この記事でわかること

LPOツールは、WebサイトのランディングページのCVRを高めるために、分析・改善、A/Bテストなどを効率的に行うソフトウェアです。ユーザー行動を基に訴求やデザインを最適化し、継続的な改善を支援します。本記事では、LPOツールの仕組み、選び方、活用方法を解説します。
LPOツールとは?
LPOツールとは、ランディングページ(LP)のコンバージョン率(CVR)を高めるために、分析・改善・テストを包括的に支援するソフトウェア群です。訪問者の行動を数値とデータで捉え、ページの構成や訴求を改善することで、CVR向上を効率的に進められます。
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ECにおけるLPの存在とは?D2CブランドがLPOを実行するために必要な5つの理解。
LPOツールの役割と仕組み
LPOツールは、デザイン変更にとどまらず、ユーザーの行動データを分析し、「仮説→テスト→検証→改善」のサイクルを回す仕組みを提供します。代表的な役割は以下の通りです。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 行動データの収集・分析 | ユーザーのクリック数、スクロール率、離脱ポイントなどを取得 |
| テストの実行(A/Bテスト・多変量テスト) | 異なるページバージョンを比較し、どちらがより成果につながるか検証 |
| 表示内容の最適化(パーソナライズ) | ユーザー条件ごとに異なる訴求・デザインを出し分け |
| ページ改善の反映・運用管理 | テスト結果を反映したページの運用を管理、改善サイクルを継続 |
つまり、LPOツールは経験や勘ではなく、データと定量分析に基づいたPDCAサイクルを実現する基盤です。
LPOは、より広範な戦略であるCRO(Conversion Rate Optimization)の一部です。サイト全体の最適化(CRO)のうち、特に「広告や検索から流入したユーザーを、専用LPでコンバージョンに導く」手段として、LPOツールは重要な役割を果たします。
LPOの基本
LPは、ユーザーが最初に訪れるページを指します。広告クリック後のページや、検索結果からアクセスした最初のページがこれにあたります。広義ではサイト内の入口となるすべてのページが該当しますが、マーケティングでは「購入や資料請求など、特定の目的に絞った1ページ構成のLP」を指すのが一般的です。
LPOの目的は、LPに訪れたユーザーが途中で離脱せず、コンバージョンに至るよう改善することです。広告やSEOで流入を増やしても、LPの内容が不適切なら成果には結びつきません。LPOは、獲得したアクセスを無駄にせず、成果に変える取り組みです。
LPOが対象とするのは「流入後」のユーザー行動です。訪問者を増やすSEOや、フォーム内の離脱を減らすEFO(入力フォーム最適化)とは役割が異なります。訪問の瞬間からコンバージョンに至るまでの導線全体を整えることがLPOの焦点です。
LPOとSEOの違いって?LPO作成の流れやポイント6選についてご紹介
LPOがCVR改善につながる理由
LPOがCVR改善に役立つのは、ユーザー行動を基にした改善を継続できるからです。離脱が起きている箇所を特定することで、改善すべきポイントが見えてきます。
A/Bテストでデザインやテキストを比較すれば、効果の高い要素を実際のデータから判断できます。流入経路や属性に応じて内容を出し分けることで、ユーザーごとに最適な訴求が実現し、成果につながりやすくなるでしょう。
広告費をかけて獲得したユーザーを取りこぼしにくくなる点も、LPOの大きな利点です。こうした改善の積み重ねが、CVR向上を実現します。
CVR低下の原因は?5つの改善方法と成功事例についてご紹介!
LPOツールの主な機能は?

