この記事でわかること
※この記事は 時点の情報をもとに執筆しています。
「自分のお店をネットで開きたい」「実店舗を持たずに全国へ販売したい」
そんなニーズの高まりとともに、通販サイト(ネットショップ)の需要は年々高まっています。
コロナ禍以降でオンラインショッピングの利用者が急増し、今では個人や小規模事業者でも手軽にネットショップを開設できるサービスが多数登場しています。
加えて、運営コストも低く抑えられ、地域や時間に縛られない柔軟なビジネス展開が可能です。
とはいえ、通販サイトを「作るだけ」では成果に繋がりません。
本当に売れるネットショップを作るためには、商品選び・ショップ設計・システム選定・集客戦略など、段階ごとに押さえるべき重要なポイントがあります。
この記事では、通販サイトをこれから始めたい方や、成果を出したい方に向けて、作り方の手順を7ステップに分けてをわかりやすく解説します。
後半では、代表的な5つの構築方法とその選び方、運営を成功に導く3つのコツもご紹介。記事を読み終える頃には、通販サイト作成に必要な知識と、自分に最適な始め方がきっと見えてくるはずです。
関連するテーマについては、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
ECサイト構築を始める前に知っておきたい知識|5つの構築方式・費用・成功のコツ【2025年版】
【ユニットエコノミクス】D2C事業が追うべき経営指標
通販サイトの作り方|6つの手順
通販サイトを成功させるためには、ただ商品を並べて販売するだけでは不十分です。
企画から運営までの各ステップにおいて、顧客視点と販売戦略の両方を意識することが重要です。
ここでは、通販サイト構築の全体像を6つのステップに整理して解説します。
これから初めてショップを立ち上げる方も、すでに運営していて改善点を見つけたい方も、順を追ってチェックしてみてください。
ステップ1|ターゲットを明確にする
通販サイトを成功させるには、まず「誰に売るのか?」を明確にすることが出発点になります。
どんなに魅力的な商品でも、それを必要としている人=ターゲットユーザーに届かなければ、購入にはつながりません。
つまり、売る相手が定まっていないと、商品選定・サイト設計・集客施策のすべてがブレてしまうのです。
ここでは、ターゲットを絞り込む際の考え方と、実際に活用できるペルソナ設計のポイントを紹介します。
誰に向けた商品・ショップなのか?
まずは、「どんな悩みやニーズを持った人に、どんな価値を提供したいか」を明確にしましょう。
例として、次のような切り口から考えると、ターゲット像が見えやすくなります。
- 年齢・性別・職業・ライフスタイル
- 趣味・関心・価値観
- 悩みや課題(例:肌荒れに悩む人/収納が苦手な人 など)
- 買い物行動の特徴(スマホ中心、SNSから情報を得る など)
たとえば「30代の働く女性で、美容や健康にこだわりがあり、ネットで商品を比較してから購入する人」を想定した場合、彼女たちが何にお金を使い、何に共感するかまでを考えることで、商品やコンテンツの訴求ポイントが明確になります。
この段階での曖昧な設定は、後のコンセプトや商品決定の失敗にもつながるため、できるだけ具体的なイメージを描いておくことが大切です。
ペルソナ設計でズレを防ぐポイント
ターゲットよりも一段深く掘り下げた人物像を作るのが「ペルソナ」です。
ペルソナとは、実在しそうな1人の人物像を、架空のプロフィールとして設計するマーケティング手法です。
たとえば以下のように詳細に設定します。
- 名前:佐藤花子さん(34歳・東京都在住)
- 職業:IT企業勤務のWebディレクター、年収450万円
- ライフスタイル:週末はヨガやオーガニックカフェめぐりが趣味
- 価値観:無添加・サステナブル
- 通販での悩み:写真と実物のギャップ、肌に合うか不安になる
- よく見るSNS:Instagram、YouTube(レビュー動画)
このようにペルソナを細かく設計することで、商品ページの言葉選びやビジュアル、SNS施策のトーンまで一貫性のある発信が可能になります。
ポイントは、「自分が売りたい相手」ではなく、「実際にその商品を必要としているであろう人物像」に寄せていくことです。
リサーチや仮説をもとに作ったら、実際のユーザーとのギャップがないか定期的に見直すことも忘れずに行いましょう。
ステップ2|コンセプトとショップの方向性を決める
