この記事でわかること
前回、D2Cが注目される背景を紐解きました。従来のECからの変化を感じた方も多いかと思いますが、特にマーケティング領域での変化が大きいことに気づいたでしょうか。
事業の経験がない方は、「良い商品を作れば自然と売れる」とどこかで信じている節があります。しかし、一度でも経験した人はただ良い商品を作っても売れないことをを、身に沁みてわかっています。
特にECで商品を売るには、マーケティングから逃れることはできません。良い商品とマーケティング力が伴って、初めて商品が売れるのです。
今回は改めてマーケティングの定義や役割を考え、従来のマーケティングに比べて”D2C的”だと言えるのは、どんなマーケティングかを考えていきましょう。
マーケティングの定義
まずは改めてマーケティングそのものの定義を確認しましょう。しかし定義と言っても実態のない言葉なので、万人に共通する確固たるものはありません。
マーケティングと聞いて、ある人は商品開発をイメージするかもしれませんし、ある人はユーザーインタビューをイメージするかもしれません。
あるいはそのイメージはインターネット広告の運用や統計のリサーチ、もしくはサンプリングかもしれません。
どれも間違いではないですが、「=マーケティング」とするには部分的です。マーケティングは、商品販売に関わる様々な行為の総称なのです。
さてマーケティングを解説する文章は多岐にわたりますが、ここではなるべく簡単に説明するために、やや無味乾燥な表現ですが以下に定義を仮置きしたいと思います。
「顧客の選定から商品開発、そして商品をお客様の手に届けるまでの仕組み」に含まれる、あらゆる行為の総称。
ではここから、D2Cにおけるマーケティングについて考えていきましょう。
D2Cにおけるマーケティングの役割
ここ数年でアドテクが急速に進化したため、ブランドが取得できるデータが従来のECに比べて倍増しています。
その結果、先ほどの定義における行為全般に対して、取得したデータの分析結果を反映できるようになりました。
つまりD2Cにおけるマーケティングとは、広告を通じて得た定量的なデータ(顧客の購買データなど)やカスタマーサクセスが集める定性的な声を、商品開発や顧客選定、マーケティング施策自体にまで反映する一連のサイクルとも捉えられます。
簡単なことのように聞こえますが、実はこのサイクルは画期的なものです。
かつてのメーカーは独自の集客手段が無いため、Amazonなどのオンラインモールに出店していました。しかし自社チャネルではないため、データを自社に集積することができません。サイクルを回そうにも、元となるデータが存在しなかったのです。
さらに自社チャネルであればサイクルを回せているかと言うと、そうでもありません。当時は定期購入型の通販はまだ少なく、予測LTVを精度高く出せるメーカーは希少でした。そのためほとんどのメーカーが、実質的にはLTVやチャーンレートを戦略に組み込めなかったのです。
これでは広告施策のPDCAは回せても、マーケティング全般にデータの分析結果を反映できていません。
データを全方位的に活用することで、初めてD2C的なマーケティングが実現できます。
つまりD2Cにおけるマーケティングの役割は、このサイクルをスピーディーに回すことで、顧客の反応を素早く反映していくことだと言えます。
D2C的ではないマーケティングとは
ではここでD2C的なマーケティングを理解するために、D2C的ではないマーケティングを逆説的に考えてみましょう。
ここでは以下の3つを挙げます。
1. 自社でデータを取得できない
2. 本当の意味でデータドリブンではない
3. 体験づくりができていない
1. 自社でデータを取得できない
繰り返しますが、Amazonをはじめとするオンラインモールに出店する場合、顧客データを自社で取得できないというデメリットがあります。
販売戦略の一環でAmazonに出すのであればまだしも、オンラインモールをメインに販売する以上、そのブランドのマーケティングは”D2C的ではない”と言わざるを得ません。
なぜなら自社で顧客データを取得できなければ先ほど挙げたサイクルが回せず、マーケティング自体が機能しないからです。
2. データドリブンではない
やや抽象的な話ではありますが、ただデータを取得してサイクルを回すことをデータドリブンとは呼びません。(あえて、言わせてください。)
例えばLTVを伸ばすために、機械的にアップセル・クロスセルを薦めるといった発想はどうでしょう。過去の実績からLTVが伸びると考え、データを元にPDCAを回そうとしているのでデータドリブンっぽいと言えます。
