この記事でわかること
「D2C」という言葉が世に誕生したのは最近で、歴史が浅いことは否めません。
この未開拓な領域においても数々のノウハウが発信されていますが、こと「組織の作り方」においては有用な情報が少なく、参考になる事例も希少です。
D2Cを展開する上で、いったいどのような組織体制が良いのでしょうか。
今回はこの問いに対する一つの答えを、私たちSUPER STUDIOの実体験を紐解き、皆様に届けたいと思います。
特に一般的な通販、特に単品リピート通販とD2Cの違いにも触れるので、その辺りに興味がある方にも役立つ記事になっています。
D2Cブランド初めての組織・体制作り
私たちSUPER STUDIOは、EC・D2Cのための基幹システム「EC Force」を開発・提供したり、D2Cメーカーの支援サービス「Apollo D2C」を提供したりする以外に、自ら複数のD2Cブランドを展開し、その成長にコミットするプレイヤーでもあります。
これは今ほどノウハウがなかった当初、それでもブランドの成長に貢献するためにと、手探りで初めて作った組織・体制です。
今になって振り返ると理解できますが、当初は目の前の売上を上げることに精一杯で、この組織のどこか間違っているかがわかりませんでした。
D2C組織図の概要説明
この組織図に説明を補足すると、組織は大きく以下の3つに分かれています。
・プロダクトマネジメント
・CX
・マーケティング
プロダクトマネジメントはその名の通りプロダクトを掌握するチームで、ローンチまでを担当するいわば「作る」役割を担います。CXは「カスタマーエクスペリエンス」のことで、マーケティングチームが商品を売る一方で、買った顧客のフォローアップをしていました。
この組織の失敗はなんだったのか?
一見、問題がなさそうに見える組織・体制ですが、どこが失敗だったのでしょうか。実はこの組織・体制には決定的に欠けているものがあります。
それはずばり「一貫性」です。
D2Cにおいて重要なこととして、サクボでも今まで何度も「顧客体験」を挙げてきました。顧客は表面的に見れば「モノ」を買っているかもしれませんが、実際に買っているのは「体験」です。
セールスプロモーションとCRM・コールセンターを分断してしまったことで、組織に一貫性が生まれず、結果として顧客体験にも一貫性がなくなってしまったのです。この点は大きな失敗だったと言えます。
具体的に起きたことをお伝えすると、連携不足によってコールセンターに集まる顧客の声がセールスプロモーション・CRMに伝わっておらず、顧客の声をヒントに良い訴求が生まれたり、顧客に継続利用してもらうためのトークをする機会を失うようなことがありました。
一貫性がない組織・体制では、セールスプロモーションは売るために動きますが売った後のことまでは考えられず、CRMは顧客の継続利用のために動きますが売ることまでは考えられないのです。
この結果、売上を伸ばし続けることはできましたが、LTVを伸ばして利益をしっかり出すことはできませんでした。
「データドリブンなEC」でお伝えした通り、D2Cは膨大なデータに意味を見出し仮説を立てPDCAを回すことが重要ですが、組織に一貫性がないとこのPDCAを回すことはできないのです。
<参考記事>
データドリブンなECとは?販売額3,000万円に伸びた事例を大公開
D2Cの組織・体制作りにおけるありがちな間違い
さらにもう一つ重要な気づきがあります。
本来の「マーケティング」が内包する役割や意味は大きいものがあります。なぜなら作って、売って、フォローアップまで全てマーケティングの一環として語ることができるからです。
その点、単品リピート通販が画期的だったのは、商品が完成していればLPを作って、広告を出してPDCAを回せばある程度売れるビジネスモデルだということです。
しかしこのビジネスモデルに慣れると、「マーケティング ≒ セールスプロモーション」という錯覚に陥ります。これはD2Cの組織を作る上で、誰もが陥るありがちな間違いだと言えます。
現に私たちの先ほどの組織図を見ていただくと、「マーケティング ≒ セールスプロモーション」となっています。
しかしD2Cのマーケティングは「セールスプロモーション(売る)」だけでは成り立ちません。繰り返しますが「作って、売って、フォローアップまで」を一貫して行わなくてはならないからです。
