この記事でわかること
Care/of(ケアオブ)と聞いてもピンと来ない人が多いかもしれません。
まだ国内ではあまり知られていない、パーソナライズ型のサプリメントを提供する海外のD2Cブランドです。
日経新聞発のプレスリリースを参照すると、2018年時点でアメリカのサプリメント市場は2.6兆円(※)ほど存在しています。
これだけの市場があるのに、パーソナライズサービスが近年立ち上がったことは意外かもしれません。
しかしCare/ofを紐解いていくと、D2Cのマーケティングフレームワークを活かし、経験豊富な創業者がトライすることで、初めて活路が見出せる一筋縄ではいかない領域であることがわかってきます。
今回はCare/ofにまつわる5つのことを通じて、改めてパーソナライズサービスについて考えていきましょう。
参考:6つのD2C国内事例。ブランド成長のキーワードは「モノづくり×パーソナライズ」? / 5つのD2C海外事例。若い世代が求める究極にユニークな顧客体験とは?
※2020年4月28日時点のレート「1ドル107円」で計算
これからECカートを決める方・いまのECカートに満足してない方へ。以下の記事にも、あなたのお悩みが解決する情報が満載です。
【ECサイト構築サービス22個の比較表】おすすめ国産SaaS型ECシステムもご紹介
4つのECサイト構築事例。新鋭D2Cブランドの動向から読み解く「狙い」とは?
サプリメント×パーソナライズサービス
Care/ofのサービスを簡単に紹介するなら、「サプリメント×パーソナライズサービス」と言えるでしょう。
この領域は国内でもすでに事例があり、真っ先にFUJIMI(フジミ)が思い浮かびます。
FUJIMIはサイトで簡単に肌診断ができて、ユーザーの答えに最適化されたサプリメントが届くサービスを提供しています。(ちなみに、ユーザーの回答数は2,000億通り以上あると言われています。)
またFUJIMIだけではなく、サクボではパーソナライズ文脈で複数のD2C国内事例を取り上げたことがあり、このような文章で締め括りました。
海外事例は社会課題・背景や創業者ストーリーなど、感情的・情緒的要素を使い、商品それ自体のイメージに止まらずにブランドイメージを作るケースが多い一方で、日本は「モノ自体」や「モノづくり」にフォーカスしたブランドの創り方が強い印象があります。
※プロダクト起点でユーザーとのコミュニケーションがあるCOHINA然り、自社製造でおやつ作りをするsnaq me、顧客ごとに異なる趣向に様々なフレーバーを用意するMinimalなど
パーソナライズサービスと言えど、顧客ごとに最適化するだけではファンを増やすことはできず、当然ですがモノも含めた体験が良質であることが求められます。
そういった意味では「モノづくり」にフォーカスした国内D2Cブランドが、これから本格的に訪れる「パーソナライズ」の時代において、海外ブランドとは異なる文脈で成長を遂げることも考えられるのではないでしょうか。
ここでは国内ブランドの今後の成長に大いなる期待を寄せていますが、海外のパーソナライズサービスを代表するブランドの一つがCare/ofです。
サプリメント×パーソナライズサービスのD2Cブランドとして、様々な工夫を凝らしながら、ユーザー数を増やし続けています。
Care/ofのパーソナライズサービス
言葉で説明するより早いので、Care/ofがどのようにパーソナライズするのかをぜひ動画で見てください。
シンプルで見やすく、可愛らしいUIが印象的です。一般的なWebアンケートは堅苦しいものが多いですが、Care/ofの「quiz(クイズ)」はゲーム感覚で楽しく答えることができます。
https://takecareof.com/p/start-the-quiz
設問が多いので途中で離脱する人も少なくないと想定されますが、裏を返せば、それだけ多くの質問から顧客データを集めて最適化しているとも言えます。
ちなみにCare/ofの創業は2016年。パーソナライズサービスの領域としては早めの参入だと言えます。(ちなみに国内では、おやつのパーソナライズ型サブスクリプションBOXを提供するsnaq me(スナックミー)も2016年)
創業から約4年が経ち、Care/ofの元にはトライ&エラーの結果で生まれた膨大なデータがあるはずです。どのような質問をどれくらいすると答えが集まるのか、あるいはどれくらいLTVに影響があるのかを検証した結果が今の形なのでしょう。
ところで、成長中のEC・D2Cブランドがこぞって使うECカートの存在をご存じですか?
