この記事でわかること
今までD2Cについて、マーケティングやブランディングの視点で様々なことを一緒に考えてきました。
「D2C」は実態がなく、それだけを聞いても何もイメージできないただの単語でしかありません。
そのため概念的な部分や抽象的な内容も多々あったと思いますが、ここで具体的な海外事例を参考にして理解を深めたいと思います。
サクセスボード編集部は今回、ジャンルの異なる5つのブランドとその海外事例をピックアップしました。
5つのD2Cブランド
ピックアップした5つのD2Cブランドは以下の通りです。
・Warby Parker(ワービーパーカー)
・Cotopaxi(コトパクシ)
・Bonobos(ボノボス)
・Dirty Lemon(ダーティーレモン)
・Glossier(グロッシアー)
海外D2Cブランドのレベルは高く、パッと目につくブランドサイトやプロダクトなど、デザイン面でのブランディングはどこも秀逸で、かっこ悪いブランドはそう見当たりません。
しかし、ブランドごとに力を入れている部分は異なるので、今回は5つのブランドそれぞれの特筆すべき点をまとめてみました。
それではD2Cブランドの海外事例を5つ、順番に見ていきましょう。
1. Warby Parker(ワービーパーカー)
Warby Parker(ワービーパーカー)はニューヨーク発のアイウェアブランドです。
企画から製造、販売までを自社で行い、仲介業者を取り払うことで高品質なメガネを低価格で提供するビジネスモデルで人気を博しています。
すでに数億ドル(数百億円)を調達している他、新しいコンタクトレンズのブランド『スカウト(Scout)』を立ち上げて日本企業と提携するなど、常に動向が注目されるユニコーン企業の一つです。
Warby Parkerの素晴らしい点は数多くありますが、何よりブランドストーリーの語り部として、他のブランドを圧倒していることは見逃せません。
ブランド名であるWarby Parkerは、ジャック・ケルアックの著作に出てくる人物の名前を組み合わせたのが由来です。
『ジャック・ケルアック』は、ビートジェネレーションを彷彿とさせます。
つまり、わかる人にとってWarby Parkerというブランド名の由来は、頭の中でビートジェネレーションと交差する非常にストーリー性に富んだ名前なのです。(「オン・ザ・ロード」を手にとって読んだ人もいるでしょう。)
もちろん名前だけが一人歩きするのではなく、SNSをはじめとする顧客とのあらゆる接点において、Warby Parkerはブランドストーリーを雄弁、かつ魅力的に語ります。
創業のきっかけもそうです。
「旅行先でメガネを紛失して新たに買おうとしたが、高価で買えなかった→メガネ業界の寡占に気づく」という一連の話は、数々のメディアで取り上げられる立派なブランドストーリーです。
実はWarby Parkerはブランド立ち上げ初期からPR会社とタッグを組んでいました。
D2Cブランドにとって、ブランドストーリーの良し悪しは命に関わる問題です。
資金をどこに投下するかの選択肢が複数あったとして、創業初期からPRに資金投下したWarby Parkerの事例は重要な示唆があるのではないでしょうか。
2. Cotopaxi(コトパクシ)
Cotopaxi(コトパクシ)はミレニアル世代から絶大な支持を誇るアウトドアブランドです。
この業界にはパタゴニアやノースフェイスなど、古くから人々の心を掴んできた老舗がいますが、「ミレニアルのための」を冠につけて認知を広げ続けています。
支持される理由の一つに、
・社会貢献目的で採用した働き手が多くいる国内工場にこだわる。
・売上高の1%を貧困の撲滅や教育支援などに関わる非営利組織に寄付する。
・ソルトレイクシティで暮らす難民が書いた直筆の感謝状を添えて発送する。
といった、実際の行動に裏打ちされた「貧困をビジネスで救う」という姿勢があります。
ブランドの哲学“Gear for Good”に沿った商品を作り、販売を通して貧困に苦しむ人々を助けるCotopaxiの決意。ミレニアル世代はその決意に心を動かされるのでしょう。
3. Bonobos(ボノボス)
DNVB(Digital Native Vertical Brand)の記事でもご紹介したBonobos(ボノボス)も、海外のD2Cを語る上で外せないブランドの一つです。
Bonobosの創業は2007年と早く、創業当時はアメリカ発のメンズアパレルブランドとして豊富なメンズのカラーパンツに絞り、多彩なラインナップを取り揃えることでファンを増やしてきました。