ターゲットが明確になったら、次は「どんな世界観で、どんな価値を提供するショップにするのか」を設計します。
これが、通販サイトの軸となるコンセプト設計です。
ショップの雰囲気や商品ラインナップ、サイトのデザイン、SNSでの発信内容など、すべてはこのコンセプトに基づいて決まっていきます。
ここが曖昧なままだと、発信も商品選定もブレやすくなり、顧客の共感や信頼を得るのが難しくなります。
ブランドの世界観を設計する
コンセプトは、ただ「可愛い雑貨を売る」といった単なる目的ではなく、「どんな価値観を持つショップなのか」を言語化することが重要です。
たとえば、以下のような要素を組み合わせて整理すると、ブランドの方向性が見えてきます。
- ショップのビジョン
例:「“使い捨て”をやめる社会へ。環境に優しい日用品の選択肢を広げたい」 - 提供したい価値・体験
例:「心と暮らしが整う、毎日がちょっと楽しくなる文房具」 - ターゲットに共感される世界観
例:「シンプルだけど温かみのある、北欧テイストの暮らしを提案」
このように、単なる機能的な説明ではなく、「共感」「体験」「物語性」を含んだコンセプトがあることで、競合との差別化も図りやすくなります。
コンセプトから考える商品ラインナップと体験
コンセプトが明確になっていれば、取り扱う商品や提供する体験も自然に導き出せます。
ここで大切なのは、商品の機能や特徴だけにとどまらず、「どう届けるか」「どんな感情を生むか」まで設計することです。
たとえば、ヴィーガン志向の30代女性をターゲットにするなら、動物性原料を一切使わないスキンケア商品に加え、環境に配慮したパッケージや、原料のストーリーを丁寧に伝えることで共感を得やすくなります。
男性向けのギフト専門店であれば、高級感のある本革製品を中心に据えつつ、ギフト包装の体験や手書きのメッセージカードといった“贈る楽しさ”までを含めて設計することで、印象に残るショップになります。
さらに、地方の伝統工芸品を販売する場合には、職人の想いや技法を紹介するインタビューや、商品が生まれる背景に焦点を当てたストーリーブックを同梱するなど、商品を「体験」として届ける工夫がブランドの差別化につながります。
このように、コンセプトと連動した商品設計・販売体験の演出を意識することで、ショップ全体に一貫性が生まれ、ユーザーの記憶に残るブランドを構築することができます。
また、明確なコンセプトがあることで、以下のようなメリットも得られます。
- 商品開発・仕入れ時の判断基準がブレなくなる
- 顧客からの信頼やファン化につながる
- SNSや広告での訴求力が高まる
- ブランドとしての「覚えてもらえる強み」ができる
最初にしっかりと言語化しておけば、ショップの成長に合わせて内容をアップデートする際にも軸がぶれません。
ステップ3|売る商品を決める
通販サイトで扱う商品は、ショップの世界観やターゲット像に合ったものであることが大前提です。
ただ「売れそう」だからではなく、誰にどんな価値を届けるかを基軸にして商品を選定することが、長期的なビジネスの成功につながります。
ここでは、自分自身の強みを活かしながら商品を決める視点と、市場のニーズに応えるための調査方法について解説します。
通販サイトで売れる商品の選び方
「売れる商品」と「売りたい商品」は必ずしも一致しません。だからこそ、まず意識したいのが 「自分の情熱が注げるかどうか」 という視点です。
たとえば、以下のような基準で考えてみましょう。
- 自分が長年愛用していて、本当に良いと感じているもの
- 趣味やライフワークとして関わってきた分野(例:ハンドメイド・キャンプ・育児 など)
- 体験に基づいた説得力のあるストーリーが語れる商品
自分の好きや得意を活かした商品は、ショップ運営を継続する上でのモチベーションにもつながりますし、商品説明に熱量が宿ることで顧客の共感を得やすくなります。
一方で、「好きだから」という理由だけで選んでしまうと、需要がなかったり競合が強すぎたりするケースもあるため、必ず 市場ニーズとのバランス を取ることが大切です。
トレンドや競合リサーチの進め方
市場のニーズを把握するためには、次のような調査方法が有効です。
- SNSやレビューサイトのチェック(Instagram・X・楽天・Amazonなど)
- Googleトレンドの活用
- ラッコキーワード・キーワードプランナーで検索数を可視化
- 競合サイト分析(人気商品・レビュー・価格帯など)
