この記事でわかること
コスメのD2Cブランドを挙げるとして、最初に名前が挙がるのはおそらくGlossier(グロッシアー)ではないでしょうか。
創業者であるEmily Weiss(エミリー・ワイス)氏が個人的にスタートさせたブログから火がつき、今や200人規模の従業員が働く、新進気鋭のD2Cブランドとして注目を集めています。
Glossierがここまで多くの人々に支持されるようになったのは、何か理由があるのでしょうか。
本稿は「共創」をひとつのキーワードとして、Glossierを理解するための5つのヒントを順番にご紹介したいと思います。
参考:6つのD2C国内事例。ブランド成長のキーワードは「モノづくり×パーソナライズ」? / 5つのD2C海外事例。若い世代が求める究極にユニークな顧客体験とは?
これからECカートを決める方・いまのECカートに満足してない方へ。以下の記事にも、あなたのお悩みが解決する情報が満載です。
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Glossierを通じて作ったのはコミュニティ
まずEmily Weiss氏がGlossierの創業にあたって、どのようなことを考えていたのか。その真意の一端がわかる言葉として、2015年の発言に注目してみます。
“We’ve created a community around each woman discovering and defining her own idea of beauty and showing her how to do it, not being force-fed that idea by fashion magazines and cosmetic companies.”
出典:How One Woman's Cosmetic Company 'Gramed Its Way to Insta-Success(Entrepreneur)
彼女はGlossierについて、女性が美に関する考えやHow toを自ら発見したり、定義づけるコミュニティをつくったと言及し、ファッション誌やコスメ企業の押しつけではない点を強調しています。
意地悪な言い方をすると、旧来のコスメ企業は多額の費用をかけてブランディング広告を作り、「これが欲しかったんでしょう?」と、上から目線で誘いかけるようなアプローチをしてきました。
Glossier創業前のEmily Weiss氏はこう思っていたはずです。(企業は私たちのことを何もわかっていない。)
だからこそEmily Weiss氏は、Glossierを通じてコミュニティを作ったのです。それは女性1人1人がそれぞれの美を探求し、つながりを感じるため場でもありました。
共感のつながりを生み出した『Into The Gloss』
Emily Weiss氏は感じたことをそのままで終わらさずに、実際に行動に移しました。
2010年、『Vogue』などの有名誌の編集アシスタントだった彼女は、有名人の美の秘訣を聞いたり、メイクのコツを聞くインタビューコンテンツなどを発信する美容ブログ『Into The Gloss』を開設して、多くの読者とのつながりを作ったのです。
2014年にGlossierがローンチされますが、初期の成長の影には間違いなくこのブログがありました。
Glossierの顧客となったミレニアル世代は、きらびやかなブランディング広告よりも日常で使えるメイクのHow toや、有名人の美に関する考えを取り入れる方が重要です。Emily Weiss氏は、その心情をブランドをスタートさせる4年も前から『Into The Gloss』で掴んでいたのです。
そして何より、Emily Weiss自身が誰よりもそういった情報を求めていました。彼女は『Into The Gloss』を運営することで、ミレニアル世代の気持ちを理解すると同時に代弁者となったのです。
創業者が「We(私たち)」を理解しているというのは、何よりも強い共感のつながりを生みます。Emily Weiss氏は、『Into The Gloss』を通じて、のちにGlossierが良いコミュニティを作るために欠かせない”つながり”を生み出しました。
Emily Weiss氏が重視する双方向のコミュニケーション
『Into The Gloss』では、全てではないものの時折、Emily Weiss自身が自分のポストについたコメントに自ら返答しています。
出典:Back To Brown(Into The Gloss)
コメント欄を消すこともできますが、そうしなかったのは、彼女自身が双方向のコミュニケーションを重視していた何よりの証拠ではないでしょうか。
Emily Weiss氏のこの姿勢はGlossierにおいても同様で、顧客とのコミュニケーションを積み重ねた結果、Instagramのフォロワーは現時点で275万人を超えています。(2020年3月時点)
具体的に何をしたかと言うと、メンションやハッシュタグをつけてくれたユーザーの投稿をリポストしたり、コメントやDMに返信することで、ユーザーとのつながりを絶やさないようにしてきました。(残念ながら直近の投稿では、あまりコメント返しは見られませんでした。)
