この記事でわかること

※この記事は 時点の情報をもとに執筆しています。
リピート率は、企業の売上や成長を左右する重要な指標です。
新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客に再購入してもらうことが、安定した収益を生む鍵となります。
本記事では、リピート率の基本的な計算方法から、リピーター率との違いや業界別の平均値、リピート率を高める具体的な施策までわかりやすく解説します。
リピート率とは?

リピート率とは、初めて商品やサービスを購入した顧客のうち、再購入した人の割合を示す指標で、「新規顧客のうちどのくらいがリピーターになったか」を数値化したものです。
この数値が高いほど、顧客が商品やサービスに満足していると考えられます。
反対に、リピート率が低ければ、商品品質や購入体験に課題がある可能性が高いでしょう。
リピート率は、売上や利益の安定に直結する重要なマーケティング指標です。
特にECサイトや通販事業では、初回購入後にどれだけの顧客を継続購入へ導けるかが、長期的な成長を左右します。
したがって、企業はリピート率を定期的に測定し、継続的な改善を図ることが求められます。
リピート率の計算方法
リピート率は、以下の計算式で求められます。
リピート率(%)=特定期間内のリピート顧客数 ÷ 同期間内の新規顧客数 × 100
たとえば、1年間の新規顧客が10,000人で、そのうち3,000人が再購入した場合、リピート率は「3,000 ÷ 10,000 × 100 = 30%」です。
このように、リピート率はシンプルな計算式で求められますが、分析を深めるために「2回目購入率」「3回目以降の購入率」など、購入回数別に算出する企業もあります。
購入回数ごとにリピート率を比較することで、どのタイミングで顧客が離脱しやすいかを把握でき、効果的なリピート施策を打つための基礎データとして活用できます。
リピート率とリピーター率の違い
リピート率と混同されやすい指標に「リピーター率」がありますが、この2つは異なる概念です。
リピート率は「新規顧客のうち、再度購入した顧客の割合」を表します。
一方、リピーター率は「特定期間内に商品を購入した全顧客のうち、リピーターが占める割合」を示す指標です。
計算式で見ると以下のように違いがあります。
- リピート率=リピート顧客数 ÷ 新規顧客数 × 100
- リピーター率=リピート顧客数 ÷ 総顧客数 × 100
リピーター率が高くても必ずしも事業が好調とは限りません。
新規顧客が減り、既存顧客に依存した状態では、将来的な成長リスクが高まる可能性があります。
そのため、マーケティング戦略では「新規獲得」と「リピート促進」のバランスを取りながら、両方の指標を正しく使い分けることが大切です。
【業界別】ECサイトの平均リピート率
ECサイトのリピート率は30~40%とされていますが、リピート率の平均値は業界や商材の性質によって大きく異なります。
業界別の平均リピート率は次の通りです。
| 業界・商材 | 平均リピート率(目安) |
|---|---|
| 化粧品・健康食品 | 約50% |
| 旅行・レジャーサービス | 約45% |
| アパレル(ファッション) | 約35% |
| 食品・飲料 | 約40% |
| PC・家電 | 約25% |
| インテリア・家具 | 約30% |
リピート率が重要視される3つの理由

リピート率は、企業の売上や経営の安定に深く関わる重要な指標です。
ここでは、リピート率がなぜ注目されるのか、その主な理由を3つの観点から解説します。
1.収益の向上が見込める
リピート率の高さは、同じ顧客が繰り返し購入してくれている状態を表します。
2回目の購入があった顧客は、その後も継続して商品を利用する可能性が高く、結果的に安定した収益を生み出す存在となります。
企業の売上は「顧客数 × 平均購入回数」で決まるため、1人の顧客に複数回購入してもらうことが収益拡大の鍵です。
つまり、リピート率を上げることは、平均購入回数を増やし、長期的な利益向上につながります。
また、既存顧客の多くが売上の大半を支えているという「80:20の法則」も有名です。
新規顧客を獲得するよりも、既存顧客をリピーターへ育てる方が効率的であり、企業の安定経営に不可欠な戦略といえます。
2.顧客満足度の指標になる
リピート率は、顧客が商品やサービスにどれほど満足しているかを測る重要な指標です。
満足度が高ければ、自然と再購入という行動に表れますが、満足度が低ければリピートにはつながりません。
そのため、リピート率が高い商品ほど、顧客がその品質やサービス内容に満足している可能性が高いといえます。
反対に、リピート率の低さはサービスの質や顧客対応などに課題があるサインでもあります。
定期的にリピート率をチェックすることで、顧客満足度の変化を早期に把握できるのです。
ECサイトの検索機能とは?顧客満足度を高める改善のコツを解説
3.顧客獲得コストを節約できる
新規顧客を獲得するには、広告宣伝や販促活動など多くのコストが必要です。
一方で、既に商品を購入してくれた顧客に再購入してもらう場合は、信頼関係が築かれているため、コストを抑えやすい傾向にあります。
マーケティングの世界では「1:5の法則」と呼ばれ、新規顧客の獲得にはリピーターの確保よりも5倍の費用がかかるとされています。
また、リピーターはブランドへの信頼が厚く、外部環境に左右されにくい安定した売上の源にもなります。
つまり、リピート率を上げることは、コスト効率を高めながら長期的な収益を確保するための最も効果的な手段の一つなのです。
リピート率が低くなる3つの原因