また、社会的価値やストーリー性が重視される傾向もあり、次のような商品が支持を集めています。
- サステナブル素材や地産地消にこだわった商品
- ジェンダーレス・多様性を意識したアイテム
- 作り手の背景や開発ストーリーが明確なプロダクト
商品選定に正解はありませんが、「誰に」「なぜその商品を届けたいのか」を自分の言葉で語れるかが、ブレないショップ運営の基盤になります。
ステップ4|ショップ名とドメインを決める
通販サイトにおけるショップ名は、ただの名前ではなく、ブランドの印象や価値を一瞬で伝える要素です。
さらに、サイトのURL(ドメイン)やSNSアカウント名にも関わるため、後から変更するのが難しく、慎重に決める必要があります。
このステップでは、覚えてもらえる・信頼される・広げやすいショップ名とドメインの決め方を解説します。
覚えやすく伝わりやすいネーミングのコツ
まず、ショップ名には「覚えやすさ」「伝わりやすさ」「意味のわかりやすさ」が重要です。
とくにネット販売の場合、検索されたりSNSで拡散されたりすることを前提に、言葉としての“浸透力”があるかどうかを意識しましょう。
以下のような視点で検討すると、ブレのない名前が生まれやすくなります。
- 読みやすく、口にしやすい(発音しづらい造語は避ける)
- コンセプトや商品の特徴が想起される(例:「自然素材」→Nature、「手作り」→Craft)
- ターゲットに刺さる世界観を含んでいる(例:シンプル、上品、ユニーク)
- 英語・カタカナ・日本語のバランスを工夫する(グローバル展開も視野に)
【例】:NatureCraft(ネイチャークラフト)
「自然 × 手作り」という意味が一目で伝わる名前。響きもやさしく、雑貨・アクセサリー系のブランドにマッチしています。
ネーミングの際は、候補をいくつか出してみて、声に出して読んでみたり、家族や友人に印象を聞いてみたりするのもおすすめです。
主観だけで決めず、客観的な印象も取り入れると、より信頼感のある名前になります。
SNSやドメインの一貫性もチェック
名前が決まったら、すぐにそのまま使えるかをチェックすることも忘れずに行いましょう。特に以下の3つは、必ずセットで確認すべきポイントです。
- ドメイン(URL)
「.com」「.jp」「.shop」など、主要なドメインが取得可能か?
無料のドメイン検索ツール(例:[お名前.com](http://xn--t8jx73hngb.com/))などで調査可能 - SNSアカウント名
Instagram、X、TikTokなどで同名アカウントが使われていないか?
ユーザー名が長すぎたり複雑すぎたりしないかも確認 - 商標・会社名との競合
すでに法人登記や商標登録されている名前ではないか?
ビジネスとして展開していく上で、法的リスク回避にもつながる
これらのチェックを怠ると、「せっかく考えた名前が使えない」「ドメインだけ違う名前で統一感がなくなる」「他社と混同される」といった事態になりかねません。
ショップ名は、長期的なブランド運営において最も重要な資産のひとつです。時間をかけて丁寧に選定し、確実に使える形でスタートを切りましょう。
ステップ5|通販サイト作成サービスを選ぶ
通販サイトを作成するには、「どの方法・ツールでショップを構築するか」を決める必要があります。
現在は、ITの専門知識がなくてもネットショップを開設できる便利なサービスが多く登場していますが、選ぶ方法によって運営の手間やコスト、自由度が大きく変わります。
このステップでは、実際に使うサービスを選ぶ際に押さえておくべき判断ポイントを解説します。
構築方法ごとの違いを理解する
通販サイトの構築にはさまざまな方法がありますが、大きく分けると以下の5種類です。
- ASP型(Application Service Provider)
- SaaS型ECプラットフォーム
- オープンソース型
- ECパッケージ型
- フルスクラッチ開発型
それぞれに「初期費用」「ランニングコスト」「自由度」「使いやすさ」などの違いがあり、自身のビジネス規模やリソースに合ったものを選ぶことが重要です。
サービスを選ぶときの判断ポイント
構築方法を決めるときは、以下の観点を基準に検討するのがおすすめです。
- 操作のしやすさと導入の手軽さ
EC運営が初めての方には、管理画面がわかりやすく、商品登録や注文処理が直感的にできるサービスを選ぶのが安心です。
専門的な知識が不要で、ノーコードでも始められるかどうかもポイントです。 - 初期費用・月額費用・手数料のバランス
