この記事でわかること
D2Cへの注目度が国内外で高まっています。
もはやスタートアップに限った話ではなく、大企業も自らD2Cブランドを立ち上げ、様々な形で関わり始めています。
聞き慣れない言葉だった「D2C」は今や有名メディアでも特集されたり、本が出版されたり、イベントが開催されたりと、至るところで聞くようになりました。
ますます盛り上がるD2Cですが、既存のECと何が違うのかなど、理解するのは簡単なことではありません。
今回は「なぜD2Cがここまで注目を集めるのか?」をテーマに、背景にある3つの大きな変化を読み解いていきましょう。
※「D2Cの定義」については、以下の記事をご覧ください。
参考:「6つの要素で形作られるD2Cの定義とは?(現場でD2Cを遂行する視点から)」
これからECカートを決める方・いまのECカートに満足してない方へ。以下の記事にも、あなたのお悩みが解決する情報が満載です。
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D2C注目の背景にある3つの変化
結論からお伝えすると、D2Cが注目される背景には以下の3つの変化があります。
・デジタル化
・消費行動の変化
・人々の価値観の変化
まず着目したいのはデジタルの変化ですが、この変化は「モノづくりビジネスの変遷」から考えるとわかりやすいです。
「Nike」や「Apple」といったモノをつくるブランドは、小売店(ABC-MART、ビックカメラ等)や、モール型EC(Amazon、楽天等)といった卸も、自社のリアル店舗やECサイトといった直接販売も行い、マスからデジタルまで幅広くマーケティング施策を実施しています。
しかし、ブランドを立ち上げるフェーズでこれらのマーケティング施策を行うことは、膨大な投資が要求される上にビジネス変数が多く、再現性をもった成功は難しいものがあります。
つまり、「モノづくりビジネス」の新規参入は障壁がものすごく高い状況だったのです。
しかし「デジタル化」によって、この状況が変わります。
デジタル化
2014年頃からスマートフォンが一般的に認知され始め、本格的に普及しました。
この頃から、人々はテレビに代表されるマスから、インターネットメディアやSNSに代表されるデジタルで多くの時間を過ごすようになります。
人々がデジタル上で多くの時間を過ごすことで、人々にアプローチする手段である広告も、マス主体から徐々にデジタルにシフトし始めました。
デジタル広告はマス広告とは違う、以下のような特徴があります。
・顧客属性別にセグメントがきれる。
・費用対効果を見ながら予算コントロールできる。
・リスクなく効率的に広告を配信することができる。
昨今ではさらにアドテクノロジーが進化して、広告を最適化するロジックの精度も非常に高くなっています。広告運用のテクニックは相対的に必要性が落ちて、伝えたいクリエイティブを配信するだけで、以前よりも効率的にターゲットとする顧客にリーチできるようになりました。
人々がデジタルにシフトして、アドテクノロジーが進化したことで、ブランドは独自の販売チャネルを迅速かつ、費用対効果の高い方法で構築することが可能になりました。
このセオリーは一定の再現性を持つため、様々な企業が参入して新たなブランドを立ち上げる動きが出ています。
D2Cが注目される背景には、「デジタル化」が大きな変化の1つとして挙げられるのです。
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消費行動の変化
消費行動にも大きな変化がありました。
日本はすでに豊かになっているため、モノが不足しているわけではありません。このような状況では、人々は機能的に役立つ商品(機能的価値)ではなく、意味のある商品(情緒的価値)にお金を出すようになります。
「意味のある商品」とは、例えばコンセプトや世界観に共感したり、商品が生まれるまでのストーリーに感動したりするなど、何かしらの情緒的価値があるモノのことです。
電子レンジを例に挙げてみましょう。
電子レンジの機能的価値は、ものを温めることです。
この機能的価値を追求することで、オーブンがついたり、最適な温め方が選べるようになったりと、様々な進化を遂げてきました。
しかし、機能的価値が高い電子レンジは、今の日本では1万円もあれば購入できます。
一方で「BALMUDA」の電子レンジは、どうでしょうか。
機能面では無駄を削ぎ落とし、「キッチンを楽しくする」をコンセプトにインテリアとしての要素や、音楽が流れるという新規性を情緒的価値として加えたことで、販売価格が4倍するにも関わらず、顧客に選ばれる電子レンジとなりました。
出典:https://www.balmuda.com/jp/range/
「BALMUDA」は一例ですが、人々はただ役に立つ商品ではなく、意味のある商品にお金を出すようになりました。
もちろん、消費行動が全て変化するわけではありません。
安価で機能的価値がある商品は購入され続けます。流通数でいえば、そちらの方がシェアは大きいでしょう。
ただ、スタートアップ企業がD2Cで一矢報いることは可能になりました。
機能的価値や価格競争ではなく、独自の世界観でもってユニークな体験を生み出し、旧態依然としていた領域において大企業を驚かせるようなスタートアップが出てきています。
D2Cが注目を集める背景には、消費行動の変化も存在しているのです。
人々の価値観の変化
人々の価値観の変化も見逃せません。
ここ数年で、サブスクリプションサービスの台頭は著しいものがあり、NetflixやAmazonプライムに代表されるサブスクリプションサービスは、既に私たちの生活において「インフラ」となりつつあります。
こういったサービスが徐々にインフラになることで、人々は物を「所有する」のではなく、定額を払って物を「利用する」方へ価値観を変化させてきました。つまり、サブスクリプションサービスを受け入れる土壌が整ってきたと言えます。
一方で、D2Cブランドは顧客が物を買って所有してくれれば良いわけではありません。
物を買うことも含め、一連の体験に価値を感じて、長期的に利用し続けて欲しいのです。
この狙いに適しているのは、サブスクリプションです。
事業者視点でECの歴史を振り返ると、総合通販が世の中に浸透する波の後を追うように、単品通販と呼ばれる単品、もしくは少数の商材のみを販売する事業者が増えました。
単品通販は同じ商品を繰り返し購入するため、もともとサブスクリプションは一般的です。
それが人々の価値観の変化とD2Cの波に呼応するかのように、単品通販だけでなく、様々な商材でもサブスクリプションが見受けられるようになってきました。
D2Cが注目を集める背景には、サブスクリプションサービスを受け入れはじめた、人々の価値観の変化もあったのです。
D2Cは「最適なマーケティングフレームワーク」の1つ
3つの変化が背景にあり、D2Cが注目を集めるようになりました。
ここまで注目を集めると「これはD2Cだ。」「いや、これはD2Cではない。」といった議論になりがちです。
しかし、D2Cは「最適なマーケティングフレームワーク」の1つなので、D2Cであるか否かの議論は、あまり意味がありません。
本当に大事なのは、「なぜD2Cというマーケティングフレームワークが有効なのか?」を知ることです。
この問いを考え抜くことでD2Cの本質を理解し、良いところをうまく活用し、世の中に価値を提供していくことこそ、私たちにとって重要なことではないでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
実は「ecforce」を企画・開発する私たちSUPER STUDIOは、自社でもブランド立ち上げを行っており、日々ノウハウを貯めています。
常に様々なビジネスモデルにチャレンジしており、以下のようなブランドの事例に加え、2022年1月時点で50件近くの支援実績があります(詳しくは以下の画像をご覧ください)。
- ふつうのマヨネーズ
- GO WITH WHITE.
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これらの事例で培ったノウハウを基に、EC・D2Cビジネスを総合支援するecforce consultingを展開していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月