多くのLPOツールは、LPを改善してCVRを高めるための複数の機能をワンストップで備えています。代表的な機能と、それぞれの貢献ポイントを解説します。
ABテストによる訴求・デザイン効果の検証機能
ABテスト機能は、LPOツールの中でも基本かつ中心的な機能です。見出し・画像・ボタンの色や文言などを変更した異なるバージョンを作成し、訪問者をランダムに振り分けて、どちらがより高いコンバージョンにつながるかを比較します。感覚ではなく実データに基づいて、最適なページ構成やコピーを選べるのが特徴です。
多変量テスト(MVT)に対応しているツールなら、複数の要素を同時に組み合わせたパターンを検証でき、より精度の高い最適化が実現します。
ABテストを実施する際は、統計的有意性を確保するため、十分なサンプル数(訪問者数)を集める必要があります。一般的には、各パターンに最低でも数百〜数千のサンプルが必要とされ、テスト期間は1〜2週間程度が目安です。
また、同時に複数のABテストを実施すると、結果の信頼性が下がる可能性があるため、優先順位をつけて1つずつ検証するのが基本です。ただし、ページの異なる箇所(例:ヘッダーとフッター)であれば、同時実施しても問題ないケースもあります。テスト設計は慎重に行いましょう。
ヒートマップを用いたユーザー行動の可視化
ヒートマップ機能は、ABテストだけでは見えにくいユーザーの詳細な行動を可視化します。「どこを見ているか」「どこで止まっているか」「どこでクリックしているか」といった情報を、スクロール深度・クリック集中地点・マウスの動きとして視覚的に把握できます。
この行動データから「重要な訴求が見られていない」「CTAが埋もれている」といった仮説を立てやすくなり、改善ポイントの発見が容易になります。結果として、LP改善の効率と精度が高まるでしょう。
なお、ヒートマップには「クリックヒートマップ」「スクロールヒートマップ」「アテンションヒートマップ(滞在時間)」の3種類があり、それぞれ異なる視点からユーザー行動を分析できます。
パーソナライズによる最適な訴求の出し分け
訪問ユーザーは、属性(年齢、デバイス、地域など)や流入経路によってニーズが異なります。パーソナライズ機能を使えば、これらの条件に応じてLPの表示内容を動的に切り替えることが可能です。モバイルとPCで内容を変える、広告経由と検索経由で訴求を使い分けるといった施策が実現します。
すべてのユーザーに画一的な内容を提示するのではなく、個別に最適化された体験を届けることで、コンバージョン率の向上が期待できます。
パーソナライズの精度は、ツールが持つセグメント機能の豊富さに左右されます。基本的な属性だけでなく、行動履歴や購買段階に応じた出し分けができるツールを選ぶと、より高度な施策が可能です。
ノーコード編集による改善スピードの向上
近年のLPOツールは、プログラミングやデザイン知識不要の「ドラッグ&ドロップ型エディター」や「ビジュアルエディター」を備えているものが増えています。開発者やデザイナーを介さずに、LP構成の変更や要素の差し替えができます。
ノーコード環境によって、改善案の実装からテスト開始までの時間が短縮され、仮説検証サイクルを素早く回せるようになります。人手が限られた中小規模のEC・D2C企業にとって、大きな利点となるでしょう。
ただし、ノーコード編集は自由度が制限される場合もあります。複雑なデザインやインタラクションが必要な場合は、HTML/CSS/JavaScriptを直接編集できるツールを選ぶと柔軟性が高まります。
CV計測と離脱分析による課題ポイントの発見
LPOツールは見た目やレイアウトの変更だけでなく、訪問数・クリック数・コンバージョン数・離脱率・スクロール率などの指標を自動で収集・分析します。どこで離脱が発生しているか、どの流入経路が成果につながりにくいか、どの要素がボトルネックかを定量的に把握できます。
ヒートマップやセッション再生(Session Replay)と組み合わせれば、離脱理由の仮説が立てやすくなり、改善精度が向上します。
離脱分析では、単に「どこで離脱したか」だけでなく、「どのユーザー属性が離脱しやすいか」「どの流入元の離脱率が高いか」といったクロス分析ができると、より精度の高い改善仮説を立てられます。
LPOツールを導入するメリット