無料で始められるサービスも多い一方で、売上に応じて手数料がかかるものや、オプション機能で追加料金が発生するケースもあります。
トータルの費用を想定し、事業計画に合ったコスト感を見極めましょう。 - デザインや機能の自由度
テンプレートのバリエーションやカスタマイズ性、独自ドメイン対応など、将来的にサイトの“らしさ”を出せるかも重要な要素です。
こだわりがある場合は、自由度の高いサービスを選ぶ必要があります。 - サポート体制の充実度
トラブル時の対応スピードや、操作に関する質問がすぐに解決できる環境が整っているかもチェックしましょう。
特に初期段階では、サポートの質が安心感や運営の継続性に直結します。
通販サイト構築は、一度選んだ方法が長く事業の土台になります。
そのため、「今すぐ始めやすいかどうか」だけでなく、「継続的に運用できるか」「ビジネスの成長に対応できるか」といった視点で選ぶことが、結果的に後悔のない選択につながります。
ステップ6|商品ページを作成する
通販サイトにおける商品ページは、来訪者が購入するかどうかを決める最も重要な接点です。
リアルな店舗と違い、手に取って確認することができないからこそ、ユーザーが安心して購入できるように、情報の丁寧さ・視覚的なわかりやすさ・信頼性の高さが求められます。
ここでは、購入率(コンバージョン)を高める商品ページの作り方について解説します。
商品説明・写真・スペックで魅力を伝える
商品ページで最も重視すべきは、顧客目線で情報を過不足なく伝えることです。
以下の要素を丁寧に設計しましょう。
- 商品名・概要
シンプルで検索されやすい名前を設定。カテゴリ名・素材名・サイズ感なども含めるとベター。 - 価格・在庫・発送時期
購入判断に直結する基本情報は明確に。発送までの日数や在庫状況を正確に提示する。 - 詳細説明
商品の特徴、素材、製造工程、使い方、ブランドとしてのこだわりなどをしっかり記述。
たとえば天然石ブレスレットなら、使用している石の意味や手作業の工程などを添えることで、商品に物語が生まれる。 - サイズ・重さ・素材などのスペック
尺寸表記(cm・gなど)だけでなく、サイズ比較写真や着用イメージもあるとより親切。 - 使用・着用シーンのイメージ
実際に使っている写真、生活の中での使用シーン、モデルの着用画像などがあると、購入後のイメージが広がりやすい。 - 高品質な商品写真
多角度からの撮影、クローズアップ、ライフスタイル写真などを複数用意。
明るい自然光、無地背景、色補正などで、商品がより魅力的に見えるよう工夫する。
写真で心を動かし、説明文で購入の背中を押すくらいの意識で設計すると、購入率を大きく引き上げることができます。
SEOを意識した商品登録のポイント
商品ページは、検索エンジン経由での流入を増やす集客メディアとしての役割もあります。
以下のようなSEO対策を意識して、検索にも強い商品ページを構築しましょう。
- 検索されやすいキーワードを商品名に含める(例:「オーガニックコットン フェイスタオル」「ハンドメイド ピアス 北欧風」など)
- 説明文にも自然にキーワードを入れる(読み物として価値のある文章の中に散りばめる)
- タイトル・ディスクリプションの設定を忘れずに(検索結果に表示される要素として訴求力のある文言に)
- スマホ表示の最適化(画像サイズやレイアウトが崩れないようにする)
- ページ表示速度の改善(画像を軽量化し、不要なスクリプトを減らす)
SEOに強い商品ページは、長期的に新規顧客の自然流入を生み続ける資産となります。
商品をただ置くだけでなく、しっかりと設計していくことが重要です。
ステップ7|運営準備を整える
通販サイトが公開できる状態になったら、いよいよ本格的な運営がスタートします。
この段階で必要なのは、販売後のオペレーション体制や、顧客との接点作りである集客の準備を事前に整えておくことです。
どれだけ魅力的な商品やサイトを用意しても、「売れる仕組み」と「安心して買える体験」がなければ成果にはつながりません。
ここでは、運営開始前に必ず準備しておくべき要素を3つに分けて解説します。
配送・梱包の準備と業者の選び方
商品が購入された後、顧客に届くまでの体験はブランドの印象を左右する重要な接点です。
以下のような項目をあらかじめ整えておきましょう。
- 商品に合わせた梱包材の選定(壊れ物には緩衝材、衣類には防水対策、ギフト商品にはラッピング対応など)
