この記事でわかること
Warby Parker(ワービーパーカー)は海外事例でもpick upしたので、記憶に新しい方もいるかもしれません。
ストーリーテリングの秀逸さと巧みなブランディングで、既存のアイウェアブランドの既得権益をリプレイスしていった印象がありますが、実際のところ何がすごいのでしょうか。
以前の記事は国内外の事例をまとめていく体裁をとりましたが、本稿はWarby Parkerだけに絞ってお伝えします。
それではWarby Parkerに関して知りたい5つのことを順番に見ていきましょう。
参考:6つのD2C国内事例。ブランド成長のキーワードは「モノづくり×パーソナライズ」? / 5つのD2C海外事例。若い世代が求める究極にユニークな顧客体験とは?
メガネ業界をDisruptした『Warby Parker』
Warby Parkerの創業メンバーは、ペンシルベニア大学ウォートン校というビジネススクールの学生4人です。
ビジネススクール出身者ということでビジネス視点で起業したのかと思いきや、「旅行先でメガネを紛失して新たに買おうとしたが、高価で買えなかった→メガネ業界の寡占に気づく」といったきっかけでWarby Parkerはスタートしています。
「メガネが高い」と感じた経験は誰もが持っていると思いますが、Warby Parkerは中間業者(ミドルマン)を排除したり、当初は店舗を持たずにオンラインのみで販売したりすることで価格帯を一気に下げ、大手企業に価格で優位に立ちました。
既存の業界や既得権益を「Disrupt(破壊)する」といった視点で語られがちなスタートアップですが、Warby Parkerはまさに自身が感じた課題を元に、既存のメガネ業界をDisruptしていったのです。
影の立役者『Derris(デリス)』
Warby Parkerの優位性が価格だけにあったかと言うと、そんなことはありません。
冒頭でご紹介した「創業のきっかけ」もそうですが、ストーリーテリングが非常にうまいのも特徴です。
現代はSNSの浸透などを理由に、「プロダクトの良し悪し」が事業の成長に直結する時代から、「ユーザーが自分ごとに紐づけて共感できるストーリー」が大事な時代になっていると言えます。
創業メンバーや周囲のアドバイザーに、その点の理解があったからこそ、Warby Parkerはストーリーに対して思いきって投資することができました。
Warby ParkerのPRやブランディングを担当したのは、ニューヨークやロンドンに拠点を構える『Derris』というPR・ブランディングエージェンシーです。
実はDerris(デリス)は、Warby Parker以外にもEverlaneやGlossierといったD2Cブランドも担当しています。
ストーリーテリングが重要視される現代において、DerrisはまさにD2Cブランド成長の「影の立役者」だと言えるでしょう。
ビートジェネレーションを彷彿とさせる
「ストーリー」と一口に言っても、Warby Parkerの場合は単に自らの創業ストーリーを伝えるだけではありません。
ブランド名であるWarby Parkerは、ジャック・ケルアックの著作に出てくる人物の名前を組み合わせたのが由来です。つまり、わかる人にとってはWarby Parkerというブランド名は、ビートジェネレーションを彷彿とさせるものなのです。
Nikeが勝利の女神『ニケ』を由来とするなど、ブランドが神話や他の物語から文脈を汲むことはよくあることですが、Warby Parkerはブランド名だけではなく、ビートジェネレーションが持つ世界観をブランドの世界観とリンクさせることで、ストーリーに深みをもたらしています。
『Takram』のディレクター・ビジネスデザイナーである佐々木康裕 氏は、著書でこのように表現しています。
文学、ヒッピー的な精神性。これらはWarby Parkerの世界観の背景に流れる通奏低音だ。彼らの世界観には、文学、本、図書館といったメタファーが存分に織り込まれている。
出典:『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』
Warby Parkerを知れば知るほど深いストーリーに誘われ、心地よい「通奏低音」に身を預けたくなるような感覚があるのかもしれません。
参考:『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』から得られる5つの気づき
ユーザー心理に寄り添う『Home Try-On』
Warby Parkerが優れている部分を別の角度から見ると、「ユーザー心理に寄り添う」ことを徹している点が挙げられます。
日本でも『Oh My Glasses(オーマイグラス)』に代表されるように、メガネをECで売ることは当たり前の時代になってきました。
しかし、Warby Parkerが創業した2010年は勝手が違います。
ユーザーはメガネをECで買うことに慣れていませんし、たとえ購入ができても、試着なしに買ったメガネがフィットするか不安だったはずです。
『Home Try-On』はそのユーザー心理に寄り添い、ある意味で逆手にとることで成功をおさめたサービスです。ユーザーはHome Try-Onを利用すれば、簡単な質問に答えたあと、オススメのメガネを5つ選択することができ、自宅で5日間試着することができます。
自宅での試着体験は孤独なものになりがちですが、InstagramやSnapchatでシェアできるような仕掛けを積極的にすることで、ユーザーを1人にしないように働きかけています。
ユーザー視点で語ると、「購入」だと高かったハードルは、「試着」あるいは「SNSでのシェア」という体験に変わることで、非常に低くなっていることに気づきます。
『BUY A PAIR, GIVE A PAIR』による社会貢献
最後にご紹介するのはWarby Parkerがする社会貢献の取り組み、「BUY A PAIR, GIVE A PAIR」です。
これは、商品を1つ買うと慈善団体を通じて発展途上国に寄付が行われ、メガネを手にしたくてもできない人のために寄付金が活用されるという仕組みです。
ミレニアル世代の特徴の1つは「ソーシャルグッド」ですが、自分がWarby Parkerでメガネを買うことが社会貢献につながるのは十分に買う理由につながります。買うか買うまいか迷った時、心理的に『BUY A PAIR, GIVE A PAIR』が最後の一押しになっているケースは決して少なくないでしょう。
ここまで見てきたように、Warby Parkerは様々な角度から見てもユーザーにとって魅力的なブランドに映ります。
サクボでは、D2Cブランドは「プロダクト(モノ)ではなく体験」と何度もお伝えしていますが、ユーザーの体験を良くするために知恵を練ると、Warby Parkerのように様々な角度で自身を見る視点が必要になります。
これから皆様がD2Cブランドをつくる際に、1つの参考事例として本稿を記憶に留めていただけたら嬉しく思います。
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