LPOツールの導入は、LP改善の精度向上だけでなく、広告投資の効率化や運用プロセスの最適化など、幅広いメリットをもたらします。
短期間で効果検証ができ改善速度が上がる
LPOツールの大きなメリットの1つは、施策の効果を短期間で検証できる点です。従来のLP改善では、デザイン変更からリリースまで数週間かかることも珍しくありませんでした。
しかし、LPOツールを使えば、ノーコード編集機能により数時間〜1日程度で新しいパターンを作成でき、すぐにABテストを開始できます。テスト結果も数日〜2週間程度で判明するため、PDCAサイクルを月に複数回転させることが可能です。
この改善速度の向上により、競合他社よりも早く最適なLPにたどり着け、市場での優位性を確保できます。特に広告費を多く投下している企業ほど、早期の最適化による費用対効果の改善インパクトが大きくなります。
広告費の最適化につながりCPA改善が期待できる
LPOツールを活用すれば、LPの訴求や構成を検証しながら改善し、CVR向上につなげられます。CVRが高まると同じ広告費でより多くのコンバージョンを獲得でき、CPAの低減が期待できます。広告流入数を増やすのではなく、既存の流入を成果に変えるため、投資効率が直接的に改善されるのです。
改善施策の成功パターンを蓄積し成果が安定する
LPOツールはテスト結果やユーザー行動データを継続的に蓄積するため、過去の施策の効果を後から確認できます。成功パターンの再利用や、改善方向性の検討材料として活用でき、個人の経験や勘に依存しない改善が進められます。LP施策の再現性が高まり、成果の安定化につながるでしょう。
データに基づく判断で運用の属人化を防止できる
ABテスト結果やクリック率を数値で確認できるため、担当者の勘に頼らない判断が可能です。実際のユーザー行動に基づいて施策を選択できれば、担当者が変わっても品質を維持でき、LP運用の属人化を防げます。
改善サイクルが回りやすくなりCVR向上につながる
LPOツールは、テストの作成・配信・分析を1つの環境で進められるため、施策の更新頻度を高めやすくなります。ページ更新に必要な手順をまとめて扱えることで、改善案を素早く反映でき、見直しのペースが維持しやすくなります。こうした運用効率の向上により、LPの調整を継続しやすくなり、CVRを底上げする機会が増えていきます。
LPOツールの選び方と比較ポイント

LPOツールは機能や価格帯が幅広いため、自社に適したものを選ぶには複数の観点から比較が必要です。導入後の運用に影響する機能性・操作性・分析精度などの視点から、選定時の要点を整理します。
目的に合った機能が備わっているか確認する
LPOツールを選ぶ際は、解決したい課題とツールが提供する機能が一致しているかをまず確認しましょう。ファーストビューを改善したいならABテスト機能が不可欠ですし、離脱箇所の把握が課題ならヒートマップが求められます。分析・テスト・編集のどこを重視するかによって、適したツールは変わってきます。
| 課題 | 求められる機能 |
|---|---|
| 訴求改善 | ABテスト、多変量テスト |
| 離脱箇所の把握 | ヒートマップ、セッション録画 |
| 流入経路別の訴求 | パーソナライズ機能 |
| 更新頻度向上 | ノーコード編集 |
目的ごとに必要な機能を整理しておけば、ツールの比較がスムーズに進みます。
分析精度や確認できるデータ範囲をチェックする
ツールによって、計測できる指標の範囲やデータ取得の精度が異なります。クリック数やスクロール量だけでなく、どの流入経路が成果につながりやすいか、特定のセクションがどれだけ閲覧されているかなど、詳細なユーザー行動を確認できるかが重要です。データの粒度が高いほど、改善方向性の判断が容易になります。
分析対象がページ全体か、要素単位まで確認できるかも比較ポイントです。必要なデータを自社でどこまで活用できるか検討しながら選定しましょう。
ABテストやパーソナライズの使いやすさを比較する
ABテストやパーソナライズ機能は多くのLPOツールが備えていますが、実際の操作性や管理画面の見やすさには差があります。テストパターンの作成方法、配信条件の設定のしやすさ、結果のレポート形式などを事前に確認すれば、運用負担を軽減できます。
テストの同時実施が可能か、配信アルゴリズムが自動で最適化されるかといった点も、ツールによって異なります。運用の手間を抑えつつ継続的な改善を行えるかが選定の鍵です。