- 必要な備品の準備(段ボール・封筒・緩衝材・テープ・納品書・送り状・メッセージカードなど)
- 配送業者の選定と送料設計(サイズ・重量・配送スピードに応じてクリックポスト、宅急便コンパクトなどを選択)
- 追跡サービス・時間指定の有無の確認(利便性の高い配送方法はリピート率向上にも)
また、梱包の見た目や丁寧さは、ショップの印象評価にも直結します。
ブランドに合わせた統一感ある梱包・ラベル・同梱物のデザインを意識することで、SNSでのシェアや口コミにもつながりやすくなります。
集客戦略の立て方(SNS・SEO・広告など)
通販サイトは作っただけでは売れません。
「知ってもらう」「思い出してもらう」「信頼してもらう」という3ステップを踏むために、集客は運営と並行して継続的に行う必要があります。
代表的な集客手法は以下の通りです。
- SNS運用(Instagram・X・TikTokなど)
商品の使用イメージや制作風景など、“人感”ある投稿でファンを獲得
ハッシュタグやストーリーズ、ライブ配信なども活用 - SEO対策(検索エンジン経由の集客)
商品ページやブログ記事でキーワードを意識したコンテンツを発信
長期的な新規流入が期待できる - 広告運用(Google広告・Meta広告など)
少額から始められる。キャンペーン時や新商品リリース時に効果的 - メール・LINE配信
リピーター育成・再来訪の促進に有効。購買履歴に応じたパーソナライズも可能
また最近では、UGC(ユーザー生成コンテンツ)やアンバサダー制度など、顧客自身が発信してくれる仕組みを作ることで、より自然な拡散や信頼獲得につながるケースも増えています。
集客戦略については、下記の記事も参考にしてみてください。
ECサイトの売上を伸ばすマーケティング戦略|集客・CVR改善・リピーター獲得のポイント
ECサイト集客術|売上を伸ばすための成功ポイントと注意点まとめ
顧客対応・決済・特商法などの運営チェックリスト
運営に入る前に、法的・実務的に必要な体制が整っているかを確認しておくことも非常に重要です。特に以下の項目は漏れなくチェックしましょう。
- 問い合わせ窓口の設置
質問やトラブルに対して、メール・フォーム・SNSなど迅速に返答できる体制を用意 - 返品・交換ポリシーの明示
利用規約やFAQページで事前に提示することでトラブルを防ぐ - 対応決済手段の準備
クレジットカード、コンビニ払い、後払い、電子マネー、キャリア決済など、ターゲットに合わせた手段を用意。手数料・入金タイミングも考慮して選定 - 特定商取引法に基づく表示の整備
運営者情報、販売価格、送料、返品条件などの明記が必要
このチェックリストをすべて整えておくことで、顧客が安心して購入できる環境が整い、信頼されるショップ運営へとつながります。
通販サイトの立ち上げには、商品選びやサイト構築だけでなく、コンセプトやターゲット、運営の準備まで幅広い視点が必要です。
ひとつひとつのステップを丁寧に進めていけば、初心者でも無理なくネットショップを始められます。
まずは、届けたい相手と、あなた自身が本当に売りたいものを明確にするところから始めてみましょう。
通販サイト作成サービスの5つの種類と特徴
通販サイトの構築方法にはさまざまな種類があり、それぞれ導入のしやすさや自由度、コスト、拡張性に違いがあります。
とにかく簡単に始めたい人と、将来的な拡張性やブランド成長を重視したい人では、選ぶべき構築方法が異なります。
ここでは代表的な5つの構築タイプについて、特徴と向いている人を詳しく紹介します。
ASP型|すぐに始められるクラウド型サービス
ASP(Application Service Provider)は、インターネット上で提供されているEC構築サービスを使って、専門知識がなくても短時間でショップを立ち上げられる方式です。
商品登録、決済、テンプレートによるデザイン変更、注文管理など、通販サイト運営に必要な機能がすべてクラウド上で提供されるため、HTMLやサーバーの知識は不要なケースが多いです。スマホだけで操作できるサービスもあり、初めての人でも迷わずスタートできます。
売れたときだけ手数料が発生する成果報酬型のサービスも多く、初期費用や月額コストを抑えながらネットショップを始めたい人にとって非常に現実的な選択肢です。
【こんな方におすすめ】
副業や趣味の延長としてネットショップを始めたい個人、ITに詳しくない初心者、まずは商品を販売してみたいという段階の方に適しています。
