この記事でわかること
今回は、あるD2C企業を元にInstagramの運用施策をご紹介したいと思います。
事例となるD2Cブランドの概要は以下の通りです。
・子供の睡眠を楽しく解決することをミッションに掲げた子ども睡眠ブランド
・HWレンタル×コンテンツサブスク型サービスという世界的にも先進的なビジネスモデル
・ブランド世界観訴求×機能性訴求×マーケティングテクニックを駆使し事業展開中
上記の企業の事例を元に、Instagramでブランディングを行った経緯や戦略をご説明します。
ブランディング戦略にInstagramを選んだ理由
代表的なSNSといえばInstagram・Twitter・Facebookという3つのソーシャルメディアがありますが、全てのSNSにそれぞれの特徴があり、自分たちの商材がどのソーシャルメディアにマッチするか検討する必要があります。
今回のSNSの運用を検討した商材は「子ども向けの商材」で、以下の条件を満たすSNSでブランドを展開する必要がありました。
・購入対象者が積極的に交流しあっているメディアであること
・購入対象者が情報収集(商品や子育てハウツーなど)として使用しているメディアであること
上記の観点では、Instagramが最も「ママさんコミュニティを形成している成功例」があったり、「大手ECメーカーの施策事例」が多く、条件にマッチしていました。
なお、「購入対象者が情報収集(商品や子育てハウツーなど)として使用しているメディア」に関して、後日公式Instagramでフォロワーに対しアンケートをとったところInstagramで情報収集しているという人が94.1%という結果が得られたので、その有効性は数字としても適切だったといえるでしょう。(その他SNSの結果:Twitterは15.9%、Facebookは2.4%)
戦略1〜Instagramで実現したいことの明確化とフェーズ分け
Instagramを運用する目的は企業やブランドによって様々です。
・ビジュアルを直感的に表現し、ブランド思想やブランドが持つ個性を伝えていく「ビジュアルストーリーテリング」を発信したい。
・Instagramからの流入でECの売上を作りたい。
・D2Cのようにユーザーコミュニケーションを図ることで商品開発やサービスの向上・認知拡大を行いたい、商品やサービスがアウトプットされる「場」をつくっていきたい。
などなど。
今回の「子ども向け商材」ではInstagramの運用施策を通じて、達成したい目的が2つありました。
・媒体広告としてだけではなく、ブランドの認知を拡大させSNSを1つのECチャネルとして機能させること
・D2Cを推進していけるよう、ダイレクトにユーザーコミュニケーションを図り、メーカーとユーザー間の信頼を築いて持続的な関係を保つこと。
この2つの大きな目的の次に中長期・短期的な目標を定め、行うべきアクションを設定していきました。
参考として「子ども向け商材」で設定した目標をご紹介します。
<中長期的な目標>
・ユーザーコミュニティの確立を行うこと
ユーザーコミュニケーションを持続的に図り、コミュニティを形成することによって、多くの観点でメリットが生まれます。
・ネーミングの浸透
ネーミングの浸透を行うことでInstagram内の広告や別媒体で広告を打った際に、認知がある上で興味・関心・購入へと引き上げが期待できます。
・商品モニターやアンバサダーなどへの直接的なアクセス
代理店などを挟まずにアンケート調査や、商品へのフィードバックなどを得ることができます。
・個々間の深い関係性をつくることで、将来リリースする商品/サービスの購入ハードルをさげる
日常的にユーザーコミュニケーションをとれる関係値を築くことによって、ママ友からの「口コミ」に類似した購入促進を期待できます。
<短期的な目標>
・公式アカウントとして1万人フォロワーを目指す
- Instagramでは、一般人で1万人フォロワーという条件を満たしたアカウントがストーリーにリンクを貼れるようになります。リンク先によっては、商品の購入を促進し、より多くの情報を届けられることが期待でき、1つでも販売チャネルを増やせることで、新規獲得が期待できます。
- アーンドメディアで獲得したフォロワーが商品リリースで10%のCVR期待値があり、広告経由だとCPA10,000円かかると仮定した場合、新規CV数1,000人×10,000円=1千万円のコスト削減インパクトがあります。
- さらに、例えばこれをLTVベースで試算してみると、一人あたりLTV20,000円と仮定したなら2千万円の売上インパクトとなります。
戦略2〜フェーズごとの施策内容と目的
Instagramを運用する際は、2つのフェーズがあります。ひとつめはアカウントを成長させることにフォーカスする時期、ふたつめは企業やブランディングの表現にフォーカスする時期です。
大手企業や有名ブランドであればアカウント開設次第、既にファンだったユーザーが自発的にフォローやいいねなどのアクションが行われますが、D2Cのような販路も少なく、かつECのみの無名の企業やブランドは0から新しいユーザーに知ってもらい、Instagramのアカウントを通じてファンになってもらわなければなりません。
そのため、まずは”フォロワー”を伸ばすための施策やキャンペーンを考案し、リーチを伸ばすためのコンテンツを投稿することに注力する期間が必要となります。
戦略3〜「子供向け商材」でフェーズ毎に実践した施策とUGCが生まれる仕掛け作り
「子ども向け商材」では、Instagram運用施策が決定した時期はリリースの約半年前でした。
リリースまでの間に1人でも多くの人に商材名を認知してもらい、フォロワーと親密な関係値を築けた状態を作り出すことが必要でしたので、
リリース前をフェーズ1、リリース後をフェーズ2として考え、様々な施策を打っていきました。
フェーズ1では、「ユーザー認知とアカウントの育成」にフォーカスする時期として、リーチ数に特化した投稿数・内容にし、KPIをフォロワー数に設定してアカウントを運用していきました。
この時期の主な発信内容は以下です。
- 低コストで素材を調達でき、ユーザーコミュニケーションがとれる「リポスト」 / 投稿割合 80%
- コアユーザー化を期待する「プレゼントキャンペーン」 / 投稿割合 10%
- リリース時、課題に共感してくれるユーザー母数を増やすためと他アカウントの差別化をするための「オリジナルコンテンツ」 / 投稿割合 10%
※リポストとは
誰かの投稿を、自分のフィードに再投稿することです。Twitterでいうところ「リツイート」、Facebookだと「シェア」をイメージしてもらえればOKです。
実際にアカウント開設から3ヶ月目で、月間リーチ数が平均80,000リーチ、商材名のハッシュタグ投稿数を約20,000件までまで伸ばすことができました。
執筆時点ではまたこのフェーズ1の途中段階ですので具体的な内容はここまでしかお届けできませんが、
今後のフェーズ2では、リリース後ということで、よりブランドらしいアカウントとしての形成を意識的に行っていく予定です。
例えばフェーズ1では日常風景の写真だったリポスト内容を、実際の商品に関連したUGCのみのリポストにしたり、商品を絡ませたキャンペーン施策を投稿したり、ブランドとしてどんなことをユーザーに感じ取ってもらいたいか、どんなユーザーコミニュケーションをとっていきたいかを考え、発信するコンテンツを考案していく予定ですので、こちらについてもサクボで続報をお届けしていきたいと思います。
ここまで記載した通り、SNS戦略では時期によって自社のアカウントを通じて、ユーザーにどんなことを伝えたいかを考えていくことが目的達成への近道となります。
個々のユーザーだけではなく、ECメーカーもSNSを表現、ブランディングの場とすることが多くなってきましたので、自分たちがすべきことを考えて、適切な施策や発信を行っていきましょう。
【最後に】
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※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月