「マーケティング ≒ セールスプロモーション」となっている当初の組織体制では、やはりそれができなかったのです。
D2Cにおける組織・体制の作り方
失敗を経験して、私たちは試行錯誤を経たのち新たな組織体制を模索しました。
結果できたのが、こちらの組織・体制です。
「マーケティング ≒ セールスプロモーション」となっていた部分を改め、セールスプロモーション + CRMでマーケティングというチームを作りました。
何よりも組織として一貫性を持つためです。
この組織改編でおきた事例を挙げると、まつげ美容液のD2Cブランドにおいて、セールスプロモーションがCRMと同じチームになることで、売った後のことを考えてより顧客志向で考えられるようになりました。
具体的には、顧客はまつげを伸ばしたいだけではなく、本質的なニーズとしては目元を大きく美しくしたいということに気づき、訴求のためのコピーや同梱物において目元ケアの情報を盛り込むなど、アウトプットを変えるようになったのです。
これも組織として、セールスプロモーションとCRMに一貫性が生まれたからに他なりません。
D2Cにおける組織・体制の作り方(まとめ)
最後にD2Cの組織づくりにおける要点を振り返り、まとめに入りたいと思います。
まずD2Cにおける大前提として、モノを売る以上に良い顧客体験を創ることが大事であり、その体験に一貫性があることが重要です。
機能ごとに分かれていた当初の組織・体制では、この一貫性がある顧客体験を作ることができず、「売る」と「フォローアップ」が分断されていました。これでは売上を伸ばすことはできても、LTVを伸ばすことにはつながりません。
続いて「組織名」が重要である点にも触れておきたいと思います。
セールスの名前を冠すれば「売る」に注力するのは当たり前で、「セールスプロモーション」が売ることしか考えないのは当然のことです。ここでも「マーケティング ≒ セールスプロモーション」としたことで、CRM・コールセンターとの分断が起きていました。
D2Cが売るだけで終わらないのは自明のことですから、組織名が役割を規定することを意識して、組織全体で一貫性を持てるように名前を決めてから体制を整えることが大事なのです。
【最後に】
ここまで読んでいただきありがとうございます。ここで最後にecforceのご紹介をさせていただきます。ecforce(イーシーフォース)は日本国内のEC・D2Cビジネスの現場を知り尽くした、わたしたちSUPER STUDIOが提供する国産SaaS型ECシステムです。EC・D2Cサイト構築の際の要件定義から成長拡大まであらゆるフェーズをサポートします。
累計1,000以上のショップ様に導入されている国産SaaS型ECシステム「ecforce」。さらなる実績や機能のご紹介は以下からご覧ください。
ecforceには、主に3つの特徴があります。
特徴1. EC/D2Cビジネストレンドを踏まえた最先端のシステム
豊富な搭載機能/カスタマイズ性/アップデートスピードでEC事業スタート・カート切り替えに対応。毎月平均で10-20個の新機能をリリース。
特徴2. 売上を最大化する多彩なマーケティング機能
クライアントニーズや自社経験を元にトレンドを抑えてた「効果がある」機能を搭載。「広告改善・CVR向上」や「LTV向上/CRM最適化」まで顧客獲得〜リピート化といった各フェーズに対応した機能群で、マーケティング施策を一貫して実施できます。
特徴3. CSオペレーションやシステム運用工数を削減
CSオペレーションや広告管理といったEC運営では工数がかかり煩雑化する業務も自動化と操作性の高いUIで効率化。運営コストを削減します。
「ecforce」は、ECサイトの構築はもちろん、サイトを開設したあとの機能も充実。売上を上げるための豊富な機能からコストを削減する仕組みまで、ECビジネスの成長をサポートします。
ご興味がある方はぜひ、以下からお問い合わせをいただければ幸いです。
その他、ecforce公式サイトでは、弊社が実事業経験から得たEC/D2Cノウハウを無料ebookで多数公開しております。弊社が独自に提供しているノウハウをたくさんご活用下さい。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月