「簡単に始めて反応を見ながら調整したい」「手軽なツールから試したい」という方に特におすすめです。
SaaS型|拡張性と運営支援が強みのサブスクリプションモデル
SaaS(Software as a Service)型は、ASPと同じくクラウドで提供されるサービスですが、より高度な機能や拡張性、サポート体制が充実しているのが特徴です。
たとえば、定期購入・D2C向けの販売設計・CRM(顧客管理)・広告連携・売上分析など、マーケティングを見据えた本格的な運用ができるように設計されています。
また、システムは常に自動で最新状態に保たれ、セキュリティ面や法改正への対応も迅速です。運用面の安心感も大きなメリットです。
【こんな方におすすめ】
商品力や世界観に自信があり、ブランドとして長期的に育てていきたいD2C型の事業者や、月商100万円以上を目指す中小企業に最適です。
「最初から事業ベースで運用したい」「成長フェーズでも使い続けられる設計を求めている」という事業者にとっては、将来性の高い選択肢です。
ECパッケージ型|安定性とカスタマイズ性を両立したモデル
ECパッケージ型は、あらかじめ通販サイトに必要な機能が一式揃ったパッケージシステムを購入し、自社でカスタマイズしながら運用する方式です。
買い切り型またはライセンス契約型が多く、一度導入すれば中長期的に安定した運用が可能です。
システム自体はしっかりと作り込まれているため、高いセキュリティ性や業務系システムとの連携、BtoB対応など、法人向けの要件にも柔軟に対応できます。
一方で、初期構築や運用には開発会社との協力が必要なケースが多く、一定の予算とリソースが求められます。
【こんな方におすすめ】
既にリアル店舗を持ち、業務の一部をEC化したい中〜大規模事業者や、受注管理・在庫連携などの社内システムとの統合を必要とする企業に適しています。
「安定稼働と社内連携を両立させたい」「ベンダーと協力して堅牢なEC基盤を作りたい」という法人向けの選択肢です。
オープンソース型|コストを抑えて自由に構築できる中上級者向け
オープンソース型は、公開されているECシステムのソースコードを使って、自社で通販サイトを自由に構築・運用する方法です。
システム自体は無料で使えるものが多く、ライセンス料がかからない分、初期費用を抑えられるのが最大の魅力です。
その一方で、サーバーの構築や運用、保守、セキュリティ対策、機能追加など、技術的な対応はすべて自社または外部開発会社で行う必要があるため、一定の開発知識が求められます。
【こんな方におすすめ】
技術チームを社内に持つ企業や、コストを抑えつつ柔軟なサイト構築を目指す中小企業、特定の業種に特化した機能を必要とするケースに適しています。
「細かくカスタマイズしたいが、完全内製するほどの規模ではない」「なるべく自由度を持たせたい」というニーズにマッチします。
フルスクラッチ型|すべてを思い通りに設計できる完全オーダーメイド
フルスクラッチ型は、通販サイトをゼロから独自に設計・開発する構築方法です。
デザイン、決済、顧客管理、バックエンド機能まで、あらゆる面で完全オリジナルな設計が可能で、ビジネスモデルに最適化されたサイトを構築できます。
他の構築方法では再現できない特殊な機能や独自のユーザー体験を提供できる反面、開発期間は長く、数百万〜数千万円の予算が必要になるケースも少なくありません。
また、構築後も社内での保守・改修が前提となるため、長期的な視点でのコストとリソース確保が求められます。
【こんな方におすすめ】
EC事業が売上の中核を占める大手企業、独自の技術やデータ設計に基づく複雑なサービスを提供したい企業、競合と圧倒的に差別化された顧客体験を設計したいブランドなどが対象です。
「予算も人材も投資して、自社仕様の最高のECを作りたい」というフェーズにある企業に適しています。
このように、サービスの種類は構築方法ごとに向いている人や実現できる内容が異なっています。
今の事業フェーズとこれからの成長ビジョンをセットで考えながら、最適な選択肢を見つけることが、通販サイト成功への第一歩です。
通販サイトを成功させる3つのコツ
通販サイトは、ただ作って公開しただけでは成果にはつながりません。
運営を軌道に乗せ、売上を伸ばしていくには、ユーザーに選ばれ、信頼され、リピートされるサイトづくりが欠かせません。
ここでは、成果を出すために特に重要な3つの視点を紹介します。
1. ユーザーが安心して利用できる環境を整える
