この記事でわかること
※この記事は 時点の情報をもとに執筆しています。
ECサイトにおける手数料とは?

ECサイトの運営において、利益を大きく左右する重要な要素の1つが、売上から差し引かれる「各種手数料」です。手数料には、プラットフォーム利用料や決済にかかる費用、振込手数料など複数の種類があり、発生するプロセスや計算方法は、それぞれで異なります。
収益性の高いECサイトを運営するには、これらの手数料を正しく理解することが大切です。
ECサイトとは?種類・運営方法・メリットと主要なECサービス一覧
手数料の種類と計算方法

ECサイトにかかる手数料は、大きく分けて「ECサイトの運営にあたり、固定的に発生する手数料」と「売り上げに応じて変動する手数料」の2種類があります。利益率を正確に算出するためには、これらを正しく理解し、計算方法を把握することが不可欠です。主要な手数料の種類とそれぞれの計算方法を見ていきましょう。
年間・月額手数料
年間・月間手数料は、ECサイトのプラットフォーム利用料として、売り上げや商品数にかかわらず、毎月もしくは毎年固定的に発生する費用です。無料プランのものから、数万円するような有料プランまで、費用はサービスによって差があります。
無料プランであれば、ECサイトを始める際の初期費用を抑えられる点がメリットです。しかし、売り上げが上がった時に、別の手数料を高く取るケースも多くあるため、注意が必要です。
また、有料プランの場合は、仮に売り上げが上がらなくても手数料が発生するため、負担が増えることは理解しておかなければなりません。
販売手数料
販売手数料とは、ECサイトで販売している商品が売れた際の売上金に対して発生する手数料のこと。「商品価格×販売手数料率」で算出されることが多く、3〜10%程度の手数料率が一般的です。
ECサイトのなかでも、無料で利用できるプラットフォームでは、販売手数料率が高めに設定されている傾向があります。そのほか、商品のタイプによって手数料率が変わる場合もあるため、自分に適したプラットフォーム選びの基準になるでしょう。
決済手数料
決済手数料とは、クレジットカード払いをはじめとする、キャッシュレス決済などを利用した場合に発生する手数料です。
「決済金額×決済手数料率」で計算されるのが基本。クレジットカードの場合は3〜3.6%の料率、コンビニ決済や代引きの場合は、130〜330円の固定額と料率の組み合わせ、といったように、決済方法によって手数料が大きく異なるのが特徴です。
複数の決済方法を用意しておくことで、ユーザーを呼び込みやすくはなりますが、導入する際はそれぞれの手数料を考慮しておくことが必要です。
振込手数料
売上金が、自社の銀行口座に振り込まれる時に発生する手数料です。手数料は、一律の場合と振込金額によって変動する場合とがあり、一般的な手数料は無料〜500円程度です。
また、振り込まれるサイクルによって手数料の発生頻度が変わったり、一定額以上振り込まれれば手数料が無料になったりするなど、プラットフォームによって手数料が発生する仕組みは異なります。
場合によっては手数料の負担が大きくなる可能性があるため、利用するプラットフォームごとの手数料の発生条件をあらかじめしっかり確認しておくことが大切です。
主要ECサイトの手数料一覧

プラットフォームによって、手数料体系は大きく異なるもの。ここでは、主要なECプラットフォームの手数料を一覧で比較します。自社の販売規模や商品特性に合わせて、最適なプラットフォームを選ぶ際の参考にしてください。
| ECの種類 | プラットフォーム | 必要な費用 |
|---|---|---|
| 自社EC型 | BASE(スタンダードプランの場合) | ・初期費用・月額費用:無料 ・決済手数料:3.6%+40円+サービス利用料3% |
| STORES(フリープランの場合) | ・月額費用:無料〜 ・決済手数料:5.5%〜 ・振り込み手数料:275円 |
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| ECモール型 | 楽天市場(がんばれプランの場合) | ・月額費用:25,000円 ・システム利用料:月間売上高の3.5〜7.0% ※商品カテゴリによって異なる |
| Amazon(大口出品プランの場合) | ・月額費用:4,900円 ・販売手数料:8.0〜15% ※商品カテゴリによって異なる |
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| Yahoo!ショッピング | ・初期費用・月額費用:無料 ・決済手数料:3.0%〜 |
出典:BASE/STORES/楽天市場/Amazon/Yahoo!ショッピング
Amazonマーケットプレイス出品ガイド|メリット・手数料・FBAまで徹底解説
手数料を抑えるコツは?