- 平均年商2億円以上
- CVR380%アップ
- 導入後の成長率265%アップ
これらの数字が気になったら、ぜひ以下をチェックしてください。
ecforce(イーシーフォース)
顧客の名前を印刷するパーソナライズサービス
動画内でも確認できますが、Care/ofの特徴の一つとしてパッケージに顧客の名前を印刷している点が挙げられます。
personalizeとは本来、「物に名前(頭文字)をつける」といった意味もあるので、まさにpersonalize serviceです。
手触りのあるリアルプロダクトを作った人なら分かるかと思いますが、画一的なプロダクトほどコストがかからず、かつ作りやすいのは自明のこと。
「名前を印刷する」という一見なんてことの無いワンアクションにも、相当のコストと製造ラインの工夫などがなされているはずです。
またパーソナライズサービスは、画一性とは逆の志向を持つものです。オンラインで行う分には数が増えても原価はさほど変わりませんが、リアルなものでパーソナライズサービスを行うと、数が増えれば増えるほど原価がかかる点、悩ましい課題があります。
コストとユーザーの満足度を天秤にかけた上で、Care/ofの場合は名前の印刷を選択しました。D2Cのパーソナライズ領域での先行事例として、非常に参考になるものがあります。
創業者は元Bonobos
実はCare/ofの創業者の1人、CEOのCraig Elbert(クレイグ・エルバート)氏は元Bonobosです。
Awayを創業したJen Rubio(ジェン・ルビオ) 氏と、Steph Korey(ステフ・コーリー)氏が、元Warby Parkerだと以前お伝えしました。
このように有名D2Cブランドで働いた経験を活かして、自らD2Cブランドを立ち上げるケースは今後も増えていくことが予想されます。そういった意味では、Care/ofもまた「D2Cエコシステム」が生み出したブランドだと言えるかもしれません。
ちなみにCraig Elbert氏はかつてビタミンD欠乏症だった際、既存のサプリメントのショッピング体験があまりにもmiserable(悲惨)だったと答え、これがCare/of創業のきっかけの一つだったようです。
参考:CARE/OF, CRAIG ELBERT: The Personalized Pharmacy(RADICHE)
肝となるのはユーザーのリテンション
Care/ofは「quiz(クイズ)」で顧客情報を集め、そのデータを元にパーソナライズをかけています。しかし「quiz(クイズ)」はあくまで入り口でしかなく、それだけではユーザーの継続は望めません。
出典:Care/of Vitamins(App Store)
その点、Care/ofはアプリを独自開発することで、ユーザーの継続を促してLTVを上げる試みをしています。
アプリ「Care/of Vitamins」では以下のようなことができます。
- サプリメントのオーダー
- 飲む習慣を忘れないためのリマインダーのセット
- サプリメントをちゃんと飲んだかを記録
- 届くサプリメントの種類を変更
- 定期購入のタイミングを変更
このような提案をすることで、ユーザーがサプリメントを習慣化できる可能性が上がります。
たとえ「パーソナライズ」を謳ったとしても、ユーザーは本当に自分のことを見てくれるかどうかに敏感です。Care/of のアプリは一つの施策例でしかなく、いかにパーソナライズ体験を向上させて、ユーザーのリテンションを続けられるかが肝になります。
パーソナライズサービスは、国内サプリメント領域ではFUJIMI、商材を広げるとsnaq meやFABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)、MEDULLA(メデュラ)が挙げられます。
Care/ofの場合は名前の印刷やアプリの展開でしたが、日本の御家芸でもある「カイゼン」を繰り返す中で、国内D2Cブランドが異なる施策で成果を上げる可能性は十分あります。
今後もCare/ofをはじめ、国内外のパーソナライズサービスから目が離せません。
【最後に】
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累計1,000以上のショップ様に導入されている国産SaaS型ECシステム「ecforce」。さらなる実績や機能のご紹介は以下からご覧ください。
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<参考記事>
When did vitamins get so cool?(Vox)
Care/of Is Shaking Up the Wellness Industry With Convenience and ‘Low Ego’(CO—)
CARE/OF, CRAIG ELBERT: The Personalized Pharmacy(RADICHE)
レッドオーシャンと言って思考停止していないか。無かった市場を創ったRitual。(haztr | snaq me hattori-note)
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月