どれだけデザインが優れていても、ユーザーが「このサイトは信用できる」と感じなければ購入には至りません。
特に初回購入時は、「ちゃんと届くのか?」「品質に問題はないか?」「問い合わせに対応してもらえるか?」といった不安を抱えるのが自然です。
こうした不安を解消するためには、以下のような信頼の見える化が重要です。
- プライバシーポリシー・特定商取引法の表記を明記
- 返品・交換ルールをわかりやすく提示
- 問い合わせ窓口(メール・SNS・電話など)を明示
- 決済にSSL/TLS暗号化通信を導入(セキュリティ対策)
- 商品情報・写真を正確かつ丁寧に記載
- レビュー・口コミを掲載し、購入前の不安を軽減
また、配送に関する情報(送料・日数・追跡の有無)も明記しておくことで、安心感がさらに高まります。
不安なく買い物ができる環境を整えることは、リピートや口コミにも直結する重要な要素です。
2. SEO対策で自然検索からの集客を増やす
多くのユーザーは、Googleなどの検索エンジンから商品や情報を探します。
そのため、自社サイトが検索結果に表示されるよう、SEO(検索エンジン最適化)対策を取り入れることは非常に重要です。
基本的には以下のような施策を意識しましょう。
- 商品タイトルや説明文に検索されやすいキーワードを入れる
- ブログ記事や特集ページで検索ニーズに応えるコンテンツを発信
- モバイル対応・ページ表示速度の最適化
- ページ構造やメタ情報(タイトル・ディスクリプション)を適切に設定
- コピーコンテンツを避け、オリジナル性の高い文章を心がける
SEO対策はすぐに結果が出るものではありませんが、中長期的に広告に頼らず集客できる資産を育てる活動として非常に効果的です。
ブログで商品の使い方や選び方、比較記事などを発信するのも効果的な手段です。
3. 決済手段を充実させて購入範囲を広げる
せっかく気に入った商品があっても、自分が使いたい決済方法がなければ購入を諦めてしまうユーザーは少なくありません。
そのため、ターゲット層に合わせた決済手段の整備は機会損失を防ぐうえで非常に重要です。
たとえば、SBペイメントサービスの調査によれば、ECサイトで物品やデジタルコンテンツを購入するとき、最も利用される決済手段は「クレジットカード決済」(48%以上)という結果が出ています。
出典:ECサイトでよく使われる決済手段調査|SBペイメントサービス株式会社
また、2024年時点のキャッシュレス決済全体の統計では、決済額ベースでクレジットカードが約82.9%を占めており、依然として最もシェアが高い決済方法であることが示されています。
出典:2024年のキャッシュレス決済比率を算出|経済産業省
【導入を検討すべき主な決済手段】
- クレジットカード決済(Visa / MasterCard / JCB など)
- コンビニ決済
- キャリア決済(スマホ料金と合算)
- 銀行振込・代引き
- 後払い決済(Paidyなど)
- 電子マネー・QR決済(PayPay / 楽天ペイ など)
特に若年層向けやスマホ経由の購入が多い場合は、スマホ決済・キャリア決済・後払い決済のニーズが高いため、導入することで購買率アップが見込めます。
一方で、決済手段が増えると管理や手数料が増えるため、ターゲットユーザーの属性・購入単価・運用負担をバランスよく見極めることが大切です。
ECサイトの決済手段については、下記の記事も参考にしてみてください。
【決済で売上が変わる?】ECサイトのための決済方法・代行サービス徹底比較
オンライン決済、どれを選ぶ?選び方と比較ポイントを徹底解説【導入時のチェックリスト付き】
まとめ
通販サイトは、誰でも始められる時代になりましたが、成功させるには「誰に何を、どう届けるか」を丁寧に考えることが欠かせません。
ターゲット設定からコンセプト設計、商品選び、集客や運営の準備まで、ひとつひとつのステップを着実に進めていくことで、ネットショップは確かな形になっていきます。
いきなり完璧を目指す必要はありません。まずは、自分が届けたい商品と向き合い、小さく始めてみることが大切です。
本記事で紹介した手順や構築方法を参考に、あなたに合ったスタイルで、自分のショップをかたちにする一歩を踏み出してみてください。
※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比
※3:事業撤退を除いたデータ / 集計期間 2022年3月~2022年8月