誰でも扱いやすい編集機能かどうかを見極める
LPOを継続するには、実装作業をスムーズに進められる環境が不可欠です。ノーコード編集に対応しているツールなら、専門知識を持たない担当者でもページ内容を調整できます。編集のたびにエンジニアへ依頼する必要がなくなり、改善スピードが維持されます。
編集画面が直感的か、テンプレートが豊富か、既存ページを壊さず編集できるかといった点が、比較時のチェックポイントです。
サポート体制やアフターフォローの充実度を確認する
LPOは継続的な取り組みが必要で、ツールの使い方や改善方針に迷う場面も出てきます。そのため、導入後のサポート体制は重要です。オンボーディング支援の有無、チャット・メール・電話など問い合わせ手段の種類、活用方法を学べるドキュメントが提供されているかを確認しましょう。
特にLPOの経験が少ない企業では、導入後の伴走支援が改善スピードに大きく影響します。
コストに見合った価値があるか検討する
LPOツールの料金は、ページ数や配信量、機能範囲によって大きく異なります。機能が多いほど料金は上がる傾向にあるため、「実際に活用する機能」と「料金のバランス」を事前に検討しましょう。
成果改善によってどの程度の費用対効果が得られるかも併せて検討が必要です。広告費削減につながれば実質的なROIが高まるため、単純な価格比較ではなく総合的な価値を判断しましょう。
課題別|LPOツールのおすすめ15選

LPOツールは、導入目的によって選ぶべきサービスが変わります。ここでは5つの課題に分けて、代表的なツールと特徴を紹介します。
ファーストビューを改善したい場合
ファーストビューのインパクトや訴求力を高めたい場合は、デザイン編集が容易で、クリックデータやヒートマップを確認できるツールが適しています。視認性や訴求の強弱を素早くテストできれば、CVR改善につながります。
| サービス名 | 料金体系 | 機能・強み |
|---|---|---|
| CVX | 要問い合わせ(無料トライアルあり) | ・200以上のテンプレートでFVを即構築 ・入力式でLPデザインが完成 ・改善サポートを活用可能 |
| Ptengine | ・無料(月間PV3,000まで) ・有料プランは月5,478円〜 |
・ヒートマップでFVの注目エリアを可視化 ・ノーコード編集でFVをすぐ調整 ・ABテストで訴求比較ができる |
| ferret One | 要問い合わせ | ・FVコピーや画像を直感的に編集 ・BtoBリード獲得LPに強い ・MA連携で改善の回転が早い |
ユーザーの離脱ポイントを把握したい場合
ページ内のどこでユーザーが離脱しているかを把握したい場合は、ヒートマップやセッション録画機能を備えたツールが適しています。スクロール到達率やクリック集中箇所を知ることで、見直すべきブロックの判断が容易になります。
| サービス名 | 料金体系 | 機能・強み |
|---|---|---|
| SiTest | 要問い合わせ | ・ヒートマップ・録画・レポートが統合 ・離脱要因を多角的に分析 ・国内ツールで導入支援が充実 |
| Mouseflow | 無料プランあり | ・セッションリプレイで離脱直前の行動を可視化 ・成功ユーザーとの比較が容易 ・エラー行動検出あり |
| User Insight | 要問い合わせ | ・国産ヒートマップで精度が高い ・スクロール・クリック分析に強い ・大規模サイトの利用実績も多い |
出典:SiTest/Mouseflow/User Insight
ABテストを効率的に回したい場合
ABテストを継続的に実施したい場合は、テスト設定のしやすさ、同時テスト数、レポート機能の見やすさがポイントです。少ない工数でテストを回せるほど、改善スピードが向上します。
| サービス名 | 料金体系 | 機能・強み |
|---|---|---|
| VWO(Visual Website Optimizer) | 月額7万円〜 | ・多変量テストが強力 ・タグ設置のみでテスト開始 ・自動最適化アルゴリズム搭載 |
| Optimizely | 要問い合わせ | ・大規模サイト向けの本格テスト基盤 ・配信分岐や高度な分析も可能 ・CRO施策に広く利用される |