しかしデータドリブンとは、データを絶対として判断することではありません。(それではマーケターは必要ありません。)
本当の意味でデータドリブンでありたいなら、まず取得したデータを元に顧客の真意を想像する必要があります。例えば、顧客が美肌のためのドリンクを飲んでいたとして、携帯用のタブレットが欲しいだろうと想像してデータを元にクロスセルをするといったことです。
ただの数字としてデータを捉えるのではなく、顧客の真意を想像した上でデータを捉える。これが本来あるべきデータドリブンの姿なのです。
3. 体験づくりができていない
現代の若者はモノが余る豊かな社会を生きているので、機能的なモノを買う以上に情緒的な体験を欲しています。
その若者に支持されて急成長しているD2Cブランドは、当然ながら単なる商品(モノ)売りではなく体験づくりを重視しています。
このアプローチが念頭にないと、メーカーは機能的な訴求を重視しがちです。これではD2C的なマーケティングとは言えません。
もちろん機能性も大事ですが、サイクルを何度も回してデータを集積し、商品も含む顧客とのタッチポイントごとにベストな体験を作ることこそ重要なのです。
鮮明に見えるD2C的なマーケティング
最後に、マーケティングの神様と称されるフィリップ・コトラー氏の言葉を引用します。
(マーケティングとは何か?の問いに対して)
「古いマーケティングは、セールス、広告、プロモーションなどをテーマとしてきた。マーケティングのスキルセットで、もちろん、依然間違いではないが、今ではもっと広い意味で捉え直すべきだ。新しいマーケティングは、ターゲット顧客に対してより優れた価値を創造し、コミュニケーションし、届けること。」
コトラー氏は古いマーケティングを「セールス、広告、プロモーションなどをテーマとしてきた」と説き、対比的に新しいマーケティングを「ターゲット顧客に対してより優れた価値を創造し、コミュニケーションし、届けること」としています。
D2CはECの新しい潮流です。マーケティングも当然、後者のように優れた価値の提供・創造とコミュニケーションが求められます。
コトラー氏の言葉はより本質的ですが、優れた価値創造を「体験」と捉え、コミュニケーションの根底に「データドリブンなサイクル」があると考えると、D2C的なマーケティングがより鮮明に見えてくるのではないでしょうか。
このテーマはまだまだ深く底が見えません。私たちはこれからも真摯にD2C的なマーケティングについて考えていきたいと思います。
【最後に】
ここまで読んでいただきありがとうございます。ここで最後にecforceのご紹介をさせていただきます。ecforce(イーシーフォース)は日本国内のEC・D2Cビジネスの現場を知り尽くした、わたしたちSUPER STUDIOが提供する国産SaaS型ECシステムです。EC・D2Cサイト構築の際の要件定義から成長拡大まであらゆるフェーズをサポートします。
累計1,000以上のショップ様に導入されている国産SaaS型ECシステム「ecforce」。さらなる実績や機能のご紹介は以下からご覧ください。
ecforceには、主に3つの特徴があります。
特徴1. EC/D2Cビジネストレンドを踏まえた最先端のシステム
豊富な搭載機能/カスタマイズ性/アップデートスピードでEC事業スタート・カート切り替えに対応。毎月平均で10-20個の新機能をリリース。
特徴2. 売上を最大化する多彩なマーケティング機能
クライアントニーズや自社経験を元にトレンドを抑えてた「効果がある」機能を搭載。「広告改善・CVR向上」や「LTV向上/CRM最適化」まで顧客獲得〜リピート化といった各フェーズに対応した機能群で、マーケティング施策を一貫して実施できます。
特徴3. CSオペレーションやシステム運用工数を削減
CSオペレーションや広告管理といったEC運営では工数がかかり煩雑化する業務も自動化と操作性の高いUIで効率化。運営コストを削減します。
「ecforce」は、ECサイトの構築はもちろん、サイトを開設したあとの機能も充実。売上を上げるための豊富な機能からコストを削減する仕組みまで、ECビジネスの成長をサポートします。
ご興味がある方はぜひ、以下からお問い合わせをいただければ幸いです。
その他、ecforce公式サイトでは、弊社が実事業経験から得たEC/D2Cノウハウを無料ebookで多数公開しております。弊社が独自に提供しているノウハウをたくさんご活用下さい。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月