リピート率が下がる背景には、商品やサービスの質だけでなく、顧客との関係性や競合他社の動向など、複数の要因が影響しています。
ここでは、主な3つの原因を解説します。
1.自社の商品・サービスに改善すべき部分がある
リピート率が低下する大きな原因は、顧客が商品やサービスに満足していないことです。
どれほど魅力的な宣伝をしても、実際の品質や体験が期待を下回れば再購入にはつながりません。
不満の原因は商品の性能や価格設定だけでなく、スタッフの接客態度や問い合わせ対応、アフターサービスなど、体験全体に及びます。
初回の購入体験でわずかな違和感があっても、次回購入をためらう要因となります。
そのため、アンケートやレビューなどを活用して顧客の声を収集し、どこに改善の余地があるかを定期的に分析することが重要です。
満足度を高める取り組みが、結果的にリピート率の回復につながります。
2.他社の商品・サービスに乗り換えられた
市場に競合が多い場合、顧客は常に他社との比較を行っています。
より魅力的な価格やサービス、利便性を提示する企業が現れれば、簡単に乗り換えが起こるのが現実です。
たとえ自社の商品に問題がなくても、競合がより高品質・低価格な商品を打ち出せば、顧客はそちらに流れてしまいます。
こうした離脱を防ぐには、自社の強みを明確に打ち出し、他社との差別化を図ることが不可欠です。
価格面だけでなく、ブランド価値・サポート体制・購入後のフォローなど、総合的な満足度を高めることで、顧客のロイヤルティを維持しやすくなります。
定期的な競合分析も有効な手段です。
3.リピーター獲得の施策が足りていない
どれほど良い商品を提供していても、リピーターを生む仕組みがなければ、リピート率の向上は期待できません。
購入後のフォローが不足していると、顧客は「大切にされていない」と感じ、再購入意欲が薄れてしまいます。
そのため、ポイントカードの導入や会員特典、誕生日クーポンの配布など、再購入を促す仕組みを整えることが重要です。
リピート率を上げる7つの施策