ECサイトを運営するにあたり、手数料は避けられないコストですが、工夫次第で負担を軽減することが可能です。プラットフォーム選びや決済方法の最適化、価格戦略まで、手数料を抑えるための実践的な方法を紹介します。
プラットフォームを見直す
売り上げの規模によって、最適なプラットフォームは異なります。月額料金が必要であっても、長い目で見ると有料プランの方がお得な場合も。利用しているプラットフォームのプランや必要な手数料を今一度確認して、月商のシミュレーションを行いましょう。
場合によっては、複数のプラットフォームを併用するのも1つです。多店舗展開することによって、リスク分散できます。
なお、プラットフォームを移行すると、これまで積み上げてきた顧客やGoogleの評価などがリセットされることを理解しておくことが必要です。
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決済方法を見直す
前項で触れたように、決済方法によっても手数料は大きく異なります。顧客の利便性を考慮しつつも、決済手数料にかかるコストとのバランスを考えながら、どの決済方法を導入すべきか検討するのが良いでしょう。
一般的にクレジットカード決済の手数料率が低めのため、そちらでの決済を促す工夫をするのも1つです。
そのほか、決済代行会社を利用するといった手段もあります。大口取引の場合は、手数料を交渉できる可能性があるため、売り上げが一定以上になった時に検討してみるのもおすすめです。
客単価を考慮する
手数料は売上に対してかかるため、客単価を上げることでコストを抑えられます。特に、振込手数料などの定額でかかる手数料は、客単価が高いほど実質的な負担率が低くなります。
例えば、まとめ買い割引や送料無料になる購入額の設定などが、客単価を上げる手段です。「割引されるならまとめ買いしておこう」「あと少しで送料無料になるから、別の商品も買おう」と、顧客の購買意欲を掻き立て、コスト効率の改善を狙いましょう。
プラットフォームのキャンペーンを活用する
プラットフォームによっては、新しい出店者向けに、手数料の割引キャンペーンなどを実施している場合があります。新しいプラットフォームで販売を開始する際は、キャンペーン期間を考慮した上で導入するのがおすすめです。
なお、キャンペーンは期間限定のものであったり、内容が変更になったりすることがあります。こまめに最新情報をチェックしておきましょう。
手数料以外にかかるコストにも注意!

ECサイトの運営においては、ここまで解説してきた手数料以外にも、さまざまなコストが発生します。これらの費用を見落としてしまうと、想定していた利益が確保できない事態に陥る可能性も。そのため、運営にかかる総コストをしっかり管理することが大切です。
集客のための広告費
ECサイトに訪れる顧客を増やすためには、広告を載せるのが効果的です。一方で、コストがかかることが懸念されます。なかには、売上のうち10〜30%ほど広告費がかかることも珍しくありません。
広告費を含めた利益率を算出して、どれくらい必要か判断することが大切です。
配送作業にまつわる費用
注文を受けた商品を顧客の手元に届けるための、配送に関する費用も必要です。具体的には以下のような費用がかかります。
- 梱包資材
- 配送ラベル
- 発送代金
- 送料(自社負担の場合)など
配送方法の見直しや配送業者との交渉次第では、かかるコストを削減できる可能性もあるでしょう。
サイト維持やセキュリティに関する費用
ECサイトの運営や維持にも費用がかかります。
- ドメイン取得費用・更新費用
- サーバーレンタル代
- 保守費用
- システム利用料 など
楽天市場やAmazonなど、モール型のプラットフォームであれば、これらの費用がかからないケースが多いため、この辺りを考慮してプラットフォームを選ぶのも1つです。
手数料とコストのバランスを考慮し、利益アップを狙おう

ECサイト運営における手数料は避けられないコスト。まずはその仕組みを正しく理解し、自社に最適なプラットフォームや決済方法を選択したり、販売戦略や出店計画を立てたりすることで、負担を最小限に抑えられます。ECサイト運営にかかるコストを定期的に見直し、最適な運営体制のもと、利益アップを目指しましょう。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月