欠です。
3. 成長フェーズに合わせてCVR・LTVを分析できる機能が備わっているか
EC事業を成長させるには、感覚的な運用ではなく、データに基づいた仮説検証と改善のサイクルを回し続けることが不可欠です。そのため、ECシステムには高度な分析機能が求められます。新規顧客とリピート顧客別の売上、購入ファネルの各段階における離脱率(CVR分析)、そして顧客セグメントごとのLTVなどを容易に可視化できる機能が備わっているかを確認しましょう。
これらのデータを元に施策の効果測定を行い、継続的に改善していく体制を築くことが、持続的な成長を実現する上で重要なポイントとなります。
ecforceの定期通販機能
リピート率改善・解約防止でLTV向上を支えるecforceの定期通販機能をご紹介しています。
ペット用品ECでよくある質問(FAQ)
ペット用品ECの運営に関して、事業者から頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1ペットフードの定期購入で解約率を下げる(継続率を高める)施策は?
ユーザーがマイページから配送サイクルやお届け日を自由に調整できる機能の提供が効果的です。また、解約理由に応じて代替案(例:一時休止、別商品の割引)を提示する解約防止機能も有効です。顧客の利便性を高め、継続するメリットを提示することが解約率低下に繋がります。
Q2Web診断(フード診断)はCVR(購入率)向上に効果がある?
はい、効果が期待できます。「うちの子に合うか」という飼い主の不安を解消し、最適な商品を提案することで購入の後押しになるからです。診断結果からシームレスに購入や定期申込に進めるよう、ページ遷移をなくしたスムーズな導線設計がCVR向上を最大化する上で重要です。
Q3ペットECの成長フェーズに合わせたカートシステム(EC基盤)の選び方は?
事業の成長に合わせて機能拡張や外部連携が柔軟に行えるシステムを選定することが重要です。最初はASPで始め、年商が数億円規模に拡大した際には、定期購入や分析機能が充実し、カスタマイズ性も高いクラウドECプラットフォームへ移行するのが一般的な成長戦略です。
まとめ:買われ続ける仕組みを作り、ペットEC事業を成長させよう
ペット用品EC市場で成功を収めるには、単に商品を並べるだけでなく、顧客に選ばれ、買い続けてもらうための「仕組み」を構築することが不可欠です。本記事で解説したパーソナライズ提案、柔軟な定期購入、CRM連携といった戦略は、その仕組みの中核をなす要素です。そして、これらの戦略をスムーズに実行できるかどうかは、土台となるECシステムの機能と拡張性に大きく依存します。
自社の成長戦略を実現できるECプラットフォームを選定し、ペットと飼い主の双方に寄り添うECサイトを構築することで、事業の持続的な成長を目指しましょう。
ペットECの戦略については「ペット商材に特化したEC戦略の解説」セミナー動画で詳しく紹介していますので、合わせてご視聴ください。
編集者・監修者について
編集者
株式会社SUPER STUDIO
マーケティンググループ
植地 祐奈
メーカーにマーケターとして入社後、新規顧客獲得向けの施策企画・実行を担当。新規事業としてtoB/toC向けECサイトの運営(サイト構築・集客)に携わる。2023年にSUPER STUDIOへ入社し、EC構築システム「ecforce」のマーケティングを務める。
監修者
株式会社SUPER STUDIO
マーケティンググループ チームリーダー
髙山 拡
アパレルD2C企業でのマーケティング実務を経て、2022年にSUPER STUDIOへ入社。
D2C事業のEC運営に携わり、現在はAIソリューションを活用したコンテンツ設計や業務改善に取り組んでいる。
※この記事は 2026年10月26日 時点の情報をもとに執筆しています。
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