リピート率を上げるには、購入後の顧客との関係づくりが重要です。
サポート体制の整備や特典の付与、会員制度の導入など、継続的に顧客の満足度を高める仕組みを整えることで、再購入を自然に促せるようになります。
1.購入後のサポート体制を整える
商品購入後のアフターサポートは、顧客満足度を高めリピート率を上げるうえで欠かせません。
問い合わせやトラブルに迅速・丁寧に対応できるカスタマーセンターを整えることで、顧客に「安心して購入できる会社だ」という印象を与えられます。
また、FAQページやチャットボットを活用すれば、24時間いつでも疑問を解消できる環境を提供できます。
その他にも、返品・返金保証のような制度を導入すれば、心理的ハードルも下がり、安心感が増します。
購入後も「寄り添ってくれる企業」という信頼を築くことで、次回購入や長期的な関係へとつなげられるでしょう。
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2.リピーター限定の特典を用意する
リピーター向けに特典を用意することは、再購入を促す有効な施策です。
たとえば、次回使えるクーポンの配布やポイント制度の導入、会員限定キャンペーンの実施などがあります。
こうした特典は「自分だけが得をしている」という特別感を演出し、顧客のロイヤリティを高めます。
特に有効なのが、有効期限付きの割引クーポンや、ポイントアップイベントです。
顧客は「期限が切れる前に使わなければ損」という心理が働き、自然と再購入を検討します。
3.会員制度を設ける
会員制度は、リピーターを増やすうえで非常に効果的な仕組みです。
会員登録によって限定のクーポンや割引、セールへの招待などを提供すれば、特別感を演出できます。
また、購入金額や回数に応じてランクが上がる会員ランク制度を導入すれば、さらなる購買意欲の向上が期待できます。
たとえば、「ゴールド会員になるとポイント還元率10%」「プラチナ会員限定のノベルティ」など、ランクアップによる特典を設けると、顧客は継続的に利用しようとします。
さらに、会員情報を通じて購買履歴や嗜好データを蓄積すれば、より的確なマーケティング施策が可能です。
会員制度は、顧客の満足度と企業の戦略的成長を両立させる重要な施策といえます。
4.メルマガ・DMを配信する
メルマガやDMの配信は、顧客との関係を維持し、再購入を促す有効なコミュニケーション手段です。
購買履歴に合わせた商品情報やキャンペーン案内を送ることで、ブランドを思い出してもらいやすくなります。
配信時は販売目的を前面に出すのではなく、商品活用のヒントや季節のおすすめ情報など、顧客の役に立つ内容を盛り込むことがポイントです。
読者に「読みたい」と思わせるメルマガを継続的に配信すれば、自然とファンが育ち、リピート率の向上につながります。
5.アプリで顧客にアプローチする
自社アプリを活用すれば、より直接的に顧客へアプローチできます。
アプリのプッシュ通知は新商品情報やキャンペーンをリアルタイムで届けられ、開封率も高いのが特徴です。
また、アプリは手軽に利用できるため、購買への導線がスムーズになります。
継続利用を促すためには、使いやすい設計と定期的な情報更新が鍵です。
6.SNSを活用する
SNSは、顧客との接点を増やし、ブランドのファンを育てる有効なチャネルです。
Instagramや、X(旧Twitter)、LINE公式アカウントなどを活用して、商品情報やイベントを発信しましょう。
ユーザー参加型のキャンペーンや投稿シェア企画などを行えば、顧客とのつながりを強化できます。
宣伝ばかりでは飽きられてしまうため、顧客とのコミュニケーションを意識した投稿が大切です。
7.特別な日にメッセージを送る
顧客の誕生日や会員登録記念日など、特別な日にメッセージを送ることで、ブランドへの好感度を高められます。
「お誕生日おめでとうございます」などのメッセージに加え、割引クーポンやノベルティを添えると、再購入のきっかけになります。
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リピート率を上げる際の注意点

リピート率を高めるには、短期的な売上だけでなく、長期的な顧客との関係づくりが重要です。
値引きや特典に頼りすぎず、適切な距離感でコミュニケーションを続けることで、安定したリピーターを育てられます。
安易な値引き・特典付与は避ける
リピート率を上げたいからといって、安易に値引きや特典を乱発するのは避けましょう。
確かに値引きは一時的な効果がありますが、頻繁に行うと「いつかまた安くなる」と顧客に思われ、通常価格では購入してもらえなくなります。
また、過剰な特典付与もコストを圧迫し、利益を損ねる要因になります。
ブランド価値を保ちつつ長期的にリピートを促すためには、価格以外の魅力を高める工夫が大切です。
たとえば、品質やサポート体制、サービス体験といった“価値の部分”で差別化を図りましょう。
価格に頼らない継続的な関係づくりこそが、真のリピート率向上につながります。
顧客との継続的なコミュニケーションを図る
リピーターを維持するためには、顧客とのコミュニケーションを絶やさないことが大切です。
接点が途絶えると、顧客は商品やサービスへの関心を失い、他社へ流れてしまうリスクが高まります。
定期的なメルマガ配信やSNS投稿、誕生日メッセージやクーポン配布などを通じて、自然な形で顧客とつながり続けましょう。
こうした取り組みは、休眠顧客を生まないための重要な施策でもあります。
顧客に忘れられない存在であり続けることが、リピート率向上の基本です。
自社のリピート率を計算し、最適な施策を考えよう

リピート率は、顧客満足度や収益性を測るうえで欠かせない指標です。
まずは自社のリピート率を定期的に算出し、どの段階で顧客が離脱しているのかを把握しましょう。
そのうえで、課題に応じた改善策を実行すれば、安定的なリピーター獲得と持続的な売上成長が期待できます。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月