| AB Tasty | 要問い合わせ | ・タグ設置だけでテストを開始できる ・多変量テストに強く大規模サイトでも使いやすい ・成果の高いパターンを自動で最適化配信する |
流入経路ごとに訴求を最適化したい場合
広告・検索・SNSなど、流入経路によってユーザーの期待値は異なります。入口に応じて訴求内容を切り替えたい場合は、パーソナライズ機能が充実したツールが有効です。
| サービス名 | 料金体系 | 機能・強み |
|---|---|---|
| DLPO | 初期費用20万円・月額10万円〜 | ・国内最大級のパーソナライズ精度 ・流入元・属性に応じた出し分けが可能 ・ABテストも併用可能 |
| KARTE | 要問い合わせ | ・訪問者単位のリアルタイム解析が強力 ・流入元別にLP表示やポップアップを出し分け ・幅広い業界で導入実績多数 |
| Juicer | 無料 | ・AIが自動で属性推定しセグメント化 ・流入チャネル別の行動分析が簡単 ・無料でパーソナライズ機能が使える |
ECサイトの購入導線を強化したい場合
カート到達率・購入完了率を高めるには、導線の可視化や商品訴求の最適化が重要です。EC特化ツールや、広告効果の可視化ツールが有効です。
| サービス名 | 料金体系 | 機能・強み |
|---|---|---|
| ecforce | 要問い合わせ | ・EC特化CMSで商品訴求を最適化 ・CTA調整がしやすく導線改善に強い ・購入導線向けテンプレートが豊富 |
| WebAntenna | 月額2万円〜 | ・広告の貢献度(アトリビューション)分析 ・購入までの導線データを可視化 ・改善ポイントを把握しやすい |
| KAIZEN UX(EC向け) | 要問い合わせ | ・専門家が導線改善を設計・実行 ・デザイン調整〜テストまで一気通貫 ・多店舗・多商材ECでも対応可能 |
出典:ecforce/WebAntenna/KAIZEN UX
LPOツール導入の流れ

ツールの効果を最大化するには、適切な手順で改善サイクルを回すことが不可欠です。基本的な流れを4つのステップで紹介します。
現状の課題を整理し改善テーマを決める
改善に着手する前に、LPのどこが成果につながりにくいのかを把握しましょう。離脱の多い箇所やユーザーが立ち止まるポイントを見つけることで、改善すべき領域を絞り込めます。
【改善テーマ設定の主な観点】
| 観点 | 内容例 |
|---|---|
| 離脱箇所 | 特定セクションでの急激な離脱、スクロール到達率の低下 |
| 訴求の不足 | ファーストビューで伝わる内容が弱い、メリットが伝わりにくい |
| 導線の問題 | CTAが目立たない、リンク位置が分かりづらい |
| ユーザー属性との不一致 | 流入経路・期待値と訴求内容がかみ合っていない |
改善点が可視化されれば、優先的に見直すべき要素の判断が容易になります。
改善仮説を立てテスト計画を作成する
課題が見えたら、その原因と改善方法について仮説を立てます。仮説を立てることで、変更すべき要素や比較方法が定まります。
【テスト計画に含めたい項目】
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 改善の目的 | CVRの向上、離脱率の低減、クリック率の改善 |
| 変更する要素 | 見出し、ボタン文言、画像、レイアウトなど |
| 比較方法 | ABテスト、多変量テスト、パーソナライズ出し分け |
| テスト期間 | 流入量と検証に必要な期間を考慮して設定 |
計画を立てることで、施策の優先順位が定まり、運用がスムーズに進みます。
ABテストやパーソナライズ施策を実施する
仮説を基に、具体的なテスト施策を実施します。ツールのエディターや設定画面を使えば、専門知識がなくてもLPの調整や出し分け設定ができます。
【実施しやすい施策例】
| 施策 | 内容例 |
|---|---|
| ABテスト | ボタンの色・文言、FV画像、訴求コピーの比較 |
| 多変量テスト | レイアウト・画像・コピーを複数組み合わせて検証 |
| パーソナライズ | 流入元、デバイス、地域に応じて内容を出し分け |
小さな変更でも数値に影響が出るため、定期的にテストを追加し、改善を積み重ねましょう。
結果を分析し改善案に反映する
テストが終了したら、結果を確認し、次の改善施策につなげます。どのパターンが良かったかだけでなく、「どの要素が影響したか」を読み解くことが重要です。