もともと男性のファッションといえばジーンズが主流。Andy Dunn(アンディ・ダン)とBrian Spaly(ブライアン・スパリー)が、それ以外の選択肢が充実していないという不満から思いついたのがBonobosです。市場が見逃していた、あるいは知っていても答えようとしなかったニーズを自ら発掘したことで、潜在的に同じ想いを抱いていたユーザーに心に響いたのでしょう。
2017年にはウォルマートに買収されましたが、今もなおBonobosの独特なカルチャーは維持されていると言われています。
DNVBという言葉を造ったのがBonobosの創業者であるAndy Dunnであることからもわかる通り、D2Cブランドの旗手として10年以上最前線を走り続けています。
そんなBonobosから学ぶことは多くありますが、中でも成長フェーズでビジネス形態を柔軟に変化させている点は注目すべきポイントです。
豊富なメンズカラーパンツが手に入るという「ありそうでなかった」コンセプトと、秀逸なブランディングで話題をさらった創業当時から、リアル店舗への展開やその後の大手企業への売却劇まで、Bonobosの生い立ちには大いに学ぶものがあるはずです。
4. Dirty Lemon(ダーティーレモン)
Dirty Lemon(ダーティーレモン)は、ニューヨークのブルックリンで誕生したドリンクブランドです。
あるいはこう紹介した方が良いかもしれません。
「Dirty Lemonは一番売れているチャットボットECを展開するブランドです。」
Dirty Lemonはプロモーションを全てインスタグラムで行い、購入はテキストSMSというユニークな顧客体験を提供しています。
ドリンクが欲しくなったら、テキストSMSでチャットをしてクレジットカードのナンバーを入れるだけ。SMS上で購入できるので、専門のアプリやサイトに訪れなくても気軽に買えます。
その購買方法はニューヨークのトライベッカにオープンした店舗でも同様です。顧客は欲しいドリンクを手にとって、テキストSMSで購入します。
ブランドは一貫した体験を提供することが大事ですが、チャットボットをうまく活用して、オンラインでもオフラインでも一貫した体験を提供している好事例だと言えます。
5. Glossier(グロッシアー)
Glossier(グロッシアー)は徹底したブランディングと、カスタマーフィードバックに強みのあるコスメブランドです。
D2Cは「顧客体験が重要」と何度もお伝えしていますが、ポイントはただ商品を売るのではなくメイクにまつわる体験を提供して、顧客の声を積極的に取り入れている点です。
例えばブログでセレブや著名な女性にメイクにまつわるTIPSを聞き、その内容をよりカジュアルなテイストで書いて発信したり、実際にSNSのフォロワーやブログの読者から意見をもらって商品企画やサービスの向上に活かしたりしています。
顧客の立場になれば、自分の声を反映して商品開発を行ってくれるブランドにエンゲージメントが高くなるのも頷けます。
その陰には顧客からのコメントを担当者が丁寧に追いかけ、地道に拾い上げてるカスタマーサクセスの存在があります。
今ではオンラインのスキントーンマッチングツールを開始して、自分の写真をアップロードすると、どのシェードが一番肌色と合うかをレコメンドするパーソナライズサービスも開始しています。
ますます顧客の理想に沿って進化を遂げるGlossierから、目が離せません。
これからはパーソナライズの時代
若い世代が求めているのはユニークな顧客体験です。
思えばWarby ParkerやCotopaxiのブランドストーリーも、Bonobosのメンズカラーパンツやリアル店舗、Dirty LemonのテキストSMSもその時代においてユニークな体験であり、ミレニアル世代やZ世代が、他でもないそのブランドから買う大いなる理由となっています。
そして最後にご紹介したGlossierが展開するパーソナライズサービスこそ、究極にユニークな顧客体験です。
国内でもいくつか事例が出ていますが、今後さまざまなブランドが顧客ごとに最適化した体験を提供していくことでしょう。
これからはパーソナライズの時代だと言えます。
私たちが事業展開するEC Forceでも、各ショップが各ユーザーに最適化された商品を提供できるように、パーソナライズシステムをサービスとして提供する予定です。
乞うご期待ください!

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