以前、Instagramのタイムラインをユーザーとつくりあげることでフォロワーを増やした事例をご紹介しましたが、Glossierも似たようなアプローチでInstagramのフォロワーを増やしました。
参考:キーワードはUGC?Instagram活用事例3つから運用のヒントを探る
ユーザーからしたら、投稿がGlossierに発見されてリポストされることは非常に嬉しい体験です。この体験はGlossierを自分事化する大きなきっかけとなったことでしょう。
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ecforce(イーシーフォース)
YouTubeでもGlossierのプロモーションは二の次
Instagramもさることながら、GlossierのYouTubeも質が高いコンテンツを継続的にアップしています。
例えばシーリズものの動画「Get Ready With Me」では、モデルなどの著名人が朝起きてからメイクをする様子を見ることができます。
もしこれがファッション誌やコスメ企業の押しつけだったら、ここまで支持を得ることはないでしょう。普段の日常生活のなかで、モデルがどのようなメイクをしているかを、自然と知ることができるコンテンツだからこそ人気が出ました。
それを証拠に、モデルはGlossierのプロダクトを使いますが、同時に他社ブランドのプロダクトも使っています。
これが広告であれば、他社のブランドを使うことはないでしょう。
YouTubeもあくまでメイクのHow toや美への考え方を知るものであり、Glossierのプロモーションは二の次なのです。
「共謀者」と共創したコミュニティ
ここまでGlossierを見てきたらお分かりかもしれませんが、『Into The Gloss』から始まったGlossierが成長しても、変わらず根底にあるのは共創の精神です。
その点は『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』でも、以下のように触れられています。
ここ数年で国内でも「共創」といったワードがマーケティング界隈で聞かれるようになりましたが、本書で例として挙げられたGlossierは顧客をSlackチャンネルに招待して会話をすることで、他では得られない濃いフィードバックを受けて、顧客の声をダイレクトに商品開発に活かしています。
おそらく(Slackに招待されていないので確かではありませんが)、チャンネルで交わされるコミュニケーションはどちらが顧客だか一見わからないくらい、フランクかつフレンドリーだと思います。
顧客が友達や同僚のような存在になり、自ら進んでアイディアを出す環境は、D2Cブランドにとってまさに理想的ではないでしょうか。
熱狂的なファンをSlackチャンネルに招待するとは驚きですが、この人たちにInstagramへのポストなどをお願いすることで、ただお金を払って拡散してもらうような方法とは一線を画しています。
ちなみに、Emily Weiss氏はGlossierローンチ前にすでに集まっていた読者について、こう言っています。
I see all those readers as my co-conspirators.
出典:How One Woman's Cosmetic Company 'Gramed Its Way to Insta-Success(Entrepreneur)
「conspirators」とは、「共謀者」という意味です。
Glossierがここまで成長したのも、ブログから一貫して顧客と共にあり、顧客と共に成長し、顧客と共にコミュニティを創りあげてきたきたからに他なりません。
共創を大事にするEmily Weiss氏の姿勢は、2010年にブログをスタートした時から変わらない・・・そう考えると、熱狂的なファンと共に成長してきたGlossierのサクセスストーリーに感動すら覚えます。
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<参考記事>
Digital Marketing We Love: Glossier’s Social Media(Marketing Supply Company)
How One Woman's Cosmetic Company 'Gramed Its Way to Insta-Success(Entrepreneur)
How Important Has Instagram Been For Glossier's Success?(Forbs)
注目の「D2C」モデル 急成長コスメブランド「Glossier」はいかに市場に切り込んだのか(ECzine)
D2CコスメブランドGLOSSIERが、全米の若い女性のハートを鷲掴みできた理由。(MORILOG)
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月