【分析に使用する指標】
| 指標 | 活用ポイント |
|---|---|
| CVR | 最終成果がどの程度変化したかを把握する |
| CTR | CTAや主要リンクのクリック状況を見る |
| スクロール率 | ユーザーがどこまで読んでいるかを確認する |
| 離脱率 | ボトルネックになっている箇所を特定する |
この結果を踏まえて新たな仮説を立て、次の施策につなげることで、LP全体の完成度が高まります。
LPO施策を成功させるための基本ステップ

LPOツールを導入しただけでは成果は安定しません。LPの課題を把握し、仮説を立てて検証する流れを繰り返すことで、CVRが底上げされます。LPO施策の基本ステップを紹介します。
ファーストビューの訴求を最適化する
ファーストビューは、ユーザーが続きを読むかを判断する最初の分岐点です。この段階で価値が伝わらないと、スクロール前に離脱につながります。
見直すべきポイントは以下の要素です。
- 誰向けのサービスか一目で分かるメインコピー
- メインコピーを補足する短い説明文
- 利用シーンや価値を直感的に伝えるビジュアル
- 次の行動を促すCTAボタンの配置と文言
これらの要素をABテストで調整していくのが効果的です。スマートフォンでは表示領域が限られるため、重要情報が折り返し下に隠れていないか確認しましょう。
CTAの位置や文言を改善し導線を整える
CTAは最終的なコンバージョンに直結する要素です。内容がどれだけ良くても、ボタンの位置が分かりづらかったり、文言に魅力がなかったりすると成果が上がりません。
改善では以下を意識しましょう。
- ファーストビュー、重要なセクション直後など、迷わずクリックできる場所に複数配置する
- ボタンの大きさや余白を調整し、視線を誘導しやすいデザインにする
- 「何が得られるのか」が伝わる文言にする(例:資料請求→サービス概要を無料で確認できる など)
変更点を1つずつテストし、どの要素が成果に影響したかを見極めることで、改善の再現性が高まります。
ユーザー属性に合わせて訴求を出し分ける
同じLPでも、ユーザーが求める情報は流入経路や属性によって異なります。すべてのユーザーに同じ内容を提示すると、特定のセグメントに響かない課題が生じます。
パーソナライズでは次のような観点で出し分けができます。
- 広告から来たユーザーには広告文と同じ訴求軸を提示する
- 業種や企業規模に応じて、表示する事例や導入実績を変更する
- 新規ユーザー向けと既存ユーザー向けでメッセージを切り替える
小さなセグメントから始め、結果を見ながら最適化していけば、負担を抑えた運用が可能です。
EFO(入力フォーム最適化)と併用して離脱を減らす
LPだけでなく、最後の入力フォームで離脱するケースも多く見られます。フォームの最適化は、LPOと並行して進めることでCVRの改善幅が広がる重要な領域です。
【改善ポイントの例】
- 入力項目を必要最低限に減らす
- 住所や日付などは自動入力・プルダウンで手間を省く
- エラー表示を分かりやすくし、どこを直せば良いかすぐ分かるようにする
- スマートフォンでの入力時に適切なキーボード(数字・メールなど)が開くように設定する
フォーム到達率・送信完了率を計測しながら改善を繰り返せば、LP全体のCVR向上が期待できます。
LPOツールを活用した改善事例

LPOツールは、仮説と検証を繰り返すことでLP全体の成果を継続的に高められる点が特長です。ここでは、実際の企業がどのように分析・テストを行い、CVR向上につなげたのかを4つの観点から紹介します。
ABテストでCVR改善を実現した事例
ベルーナ|通販・EC業界
ファッション通販を展開するベルーナでは、DLPOを活用して複数パターンのABテストを実施しました。ファーストビューの構成や訴求文言を比較検証し、ユーザーがメリットを理解しやすいデザインに調整した結果、コンバージョン率が向上。ABテストを通じて改善すべき要素を把握できたとしています。
出典:月最大80件のA/Bテストを実施!お客様が本当に使いやすいサイトの改修に終わりはない!|DLPO株式会社
ヒートマップ分析で離脱要因を特定した事例
森永製菓|食品・菓子メーカー
森永製菓では、ユーザーローカルのヒートマップツールを活用し、サイト内の閲覧状況を詳細に分析しました。商品ページ内でユーザーの視線が集まる箇所と、逆にほとんど読まれていない領域が可視化され、コンテンツ配置の改善ポイントが見えてきました。
注目されていない説明文の修正やCTA位置の見直しに取り組んだ結果、情報訴求の流れが整理され、ユーザー理解が深まりやすいページへ改善されています。
出典:直帰率・離脱率ともに22%改善!前週比売上107.5%と即効性のある成果も。ヒートマップでユーザー行動を把握し、流入経路分析で回遊性を高める改善施策を実現|株式会社ユーザーローカル
導線改善が成果につながった事例
サカイサイクル株式会社|自転車小売・EC
サカイサイクル株式会社は、ECサイト全体の「分かりにくい導線」を改善するため、Marketing Unitの導線分析支援を活用しました。ユーザー行動データから、トップページやカテゴリページでの回遊性に課題が見つかり、商品詳細までの"到達しづらい動線"がCVR低下の要因となっていることが判明しました。
カテゴリの再配置、商品ページへの導線強化、視認性の高いUIへの刷新を実施した結果、主要ページへの遷移率が向上し、ECサイト全体のCVR改善につながりました。
出典:導線を見直し利用しやすいサイトへ改善し集客を強化|SATORI株式会社
パーソナライズ施策が成果に寄与した事例
フェリシモ|通販・D2C
フェリシモは、ECサイトの膨大な商品ラインナップから、ユーザーが自分に合う商品を見つけやすくするため、Rtoasterを活用したレコメンド強化を実施しました。
ユーザーの閲覧履歴・行動データに基づき、個人ごとに最適化された商品を表示する仕組みを採用した結果、回遊性が高まり、レコメンド経由の売上が大幅に増加しました。サイト全体の顧客体験も向上し、継続購買の促進にも寄与しています。
出典:基幹システムにあるデータをRtoasterに蓄積し、チャネル横断のCMSとして活用。社内の業務改善と顧客育成に貢献してくれました。|株式会社ブレインパッド
LPO改善を進めるならecforceがおすすめ

ecforceは、D2Cや定期通販に必要なEC運用機能と、LPO改善に不可欠な要素を1つのプラットフォームに統合したサービスです。ランディングページとフォームを一体化した構造で離脱を抑えながら、テスト・訴求最適化・アップセル導線の改善まで、LPOの実践に必要な仕組みを標準で備えています。「LP改善と売上改善を同時に進めたい」EC事業者に最適です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| フォーム一体型LP | LPと購入フォームを統合し、離脱を抑えた導線を構築できる |
| 確認画面スキップ(1クリック決済) | 入力後の確認画面を省略し、購入完了までのステップを短縮 |
| アップセル・クロスセル | 確認画面・完了画面で商品提案が可能 |
| A/Bテスト | 訴求・構成・デザインの比較検証が可能 |
| LINEログイン | 標準実装でスムーズな会員化を促進 |
| 会員ランク無制限 | 顧客ステータスに応じた施策を実施しやすい |
| クーポン・ポイント | 購入率を高める販促施策が実行できる |
| セット販売 | 単品リピート商材との相性が良い販売方式に対応 |
| テーマストア | テンプレートを基にLPを構築でき、改善の初動が早い |
自社に最適なLPOツールを選び、継続的な改善につなげよう

LPOは一度設定して終わるものではなく、ユーザー行動に合わせて施策を積み重ねることで成果が安定します。自社の課題を正しく把握し、運用に無理のないツールを選べば、改善サイクルを継続しやすくなり、CVRの底上げにつながります。日々の検証と見直しを継続することで、LPは確実に成長します。
ecforceは、LP構築・テスト・アップセル導線の最適化まで、EC運営に必要な機能を1つに集約しています。LPO改善と売上拡大を同時に進めたい企業にとって、運用負荷を抑えながら成果につなげやすい環境です。EC事業に本気で取り組む企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。
ecforce | AIコマースプラットフォーム/EC構築システム
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月